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文献名1出口王仁三郎全集 第8巻 わが半生
文献名2【上巻】故郷弐拾八年よみ(新仮名遣い)
文献名3夢現よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考『故山夢』p257-260
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-11-05 14:59:02
ページ137 目次メモ
OBC B121808c62
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本文 ─二十五六歳頃─

恋人を京阪両地にさらはれて一人さびしく牛飼ひにけり
糞汁にまみれて朝夕牛を飼ふ若き日吾血は燃えさかる
女は数多あれども彼女等にくらべて胸血は湧きたたず
浄瑠璃稽古をはりて帰るさ辻に彼女まぼろしを見し
ああ君と云ひよる刹那に烟ごとパッと消えたる気味悪さかな
わが魂は彼女にかよひ彼女魂はわれにかよふか毎夜夢見る
縁あらばまた逢ふことあるべしと果敢なきことを頼みて慰む
    ○
妻帯をすすめられても何となく心むかざり彼女をおもへば
あちこち家に浄瑠璃会ありて吾もかがさず出演をなす
浄瑠璃吾が声よしと田舎女が銅貨づつみを雨と降らせり
見台に裃つけて端坐しつかたりいだせば拍手あられふる
三味線ひきは老いたる女吾はまだ二十六歳青年なりけり
いつとても耻かしく思ふは浄瑠璃文句泣き落しなりけり
しがみたる顔を女に見せまじと泣く場所みは三味線で誤魔化す
滑稽なお俊伝兵衛猿廻し与次郎語るがはづかしかりけり
浄瑠璃稽古友は十二人隣村までかたりに出でゆく
隣村で浄瑠璃語るをりもあれ意中女を不図見とめたり
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