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文献名1座談会
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3神霊座談会 長沢雄楯・出口王仁三郎よみ(新仮名遣い)
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概要
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タグ データ凡例 データ最終更新日2021-01-12 02:18:52
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【記者】 今晩は長沢(雄楯)先生を囲んで色々お尋ねしたいと存じます。どうぞよろしくお願い致します。

   長春からきた電報

【記者】 では、今日、長春からきた電報説明から始めて戴きましょうか!
【長沢】 そうそう今日長春から出口さんに電報が三通参りました。
 あちらで心霊研究会を開いたらそ席上、出口さんお姿が現れ、声も聞こえて、歌をお詠みになったそうです。
 これを説明する前に、霊魂というもはどういうもであるかという事を簡単に申し上げます。
 一体、霊魂は一霊四魂であり、一霊とは直霊魂で四魂というは幸魂、荒魂、和魂、奇魂であります。
 電報によりますとお姿が現れ、そして声が現れたでありまして、そしてあ電報には……
【記者】 ここにそ電報を持って来ておりますから、ちょっと読みます。
 電文「昨夜神霊実験会にお顔とお声物質化を一同深謝す、高野、城市、内山」
 電文「昨夜神霊実験会に多大御神助を賜り御姿で御歌をたまわり一同感謝しまつる
 御歌 春集いうれしやわが思いここに初めて芽ふかんとする
 誤り御訂正を乞う」
【出口】 うれし「や」「や」と「も」とだけが聞き間違っている。
【長沢】 これが証拠でございまして、日本書紀や古事記に大国主神、少名彦神がこ国をおつくり遊ばされた時、未だ全く功を奏しないうちに少名彦神は常世国へ御渡りになったで、大国主神は非常にお嘆きになり、吾一人でどうしてこ国がつくり終えられるかと仰せられた。
 こ時、海を照らして寄り来たる神があります。そ神に汝はいずれ神であられるかと大国主神がお尋ねになると、寄り来たった神が、吾は汝幸魂、奇魂であるとお答えになった。こ謎はちょうど電報と同一であります。
 出口さんは御存じないに向こうに姿を現し、歌を御詠みになったであります。
 云いかえて申しますと、一霊四魂働きが体を現したです。こうしたことは元来疑わるるべきもではないですが、日本に仏教が渡来して来た後というもは全く神霊を御送迎申し上げることが衰えて神様へ感応すること術を失ってしまったであります。
 神様から感応がなくなってから段々とこういう方面智識にうとくなり、今日では信ずる信じないどころか頭から疑ってみる人ばかりなであります、こういう事実は他にも色々ありますし、また西洋にも多く例があり、決して奇怪な疑うべきもではないであります。

   サニワ

【記者】 先生は神霊感応やサニワ等、どうしてお習いになったですか
【長沢】 サニワはサニワで、こうした事を書いた本があります。そうした本を充分に読んで心を清め、清潔な濁りないことに心がけ、更に天津神国津神を信仰しなければなりません。
 それでやはり一番大切なは琴師です。すべて神懸りは悪い心を持ってやると邪神に感応し、清潔な心をもってやると正神に感応しますが、琴師心が一番大切です。こ修業はどうしたらよいかとお尋ねでございますね?
 それには先ず神様本をよく読む事です。神様書物ばかりでなく天文学とか或いは地質学とか、鉱物学とか物理とか内外歴史等、諸般学術本を務めて広く見て腹に入れておかねばなりません。何故かと申しますと、わずかな軍事事をお伺いするにも、大略事を心得ておかぬと、お示し事を正確に受け入れかねるであります。鉱物学事をお尋ねする時には、やはり鉱物に関して智識がないと、お伺いを立てるに支障を来します。これらが先ずサニワに一番必要な条件だと思います。

   何故予言は的中するか?

【記者】 どういうわけで神示があたるですか?
【長沢】 神懸り大切なはそこなんで、何故神示があたるかと申しますと、世中というもは我々眼には見えないが神様世界でお定めになった通りに動いて来るであります。
 神様枢要な御方が色々御経綸をなされる、正神はおそばに仕えている間に機密が漏れる。それを神懸り際にお告げになる。それであたるであります。
 これに反して邪神場合は何故あたらんかというと、邪神は正神と自ずから位する所が違い、到底正神界経綸を知る由もなく、そ告げるところは曖昧であるばかりでなく、時としては正反対事をさえ、平気で告げるであります。
 しかしこ場合、審判が正しい心を持ち、正確な判断を下す時には、悪神憑かった事がはっきりと判り、彼をたやすく喝破する事が出来ます。正しい神懸りあった例も多々あります。
 神武天皇御即位以来、日本国家に大事変が起こる度ごとに、必ずお知らせがあったという事が日本書紀に明瞭に出ています。
 これは単に日本書紀に限らず、今日まで事変ある時には何か形式でお知らせがあったで、現に私どもが子供時、徳川政府が倒れる直前でしたが、天からお札が降って来た事があります、こ事は何か本にも書いてありましたが、私も事実を見ました。日清役時も日露役時にも不思議な事が続出した事は世間にもよく言われております。
 これらはすべて神様御仕業であったという事は、歴史をひもとけば一目瞭然であると思います。
 爾来、我が国は神国として光輝ある国体を宣揚して来たでありまするが、中世において仏教が伝来し我が国に非常な害毒を流しているであります。
 崇神天皇を蘇我馬子が弑し奉るような大逆無道な事が起こりました。これは朝廷はじめ大臣連が仏教を信仰してしまって、我が国皇祖皇宗天津神、国津神を忘れるに到ったからであります。
 現代においても、次第々々に国家が乱れ、赤化分子が暗躍を続ける有様ですが、これみな、国守りである神々たちを忘れたる結果であることを証明しているであります。
 今日においても、国家に事ある時にお告げあることは日支事変際においてさえ、実証を挙げる事が出来、歴史上から実に一点疑いもないであります。
 先ずそ一番手早い例を申し上げますならば、こ皇道大本がかく如き大きな団体になったも神慮なんであります。出口さんが始めて私ども所にお出でになったは明治三十一年で、今年でちょうど三十六年目になります。
 そ時分に御努力をされて今ようやく御神力によって芽を出し、支那紅卍字会などと連合し、国家為、国際的にも色々重大な仕事をするようになりましたが、若い当時、出口さんが霊学や神道を研究されたも、神様から知らず知らずにさされていたで、出口さんが神様に一心に仕えられたというほかはないであります。

   霊界物語

【出口】 それから私ところに来て今後世界、日本はどうなるというような事を聞かせという人があるけれども、霊界物語にすべてがわかるように、特に信仰してる人にはわかるように書いてある、日本はこれからどうなる。世界動きはどうなるという事も、ちゃんと示してある。大正十年から示してあるに、今日においても皆に分かっていない、早く次を出して下さいと言っている人もあるが、出す必要はない。みな食傷してしまっている。
 物語には滑稽、諧謔もあるけれども、それは一つ色をつけているであって、そういうところにかえって余計書いてある。
 読み方がまだまだ足らぬ。
 物語は決して予言書ではない、確言書である。三十万年昔事であるが、これから先、三年、五年うちにそれがみんな出て来る。
 今うちにしっかり読んでおかぬと、まさか時に役に立たない。
【記者】 鎮魂帰神はただ今お止めになっていられますが、またいつか時期に……
【出口】 あれはうるさいでネ…魂研けた者で、よく解したもがやるはいいが、そんなに研けた者はいない。そくせ、やらすと邪霊がかかってさっぱりいけない。みな邪霊かかりそうな顔ばっかりだ。
 (出口氏ほか一同大笑)
 本当や。……
【記者】 何か条件をつけて、ある程度お許しを頂くといいですが、修業者などがよく聞きたがっています
【出口】 条件をつけるにも、条件をつける資格がないやないか。
【記者】 霊界物語を拝読さして頂くが鎮魂でないでしょうか?
【出口】 それはそうだけれど、まだ本当に霊界物語を解していないからいけない。もちっと研究会でも開いて勉強せねばいけない。
【記者】 修業者がよく鎮魂帰神を要求して「昔出来たなら今でも出来そうなもだ」と言います。……
【出口】 自分と相談してみればよくわかる、審神出来る者があると思うか? あ浅野氏にしたって、悪霊がかかって来ると、一生懸命談判をやっている。朝から晩まででもウンウン言ってやっている。
 そこへ私が行って「オイオイ先生エエカゲンにしたらどうや」と言うて背中を叩いてやると、おさまってしまう(笑声)古い信者は経験しているだろう。神懸りをやらすは狂人に刃物を持たすようなもだ。

   学理と神懸り

【長沢】 私考えでは、学術というもは進歩変化つきないもで、一貫した真理とは云えませぬ。大略は学理によって解決出来ますが、解釈出来ないことがあります。それを幽冥研究、或いはお示しにより、学理疑問を解釈して行きます。
 今日まで非常に苦しんだは何であるかと申しますと、学理が実際と一致しない事でありましたが、最近では一致する事が多々あります。そうしますと人に説明するに学理方がしよいもですから、学理研究も一通りは必要であります。
【出口】 悪霊がかかって魂を犯されると自分が一番えらいもんになって来る。そうして団体を破壊してしまう。
 あちらに大将、こちらにも大将が現れて、全く統一を失う、そこへ訳わからん面白い事でもやり出すと、みんなグルになってやり出す。
 相当な学問もあり、智識ある人と言っても、浅薄なもだ、何にしても、受け売り学問は駄目だ。

   邪霊神憑

【長沢】 審判していて悪神が来た時ぐらい面白いもはありません。
 もっとも訳わからんヤクザ神がかかって来た時には霊縛をかけるですが、するとバタンバタンと苦しみます。それから何者かを訊します。
 こ時、審判する方に力がないと始末におえません。縛ると言っても霊力で縛り上げるですから、余程こちらに霊力が要ります。また神様に御願いして悪神を退散して頂く場合もあります。御嶽教神寄せにしても随分怪しげなもが多々あります。法華神寄せにしてみましても、正神よりも邪神に使われている場合をよく見受けます。
 これは祈っている者心が清くない事を物語っているですが、こ神懸り場合に正邪分かれて来るは何であるかと申しますと、そ信仰であります。
 仏道と神道根本原理を極めてみますと、仏教というもは、釈迦お経に出ている寂滅為楽是生滅法を以て眼目としているであります。
 滅亡するを以て楽しみとするというですから、神様道と根本的に違って来ます。
 神様道では漂える国を造り固めなすというで、こ地球を固めるに伊邪那岐命が夜見国からお出でになった章などには、明らかに地球を完成するに苦心された事が示されてあります。
 また天照大神は、青人草を恵みいつくしみ給わんがために、こ地球をお造り下すったです。
 そして神々がお造り下すったは、滅びるを以て楽しみとせよとお造りになったではなし、楽しく人類が生活し得るようにお造りになったであります。神様はどこまでも人も栄え国も栄え、世界が繁栄して行くを御意志とせられているであります。
 人間同志は栄え楽しみをもってこそ、欲も起これば働きもする。それを仏教ように寂滅為楽なら死んでしまうより致し方がない。こ一例として妻帯肉食を禁じていた事実があります。今日ではあまり励行もしていねば、そんな馬鹿げた真似はしていないようですが、これを以て仏御胸にかなうもとしている事は、大きな誤りとせねばなりません。
 こ地球上にある生物が男女交接を絶ったならばどうでしょう。百年を待たずして滅亡する他ありません。正邪判別はここにおいて厳然としています。
 人間は天益人と言って、どんどん繁栄して行かねばなりません。それを色々な規則を設けて絶やすようにするとしたならば、それは罪悪二字を使用しなければ致し方ないではありませんか? 自然を破壊するような教えは根本的に誤っているでありまして、かような信仰下にする神懸りに正神降る事は到底覚束ない事は当然であります。

   印度では死んだ方が極楽

【出口】 印度ような暑い所では、水中に入るが一番極楽で、それで極楽に行く者は水中に咲いている蓮に乗って行くと教えただ。
 また、従って、あんな暑い国にフーフー言って苦しんでいるよりか、一層死んだ方が極楽だ。しかし印度ではそうであるが、日本では決してそうは行かない。
 日本は四季国だから、そんな死ぬよりか生きておった方がずっと楽しみだ。釈迦寂滅為楽は印度事であって、日本事ではない。
 坊主はこれをごっちゃにして有難がっている。
【長沢】 儒教でも仏教でも、そ結果を見るとわかる。
 印度国は産物も多く発達していなければならないに、あ通り英国に占領されてしまい、完全に滅び歴史をなめ、戦争もせずに哀れな民族となっている。
 また支那も戦争ばかり繰り返し、何ら国家として治安なく、流浪民族となってしまった。
 更に仏教王国であるかような支那、大満蒙もしかりであります。
 こ他、朝鮮、シャム等、仏教を信ずる国は滅亡し、仏教そも滅びを招くところであったが、ひとり日本に渡来して仏教は救われたようなもであります。
 今日、仏教は宗教として何ら必要はなく、むしろ宗教として価値はないであります。ただ髑髏屋をやっているだけであって、これをやめると仏教は駄目なであります。
 また信者にしても釈迦経典、キリスト教新約聖書などを理解している人は少ないようです。
【出口】 信者どころか坊主にわかってない。納棺式も出棺式も埋葬式も死んだ時も年忌も忠魂碑慰霊祭も同じ御経だ。
 御経がわからんから、そんな馬鹿な事が出来るだ。出棺式と言っても、出棺式御経でなく、死んだと言っても死んだ時御経でない、兎に角、坊主は御経を知らんから有り難がっているだ。わからないから阿保らしいと言うてやめると食えんからくっついている。
 大本は純粋皇道で、世界一家を建造する宗教である。
【長沢】 頭に神が宿るでありますが、仏教はそうではなく、時にぞんで方便を使い、所によって違うように説かれています。
【出口】 今うちはまるきり反対教えでも、みな引き寄せておいて大きな力になったら、本当皇道で仕事をする、ドイツヒットラーにしてもだ、始めは全然反対団体も結構々々と言うてよせて、あんな大きな党を結成した。
【長沢】 今日世はまるきり何もかも一変して来ました。以前には皇道を唱えられないような時代もありました。
【出口】 皇道なんか唱えたら大正十年ように妙な眼を向けたもで、とても唱えられなかった。

   神は皇道原素

【長沢】 始めて皇道会が出来た時分には全国にも皇道主義を唱える者はほとんどないと言った有様であった。
 今度陸軍で皇道会というもを起こすそうですが、皇道主義は神様事を充分腹に入れておらねば、皇道という事はわかるもではありません。皇道主義にとって神一字は皇道一大原素となって来なければなりません。
 日本皇室万世一系は何であるか。邇々岐尊が御降り時、天照大神御神勅によることはいうまでもありませんが、神存在を否定して万世一系は解釈することは出来ないであります。
 それから仏教では生物が土から生えたように人も土から出ただと言っています。
 須弥仙という山があって太陽がそ山にかくれた時に夜が来、山から出た時に昼となると言っている。しかし世界どこをさがしてもそれにあてはまるような山はありはしない。
 それからキリスト教では天帝が地球を造るに六日間で造り、やれやれというで一日休んだが日曜日で、それが今日まで残って七日目に日曜が一日あって休むと言っております。
 いずれにしても今日宗教は天地理を説く事が出来ないみか、そ言うところは愚か至りであります。ですから神懸りをして正しい神が懸かって来ずにいい加減が現れます。
 御嶽教など神懸りになるととても滑稽な事があります。
 神懸りが始まると先ず
「名は何という? 国はどこ」
「天地開闢国底津神じゃぞよ」
「それなら天地開闢以来天地過程につき話してみよ。汝は開闢と言うが何故に開闢というか理由を申し立てよ」
「知らない」
 国底津神は真っ赤な偽りで畳に頭をすりつけて謝罪して、終いにはどたんと後ろに倒れて逃げてしまう。
 法華経も同じ事で「お前はどこ者で何という名か」と警察司法官が調べるようにして行くと、とうとう正体を現す。始めうちはヤクザ神でも法螺を吹いて来るが、すぐ化け皮をはいでしまう。
【出口】 御嶽教でも法華経でも中山そう伝神寄せでも、みんなそんなもんだ。

   江尻法華坊主退治

【長沢】 江尻に徳屋という貸座敷がある。ここで法華坊主が三、四十日も南無妙法蓮華経ぽんぽんをして一同を集めているという話を聞きまして、それは面白い事があろう。と私と出口様がそこへ行きました。
「こ方は大阪商人でお出でになる。今度商用でこちらへ来ているが、どうも身体がすぐれないで、あちらこちら医者にかかったがちっとも効がない。どうかよろしく御祈祷を願います」と出口さん病人になってそこへ座るや否や、坊主体が三、四尺天井へあたるほど上がった。それから足根をつけてから出口さんがそれに向かって仲言する
「汝は何者であるか、愚民を欺している不届き千万な奴じゃ。これにてやめればよい? やめなければただでは置かんがどうじゃ」
 坊主は頭を畳にすりつけて「今後は致しませんから、どうか御許し願います」、それでそ場はすんだが、こ法華坊主を信仰している博奕打ちが大勢おりましたが、それらが非常に怒り出口さんを叩き殺すと言って手に手に凶器を持ち、帰り路に待っていました。
 幸いに危険な目に合わず帰りましたが、なかなか奇譚でした。
【出口】 あ晩には沢山棒を持ったゴロツキが、辻に並んでおった。
 こ江尻は遊郭街であるが、ある家二階へだまって上がり、それから裏口から田圃を伝って帰って来た。
【長沢】 それがまたどうも不思議で、遊郭人も一人も知らずにいました。

   淫乱上人

【出口】 それからいよいよ綾部へ帰りに大槻伝吉さん家へ寄って行こうと思って、岐阜で下車したら、まだ夜明け前であった。どこか宿へでもと思ってある家軒に立っておった。
 そこには橋本屋と書いてあったが、六時頃になるとそこ嫁さんらしいが戸を開けて「貴方は御先達さんですか」と聞くで「私は淫乱上人だ」と言ってやったら「はア淫乱上人さんですか、まあ上がって下さい」と言うで「一人や二人女郎ではいかぬから、一度に二十人くらいあげてくれ、そ代わり五十銭にまけて貰わにゃいかぬ」とかけあってやると「ヘエしょうがありまへん、昼まではお客もありませんから、まけておきます」という。
 それで二階へ上がって二間も三間も障子をはずして女郎を二十人くらい上げた。兎に角、昼までどうしようとこうしようとこっち勝手だから、女郎一人々々をつかまえて、お前はこういう男を一心に思っている、お前は逃げようとしている、お前は誰を騙そうとしている、と冗談をいうと、みなそれが当たってワンワンと泣き出すやら騒ぐやら、部屋中が大騒ぎだ。
 そこ家は稲荷さんを信仰していただが、庭にお宮ほど大きな稲荷さんが祀ってあった。私が行く前に金光教布教師が来て占ったに「一週間目に不思議な人がやって来る、そして家事についても解決をつけてくれる」と言った。
 そゴタゴタというは、親爺さんが稲荷さんを祀り、おばさんが金光教で絶えず、どちらが良い悪いと争っていたである。そこへ私が行って話をしてやったが、意外に強く響いて女郎はみな揃って入信する事になった、綾部へ帰ってからも女郎から手紙が来てしょうがなかった。
 そ後一度来てみてくれというで、言ってみたところが、大きな教会を新しく建てて私に居てくれと言っていたが、私は綾部方へ帰らねばならないで、私代わりに大野熊次郎という人に居らすことにしたが、そ後いろいろな事がゴタゴタ続いて、折角開かけた教会もいつ間にかつぶれてしまった、始めに淫乱上人と言った言霊が祟って、ひっくり返ってしまっただ。……
 そんな奇跡はいくらでもあるが、そんなことばかりやっていると肝腎教理を聞く者がなくなるからやめただ。
 まア今日はこくらいにしておこうか。
【記者】 どうも有り難うございました。
 (終)

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