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文献名1霊界物語 第11巻 霊主体従 戌の巻
文献名2第2篇 意気揚々よみ(新仮名遣い)いきようよう
文献名3第13章 転腹〔480〕よみ(新仮名遣い)てんぷく
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ松代姫が宣伝歌を歌っている折しも、館の門前には十手を持ったウラル彦の捕り手たち五人(松公、梅公、竹公、春公、秋公)が中をうかがっていた。孔雀姫を捕らえに来た様子だが、案に相違して館内には多くの人がいるので、中に踏み込むのをためらって、馬鹿話をしている。時公は中から出て行って、捕り手たちに啖呵を切ると、四人を一度に掴んで館の中に引き入れてしまった。勝公、八公、鴨公の三人も、残りの一人を担いでくる。時公は捕り手たちをお神酒でもてなした。そして、三五教への改心を説いた。捕り手たちは以外の饗応に感じて、熱心な三五教の信者となった。松代姫一行は、雪の中を竹野姫を追って出発して行った。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年03月01日(旧02月03日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年9月10日 愛善世界社版121頁 八幡書店版第2輯 556頁 修補版 校定版122頁 普及版51頁 初版 ページ備考
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本文  松代姫が、妹の梅ケ香姫に面会したる嬉しさに歌を歌つて居る真最中、表門に現はれたる黒頭巾を被つて手に十手を持つた男、門内の様子を窺ひながら、
甲『オイ俺達もアーメニヤのウラル彦の盤古神王から命令を受けて此処に捕手に向つたのだが、どうも内の様子が怪しいぞ。ぐじやぐじや一人ぢやないらしい、何でも五六人の声がして居る。一人のぐじやぐじや姫でさへも、こんな荒男が五人も出て来な手に合はぬのに、五六人も居るとすれば一寸容易に手出しは出来ない、なんぼぐじやぐじや姫でも一寸ぐじやりとは仕居らぬかも知れぬ』
乙『貴様何を吐すのぢや、ぐじやぐじや姫ぢやと云ふ事があるか、くしやくしや姫だ』
丙『馬鹿云ふな、九尺姫と云ふのだ、貴様のとこの嬶も九尺二間の破れ家に、棟つづき小屋に暮して、九尺々々吐かして居るが、マアあンなものだらうかい』
丁『さあ、くしやくしやと悪口を云うと、今頃にや、貴様のところのお鍋が、くしやんくしやんと、くしやみ姫になつて居るかも知れないぞ』
戌『分らぬ奴だなあ、杓姫と云ふのだ、杓子のやうな顔をして居るから杓姫だよ、さてもさても汲み取りの悪い奴だ。貴様の様な奴に相手になつて居ると癪に触つて仕様がない、いづれ何処かの飯盛女でもやとつて来て嬶にしやがつたのか、誰やらの作つた川柳にも「飯盛りをしてるお鍋の杓子顔」と云ふ事がある、マアそんな代物だらう』
甲『馬鹿言へ、ぐじやぐじや姫は天下の美人だと云ふ事だ。其奴に睨まれたが最後、どんな奴でも、ぐじやぐじやになつて仕舞ふ。それで、ぐじやぐじや姫と云ふのだ。オイオイ一寸聞いて見ろ、三杯酢にするとか、茹でて喰ふとか、美味からうとか、言つて居やがるぞ。貴様愚図々々しとると、ぐじやぐじや姫の化女に喰はれて仕舞ふか分らぬぞ』
丙『オイ、臆病風に誘はれて、大事の使命を果せない様な事が出来たら、それこそ帰つて上役に何と言つて噛みつかれるか分りやせぬ』
丁『此方で噛みつかれるか、帰んで噛みつかれるか、どちらにしても助かりつこはない、前門の狼、後門の虎だ。一つ肝玉を出して乱入に及ぶとしようかい』
戌『オイ、乱入は結構だが、彼奴ぐにやぐにや姫だから、ニユーだぞ』
甲『何がニユーだい』
戌『それでもニユーはニユーだ。古狸の化入道だ。八畳敷の睾丸を投網をうつたやうにパーツと被せやがつたら、それこそたまつたものぢやない。直喰はれて仕舞つて白骨になつて曝されるのだ。それだからよく言ふ事だ。晨の睾丸夕の白骨だ』
乙『厚顔は貴様の事だ。本当に鉄面皮な奴だから、かういふ時にや貴様先導にや都合がよい。愚図々々せぬと、サアサア貴様から這入つたり這入つたり。オイ松公、梅公、何を愚図々々しやがるのだ。オヂオヂして居ると今度は竹さまが拳骨をお見舞申すぞ』
 門内にて時公は此声を聞き、
時公『何だ、失敬な奴だ。松代姫さまを松公だの、梅ケ香姫さまを梅公だの、竹公だのと馬鹿にして居やがる。愚図々々吐かすと摘み潰してやるぞ』
梅ケ香姫『コレコレ時さま、お前さまはそれだから困る。二言目には摘み出すなぞと、そんな乱暴はやめて下さい。人が鼻摘みして厭がります』
時公『鼻摘みしたつてあんな事言はして置いて男甲斐もない、黙つて居るのが詮らぬぢやありませぬか。つまり、要するに、即ち、狐に魅まれたやうなものですな。兎も角一寸門口を覗いて来てやりませうか』
梅ケ香姫『覗いて来るのも宜敷いが、温順しくして相手にならぬやうにしなさいや。神様のやうに誠の道の方へ摘み上げてやるのは宜敷いが、鷲が雀を抓んだやうな乱暴な事をしてはいけませぬぜ』
時公『ハイハイ、承知致しました。摘み上げてやります、かみさまの方へ』
と云ひながら肩を揺つて門口に向つた。
時公『サア、梅ケ香様のお許しだ。摘み上げるなら、かみの方へだと云ふ事だ。俺の髪の上まで掴み上げてやらうかい。最前から腕が鳴つてりうりういつてた所だ。マアこれで溜飲が下がると言ふものだ』
と独語ながら門をガラリと開けた。五人の捕手は十手を握つた儘、不意の開門に鳩が豆鉄砲をくつたやうな面構へして、時公の巨大な姿を凝視めて居る。
時公『ヤイヤイ、古今独歩、天下無類、絶世の美人孔雀姫様が御門前に立つて、愚図々々吐かすは何奴なるぞ。その方はウラル教の捕手と見える。其十手は何だツ。此処へ持つて来い。そんな苧殻のやうな細い奴を持ちやがつて、百本でも千本でも一緒にかためてぽきぽきと折つて仕舞つて遣らうか。オイコラ、蛇掴みのやうに貴様も掴み上げてやらうか』
松公『ヤア、この方は貴様の云ふ通り、ウラル教の捕手の役人だ。尋常に手を廻せ』
時公『この方は、アルタイ山の蛇掴みの親分、大蛇掴みだ。サア尋常に目をまはせ。ヤア、言はんさきに目を眩しやがつて、倒れて居やがる。腰の弱い奴、いや目の弱い奴だ。改心致さぬとまさかの時にリ舞を致して眩暈が来るぞよ』
 かかる所へまたもや勝公がやつて来た。
勝公『オヤ、此奴ア面白い、黒ン坊、屁古垂れ、猪口才な、貴様は捕手の役人らしいが、早く捕へて帰らぬかい。愚図々々致すと神の道へ掴み上げるぞ。こんな弱い奴には、俺のやうな豪傑は喰ひ足らぬ。八公と鴨公に茹で上げさせて噛んで喰はしてやろかい。大分豪い寒じでさむがつて居るのだから、茹でて、天麩羅にして喰つたら、ちつとは暖まるかも知れぬなア。時さま、序に一人づつ摘み上げて、孔雀姫様にお目にかけたらどうだらう』
時公『それや面白い。俺は四人の奴を両の手で掴んで、かみの方へ掴み上げるから、貴様一人だけ摘み上げて来い』
と言ひながら、強力無双の時公は四人を一時に両手に握り、頭上高く捧げながら、
時公『ヤア、門が邪魔になる。困つたもんだ、小さい門だ、低い門だ、おまけに此奴は弱いもんだなア』
と言ひながら、ピシヤリと門を閉めた。閉めた拍子にガタリと枢はおりた。勝公は外から、
勝公『オイオイ、開けぬか開けぬか。此奴は中々手強い奴だ。オイオイ、助け船だ』
時公『オイオイ、八、鴨、勝公が外で泡を吹いて居る。お前も加勢に往つて来い』
八、鴨『よし来た』
と二人は枢を開けて表門に駆け出した。やつとの事で一人の捕手を担いで這入つて来た。
時公『サアサア、捕手のお方、躓く石も縁の端だ。マア一杯御神酒を頂戴なさい。決して毒は入つて居はしない、私が毒味をして見せる』
と言ひながら、神前の神酒をおろし、
時公『お先に失礼』
と云ひながら、自分が一杯ぐつとやり、
時公『サア、この通りだ。頂いた頂いた』
松公『これはこれは思ひがけない。殺されるかと思つたら、御神酒を頂くのか。何より好物だ』
竹公『夢に牡丹餅だ』
梅公『地獄で酒だ。サア春公、秋公、貴様も一杯頂戴せい』
松公『ヤア、これはこれは酌姫様』
鴨公『お生憎此処には酌姫は居ない、この鴨さまがついで上げませうかい。鴨の肴で一杯飲つて、後は宣伝歌の珍しい歌を聞かして貰ふのだ』
竹公『思ひがけない御馳走に預かり、命を助けて貰つて有難う御座います。ヤア、もう捕手の役人では気が利かない、今日からすつかり廃業しませう』
時公『捕手の役人はお前の天職だ。それをやめたら何をする積りだ』
竹公『私は元来の芸無し、これと云ふ仕事もありませぬ』
時公『さうだらう、此世の中に何もせず暮す奴は穀潰しだ、娑婆塞ぎだ。捕手の役人はお前の天職だからやめてはいかぬ。俺をアーメニヤ迄連れて帰つて、お前の手柄にせい』
松公『メヽ滅相な。貴方のやうなお方を連れて帰らうものなら、それこそ大騒動が起ります』
時公『ハヽヽヽヽ、何と弱い捕手だなア』
梅公『アヽ、何と仰有つても捕手の役は嫌になつた。何時命が無くなるか分つたものぢやない。仕事の多いのに人の厭がる捕手の役人になるとは、何たる因果の生れつきだ』
とそろそろ酒が廻つて泣き出す。
勝公『ウハヽヽ、面白い面白い。泣き上戸が現はれた』
時公『今お前は命が危いから、捕手の役を止めると云つたが、さう無茶苦茶に死ぬものではない。生くるも死ぬるも皆神様の思召だ。なんぼ死なうと思つても神様のお許しが無ければ死ぬ事は出来ぬ。死ぬまい死ぬまいと思つても神様が幽界へ連れて行くと仰有つたら酒を呑みながらでも死なねばならぬぞ。飯食ふ間もどうなるか分らぬ人の命だ。何事も神様にお任せして其日の勤めを神妙に勤めるがよからう』
 茲に五人の捕手は意外の饗応に感じ、いづれも三五教の熱心なる信者となつた。
 松代姫の一行は寒風に梳られながら、喜び勇んで雪の道を、ザクザクと進み行くのであつた。
(大正一一・三・一 旧二・三 加藤明子録)
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