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文献名1開祖伝
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名310 身だしなみよみ(新仮名遣い)
著者愛善苑宣教部・編
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
ページ 目次メモ
OBC B100600c10
本文のヒット件数全 53 件/ノ=53
本文の文字数1028
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本文  こように貧乏どん底にあって、仕事はボロ買いという汚い仕事に携っていながら、身なりは決してくずされませんでした。破れた所には継ぎをあて、小ざっぱりと洗濯をして、落ちたようなもを着ることは、かつてなかったであります。
「お直さんが糊つけを着ているは、他人がおこそを着ているより立派に見える」
と町内儀さん達がいつも話し合っていました。
 久子さんが桧山という所へ女中奉公に行っておられました頃、開祖様はっぴきならぬ金工面に恥をしんで奉公先を訪ねられましたとき、奉公先主人が久子さんに、
「あれがほんとにお前お母さんか」
と不思議そうに三度まで繰り返してたずねたほど、身に粗服はまといながらも、娘を女中奉公に出しているとはどうしても思えない気品が備わって居ました。
 また商売に出掛けるときお子さん達に、
「家まわりに気をつけて、草があったら抜いておいておくれよ。父さんが寝ているで草を生やしていると思われてはいかんでな。それからよそ物には藁一本も手をかけるでないぞ、欲しいもは母さんが帰ってから何でも買ってあげるでな」
と必ずこういって諭されました。
 極度に貧乏な生活をすれば誰でも、子供養育には手が回らないが普通ですが、開祖様は子供養育ためには、生活難も眼中になく、八人子供を大切にいつくしまれ、大きな声で叱りつけるというようなことはかつてありませんでした。紙屑買い同業者仲間では「貧乏人くせにあまり子供を大事にしすぎる」と、開祖様気位高さに嫌味を云う者さえありました。
 またお商売から帰られると、いつも稲落穂を一掴みほど袂からお出しになるが常でした。これは田圃道あちらこちらに稲穂が落としてあるで拾って来られるです。
「こ尊いお米さんは、神様御守護によってできるじゃ。なんでもお土から上がるもはみな神様御姿と同然なに、世間人はもちろん、百姓をする人さえ踏んで歩いているがもったいうて……」
と近所人達にもよくお話しされました。
 毎年大晦日晩には、神床や仏壇に白い御飯を大きな鉢に盛ってお供えになり、子供さん達に向かって、
「お水御恩というもは、こなかで一番大きなもじゃが、誰もそ御恩を返すことを知らぬ。お水御恩は毎年大晦日に夜通し起きて、何でも手に合う仕事をしもって返すもじゃ。お水は決して無茶に使ってはならないよ」
と諭しながら、足袋つくろいなどして徹夜されました。
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