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文献名1大本史料集成 1 >第2部 出口王仁三郎思想
文献名2第2章 大正期神諭よみ(新仮名遣い)
文献名3第5節 太古因縁(上)よみ(新仮名遣い)
著者
概要○天御先祖大神(天御中主神)が国常立尊に地上主権を与えて、地上を修理固成させた。○霊力体=後三体大神○  天御中主神 (精霊体) 天照皇大神  撞大神=天御先祖大神   神皇産霊神 (精霊体) 神伊邪那岐命   高皇産霊神 (聖霊体) 神伊邪那冊命   3つ集まって、瑞御魂(三つ身魂)
備考
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ページ597 目次メモ
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本文 大正七年一月五日
 小松林命、瑞御魂宿れる肉宮に入り、其手を借りて太古因縁を詳にす。天御先祖様は天之御中主大神様である。之を今迄仏者ミロク菩薩と称えたり。ミロクは至仁至愛意なり。今は暫時ミロク神として、神界深き縁由を説く可し。ミロク神は天系、霊系、火系、父系なる高皇産霊神を神漏岐之尊として宇宙造化に任じ玉ひ、神皇産霊神を神漏美之尊として、地系、体系、水系、母系として、宇宙造化に任じ玉へり。而して三神即一体活動を為し玉ふ。之を瑞身魂、三ツ身魂と称ふ。
 天之御中主大神御精霊体完備せるを天照皇大神、又は撞賢木厳能御魂天盛留向津媛之神言と称し奉る。是れ撞大神なり。ツキとは無限絶対、無始無終、過去、現在、未来一貫、至大無外、至小無内意なり。
 高皇産霊之神言は霊系を主宰し玉ひ、其精霊体は神伊邪那岐之神言と顕現し玉ひ、神皇産霊之神言は体系を主宰し玉ひ、其精霊体は神伊邪那美之神言と顕現し玉ふ。三神即一神にして瑞身魂、三ツ身魂表現なり。斯世御先祖にして撞大神に坐します也。開祖神諭には天御三体大神と称えあり、又ミロク大神、ツキ大神とも称え奉り、又天御先祖様と称え奉りあり。
 撞大御神、即天御先祖大神は、天地未分、陰陽未剖太初に当りて、大地球先祖として国常立之尊を任じ玉ひ、大地修理固成を言依し玉ひしかば、国常立尊は地上主権を帯び、久良芸如す漂へる国土を修理し玉ふや、大神施策余りに厳格剛直にして、混沌時代主管者としては、実に不適任たるを免れず、部下万神は大に困難を感じ、衆議結果、撞大神に国祖退隠されん事を奏請する止むを得ざるに至れり。撞大神は茲に万神奏請を嘉納せられたれども、一旦国土主宰に任じたる上は、神勅重、且つ大なるを省み玉ひて、容易に許させ給はず。一方国祖に向つて少しく軟化すべく、種々慰撫説得なし給ひしかども、国祖至公至平至直至厳霊性は、容易に動かす可くもあらず。茲に撞大神は、国祖妻神たる豊雲斟之神言に向ひて、国祖を諫奏す可く厳命を降し給ひぬ。妻神は即坤金神也。坤金神は神勅を奉戴し、夫神に百万諫奏し給ひしが元来剛直一方国祖は、和光同塵的神政を好み給はざりけり。
 茲に撞大神は、一方万神奏請頻りにして、制御す可き方策に尽き玉ひしかば、断然意を決して、国祖を艮へ退去す可く厳命し給ひ、且つ詔り給はく、爾今我言を奉じて勇ぎ能く退辞せば、我又た時を待つて爾を元主宰に任じ、且つ我は地に降りて汝が大業を補助す可しと、神勅厳かに降下在らせられたれば、国祖も無念を忍び、数万歳久しき歳月を隠忍し、世成行を坐視し給ひたり。八百万決議に因り、神政妨害者として永久に艮に押籠めらるる身とは成り給ひぬ。茲に艮金神名称初まりぬ。艮金神は其罪科妻神に波及せむ事を憂慮し玉ひて、夫妻縁を断ち、独り艮に隠退し給ひしが、妻神豊雲野尊は夫神困苦を坐視するに忍びずとて坤に自ら退去されたり。是より坤金神名初まりぬ。夫神苦難を思ひて、罪なき御身、且つ離縁されし御身乍らも、自ら夫神に殉じて世に落ち玉ひし御心情は、実に夫婦苦楽を共に為す可き末代亀鑑なり。
 然るに天地修理固成には是非共、霊と力と体と三元無かる可らず。而て霊性は至善なり。体即ち物質元素性は悪なり。善悪混合し、美醜互に交りて茲に力を生ず。力即ち活用なり。凡て物霊主体従にして、初めて善なる世界を造り得可し。善は一毫濁点を許さず、世移り行くに従ひ、終には体主霊従混乱不義極まる現社会を産出す。体主霊従是れ至悪なり。至悪神経綸結果は、終に悪逆無道世界を招来し、優勝劣敗、弱肉強食惨状を来すに至るは当然なり。茲に於てか剛直厳正なる国祖出現を要する機運到来し、撞大神は艮に退隠し給へる国祖を許し、再び地上主権を附与し給ひしかば、因縁身魂出口開祖を機関として、地球中心なる綾高天原に現はれ玉ひ、最初国祖へ下し玉ひたる神勅を実行すべく、撞大神は地上に降臨せられ霊力体即ち御三体大神と現はれて、現代混乱世界を修理固成せんと、国祖国常立之尊補佐神と成り玉ひ、教主肉体を借りて現はれ、国祖大業に臣事し給ふに至れり。
 元来撞大神は造化大元霊にして天に属し、君系に坐します也。国常立之尊は地に属して臣系に坐しませ共、撞大神は世界為に位地を捨て臣位に降りて、其体を素盞嗚尊生み坐せる三女神に変現し、二度目岩戸を開き給ふ事に成りぬ。

 されど国常立之尊も謙譲御神慮深く坐ませば、飽くまで天御先祖様、御三体様、撞大神様と仰ぎ敬ひ、其御神命に従ひて今回立替を遂行せむと為し給へり。明治廿五年開祖神諭に曰く、天大神様地に降りて斯世御守護遊ばすぞよ。地神天に上りて斯世守護を致すぞよ云々。天大神様、地に降りて御守護遊ばすとは、即ち臣系に降りて守護し給ふ事なり。地神天に上りて守護致すぞよとは、臣系神、君系位地に代りて御守護遊ばす事なり。神諭御文中に、撞大神様ほど御心良い神様は無いぞよ云々と在るは、此間消息を漏し玉ひし也。持つ持れつ世である云々とあるも此事なり。
 国常立之尊は太古に於ける天照大神位地に進まれ、撞大神は太古に於ける須佐之男尊に降り玉ひて、天上天下修斎大業を成就し給ふ時機とは成れる也。
 然れど神政成就暁は、又元如く撞大神は天位に復り玉ひ、国祖は地位に降りて臣系職に就かせ給ふ可き事は、大本開祖神諭に明示さるる所なり。
 神政成就暁は、霊系として現はれ給ひし国祖厳御魂は、元体系と復り玉ひ、体系として現はれ給へる瑞御魂は元霊系に復り玉ひ、天地合一、上下一致代を実現し、永遠無窮に天地万有を主宰し給ふ神界御経綸なり。アア宏遠なる哉、深甚なる哉、天地祖神御経綸よ。
(「神霊界」大正七年二月号)
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