文献名1道之大本
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3第24章よみ(新仮名遣い)
著者出口瑞月
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ページ84
目次メモ
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本文
一、人は祖に基くものである。その身は実に父母ありて生む所のものである。
二、最上の祖宗はすなはち父母である。推量りてこれをその始めの時に遡りて考ふる時は、すなはち第一世は果して誰の生む所であらうか。必ずその第一世は父母の生む所にあらずして、全智全能の真の神ありてその父母を造り給ひし事は明かになつて来るのである。
三、鳥獣草木虫族に至るまで皆その祖先は、この全智全能の神の造りたまふ所であるといふ事は動かす可らざる道理である。
四、上帝は一霊四魂をもつて心を造り給ひ、これを世の中のあらゆる活物に配り与へ給ふのである。
一霊とは直日の霊である。四魂とは荒魂、和魂、幸魂、奇魂の四つの魂である。
五、地主すなはち大国魂は三元八力をもつて体を造りこれを万有に与へ給ふ。
三元とは剛柔流にして、八力とは動静解凝引弛合分の八つの力をいふ。
六、ゆゑに人の霊を守る所のものはその人の体である。その人の体を守るものはまたその人の霊である。他に神がありてこれを守り給ふのではないのである。これすなはち上帝の命ずる所の真理である。
七、解り易く言葉を換へて言ふ時は、田吾作の霊を守るものは田吾作の體であるし、田吾作の體を守るものはまた田吾作の霊である。ゆゑに他に特別に神がありて田吾作の體や霊を守るのではないのである。
八、上帝以一霊四魂造心而賦之活物。地主以三元八力造体而与之万有故守其霊者其体、守其体者其霊。非有他神守之也。是乃神府之命永遠不易。
九、即ち上帝は万物に霊魂を与へたまふた所の真の父に坐しまして、大国魂は万物に体と力を与へ給ひし真の母である。
一〇、我々の先祖はこの真の父母より造られたものであるから第二の祖先である。
一一、第一の祖先は神である。遠津御祖は第二の祖先である。
一二、この第一なり第二なりの祖先を崇め奉るは正に人たる者の尽すべき大道である。
一三、吾人は先祖の體の続きである。また我等の子や孫は我等の體の続きである。先祖は我等の體の始めで、子や孫は我等の體の終りである。先祖と我の身と子孫とは同じ體をなし、もつて生存を不滅になさんとするのである。
一四、我身は先祖と子孫との体を繋ぎ保つ所の鎖であることを悟るが故に、その先祖を崇めその子孫を守るのである。
一五、先祖は昔の吾であり、吾はこの世の先祖である。子孫は未来の吾である。ゆゑに吾の身は独りのものではないから、祖先のためには道を守り力を尽し、子孫のためには十分に善を尽し徳を積まねばならぬ。
一六、報本反始の道に依り、先祖を祭るは、吾人の身に形造られたる先祖の生存を永久に伝ふる為めである。
一七、父は現世にある家の先祖である。天皇は現世にある国の天祖である。この君ありこの父ありて始めて忠孝の大義行はるるなり。忠孝の大義は神聖にして犯すべからざるの礎ある事を知るべきである。
一八、元を尋ね始めに遡りて考ふる時は、どうしても上帝を始め奉り、天祖を崇め奉りまた産土の大神及び我家の先祖を敬ひ奉るは忠孝の大義にして、人倫の基であるといふ事が、自解りて来るのである。
祖先勿祀当専事天父以報本
などの偏見極まる邪教に迷ひて、人道の大本を忘るるある宗教を奉ずるものの如きは実に真理の仇といふべきものである。
一九、吾人のこの世にあるや必ず確乎として抜くべからざるの大道がなければならぬ。吾人がこの世の大道とは仁義礼智信といふて人倫五常の道を守るにあるのである。君には忠を尽し、父母には孝を尽し、師長には礼を守り、朋友には信義をもつて交はるといふ工合に、よく四恩の大なる徳を知り節義に勇武に廉恥とか又は剛勇、廉潔、慈悲、節操、礼譲等、これを言ひ換ふる時は数多あれども、つまりこれら人間処世の道を踏み、俯仰天地に恥ざるの行振りありて始めて天地の花ともいひ、万物の霊長とも称ふべきものである。
二〇、鳩に三枝の礼あり、鳥に反哺の孝ありといふにあらずや。人と生れてこれ等の道を知らず、またこれを知りたりとて行はぬ者は、ただ物言ふ二足の動物で鳥獣と別に優りたる所なく、横目縦鼻の猿のお化けともいふべきものである。
二一、神に対し親々に対し礼を厚うして以てその恩に報ゆるはこれ人道の大本である。祭祀を等閑にして可ならんや。