文献名1二名日記
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名35月23日 於新居浜分所よみ(新仮名遣い)
著者月の家(出口王仁三郎)
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データ最終更新日2018-08-19 19:32:47
ページ195
目次メモ
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本文
大空は雲立ち籠めて何となく心さわがしき朝景色かな。
朝寝して起き出で見れば庭の面に声高々と鵯鳥の啼く。
朝の陽も澄みて一同と庭の面に記念の小照撮りにけるかな。
八重野子は奥村直子と諸共に石丸氏案内にて大洲に向ふ。
半切紙数十枚に筆染めて又もや肩を凝らしけるかな。
宇知麿は岩田氏伴なひ今治へ支部長ともに立ち出でて行く。
午後の二時俄に暴風吹き起り庭の大木を揺る音高し。
人類愛講演の為栗原氏伊予土居さして夕刻出で行く。
宇知麿や岩田 栗原 両総務一宮神社へ代参を為す。
千年の楠の老樹の生ひ茂る神社境内珍らしきかな。
夕の空雲ふさがりて五日月かげさへ見えぬ今日の淋しさ。
絵短冊二百余枚を描きけり今治信者の土産にせんとて。
吹き荒れし伊予の山風夕さりて風力少しく弱りけるかな。
山青く海の面清き新居浜も風吹く今日は心落ちゐず。
怪しからぬ助平と思ふてくれるなよ紙面ふさぎに詠みし恋歌を。
わが恋ふる心を君にしら石の浮きつ沈みつ浪に漂ふ。
御代島や通ふ海路に汐みちて届く由なき吾思ひかな。
陽炎の立つ間もあらず別れ行く旅路の吾の果敢なき恋かな。
歌文に心をそそぐ汝が瞳飛切りのぞけば眼くらむも。
飛切りの美人の多き新居浜に寝そべり乍ら恋の歌よむ。
飛切りと云へば蛙と思ふなよ目玉くるくるむく女あり。
飛切りの恋歌詠むかと胸の波時々うたせる人もありけり。
もうなにも云はれんなぞと吾歌を目を細うしてのぞきけるかな。
よい年をしながらこひの歌をよむ親爺は池の主にやあるらむ。
天命を知る年頃の身を持ちて恋歌詠むぞはづかしきかな。
何んとなく心はづかしくなりにけりまことの恋の芽生え初めけむ。
猛烈な恋歌に女あてられて清記しながら丸い目をむく。
見ぬ様な顔してちらちらのぞきこむ人の心のあやしくあるかな。
情熱の焔にもえて吾面も汗出づるまで赤くなりけり。
顔のよき愛媛乙姫住み玉ふ二名の島を去り難く思ふ。
にたにたと意味深重な笑みたたへおせ子の君が恋歌記せり。
若草の妻の心を汲み乍ら恋歌を詠める吾ぞ果敢なき。
若草の妻を思ひて寝ぬる夜の枕に響く神言の声。
二名島あなた此方と経巡りて物言ふ花に胸こがしけり。
白石の岩打つ浪の朝夕に寄せては返す吾思ひかな。
鳥が鳴く東にゐます春の君を思ひて夜の長き吾かな。
東の空打ち眺め朝夕に君如何にぞと打ち仰ぎつつ。
又しても大震災の有りと聞き君を思ひて寝ねぬ夜半かな。
つつがなくゐませる音信聞くにつけ吾面俄に笑み栄えけり。
じつとして居られない筈東路に恋しき夫の旅立たすかも。
一日だに早く妹がり帰りませと朝な夕なに祈りけるかな。
恋歌を詠めば蚊迄が悋気して吾指先をすひつきに来る。
可愛ゆくてならぬ妹子の歌よめば蚊が足さしてかゆくなりけり。
いたづらのすきな神よと恨みつつ高嶺の花を猶思ふかな。
あこがるる思ひは日々にます鏡うつして見度し二名の島に。
天恩の郷に匂へる女郎花匂ひ送れよ二名の島に。
汽車の行く度毎夜半の夢さまし帰りますかと息づく吾かな。
道のため旅立つ君と知り乍ら一日も早く逢ひ度くぞ思ふ。
こわいからだまつてゐませう生一さん心の底をさらけ出されちや。
吾妹子を焦るるあまりくたぶれて敷島一本くゆらしにけり。
海山を遠く隔ててます君に夜な夜な通ふ吾恋ふる魂。
ままならぬ果敢なき恋にとらはれて胸の焔のもえさかる夜半。
君ゆきて未だ半月にならねども独り家守る日の長さかな。
君ゐます二名の島を偲びつつ月をながめて息づく吾かな。
曇りなき月を眺めて旅立たす君につつがのなきを喜ぶ。
大空に月の影さへ無き夜半は君を偲びて吾魂暗し。
打ち仰ぐ御空の星の輝きに君のみさかえしのびぬるかな。
桶伏の山に夜な夜な参詣で祈る女の有りとおぼせよ。
時鳥一声名のり行く声を仇に聞かすな吾したふ声。
草枕
旅に立ち出て
種々の
百花千花ながむれど
恋の花咲く花明山の
花に優れる花ぞなき
朝な夕なに
見る花の
薫りに打たたる
吾身にも
朝咲き出でて夕べには
萎るる恋の仇花は
吾魂の糧ならず
生れて一人の恋人と
清く語りて
二名の島に
澄代の姫とは思へども
人目の関は儘ならぬ
つれなき浮世のしがらみを
越えん術なき苦しさに
思ひも懸けぬ恋の歌
唄ふて一日を送る身の
心の奥を知らせ度い
嗚呼このいつはらぬ
告白を
馬耳東風と聞くならば
天地の神を信じない
心のくもつたバチ当り。
○情歌調
満月みたよな家庭を造りみつより甘く暮したい。
一生に一度の結婚なれば優れたセコが持たせたい。