文献名1道之大本
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3第33章よみ(新仮名遣い)
著者出口瑞月
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本文
一、今の世は物質的文明の壮年時代とも称ふべき時代にして、鉄、石炭、電気などの利用によりて、交通機関の完備し坤与を縮少せしめたる事幾千里、実に便利極まる聖代とはなりぬ。
二、されどまた翻つて一方より社会の裏面を観察する時は、未だ以て完全なる文明社会と思惟するを得ず。何ぞや、人々の精神界の暗黒なること之れなり。
三、人々の精神界の文明を開発し以て世界の平和と進歩を計るは皇国本教の主旨なり。
四、精神的文明をあまねく布教して天下の幸福を増進せんとするは、まづ皇祖皇宗の始めたまひし祭祀の道を盛ならしめざるべからず。
五、ここに於てか、不肖王仁神界の命を遵奉して大本教護国の旗を揚げたるなり。
六、果実多く実りたる年はその果実の味ひ甚だまづく、また少なく実りたる年の果実はその味ひ至つて宜しきものにして、その形もまたいと大なるが如し。天の益人らが日に月に増し行くにつれて人の人たる味ひを失はんとするは実に悲しむべきの至りなり。
七、人は道に依りて活くる者なればその精神も日に月に進み行くべきものなるに、然はなくてその反対なるはそもそもまた何の理由ぞや。
八、これ全く成り成りて成り足はす所の惟神の命の道に遠ざかりて寂滅為楽、狂妄の邪道に陥りて、未だその眼覚めずその場の欲に心奪はれるが故なり。
九、今の世は精神のみか身体までも古人にしかず大に退歩しつつあるなり。これまた皇道に反すが故なり。
一〇、皇道とは御国の本教なり。即ち祭なり、教なり、慣なり、造なり。
一一、万世一系の皇上を心底より崇敬し神祇を畏敬し、殖産興業を励み、本教に依りて人の本分を覚り、以て国家の富強を企図し、決して邪教に迷はず、因縁因果の道理を捨て自力を養ふべし。これ日本帝国に住める者の将に尽すべき本分なるべし。