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文献名1霊界物語 第10巻 霊主体従 酉の巻
文献名2第1篇 千軍万馬よみ(新仮名遣い)せんぐんばんば
文献名3第19章 替玉〔449〕よみ(新仮名遣い)かえだま
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-07-16 00:38:44
あらすじ広国別、広国姫は、今度の大戦の行く末をひそひそと話し合っていた。そこへ、ロッー城から日の出神の使いとして、逆国別がやってきたと報せを受けた。広国別は、召使の笠取別を呼び、にわかに大臣待遇に任じて代理とし、逆国別の応対をするようにと命じた。笠取別は大臣待遇となり、勇んで逆国別の前に現れ、常世神王であるかのように振舞うが、捕らえられてしまう。笠取別を広国別と勘違いした逆国別は、そのままロッー山に引き上げてしまった。
主な人物 舞台常世城 口述日1922(大正11)年02月25日(旧01月29日) 口述場所 筆録者外山豊二 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年8月20日 愛善世界社版150頁 八幡書店版第2輯 445頁 修補版 校定版157頁 普及版70頁 初版 ページ備考
OBC rm1019
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本文  天津日の光は清く照り渡り、三五の月は大空に隅なきまでに輝けど、曲の企みの薄暗き、常夜の闇の奥殿は、八十の曲霊のたけび声、何処ともなしに洩れ来る。虫が知らすか何となく、心塞がり胸痛む、常世神王広国別は、広国姫と諸共に、黄泉島にと遣はせし、勇将猛卒のあと見送つて、しめじめと不安の念に駆られゐる。
常世神王『アヽ広国姫、日頃股肱と頼む照山彦、中依別、鷹取別などの豪傑は、皆出陣して了つて、何とはなしに拍子抜がしたやうだな。恰度行灯を蹴破つたやうな城内の寂寥、万々一突然に強い敵が攻めて来ようものなら、常世城はまるつきり袋の鼠だ。去年のやうな怪しいことが、又復出て来ようものなら如何することも出来ない。せめて竹山彦だけなりと残して置けばよかつたに』
広国姫『ナンダか妾も不安で堪まりませぬ。昨夜も妙な夢を見まして、大変に心配を致しました。併しながら夢の浮世と云つて、何うなるも斯うなるも、総て運は天に任さねば、吾々が何うすることも出来ませぬ。何だか日々に気が咎めて、天道様から呶鳴りつけらるるやうな心持がして、何時もおどおど心が落着きませぬ』
『ソンナ弱音を吹くな。捨てる神もあれば拾ふ神もある。よいことが来れば又悪いことも来るものだ。黄泉島の戦ひがうまく此方の勝利となれば、この広い世界は伊弉冊命様の自由自在だ。さうなれば、吾々も常世の国ばかりでなく地上の大神王だ』
と夫婦は前途を気づかひ且つ望みを抱きながら、首を鳩めてひそひそ話す折しも、小間使の清姫はこの場に現はれ、恐るおそる両手をつき、
『只今ロッー城より日の出神の御上使として、逆国別数多の供を引率れ、常世神王に申渡す仔細があると、それはそれは偉い権幕でございます。如何取計らひませうか』
常世神王『ホー、それは吾々にも出陣せよとの御命令だらう。広国姫、其方はわが代理となつて、この常世城を守つて呉れ。御命令とあれば止むを得ない』
広国姫『……………』
清姫『如何御返事を致しませう』
常世神王『笠取別を呼べ』
『ハイ』
と答へて清姫は此の場を立去る。笠取別は庭前の木の植込の間を潜つて慌しく入り来り、沓脱石の前に拝跪して、
『笠取別只今参上仕りました』
常世神王『ホー笠取別か、汝に申付くる事がある。ロッー城の上使、逆国別に応対を致せ』
『小神の吾々、御上使に向つて申上げる権利がございませぬ』
『アイヤ、今日は汝を宰相に命ずる。鷹取別の代理だ』
『エー、一寸伺ひます。今日だけでございますか。永遠に鷹取別の役を仰付け下さいますのか。臨時なれば平に御断り申します。時の代官、日の奉行では誠に以て心細くて、実を入れて談判する勇気も出ませぬから』
 この時逆国別は大音声、
『ヤアヤア、日の出神の上使逆国別、詮議の次第あつて本城に向つたり。常世神王一刻も早く此場に御出会ひあれ』
笠取別『モシモシ、根つから笠取別に御出会ひあれと申しませぬ。常世神王にと上使が呶鳴つてゐます』
常世神王『その方が代理に出るのだ』
『アヽ私が常世神王の代理ですか。偉いものだな。蝸牛が天上したと云はうか、雪隠の中の糞虫が出世して、羽根が生えて王さまの頭へとまつたと云はうか、蟹彦が将軍になつたやうなものだ。矢張り常世城は常夜の闇だな。これだから骨折損の草臥儲け、力のある正直な奴は皆落されるのだ。俺のやうな上役の威光を笠に被て、蔭でこそこそと下手ばつかりやつて居るものは、斯う云ふ結構なことが出て来るのだ。ドレ是から一つ此方が常世神王になつて、逆国別を眼下に瞰下して呶鳴りつけてやらうかい。又俺の腕はマア斯んなものだと、一泡吹かすのも面白からう』
『オイ笠取別、何をブツブツ言つてゐるか。早く行かぬか』
『行くも行かぬもありますか。鶴の一声、常世神王の代理、貴方は代理を御使ひなさつた以上は、最早御用はない筈、御黙り召され……ヤアヤア、ロッー城の上使逆国別とやら、常世神王……モシモシ常世神王様、代理だけ一寸ぬかして置きますから、そのおつもりで』
 常世神王は広国姫と共に、黙然として別殿に進み入り様子を考へてゐる。
笠取別『常世神王代理……ではない笠取別……オツトドツコイ広国別、此処にあり。逆国別に拝謁を許す。近う近う』
 逆国別は悠然として此場に現はれ、一揖しながら常世神王の座に、つかつかと上り行く。
笠取別『ヤア御上使、其処は拙者の場席でござる。御退り召され』
逆国別『常世神王、魔術を以て松、竹、梅の三人と偽り、上を欺く不届者、今日只今より常世城を明渡し、且つ此駕籠に乗つてロッー城に来るべく、早く手を廻せ』
『これは怪しからぬ』
と言ひも終らぬに、四五の供人は逸早く笠取別を高手小手に縛めたり。
笠取別『俺は笠取別だ。縄捕恨めしい。笠取も恨めしいワイ。俺は常世神王ぢやない。家来の家来のその家来だ。今一寸臨時に神王になつて見たのだ。俺を縛るよりも本当の常世神王を縛つて呉れ』
逆国別『如何に巧に吾を欺かむとするも、此方の眼力に依つて、一眼睨んだ以上は、その方は擬ふ方なき広国別、常世神王だ。ヤアヤア、家来共、文句は聞くに及ばぬ。早く駕籠に打込めよ』
『ホーイ』
と答へて、無理無体に駕籠に捻込み、
逆国別『サア、斯うなればもう大丈夫、常世城の明渡しは追つての事、一時も早く本城へ立帰らむ』
と馬に跨り、数多の家来を引率れて、ロッー城指して意気揚々と帰り行く。
(大正一一・二・二五 旧一・二九 外山豊二録)
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