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文献名1出口王仁三郎全集 第2巻 宗教・教育編
文献名2【宗教編】第1篇 既成宗教よみ(新仮名遣い)
文献名3第7章 信仰堕落よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考2023/10/02校正。
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-10-02 12:54:23
ページ27 目次メモ
OBC B121802c108
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本文の文字数3978
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本文  皇道大本にては、『神は万物普遍霊にして、人は天地経綸司宰者なり』と信仰を抱いて活動しつつ在るでありますから、随つて神を信仰する点に於ても、従来各宗教襲用せる信仰とは非常な相違が在ります。今迄各宗、各教神仏に対する信仰は、全部乞食的信仰であつて、極めて消極的であります。信仰すれば他力に依つて極楽浄土に救はれて、百味飲食を間断無く賦与されるとか、キリストに従へば死後無限地獄永苦を免れて天国に上り、神右に坐し、天国に安住さして貰へるとか、如何なる極重悪人も唯称念仏往生安楽国とか、自分勝手好い事ばかりを一心に祈願して、夫れで以て神仏が何事も意儘に為て呉れるも如うに、根本から大誤解を為て居るであります。恰も乞食、非人が人門戸に佇み冷飯残りや一文小銭を、半ば泣声を出して御願ひ申します、と言うて居ると少しも変らぬであります。外国人なら是非は無いが、日本神国神民と生れ、七十五声正音を自由自在に賦与せられ、万世一系皇統を戴き、天地経綸司宰者たる天職を具備せる日本神民が、印度人か毛唐人真似をして、只管に神仏に頼む頼むと朝から晩まで、鉦や太鼓や拍子木などで、アタ八釜しい祈り捲くる態は、見られたもでは無いであります。

   万世一系霊魂

 日本神国は皇統みが万世一系ではない。日本人は真直接御分霊を頂戴して居るで在るから、生代り死代り幾度と無く顕界と幽界に出入する事出来る、所謂日本魂なるもを各自に享有して居るであります。故に各自霊魂、即ち真神分霊は神と倶に悠久無限に存続する事が出来るから、所謂万世一系、天壤無窮霊魂であります。外国人霊魂は或る特殊霊魂を除く外、大部分は人間として再生する権利を亡失して、恰も泡沫如きもであります。故に彼等徒が体主霊従、物質万能を以て唯一真理となすは無理も無き次第であります。彼等霊魂は万世一系、天壤無窮で無いから、祖先霊を奉祀する必要も無ければ、死後心配も無い。日本人以外人間は死後霊魂滅、不滅を論断する資格は無い位であります。

   日本人地獄落

 斯く謂ふ時は読者中には、余り偏狭極まる勝手な愚論だと言ふ人も在りませう。然し外国人霊魂でも絶対的に滅亡するでは無いが、大部分は体主で在るから、霊従地位に在る霊魂は其霊能が下落するは当然である。之に反して日本神国、神裔民は本来が霊主体従で所謂、ヒモト身魂である。霊魂が不滅だから幾度も肉体容器は変つても、天壤無窮に易る事が無いである。何故に博愛なる神が日本人計り特に殊寵を垂れさせられて、日本以外人民には恩寵が浅いかと理窟を云ふ人が在るであらうが、外国人だとて大本神諭に在る通り、改心をして霊主体従、日本魂に成りさへすれば、万世一系霊魂たる資格が具はるである。日本人は神国清潔神民として天下を和平ならしめ、世界万民救主たる天職を生前より与へられ、天下経綸者たる資格を、神誓神約に因り完全に賦与されて居るである。其天職を肝腎日本人が根本誤解し、天授霊魂を汚濁し、折角神任し給ひし天権を放棄して、キリスト教国や仏教、儒教国教に迷うて、勇壮活発なる気稟を自ら滅却し去り、腰抜け、蛆虫境遇に沈淪して、可惜一生を酔生夢死に終つて、神界任し給うたる職責を尽さない者は、残らず根国、底国に逐ひ退れて、無限永苦を受けねば成らぬ破目に成るである。本来霊主体従霊魂は不朽不滅なるべきもであるから、日本人たる天職を怠り、神界に復命出来ない霊魂は、ドウシテも懲戒為に、仏者所謂地獄へ落ちて苦しむである。

   天津祝詞太祝詞

 中臣神嘉言に曰く、「天津宮言以て天津金木を本打切末打断て、千座置座に置足はして、天津菅曽を本刈絶末刈切て八針に取裂て、天津祝詞言を宣れ、如斯宣らば、天津神は天磐戸を推披きて、天八重雲を伊頭千別に千別て所聞食む、国津神は高山末短山末に上り坐て、高山伊保理、短山伊保理を掻別て所聞食む云々」
 神世昔に天磐戸前に於て、五伴緒神一柱なる天児屋命が天照大御神御出現を奉請したる、天下修斎一大神辞であつて、降つて神武天皇御宇、天児屋命子孫なる天富命は之を大成し、ヒフミ文字にて誌し置かれたを、後世人常磐大連が今日漢字を以て、現代人々に誦読し易からしむる為に書き改められたもで在りますが、実に雄大荘厳を極めた天下修斎大神辞であります。天津宮言と申す事は善言美詞意であつて、所謂七十五声正音である。日本人は斯正音を天賦的に具有し、以て天地経綸を司どる天選民である。外国人如く音声も少く、且つ不正なるに比して天壤相違があります。又下等動物に成る程声音が少く、且つ不正であつて、モウとかヒンヒンとかニヤンとかワンとかカアカアとかチユウチユウとか極めて少いである。日本人が七十五声発音を完全にする事を得るに引かへて、外国人は僅に其一部分を発するみ。而も極めて不正であつて、殆んど畜生声音に似て居るであります。日本は太古より言霊助くる国、言霊幸ふ国、言霊天照る国と申しまして、実に大神其儘声音を用ゆる事を許されて居りますから、ドウシテも神様代表者と成つて宇宙万有を修斎いたさねば成らぬ責任を有して居るであります。日本神国選民が心身を清浄にして、善言美詞を応用します時は、天地も為に感動し、宇宙妖気を払拭し去る神業が遂行されるでありますが、現代日本人は第一に身魂が外国化して居りますで、自然に声音が濁り、口上では七十五声を発しましても、其言霊に権威も無ければ徳もない。隨つて天地神明を感動させ、宇宙万有を修斎する事が出来ない処まで堕落して了ふたであります。

   八咫鏡は言霊也

 新約全書、約翰伝首章には言霊秘事を漏しあり。曰く「太初に道あり。道は神と倶にあり。道は即ち神なり。こ道は太初に神と倶に在りき。万物これに由て造らる。云々」即ち宇宙万有主宰に坐しませる全一大主神は、言霊を以て天地を創造し、且つ経綸を創め玉ひし事を知るべし。現代世界大難を救ひ、万民を安堵せしめ万世不易神国を招来せむとするは、到底今日軍器や軍法や教育や政治や宗教や哲学では絶対に不可能である。然らば最後修斎は何を以て之に当るか。外でも無い天津神依さし給ひし八咫鏡、即ち言霊妙用に外ならぬである。併し今日日本人は前にも言うた通り、霊肉倶に混濁極に達して居るから、言霊応用が不可能である。世界大難どころか今我国脚下に猛火が燃えて来て、我国土が焦土に成ると云ふ場合でも、是を如何ともする事が出来ないは実に情無い次第である。吾人言霊をして神変不可思議妙用活動を為さしめむとせば、先づ先決問題として、皇道に立脚し自己守護神を神として鎮祭し、霊主体従実行に着手せねばならぬであります。

   守護神奉斎

 皇道大本に於ては其人御本尊たる霊魂即ち守護神を鎮祭致しますが、是皇道最要なる神術神業なであります。吾人本尊たる霊魂を神として奉斎し、且つ天祖許容を受けて、生き乍ら神列に加はり、以て今回世界修斎大神業に奉仕させて頂くであります。
 皇典古事記神代巻に、
 『於是、大国主神愁ひまして、吾独して、何でかも此国を得作らむ。孰神と与に、吾は此国を相作らましとりたまひき。是時、海を光して依来る神あり。其神言りたまはく、我が前を能く治めてば、吾共与に、相作成してむ。若し然らずば、国成難しとりたまひき。爾、大国主神曰したまはく、然らば治奉らむ状は、奈何ぞとまをしたまへば、吾をばも、倭青垣、東山上に斎き奉れと答言たまひき。此は御諸山上に坐す神なり』
とあります如く、大国主命が少彦名神と協心合力、以て国土経営に従事されたる時、少彦名神は或る事情為に常夜国にお出でになりました。是に於て大国主命は独力、以て国土経営大困難なるを歎かせ玉ひて、三保碕に出て海遠方を眺め居られし時しも、海上に光ありて神前に近付き来りたれば、大国主神は其光神に向つて、汝は何れ神ぞと問はせられました。さうすると其神は答へて、吾は外でも無い汝(大国主神を言ふ)奇魂、幸魂なりと仰せられ、只今迄は汝体より出て外国に遊離せしなり。然れども今は汝大国主神は少彦名神に離れて歎き給へば、汝大業を守らむ為に帰り来れりと意を詔らせられました。そこで、大国主神は汝は何処に奉斎せば善きやと反問し給ふや、奇魂幸魂守護神は直ちに答へて、我を倭青垣山山上に伊都岐奉りなば、国土成就せむと答へられたで、其答通り御諸山に奉斎し、以て国土経営任務を全うせられたであります。大国主神は神代にては智仁勇絶倫大神であつたですが、夫れでも自分霊魂、即ち守護神幾分かが遊離して、外国へ国作りせむと活動して居つては、充分神業を遂行する事が出来ないと云ふ事証拠であります。今迄は少彦名神と云ふ義兄弟と一緒になつて、他と協同して経営に竭して居られたが、俄に離別せねば成らぬ事情が起つて来たで、大国主神は大変な当惑をなされた所へ、自分守護神が俄に本体に帰り来られ、其霊魂を御諸山に鎮祭して、弥国土経営大業を成就されたであります。故に人間も其通り、自分守護神を尊敬奉斎して、惟神日本魂に立帰り、他人を力とせず、大神と守護神を第一に敬祭して、以て凡て事業に着手したならば、如何なる事も成就せない事はありませぬ。茲に初めて霊主体従実が挙るであります。
(大正七、四、一号 神霊界誌)
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