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文献名1大本史料集成 1 >第2部 出口王仁三郎思想
文献名2第4章 道よみ(新仮名遣い)
文献名3第7節 道栞 第一巻下(一)よみ(新仮名遣い)
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ページ677 目次メモ
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本文 栞第一巻下(一)
一 木下露も、末には遂に流れて大海水となり、摺出し一本から出たる火も遂に大いなる都を黒土にするもである。聊か罪穢れ過ちと云へども、慎まざれば大罪となり、遂には其身を失ひ、根国へ自ら落つるに至るべし。
二 故に神掟は毛筋程事なりとて、忽かせになすことは出来ぬ、蟻穴からも大堤を砕く事あり、恐るベし。
三 善なる事は例へ少しなりとも力めて之を為すべし。一粒種子を程能き土地に下せば、万倍実を結ぶが如く、神界果報は最も大いなり。
四 宇宙万有主たる誠神は、人正しき心、公共望みによりて祈る事を喜び玉ひて、其者上に、限りなき栄と進歩とを授け給ふ。
五 天帝は毎日人々なす事を、一々御覧在らせらるゝ故に、善を為すもには、直に善き報ひを授け、悪を為せるもは直に災禍報ひを招くに至る。善悪共に其報ひ速かなる事恰も影形に従ふが如きもである。
六 天帝は常に人草等に清き者を与へて、善き事を行はしめ給ふ。霊魂中に直日霊を授け給ひて、其身を照らさせ給ふ。
七 信仰なき者は生れながらに授けられたる直日霊を失ひ、或は損ふ故に、其身より光輝き少しも出で来らず。
八 其身其魂より光出でざるもは、死人に等しくして、此世穀潰し、曲津神容器である。人は天地経綸司宰者にして、神と同じ形に作られ其美はしき霊分派なれば、光らねばならぬ筈である。
九 大神は遠き近き別ちなく。明き暗き隔てなく、一と眼に世界隅々迄も能く見知り給ふ。故に此世に於て悪しき事目に隠るゝ所は錐一本立つる間も無きもぞ。畏れ慎むベし。
一〇 神御光は、世界隈なく行き渡りて大御守りに漏るゝ処なし。故に神届かぬ処なし。
一一 人は神より斯かる尊き霊を分ち与へられたれば、人々眼も神に等しく、霊も亦神に同じきもなるに、一寸先も見ヘざる浅ましき身となり果てしは、悪魔に誘はれて其身魂を曇らせ、自から神に遠ざかるが故なるぞ。
一二 宇宙主宰たる天帝霊に目見へ奉りなば、世界は鏡にかけし如くに明かに見らるべし。
一三 昔神代人々霊曇りて常暗となれる時、其曇れる身霊を清めて、神に親しむ道を開き神懸業を始め給へるは天鈿女命なり。こ天使は神懸始祖であり又演劇始祖である。
一四 此神幸はいによりて、世界穏かもあり、家内和合も保つなり。此神守護は一日も無くては、国内、家内共に治まらずと云ふ。
一五 悪を去り善に導き此世に幸はいを与へ玉ふは、猿田彦命にして天鈿女夫なり。
一六 宇迦迺御魂命は、五穀や養蚕守り神、人生命を繋ぐ為に、五穀を作る事を教へ玉ひし天使なり。
一七 悪魔道塞ぎをなす天使は久那戸守なり、こ天使お守りある時は曲津神来らず。
一八 速素盞嗚尊は瑞霊、厄除け天使にして此世救ひ主なり。此神御身代りにより天津罪、国津罪、許々多久罪を許さるるなり。人は此神御蔭にょりて厳しき天懲戒を逃れ来るもなり。
一九 此五つ柱天使は、日本到る処に祀りあり。世人崇敬最も深し。
二〇 此五つ柱天使を祀れる神社を稲荷神社と称ふる理由は、食べ物始祖たる宇迦迺御魂命を斎き祭れるが故なり。
二一 稲荷神と云ふ理由は飯に成る守と云ふことにて、つまり食物守と云ふ意なり。
二二 世迷信者多くして狐を以て稲荷となし、誠大神をさげしむ、愚至りなりと云ふべし。
二三 月見里神社は、瑞霊真如に憑らせたまふ聖霊速素盞嗚尊と、霊学先祖たる鈿女命を祀れるが故に、そ因縁に由りて信仰を励むなり。
二四 真如教を守らんと思へば、先づ真如信仰する神をも信仰すべし。
二五 天帝に祈るも、亦右五柱神に祈るも、金神に祈るも、其外神々に祈るも、皆瑞御魂名を以て祈るべし。
二六 瑞名にょりて祈る時は、如何なる事も誠願ひなれば、叶へさせたまふべし。此みは信者最も心得置かねばならぬことなり。瑞霊は天地神々へ対して何事も取次ぎなす、天定役目なり。
二七 疑あるもには決して神徳は与へられず忽ち其場に於て心に苦しみを覚ゆべし。
二八 真如今日迄に弟子数は三百八十余人ありき。其中には学者もあり、商人もあり、男女皆正直そうな顔をしたも許り身慾でこゝまで従ふて来た者ばかりなりし。之れより熱心信者に神徳を渡して、神御用に使ふベし。一人なりと魂を研いて斯道をたどれ。
二九 限りなき喜びと楽しみに充ちたる国は、高天原である。
三〇 限りなき苦しみと悩みに充ちて、穢らはしき国は、根国底国である。
三一 高天原に昇り得る身魂も、根国自らに落つる身魂も心一つ持ち様に依るなり。
三二 天津国高天原に生れしもは、限りなき栄へと喜びと生命を与へらる。
三三 高天原主宰は大国常立大神である。其高き御恵は、言葉に尽し得ず。天国にては日大神と顕現し霊国にては月大神と顕現したまふ。
三四 此世に人住めるは恰も旅人が宿屋に泊れる如く必ず一度は立たねばならぬもぞ。例へて云へば神界は故郷で、体は宿屋で、霊は旅人である。旅人宿屋にあるもは必ず故郷へ帰らねばならぬ。霊魂肉体に宿るもは、必ず霊魂故郷なる神界へ帰らねばならぬ。
三五 曲りた剣は元鞘に納まらぬ。曲りた霊魂は元高天原へ納まらぬ。止むを得ずして、根国底国ヘと落ち行くなり。
三六 神取次は、何処までも狂はぬ霊魂でなくてはならぬ。道為には例へ其身は砕けても、叩き潰されても亦殺されても構はぬ精神者でなければ誠取次とは云はれない。そこまで行く者なれば、神が誠神力を授けて万劫末代残る神業を命じて世界宝となしたまふ。
三七 少し好ささうになると寄つて来る、少し風波が悪そうなと見向きもせぬ様な取次信者は、神を甥る痴者である。
三八 道取次するもゝ慢心したもは、普通信者慢心したよりも一層厳敷見せ示しが降つて来るもである。
三九 此世は涙国である。苦しみ家である。悪魔中である。夢浮世である。今日栄えて明日は必ず亡ぶる世中である。然し大神御心に叶ひ、誠道を歩むもには、此上なき喜ばしき、楽しき世界である。此世位結構な所は無いである。霊ばかりになりて神界で暮すよりも、肉体を持つて心を神に委せ誠を貫きて一日なりとも長く生きて、世為め道為になる事を残すが、人と生れし本分である。
四〇 肉体を保ちながら、神界に仕ヘ奉るは霊になりて仕ヘ奉るよりも結構である。此世へ生れ来たならば、一日なりとも長く生きて、一つでも善き事を行ひ、後我御魂行先土台を作り置かねばならぬ。
四一 肉体は限りあるも、二百年も三百年も生きらるゝもでなし、例令千年万年生きたりとて、そは限りある生命なり。ましてや人間は百二十歳が定命とは実に夢如し。こ限りある肉体生命ある中に、霊魂を研き上げて、何時までも限りなき霊生命国に到る用意をなさねばならぬ。
四二 霊国へ行くべき用意さへあれば、若くして死するとも惜き事にはあらず、たとへ百歳を越ゆるも高天原へ救はるべき道を知らず、又其信仰力備はらざるもは、年老て死するとも惜き事なり。用意無くして死するも程憐れむべき者はなし。盖は取り返しつく時無ければなり。再び肉体を以て生るゝ事難く、また再び其霊が現世に生れ来るもにあらざればなり。明日をも知れぬ肉体を保てる者よ、肉体ある中に早く用意をせよ。口ある中に早く神を祝へ、足ある間に早く行ひを改め善道に移れ。
四三 精霊ばかりになつてから、善をなさんにもなす事能はざるべし。
一旦根国底国へ落ちし精霊は、何時までも救ひ上げらるる時無し。
四四 精霊を高天原へ救はれんと願ふもは、瑞取次ぐ言葉を守れ。忍耐に忍耐を重ね、苦労上にも苦労を為して、信仰霊を煉鍛へ、霊発達を瑞霊によりて祈るベし、精霊は人間本体なり。根基なり。
四五 真如に書かせる此伝達は、神直々言葉である、暗き夜を照らす此世光りである。此光輝きなば、世界揃うて光明界となる、喜びと栄へに満てる地上天国となる。
四六 道人を広むるにあらず、人、道に由りて道を広めるである。取次たるも為道為に勉め励めよ。天に口なし人を以て云はしめ諭さしむ。此筆先は世界を救ふ助け船、末になる程結構になるである。此筆先を開く取次は神より助けと栄へと喜びとを与へらる、信仰を強く励みて人鏡となり神名を挙げよ。
四七 天が下、四方国々広しといヘども神在まさぬ所なし。生民今や二十億に余るといへども、神御心に叶ひて、天界に生るゝもは、甚だ稀なり。天界には天国霊国二大境域あり。
四八 高天原へ救はれんと祈るもよ。瑞救ひ主言葉にたよりて、信仰を強くせよ。救ひ門は開かるべし。されど汝能く思ふべし。救ひ門を開かるは、生ける信仰力でなければならぬ事を。行ひ添へる信仰は生き信仰である。
 神を拝み祈るばかりで、其行ひ出来ぬもは、死したる信仰である。高天原に救はるゝもは、生きた信仰をする者、死せる信仰は却て神気障り、根国底国へ追ひやられて火に焼かれ亡ぼさる。慎むべし。
四九 瑞霊は、天より降りて真如肉体を借り、下つ国事柄について、道道たる所を証明すれども、誰も疑ひて信ずるもなし。
 況んや天津御空事をや。此人々は霊魂が曇りて盲目同様、神光も目に付かず、慾に呆けて我と我手に深溜りへ落ち行く憐れさ。
五〇 天帝瑞霊を降し玉ひて、善を整ヘ益々善をなさしめ、悪魔敵を言向和さんとなし玉へり。故に善ために善を行ふもは、益々善を加ヘしめ、栄えを増さしめ給ふ有難き神御代となれり。悪を企む者は直ちに亡ぼさる。悪魔は瑞霊言葉によりて忽ち亡び行く御代となれり。
五一 神道家中には、まゝ偏屈人があって云ふ、日本は神国神在る国、外国は獣類国、神無き国である。斯かる言葉は神道家たるもゝ唱ふベき言葉にあらず。世界中神無き国は無し。太陽届く限りは神あらざるはなし。亦日本人と西洋人とは毛色こそ変れ、表面色こそ異なれ、同じ天帝分霊である、同じ高天支配を受くる神子である。それにも拘はらず日本人は、神直系分霊、外国人は獣物と同じ霊などゝ唱ふる神道家は、真理に暗き野蛮人である。
(「神国」大正十四年八月八日号)
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