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。(2023/12/19)
文献名1
大本史料集成 2 >第1部 明治・大正期
の
運動
文献名2
第1章 出口王仁三郎関係文書
よみ
(新仮名遣い)
文献名3
随筆『神霊界』大正9年2月11日号掲載
よみ
(新仮名遣い)
著者
概要
備考
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データ最終更新日
2020-05-31 17:46:46
ページ
93
目次メモ
OBC
B195502c110713
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3934
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本文
大本時報八二号に一寸紹介されました、大和国吉野郡竜門寺
の
住職、丸山貫長氏が、東京
の
山口氏に宛てた手紙が、今回手に入りましたから、参考
の
ために載せることに致しました。
来る大正辛酉年は、六十一年目に回り来る、金門鳥敏と唱へ、大災厄
の
年なり。其前年
の
庚申年も亦厄介なり。必大水火風、或は飢饅、疾疫、戦争等
の
災ひ起り、上下困難し、国家大に衰損する
の
運命に向居候。仍て本年より用心して、災難消除
の
秘法修行仕度、夫れ災難は天より降すに非ず、之を作す事は、元と人に由る世間已に病起る時は、之を治する
の
医術あり。出世間一切智慧者として、何ぞ之を消除する
の
妙法なからむや。其法は則五大虚空蔵秘法也。此真言一千万遍を誦すれば、法定て成就す。其利益は福輪王
の
如く七宝具足し寿命長久にして千万倶ていを延べ、大神通を得、大富貴を成就し、一切
の
方処に往くに、無障無碍にして、百千種
の
事、意に任て成就を得と、仍て国界を鎮擁し、皇帝を護持し、万民を利安する為に、本年中に於て修法
の
準備をなし、謂く壇を築き、曼奈羅を画き、仏器を作り、修法
の
処を定め、修行者を撰集する等也。
(大法修行
の
形式略す。)
(中略)
大災難来て、国家に大損害あるに比すれば、誠に以、修行
の
供料は一塵
の
如し。是
の
如き小功大利
の
事業は、大智者
の
行する所なり。三ケ年に一千万遍を唱ふ。次に世界無比
の
本尊如意宝珠を安置する
の
勝地は、此迄方々処々尋探するに、大和国竜門
の
嶽こそ、相応
の
勝地なり。水清く石堅く、樹木茂く、上下に飛泉あり。南に方て金峰山に対す。寒暖所を得て、清浄
の
霊地なり。昔役行者、久米仙人、各得道得通
の
旧地なれども、今は空々として一物なし。地を明て如意宝珠
の
光臨を待ち居る姿也。今より行者悉地成就
の
修練にも、此地尤も相応せり。願くば為国一度御来遊ありて、実況御覧に相成候はば感徹可仕候。云々
大本では、彗星
の
出現に就ては、天下万民
の
最も警戒すべき神示たる事を、常に唱へて居る
の
である。然るに物質的文明とかに心酔して、外尊内卑
の
習慣を有する我国民は、毎時も之を一笑に附し、大本
の
所説は虚言だ、妖言だ、邪教だと云つて、省み無かつた
の
みならず、天下
の
耳目とも称する新聞紙なども、大本
の
説を罵倒し、盛に攻撃を加えて来たも
の
である。然るに時節と曰ふも
の
は不思議なも
の
である。昨年
の
今頃には、世界改造
の
宣言を、二十余年来為し来つた大本を目して、邪教妖教呼ばはりをした全国
の
新聞雑誌が、昨秋
の
初め頃から、改造々々、改造で無ければ夜が明けぬと曰ふ調子に騒ぎ出して来たとは、実に有為転変
の
世
の
中とは云ひ乍ら、僅々一年後
の
今日に至つては、隔世
の
感無くんばあらずである。扨て、今回米国
の
バールロと曰ふ医学博士が、神秘的な一説を唱へ出したと曰ふて、猫も杓子も、一も二も無く信用して居る
の
を見ると、日本人は外国人
の
説は、神
の
福音
の
如うに歓ぶと云ふ事が判る。全世界に亘り、幾十百万
の
貴い生霊を亡ぼしつつある悪性感冒
の
原因は、彗星が地球に撒き散した毒物で、彗星
の
尾に微生物が寄生して、夫れが毒菌に変化し、盛に人類に禍ひすると唱へられて居る
の
であるが、大本
の
所説から見ると、符節を合する如くである。
博士曰く、古くは支那
の
歴史を始め、東西
の
沿革史に拠ると、彗星
の
出現した後には、其十中
の
八九まで疫病が流行して居ることが証明される。十五世紀
の
頃、欧亜
の
大陸には、大彗星
の
出現と同時に、黒死病と云ふ得体
の
知れぬ悪疫が、猛威を逞ふして、各地に流行し、数百万
の
人が之に罹つて斃れた。近頃世界に流行して居る流行性感冒は、今を去ること十一年前、即ち一九一○年
の
秋に出現し、天
の
一方に永く尾を曳いて、約一箇月間雄姿を現はした、ハレー彗星
の
出現後、数箇月にして、満洲から欧洲
の
東に至る、亜細亜大陸
の
各地に流行した
の
が、地球上
の
全人類に不幸を及ぼす、此悪疫
の
蔓延した抑も
の
始めであつた。其当時天文学者
の
調定に拠るとハレー
の
尾が地球を掠めて通つた部分は、丁度満洲から亜細亜
の
大陸一帯であつたと云ふことである。ケルビン卿は、現在我々
の
住む、地球上に存在する一切
の
生物は、其初め地球以外
の
、継
の
天地に棲息した微生物が、宿主たる、そ
の
天体
の
分裂潰散して出来た、彗星
の
尾や核を形成して居る、塵埃状
の
物質、又は流星となつて宇宙を運行する天体
の
中に、胞芽胎
の
微生物となつて含まれ、地球
の
側に接近した際、引力
の
為めに誘導されて地球
の
表面に落ち、其処に胞芽して生息し、次第に進化発達して、今日
の
如き高等な動植物となつた
の
であると主張した。此説は甚だ荒唐無稽
の
やうで、実は真理に近いも
の
とされて居る。彗星及び流星が、茫漠たる宇宙を遊行する際には、非常な冷気にさらされて居るだろうが、現に地球
の
北極にある年中氷結した地中にも、生息して居る生物もあり、太陽又は地球
の
側へ接近した彗星や流星が、急速度を以て夫等に接近する際、摩擦から生ずる熱度にも克く堪へて、生命を永く持続し得ることは、微少な生物
の
天然に授かつて居る特性である。之は生物学者が実見室で常に観察して居る事実だ。殊に彗星
の
尾を形成して居る塵埃様
の
物質が、含水炭素を含んで居ると云ふ、含水炭素なるも
の
は、生物以外には発見出来ない、化合物であることより、推しても彗星
の
尾に微生物が寄生して居る事を証明する、一つ
の
有力な材料に成りはすまいか。若し夫等
の
微生物が、有毒な細菌に変化し得るも
の
であつて、地球が一年、五年、廿年、又は五十年と、周期を有して、度々見舞を受ける彗星や流星群に接近する毎に、今度
の
流行性感冒同様
の
悪疫
の
原因をなす毒物を、盛んに撒布される
の
である云々」
○
今回
の
流感に就ては、随分都鄙到る処に滑稽を演じて居る。中にも島根県中海
の
大根嶋
の
如きは、最も甚だしいも
の
である。同地は土地が海抜二尺と云う極端に低い
の
と、人参をはじめ種々
の
農産物
の
豊富な
の
とで有名な孤島であるが、先般来流感に襲はれて、八九名
の
患者と、数人
の
死亡者を出した
の
で、島民は非常に恐怖し、小学校
の
休校は固より誰一人として実業に従事するも
の
無く、皆我家に蟄居して一切外出しない。郵便局では事務員や配達夫が出勤しない為に、郵便物は停滞する一方。又役場では村会を開かうとして、何度召集しても議員が一人も出席しない。偶々或る日
の
召集に応じて出席した一人
の
議員は、共
の
沿道に流感患者が多いと聞いて縮みあがり、俺は家に帰らぬと云つてそ
の
侭役場
の
食客となり、今に逗留して居ると云ふ滑稽もあり、又家族
の
一人が隣村
の
親類へ行つて感冒に罹つて居つても、実家
の
家族は伝染を恐れて見舞にも行かず、手紙で様子を聞かうとすれば、郵便局は怠業して居る
の
で、どうする事も成らず、閉口して居る
の
もある。又死者があつて葬式する場合には、親族総代が唯
の
一人
の
立会するだけで、其他は一人
の
会葬者も無いと云ったやうな風に、島は他に類
の
無い大怠業をやつて居ると、松江から
の
通信があつた。何れも皆日本
の
神国たる所以を忘れて、体主霊従主義に心酔して了つて居るから、彗星を恐れたり、流感ぐらゐに閉口垂れて了ふ
の
である。そんな意思
の
弱い事で、日本神国
の
神民と云われよう乎。天地経綸
の
司宰者と呼ぶ事が出来よう乎。恒に敬神
の
念慮無きも
の
は、斯んな時に第一番に腰を抜かして慄ひ上るも
の
である。
大根嶋
の
住民
の
みならず、今度
の
流感に就て全国
の
人民
の
狼狽さ加減と云ふも
の
は、実に愛想が尽きる位なも
の
で、マスクとか、魔好くとかを当てて居れば伝染せぬと、誰か一人が云ひ出すと、一犬虚に吠えて万犬実を唱ふと云ふ塩梅に、誰も彼もマスクを使用する有様である。マスク
の
効能
の
有無は保障する
の
限りでは無いが、マスク商人だけは確かに効能があつたであらうと思ふ。鵜飼礼堂氏はマスクに就て元弘時代には、鎌倉
の
北条
の
舘だけであつたが、大正時代には到る所に烏天狗
の
多い
の
を見て、冥土にある高時は、失政者は俺ばかりでは無いと、やや落ち着いた気味で微笑して居るかも知れぬ。極端に云へば、全身体
の
皮膚呼吸に対しても、ペスト
の
予防衣
の
やうなゴム製
の
服で、頭からスツポリ被つたら、一層安全かも知れぬなど云ふ人もある云々。序に、飯食ひ茶碗もゴム製
の
布で包んで了うたら、何程米価が騰貴しても、生活難
の
声は起らず、失政どころで無く、天下泰平、万民鼓腹と云ふ事になるかも知れぬ。
併し過ぎたるは猶及ばざるが如しで宇宙から見たら細菌よりも幾百万倍妖微な人間が考へた事を軽々しく大真理呼はりして居ると、角を矯めて牛を殺すやうな事に成らうも知れぬ
の
である。明治
の
初年頃に虎列刺が流行した時にも、石炭酸を混じた粉末を袂に入れて居らぬと、其筋
の
人から小云を喰つた事があつたが,之が其時代
の
代表であつた
の
である。今日から見ると一つ
の
笑話
の
やうであるが、歴史は繰返すと云ふ事がある。如何に烏天狗が殖えた現代とは云ひながらも、此
の
微細な人間と云ふ生物が、大自然
の
活動に徹底したやうに、之が大真理であるとして、軽はづみに実行する
の
は余程考慮を要する事だと、常にヒヤヒヤして、此
の
変挺な社会
の
状態を観て、今日
の
流感
の
夫れよりも尚一層慨嘆せざるを得ない
の
である、斯かる変転極まり無き社会人心であるから、万々一何処か
の
博士とか云ふ片輪者が現はれて、地上二尺以上
の
空気は全部感冒
の
黴菌を含有して居るから、外出する時は、頭部を二尺以下にして歩行するが安全だと唱え出さうも
の
なら、一も二も無く、博士
の
説を神示以上に迷信する日本人は、外出
の
時に左右
の
手に下駄や沓を着けて四ツ這ひに成るかも知れぬ。それこそ神諭
の
四ツ足
の
歩行く畜生道
の
実現であらう。呵々。
(「神霊界」大正九年二月十一日号)
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