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文献名1二名日記
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名35月29日 於二名洲支部よみ(新仮名遣い)
著者家(出口王仁三郎)
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2018-08-19 20:00:13
ページ252 目次メモ
OBC B117500c25
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本文の文字数2584
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本文
産土社に宇知麿は総務二人と詣でてぞ行く。
大空は隈なく晴れて二名嶋吹く風さへも静なる今日。


小米花散りしく庭や麦秋。
青梅は躑躅要かな。
松翠 一尺伸びて麦黄ばみ。
白き羽蝶も迷ふや小米花。
二名島渡りて聞くやほととぎす。
庭石蔭に蟻集ふ五月雨。
面に胡蝶は花と散りにけり。
歌を選る机眠たき五月かな。
揚雲雀昼眠りをさそひけり。

   ○ある女に代りて

君は御国へ遠く上りませど吾恋ふ心汲ませ玉はむ。
命とも悩みともなる君瞳は吾運命鍵を握れる。


二名島二名洲支部に吾ありて玉拾ひけり和歌松原。
小米花こぼるる庭に白羽根胡蝶求ぎ来て香を拾ひ行く。


白嶺や山姫面色白し。
白山嶺や夏さへ風寒し。
人よりも地(智)あれば天は取れるなり。
天取りてたたかれにけり和歌満都。
名灸あつさに鳴いて眼球むき。
巡礼歌にねむたき五月かな。
美少年花散る庭に黙しけり。
散る花行衛見守る少女かな。
徒然さ美人絵なぞ描き見つ。
揚雲雀啼く声高し五月晴れ。
こと天に告ぐるか揚げ雲雀。
満月光に仲善き夫婦かな。
誰やら口にも似たり揚げ雲雀。
文机側に雲雀清記かな。
青葉光る庭面や夏浅し。
絹肌若葉や初夏風そよぎ。
黒ずみし梢に夏は深みけり。
郭公啼くや二名夏木立。


二十五日迄日誌を浄写して天声本社に今日送りけり。
二十五日号真如能光誌を二名洲支部にて覗き見しかな。
山口氏小屋に飼ひたる蚕児太く生ひ立ち上簇近し。
湯を上がり安全剃刀使用して鼻下髭をば清めけるかな。
今日一日休養せんと一同は心やすけく昼寝せしかな。
和歌満都伊都能売雑詠選みつつ二名一日送りけるかな。


早苗さす手に国玉光りかな。
五月田に瑞穂光りかな。
早乙女歌に暮れゆく五月かな。
郭公啼くや裏山雨けぶる。
降る雨に消えぬ夕べ火。
行水空低ふ飛ぶ蛍かな。
水玉光ると見えて葉蛍。
蛍火に誘はれ老夜遊かな。
面に星流るる蛍かな。
蛍火に老も若きも夜遊かな。
若稲露と見まがふ蛍かな。

   ○道歌

たるひとと足らざる人子と共に手を結び合ひ大道進まむ。
たる魂 玉留魂 生魂何れも人宝なりけり。
たる事を知りて世びとを天地道に誘ふ人は神なり。
只一つ夜光真玉地におとし暗世を照らし玉ふ大神。
世におちし誠玉を悟りたる人こそ神力なりけり。
久方雲井空を後にして天降りし神を知るや知らずや。
一輪経綸花は醜草中にひそみて香をぞ放てる。
太元神と教祖を外にして花所在を知れる聖なし。
瑞々し三月三日花五月五日る一粒。
罪あやまちを清めんと天降りたるひとぞ神なる。
熾なる稜威照らして仁愛徳を拡むる人出でませ。
熾なる仁愛に坐ます神子は早地上に天降りますらむ。
草村下葉に生れたる化者知りたるひとは世に無し。
久方天津御神よさしもて世に降りたるひとを求めむ。
為御国為に盡したるひとは曲代晒しもなる。
幼時より神童と呼ばれたるひと心を知る人なきかな。
常識に外れたるひと妙な人なぞと言はれて世を開くかな。
何事も秀でたるひとゑらい人程を知る人神に在る人。


握手をば求めて肱鉄喰ひけり。
握手して全身震ふ乙女かな。
訳もなき仲さへ握手気兼かな。


ひそやかに語り合はんと夕暮闇にきこゆる人足音。
固く手を握りしめたる其刹那吾全身血潮は漲ぎる。
吾魂は指先にも宿れるか握手刹那全身溶け入る。
洋人は人をし見れば握手するに胸開けざる日本人かな。
握手する事罪としなるならば洋人残らず地獄代も
清からぬ心抱きて握手する人は邪神もさ引なりけり。
接吻て抱き合ひたるそ刹那吾たましひは白雲外。
何処にも吾たましひかげはなし汝が柔手に握らるる間は。
眼を見はり耳を澄まして垣間見つ微笑む顔気味悪きかな。


ペンを持つ手に蚊迫る夕べかな。


法談席にも人を怪しみて洋服人出張り玉へり。
為御国ために寝食を忘れし志士を怪しみ見るかな。
青眼鏡懸くれば万物皆青し早くとれとれ鼻眼鏡を。
誠をば以ちて誠御教へを聴かずば誠判る術なし。
神国柱ともなり力とも成る神教を怪しむ曲かな。


朝夕にしへたげられたるひと身も今や弥勒御代に逢ひぬる。
ありとあるすべて物も山川もよりて仕ふる御代ぞ恋しき。
聞こえたるひととし逢ひて世様を語らふ夜半に郭公啼く。
ありありとすみきる和知川水は汚れはてたるひと世洗ふ。
汚れたるひと心を清めんと瑞御魂は玉井に湧く。
澄みたる状を眺むれば人心も清まる尊とさ。
川上ゆ流れて来たるひとつ桃拾ひまつりし媼かしこき。
拾ひたる一つ桃を床上にまつれば瑞子現れ出でにけり。
生れたるひとり瑞子は桃太郎鬼住む国言向け和はさむ。


吉次銘刀記念と山口氏今日吾許に贈られにけり。
小夜更くるまでも眠らず文机にもたれて今日歌日記かく。


電灯を花と見て来る火虫かな。
月清く大空蒼き今夕かな。
影まばらなる夜や月清し。
宣伝宿りや月高し。
月高し星また高し空蒼し。
面ぶらついて見る月夜かな。
月照るや心雲も晴れ渡り。
月ほむる庭に声ありほととぎす。
月は今大友山に懸りけり。
老いし身もふらついて見る月庭。


月見んと門を立ち出で細溝に這へる鰌をつかみけるかな。


面壁九年十年目には宣伝使。
七年目宣伝使補となりにけり。
愛と恋道に迷ふな宣伝使。
恋愛を拡大せよと宣伝使。
宣伝使そ大方は蓄音機。
蓄音機でも宣伝用に立ち。
蓄音機田舎に行けば持てるなり。
蓄音機米搗バツタに巾が利き。
既成宗教蓄音機にも勝てぬなり。
蓄音機代価を聞けば三五〇。
吹き込みは鰐口なりちく音機。
かくれたるひと吹き込みしちく音機。
外国に売れる大本ちく音機。
宣伝使皆天界ちく音機。


新機軸出して今日より冠俳句沓俳句をば作り初めけり。


五月雨や可借晴衣に黴が生え。
仝   小川音も高くなり。
仝   生命ち水。
仝   つばめは低ふ田面縫ひ。
五月雨や煙草入にもかびが生え。
仝   蛙田面に高く啼き。
仝   田面にかすむ牛声。
仝   光秀句を思ひ出し。
仝   真竹皮も色かはり。
仝   鰌跳ねる庭面。
五月雨や皮衣脱ぐたかん子。
白魚手も交はりて田植かな。
五月雨て勢ひ良き田植かな。
面に菅笠並ぶ田植かな。
猫さへも数に入つてる田植かな。
深窓娘も今日田植かな。
小山田は五月雨待ちて田植かな。

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