文献名1惟神の道
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3皇典と財政経済の真諦よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考出典不明
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ページ299
目次メモ
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本文
皇典古事記中巻、帯中日子天皇の段に曰く
「於是大后帰神して、言教へ覚し詔ひつらくは、西の方に国有り、金銀を本と為し、目の炎燿く種々の珍宝其の国に多なるを、吾今其の国を帰せ賜はむとのりたまひき」
と。ここに慎みてその要旨を記し奉り、大日本神国の財政経済の真諦を証せむとす。
(一)西の方に国有り
西の方とは言ふまでもなく極東日本国を位置より西方を示し給ふものにして、全世界の国々を指し給へるなり。
(二)金銀を本と為し
金銀を本と為すと示し給ふは即ち国家経綸の根本経済が金銀本位を基礎と為し居る国柄の事なり。この御神勅の御言葉は現代の日本人が最も心魄に徹底して拝聴し奉るべき一大事にして、この御教覚の御一声により古今二千年間の迷夢を醒破せざるベからざるものなり。しかも今日の世界はただに経済問題のみならず、政治も道徳も芸術も宗教もことごとく金銀を本として動きつつある観あり。この金本主義は大日本国体の本義と絶対に矛盾せるものなる事に注意せざるべからず。
(三)目の炎燿く種々の珍宝其の国に多なるを
この意義は物質文明の極度に発達したる謂なり。そもそも我が国を日の本と称するは言霊より説けば「精神を本とする国」の意なり。ヒは陽にして霊なることは既に述べたる所なり。これに対して外国をカラの国といふ。殻にして体の意なり。即ち物質を主とするなり。
今日の世界混乱の根本由因を洞察せよ。ことごとくその中心に霊を失ひ陽を得ざるが故に暗黒たるなり。例へば今日我が国の教育や如何。精神を無視し魂を除外して、ただただ制度規約即ち殻の学問の研究を以て終始せるに非ずや。現下皇国教育の悩みは、実にこの殻の学問に魂を与へ陽の光を点ぜむとする更生の苦悩たるなり。
(四)吾今其の国を帰せ賜はむ
この御言葉に最も注意せざるべからず。この「吾」とは過去無限、未来永劫に亘らせ給ふ絶対我にましますこと明かなり。即ち皇大神の御聖徳と拝するも天津日嗣天皇の大御稜威と申し上ぐるも可なり。またその大御稜威に順ふ皇国日本と見るも、皇道精神に指導されたる皇国民と解するも不可ならず。
「其の国を帰せ賜ふ」と詔り給ふは昭和現代に帰順せしめ賜ふ御事なり。
ここに天下を安らけく平けく統べ治むる御天職を保ち給ふ天津日嗣天皇が、その大御稜威を発揮し給ふ時運到来して、世界の人智は以て皇道の教化に浴するの程度に達し、世界航運の発達を以て天津日嗣天皇の教義を宣伝流布し、皇道を宣揚して世界を経綸し、以て御国体の本義を顕彰するの時代に到達したり。故にその世界各国を総攬せむが為に、古来国華の光輝を隠し給へる神聖なる皇祖の御遺訓をここに顕彰し給ふのみならず、昭和皇道発展の機会に帰着せしめ給ふ御神慮なる事は一点遅疑の念を挟むべき余地なきものなり。これみな皇祖皇宗の神々の御稜威の然らしめ給ふ御事なり。この由来は皇典古事記及び神訓の真義を拝察する時、自然に悟了さるべし。
我が皇国は世界の中心にして大倭豊秋津根別の国といひ天恵の宝庫は随所に存在すれども、現代の科学や文明は未だ以て完全の域に達せず、宇宙に充満偏存する無尽蔵の大富源を開発することに着手する能力は絶無なり。この天産を完全に開発し、天恵無尽の利沢を人生に均霑せしむることは、実に日本国民の天職的責任なり。
然れども、そは皇道の真義を悟らず、祖宗の聖訓を閑却せる為政者や、西洋の偽文明に心酔惑溺せる日本の学者輩の到底企て及ぶべからざる所なり。宜しく皇国の指導的地位に立つ為政者や学者達は先づ皇国御国体の神聖に透徹し、皇典古事記その他列聖の詔書を拝読して、皇国の大使命を覚り、内に正しき道を樹てて以て聖慮を安んじ奉り、外万邦に皇基を振起してこの暗黒の世を救済すべきなり。口に皇道を唱へてしかも斯道を踏まざる者、他に御国体を説いて自ら大道に順はざる者は実に皇道の賊なり。為政者たるものは須らく真誠、英断、恭謙、以て皇民に光輝ある安住所を与へよ。