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文献名1霊界物語 入蒙記 山河草木 特別篇
文献名2第2篇 奉天より洮南へ
文献名3第11章 安宅の関
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ昌図府の宿に泊まっていると、午後六時過ぎごろにシナの巡警が宿泊人調査にやってきた。一行は岡崎一人が日本人、その他は中国人であるということにしていた。
巡警が岡崎に護照の確認を乞うと、岡崎は、自分は東三省の官吏であり、張作霖の命を受けて視察にきているのだ、と逆に居丈高になって名刺を振り回した。そして、日出雄と守高は南清の豪商であると紹介した。
巡警はいずれも立派な服装であるのを見て取ると、丁寧に挨拶をして帰って行った。岡崎は地元の巡警に不審の念を抱かせずに追い払ったことを自慢気に吹聴した。
すると今度は午後九時ごろになって、官兵がやってきた。日本人が泊まっているというので、調査に来たのである。岡崎はまたもや名刺を出して官兵を煙に巻いて、追い返した。
すると午後十二時も前になって、またもや軍靴とサーベルの音がして、今度は昌図府の日本領事館員が巡査を引き連れて、身元調べにやってきた。またもや岡崎は自分の名刺を出して応対したが、日出雄と守高は水也商会の日本人だ、と紹介した。
領事館員が帰って行った後、日出雄は岡崎に、中国の官憲には南清の豪商だと言い、日本領事館には日本人だと言ったが、後で不審に思われないか、と懸念を表した。
岡崎はあまりしゃべりすぎて余計なことを言ってしまった、と非を認めたが、再度領事館から調べに来たら、自分の舌先三寸で追い払うから、と嘯いた。
いずれにしろ、念のために日出雄と守高は明日早くに、動くほうの自動車で先発することにした。そして一同は横になると、旅の疲れからすっかり熟睡してしまった。
主な人物【セ】源日出雄、岡崎鉄首、巡警、軍曹、日巡(日本の巡査)【場】守高、王元祺【名】張作霖、佐々木弥市、大倉伍一、犬飼先生(犬養毅) 舞台 口述日1925(大正14)年08月 口述場所 筆録者 校正日 校正場所
OBC rmnm11
本文の文字数3473
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本文  自動車破損の為、代用機械の奉天より到着するまで、昌図府の三号店に待つ事とし、午後一時から粗末なる一室を与へられ、炕を焚いて一行四人は横臥し、前途の光明談に耽つてゐた。午後六時過ぎ支那の巡警二名は、宿泊人調査の為に出張した。岡崎は日本人、外三人は支那人と云ふ触れ込みで、支那服を纏ふて横臥してゐた。巡警は岡崎に向つて云ふ。
巡警『貴下は日本人と聞きましたが、支那の内地を旅行するには護照が必要ですが、失礼ながら、護照を見せて貰ひませう』
岡崎『僕は張作霖の命令を受けて視察に出て来たのだ。支那の官吏が支那を旅行するのに護照の必要があるか、分らねば証拠を見せてやらう』
と威丈高になり、得意然として自分の鞄から……東三省裕東印刷所技師長を命ず、月俸三百六十元……と云ふ辞令書を振廻はし、其上、前河南督軍軍事顧問岡崎鉄首と云ふ大名刺を振まはし、支那巡警の調査を受ける必要はないと刎ねつけた。巡警は呆気に取られた様な顔して、日出雄、守高、王元祺を顧み、岡崎に向つて、
巡警『此三人の方は何用あつて、汽車のあるのにも拘らず自動車旅行をされるのですか』
と稍詰問的に出た。岡崎は平然として、『アハヽヽヽ』と他愛なく笑ひ乍ら、
岡崎『そんなことを尋ねて何にする? 此方々は南清方面の豪商だ。一遍満州が旅行して見たいから案内して呉れぬかと云はれるので、僕が視察を兼ねて、自動車旅行を試みたのだ』
 巡警は三人を熟視し乍ら、立派な支那服を着けてゐるのに、ヤツと安心したと見え、
『ヤアこれはお邪魔致しました』
と丁寧に挨拶をして帰つて行く。其後で岡崎は又もや例のメートルを上げ出した。
『アハヽヽヽ先生、私は偉い者でせうがな、佐々木や大倉が何程偉相に吐かしたつて到底こんな放れ業は出来ますまい。こういふ時には此名刺が護照の代理をするのですからなア。支那の巡警が何程調べようとしても、先生に一言も言葉をかけささなかつた所は偉い者でせう。エツヘヽヽ』
日出雄『満蒙旅行は君に限るよ。君のおかげで、先づ安宅の関を無事通過することが出来るのだ。感謝しますよ』
岡崎『何と云つても日露戦争以来、支那各地を往来して、支那満州の事情に通じて居るのだから……なア先生、安心なものですよ』
と頻りに得意な面を曝してゐる。だんだんと時が移つて、午後九時頃となつた。三号店の門口に四五人の靴音や、サーベルの音がチヤラついて聞えて来た。……と思ふ刹那、うす汚い板戸を開けて突然日出雄の居間へ這入つて来たのは支那の官兵であつた。一人は軍曹で四名の兵士を従へ、警察署の報告に依つて日本人が泊つてゐると云ふことを知り、わざわざ査べに来たのであつた。日出雄と守高は支那服を着けたまま素知らぬ顔して横になり、岡崎と軍曹との応接を聞いてゐた。
軍曹『深夜に御邪魔を致しましたが、貴下は、東三省の高等官だと承はりましたが、支那内地を旅行されるには護照が必要ですが、御携帯になつてゐますか』
 岡崎は例の名刺や辞令を鞄から取り出して見せ、
『アツハヽヽヽ』
と無造作に体をゆすつて笑ひ、
『それ、此通りだ、此度南清地方の富豪なる僕の友人が、一遍満州の自動車旅行がして見たいから案内してくれぬかと言はれるので、何でも奇抜なことをやつて、支那官民を驚かしてやらうと思ひ、自動車を雇ひ、やつて来た所、大体支那の道路はなつてゐないものだから、堅牢な自動車も滅茶苦茶になり、運転不能となつたので奉天から機械が来る迄、こんな汚い木賃ホテルに宿泊してゐるのだ。アハヽヽヽ、要らざる構ひ立てをすると、張作霖に報告するぞ』
と頭から抑へつける。軍曹は極めて慇懃に言葉もやさしく、岡崎に向つて云ふ。
『貴下は東三省の高等官なることは此辞令書にて判明しました。併し満州の旅行は馬賊が横行して大変危険ですから、途中に於ていろいろの障害が起つては日本政府へ対しても済みますまいから、お出になる所まで護衛兵をつけませう』
岡崎『アツハヽヽヽ、イヤ大きに有難う。併し吾々は日本男子だ。乞食の様な支那の雇兵の二十人や三十人送つて貰つた所で、何の役にも立ちますまい。御親切は有難いが、お断り申しませう。必要があれば地方の官憲に依頼しますから……』
 軍曹は王元祺に向つていろいろの質問をした。王元祺は性来の支那人だから、何だかピチヤピチヤと得意の支那語で応答してゐた。軍曹は日出雄、守高の両人を怪しげな視線を投げ乍ら、
『夜中驚かせまして済みませぬ』
と慇懃に挨拶を残し帰つて行く。岡崎は益々得意になつて大いに気焔を上げ、肇国会の話や、犬養先生を無性矢鱈に振りまはし、外務省の腰の弱い話などを喋々喃々と喋舌り立て、

『吾眼霞が関の門にかけ国の行末みむとぞ思ふ

アハヽヽヽこれは私の作つた歌です。吾々が支那で何か日本の為になることをやらうと思ふと、弱腰の日本外交官は直ぐに頭を抑へる。それだから、支那開発も満蒙の経営も何時も九分九厘で画餅になつて了ふのだ。今度といふ今度は思ひ切つて満蒙政策の実行をやつつけてみる覚悟です。先生は支那道院の宣伝使なり、私は東三省の高等官だから、日本政府がゴテゴテと干渉する権利はない筈だ。アハヽヽヽ面白い面白い、前途有望だ』
と切りに顔面筋肉を活躍させ、車輪の如く舌を運転させてゐる。そこへ又もや靴やサーベルの音がして来た。
『御免なさい』
と這入つて来たのは昌図府の日本領事館員が巡査を二名引連れて、身許調べに来たのである。
日巡『岡崎鉄首といふ人は貴下ですか』
と軍服姿の岡崎に向つて、怪しげな視線を向け口を切つた。岡崎は例の名刺や辞令を見せつけて、例の大口をあけて『アハヽヽヽ』と笑ひ乍ら、
『モウ夜も更け十二時前でありませぬか、今頃に来られちや実に迷惑です。何の御用ですかなア』
日巡『エー、只今支那の警察から日本人が泊つてゐるといふ報告が来ましたから、一応伺つてみたいと思ひ出張したのです』
岡崎『ヤア、そりや御苦労でした。別に心配して下さるな、私は日本人でゐながら東三省の張作霖の命令で支那内地の視察をなすべく、やつて来たのですから、日本領事館に御心配は決して掛けませぬ』
日巡『此三人の方はどこの人ですか、どうも支那人のやうにありませぬがね』
 岡崎は日出雄を指して、
『此方は奉天平安通水也商会の主人です、商業視察の為にお出でになつたのですよ』
日巡『あゝさうですか、さうすると日本人ですな、何時お発ちになりますか』
岡崎『ハイ、自動車が破損しましたので動きが取れないのです。奉天まで機械を取りにやつたから、使が帰つた上修繕を施し出立する考へです。先づ明日の午後二時頃です。それ迄は此の木賃ホテルで燻ぼつてゐる考へです。アハヽヽヽ』
日巡『護照はありますか』
岡崎『護照なんか要るものか、東三省の役人が東三省内を旅行するのだからな、アハヽヽヽ』
と笑ひに紛らす。日本巡査は、
『ヤ、御邪魔致しました』
と帰つて行く、日出雄は稍心配相な顔して、
日出雄『岡崎さん、支那の巡警や軍曹に向つて、南清方面の豪商だといひ、日本の官憲に向つては日本人だと云はれましたが、これは屹度領事館で不審を起し、明朝更めて調査に来るかも知れませぬよ。何とか考へねばなりますまい』
 岡崎は頭をかき乍ら、
『あまり喋舌り過ぎたものだから、拙劣なことをいつてしまつた。ナアニ構ふものか、明日領事館から来よつたら、三寸の舌鋒で吹き飛ばせば宜しい。先生、岡崎に任しておいて下さい、メツタに御迷惑はかけませぬからな。アハアハヽヽヽ』
と小さく笑ふ。
日出雄『兎も角領事館員が来ると面倒だから明早朝一台丈は先へ出発する事としようぢやないか』
岡崎『それなら先生と私は二十支里程北の大四家子といふ所迄、先発しませう、守高さまや王君は修繕が出来次第、後から追つかけて来るといふことに定めておきませう』
『それが宜しからう』
と言つたきり、ゴロリ横になり忽ち雷の如き鼾をかいて眠つて了つた。岡崎も外二人も旅の疲れで前後不覚になつて、夜のホンノリと明くる迄他愛もなく熟睡した。
(大正一四・八 筆録)
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