文献名1幼ながたり
文献名2幼ながたりよみ(新仮名遣い)
文献名322 教祖と大槻鹿造よみ(新仮名遣い)
著者出口澄子
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ご開祖の一代に常に教祖を攻めた男が居ります。初めにおよね姉さんを力づくでさらっていった大槻鹿造であります。この男は侠客のような男で、弁舌は達者で今でいう弁護士のような話術の達者なものでした。
教祖は特別、この西町がきらいで、ことに西町に集まる三人の町の顔役は一番きらいでした。それは教祖は日本の純粋の神であり、三人は外国の悪い神の系統というわけで、教祖にかかられた神をきらってあらゆるボウガイをしたのであります。それで教祖も鹿造たちを改心させなければならぬので、毎日西町に行かれ、およね姉さんと鹿造に天地の道理を説かれました。
大本の歴史にあったことと、日本および世界に実地におこったことを比べてみると、大本は世界の型をするところであるということが分かるのでありますが、教祖と鹿造の型、私とおこと姉さんの型も、神さまの啓示として理解できるのであります。そのことが分からんと、ただのつまらぬ話でありましょう。
大本の歴史におこったことは、どんな小さいことでも、一つ一つ意味がありまして、後で世間に大きく映ってから、神さまからさせられていた型であることがわかるのであります。
西町の近くまで教祖がゆかれますと、西町に寝ているおよね姉さんは「また、新宮から来るッ」と叫んで炬燵の中にもぐり込んでしまい、蒲団の中から目ばかりむいていました。そうして教祖を誰よりもこわがりました。
教祖はおよね姉さんの見舞いに来られると、自然に腹の中から声が出て、
「およねよ、改心いたされよ、○○は強いものがちの神、これからは世が変わるぞよ」と申されました。それを聞くと、およね姉さんは、苦しんで、よけいに荒れていました。
大槻鹿造はそのうち教祖の、本宮の元屋敷を売ってしまいましたので、教祖は一時、住むところもなくなりました。私が八木にやられたのはそのころです。