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文献名1出口王仁三郎全集 第8巻 わが半生
文献名2【上巻】故郷弐拾八年よみ(新仮名遣い)
文献名3獲鹿よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考『故山夢』p76-82
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-10-30 12:09:58
ページ47 目次メモ
OBC B121808c24
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本文 ─十八九歳頃─

奥山に刈りし柴荷を馬嶮をつたひて風に飛ばさる
打越赤ずれ急坂柴になひ谷底ふかくすべり落ちし初春
谷底に柴荷もろともまくられてころころ団子足を傷つく
谷底に転がるさまを友は見てあれよと驚くばかりすくはず
救はむとすれどもあまり急坂に友もせんすべなかりしなるらむ
道遠き山坂いくつ越えながら奥山に柴刈りしわかき日
荷は重たけれども負けをしみ強きがままに汗して帰る
    ○
堂建山に柴刈るをりもあれ手負ひ鹿は峰わたり来し
刈り上げし柴を野山に捨ておきて一目散に鹿あと逐ふ
手を負ひし鹿はたちまち新池に命限りに飛び込みにけり
新池廻りを友ととりまきてやうやう鹿をうち殺したり
柴を刈る友と鹿をば担ひつつたそがるるころ里にかへれり
鹿とりて帰れば父は腹立てて特種になつたと呶鳴りつけたり
やむを得ず治郎松門にかつぎゆきて友と集ひて鹿皮はぐ
鹿腹出刃庖丁で断ち切れば中より孕み児あらはる夕暮
村人はよりつどひつつ鹿肉わかつをりしも猟師入り来る
後脚に銃弾跡あるをみて吾がうちし鹿と猟師は責むるも
皮も肉も残らず猟師に奪ひとられ各十銭出してあやまる
隠しおきし三貫目肉を柴友といより集ひて平げにける
鹿肉あまり沢山食ひすぎてそ翌日は目色かはる
鹿を食たそ翌朝は天も地も森羅万象黄色く見えけり
犬骨を折りて獲りたる牝鹿をば猟師にとられて馬鹿と嗤はる
これからは殺生してはならぬぞと父眼光り声はとがりぬ
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