文献名1二名日記
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名35月18日 於高松市亀岡牛窪家よみ(新仮名遣い)
著者月の家(出口王仁三郎)
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データ最終更新日2018-08-19 19:27:29
ページ143
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本文
往きかひの船の汽笛に眼さまして窓を開けば風面を吹く。
宣伝使まめ人既に集ひ来て島中の家塞がりてあり。
湯に入りて身体清め顔剃れば剃刀荒れて頬の辺痛し。
朝飯も済みてそろそろと牛窪家訪はんとす折まめ人吾を揉む。
栗原氏屋島の勝景探らんと電車にのりて急ぎ出で行く。
朝十時亀命山麓亀岡の牛窪やかたを指して走せ行く。
来て見れば手入れ届きて五年前と見まがふ斗り変りてありけり。
明光社十八回の和歌詠草いよいよ今日より選み初めけり。
紫雲山青葉に暮れて亀岡の里に凉しき風吹きわたる。
山も野も若葉の衣きかざりて二名の夏を迎ふる山姫。
吾宿の老樹の松もみどりして道の栄えを寿ぐ清しさ。
大空に月は無けれど星影のまたたき清き初夏の夕暮。
牛窪氏やかたに宣使道説けば○○四人臨席を為す。
何につけ神経過敏の人々が神の道まで疑ひて見る。
明光社和歌の一選漸くに今日夕暮に終りけるかな。
汽笛の音遠く聞えて亀岡の夕べの空の静なるかな。
風光の勝れし二名の島へ来て旅の楽しみ覚りけるかな。
晴れ渡る空に星かげ見え乍ら庭の面包む木下闇かな。
静なる今日の宿りの一夜を安く寝ねてん旅にある吾。
選みたる歌の秀句を吟月と満月二人で読み合せ居り。
紫雲閣牛窪氏邸には数百年の星霜を経たる赤松の老樹三本蒼々として天に冲し、枝振さへも目出度美はしく 又類稀なる邸宅なり。庭石の青く苔の生したる庭樹の種類最とも多く珍らし。幹には千古の青苔生ひ茂り、古色蒼然たる屋建の雅趣に富めるなど、茶人詩人の住家に具はしく思はる。三方は田園に殆んど包まれ、風当り良く閑静にして且つ高尚なり 今の世斯かる雅美ある建物なかるべく、夜は四辺寂然として声無く、物読み文を綴るに恰好の家居なりけり。
遥々と二名の島へ渡り来ていと珍らしき家に宿りす。
神前に正坐しながらまめ人と夕べの祝詞奏しけるかな。
半切や画の短冊をそれぞれにまめ人たちに今日も頒ちぬ。
道後支部次長上野の宣伝使日程作りて迎ひに来る。
小夜更けて空を仰げば数万の星またたきて静なりけり。
疲れ果て前後も知らず熟睡し夜の明くるさへ覚えざりけり。