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文献名1出口王仁三郎全集 第5巻 言霊解・其他
文献名2【随筆・其他】よみ(新仮名遣い)
文献名3随筆(一)ノアの洪水と方舟よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例2021/4/11底本(全集5)と照合して校正 データ最終更新日2024-06-01 17:39:03
ページ271 目次メモ
OBC B121805c201
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本文    ノアの洪水と方舟

 ノアの言霊はナと反る也、亦ナオの言霊ノと反るのである。ノの霊は洪水でアの霊は空である。神は汚れたる世を洗ふ為に、カサタナハマヤラ、キシチニヒミイリ、クスツフムユル、ケセテネヘメエレ、コソトノホモヨロの霊の活動力で、四十日四十夜雨を降らし、世を立替へて、ノアの霊反しのナの霊即ち火水(神)の世を立てたのであるが、ノアの霊だけでは方舟にならぬ。ナとオの霊を加へて、ノの霊に反し、正中に皇国のスの霊を常久に鎮座て、茲に初めて完全無欠の方舟が今度造り上るのである。ナオの霊反しのノの霊は続く言霊ともなり瑞の御魂ともなるのである。即ち万世一系天壌無窮なる瑞穂の神皇国が立栄えるのである。ノアの洪水は決して太古の事柄計りではない、今眼の前にノアの立替が出て来て居るのである。次にナオの立直が始まる。それ迄には神息総艮の旧約にあるやうな事変が突発するのである。㋐㋑㋒㋓㋔の五大父音は、天津祝詞に曰ふ立花の小戸であつて、天帝の大活動力であり、ワヰウヱヲの五音は地主の活動力で、所謂国常立の神霊である。天地十柱の言霊が現はれて世の太初から世界創造の大業を継続されてあるが、今度は天地の大言霊たる㋐㋑㋒㋓㋔(立花の音)とワヰウヱヲ(下津磐根)の大々的活動が始まつて、弥々神政の成就を完うさるるのである。日本神国の言霊の幸ふてふ神民は申すに及ばず、大神の御綱の掛つた大本の役員信徒は、此際大覚醒して、皇道維新の鴻業を翼賛し奉り、一天一地一君の神政建設の神業に努力せねばならぬ一大責任が存することを忘れてはならぬのである。ノアの神勅を受けて大なる方舟を造り、世界の大洪水来ることを予言し、万民を救はむとした。然れども其時代の人は一人も信じなかつたのみならず、愚弄軽侮し、其方舟を見て散々に嘲笑したのである。(方舟とは神の誠の救ひの教の意也)段々大洪水の日は近づけども、多くの人民は益々放逸、強情、無頓着、破廉恥漢ばかりで、日増しに罪を重ねるばかりであつた。今日の社会は恰もノアの方舟建造当時と少しも変らぬのである。不信悪行、利己の濁流は、天地に漲つて居るのである。今日は最早山麓まで浸水して居るなれど、ノアとナオとの方舟(一名目無堅間船)に乗る事を知らぬ盲目や聾者ばかりである。
 天地の元の御先祖なる生神は、至仁至愛に坐ますが故に、世界の人民を一人でも多く救ひたいと思召し、先にはノアの方舟を造りて世人に警告せられ、今又茲に大神は下津磐根の地の高天原に出現して、明治二十五年の正月から、変性男子の御魂の宿り給ふ神政開祖、出口直日主命の手と口を以て前後二十七年間、懇切に世人に向つて日夜警告を与へ給うたのである。然れど今も古も人の心は同じく、邪悪に充ち頑迷にして天来の福音を聞かず、神の救助船を見て散々に嘲笑する者ばかりで、神様も今の世界の人民には改心の為せ様がないので、誠に困つて居られるのである。どうしても改心が出来ねば、已むを得ず大修祓が執行されるより外に途は無いのである。実に今の人民くらゐ暗愚にして頑固な不正直な、身勝手な者は無いのであるから、吾人は世界の前途を案じて心配するのである。神界から堪忍袋の緒を切らして、弥々最後の日が来るにしても、神様は更に公然と世間の人民に予告は為さらぬ。何故ならば至仁至愛の神は二十七年に亘つて、既に已に守護神と人民に昼夜を別たず御示諭の手続を了せられ、変性男子の肉体は最早上天遊ばして、天から御用を為されて居られるからである。変性女子の身魂の宿は今此地の上に現存して居れども、女子は立直の御用であるから、立替の警告は出来ぬのである。月日も刻限も定つて居れども、発表する事の出来ぬ天地からの役目である。
 今や世界の各所に於て、神息総艮の再臨を絶叫して居るが、キリストは既に地の一方に肉体を以つて現はれて居り、現に十字架に架つて、天下万民の為に無限の辛苦を嘗めつつあれども、傍に居る人民にも解りては居らぬのである。いよいよ審判の日が来ても、其瞬間までに新に神からの通知は無いのである。今の世界は口先ばかりの誠で、肝心の精神は鬼と大蛇と四足に化りきつて居るから、満五ケ年間の大喧嘩を始めて、畜生の性質を遺憾なく暴露したにも拘らず、神国の守護神までが畜生の助太刀に出て参り、今度は又その畜生にモ一ツ大きい喧嘩を吹き掛けられて、已むを得ず致さなならぬ事に成るのである。その喧嘩の終りが注意すべき時である。神の選良となつた人民には、最終の日の来ることは数日前に知らされるなれど、普通人の眼から見れば、日は平日の如き輝き、月は万里の波を照し、天気清朗にして、蒼空一点の雲影を止めず、士農工商は平素の如くに働き、或は永久に天下泰平、国土安全、子孫繁栄の夢に酔ひ、十年計画、百年の大計など企画する際、一天忽ち妖雲を起し、雷電地震、海嘯到る処に湧起し、親子兄弟の間も救助する事能はずして、悲惨の終末を遂げ、山川草木皆動み、常夜の暗となりし時、木花咲耶姫の神霊現れまして、六合初めて晴明となり、目出度く天の岩戸を開かれ、至仁至愛の五六七の神政が樹立さるるのである。
    ○
 一旦心に決した善なる事も、忽ち利害の念に左右されて、折角の良心の輝きを曇らす人がある。是は第一に神を欺き、吾心を欺くものである。時と場合に依つては、少々無害なる嘘は言つても恕すべきだが、吾が良心を欺く位不快にして且つ罪の深い事は無いと思ふ。今の世の中は十中の八九まで自分の心を欺く人が多い。
    ○
 土耳古の君府は欧洲に於ける最大重要なる地点であつて、此地を支配すれば欧洲を自由に支配する事が出来る。それで今回の満五ケ年の戦争も、原因は君府の奪取にあるのだ。併し一旦戦争も終熄して平和の曙光を認めたやうだが、何時また爆発するとも限らない。それよりも我国民は東洋の君府に注意を怠つてはならぬ。
    ○
 大本は敬神尊皇報国主義を以て天下に現はれたのである。然るに中には敬神の第一義を忘却して、今日は神様ばかり祭つて、宗教じみた事を為て居る場合でないと唱へる人もあるさうだ。日本は神国、神の建てたる国である。神の開きし国である。神の護る国である。表現神としては天津日嗣天皇が君臨遊ばし、皇祖天神及び地祇を崇敬して、祭政一致の政治を遊ばす尊き神国である以上は、皇道大本の信者たる者は其分に応じて、先づ第一に神様を丁寧にお祭り申上げて、誠敬の心を尽すべきが当然であるにも拘らず、肝心の上に立つ人から之を阻止するやうな態度に出られては、開祖様の二十七年間の御主張は悉く立消えになるのである。
(大正八・七・一五号 神霊界誌)
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