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文献名1大本史料集成 2 >第1部 明治・大正期運動
文献名2第3章 幹部そ他関係文書よみ(新仮名遣い)
文献名3第3節 大本神諭に照らされたる世界覆滅大陰謀よみ(新仮名遣い)
著者浅野和三郎
概要浅野和三郎著作
備考底本にはたくさん傍点が振ってあるがすべて省略した。
タグ データ凡例 データ最終更新日2019-05-14 05:53:46
ページ195 目次メモ
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本文    序
 教祖お筆先中に、露国に上りてをつた悪神仕組云々文句が、所々に見えますが、何ことだか判じ物やうな感がないでもなかつた。然るに大正八年初夏に、マツソン秘密結社陰謀を曝露した印刷物が、日本某重要官衙手に入り、次いで我大本にもそ一本が到来した。これが即悪神筆先ともいふべき、其結社長演説草稿である。これで教祖お筆先謎がとけたである、今回両者を対照して如何にも分り易いやうに編輯した人があるで、取りあへず叢書一として出版することにした。こ人は井上顧問令息で、廿歳青年ではあるが、頭脳明敏な又、恪勤励精好信者である。序でに其労を推奨して、紹介辞に代へておかうとおもふ。
大正九年三月浅野和邇三郎
一 総論
 私は大正八年十二月十五日号神霊界教主補様随筆で、悪神企みが雑誌「公論」紙上で曝露されたと拝読したで、早速同誌を神戸堂で購めた。
「人類共同仇敵世界覆滅呪咀A秘密結社大陰謀」
 劈頭こ大袈裟な見出しに先づ驚かされ乍ら読み初めた。
 滔々五十余頁に亘るマツソン結社大企画!
 私は其陰謀余りに浩大なると、其方法手段余りに巧妙悪辣なるに、只々驚愕嗟嘆、頁を繰る手も為に打振ふであつた。が、私は読み終つて更に更に驚くべき事実を発見した。
 即ち、此陰謀書が我大本神諭と全然合致して、恰も符節を合せたるが如くであるといふ事である。
 で、私はこれから両者を数項に分つて、比較対照して見やうと思ふである。それには先づ此陰謀書、即ち此結社長演説稿本が如何なる性質なもであるかを究むるが最も必要なことである。
 抑も、此秘密結社最高幹部は猶太人によつて組織されて居て、金力と学力とを動力として巧妙毒悪なる画策を廻し、暗々裡に世界統一を九分九厘まで完成して居るであるが、勿論こは単なる人為的結社に非ずして、其後には邪神界一大勢力潜在せるは明白ことである。そは我皇道大本背後には正神界大勢力厳存せると同じであらう、而して此邪神界主宰神は大本神諭「八尾八頭大蛇神(露国悪神)」と「金毛九尾白面悪狐」とである。
 此二邪神は神界にては国祖初め正神界神々を圧倒駆逐して自ら地神界(顕幽界)主宰神となり、遂には天神界(幽顕界)までも其手を延べんとし、現界にては己が霊統をひける一猶太人に依つて全世界を統一せんと企画を、泥海時代より起して居たである。それは「其蛇神目的は綾部高天原を中心と致して置いて、自身が天へ上りて天から末代地界を守護致したいと云ふ思惑でありたなれど」(大正八年十二月十八日)
「利己主義行り方でモウ一ツ悪を強くして、日本国を平げて世界中を外国世界に致して王王になりて末代続かせる仕組をして居るから」(大正六年旧十一月廿三日)
神諭によつて明かである。
 此結社は彼悪神が、主として現界に於ける目的-世界統一-を達する為め、実行機関として造つたもで、国祖が現幽両界に亘る立替立直を遂行し、正神界主宰神に坐します天照皇大神霊統を継承し給へる我日本天皇陛下下に、現世界を統一せんが為め皇道大本なる団体を造られたと同一であらう。
 然らば其機関首脳者たる社長には此邪神内何れかが憑依して居るはモウ寸毫疑を挾む余地もないである。
「支那帝政を覆し、露国君主制を滅し、次で独逸其他君主国を破壊したガガアール悪神霊魂は、米国に渡りてウイルソン肉体を機関と致して世界を乱らし」(大正八年八月十二日)
 こガガアールと云ふは八尾八頭蛇神ださうだから、こ社長には今一つ四足頭が憑つてゐるではあるまいか。
「四足霊は唐天竺へも渡りて来て、国々人民守護神を我自由に致して全然人面獣心国に致して、未だ此上に日本○○○を自由に致す積りであるが」(明治四十年十月十六日)
 なる神諭と、世人が此結社悪計に籠絡され、日本人内にもかゝる人が年々歳々激増しつ』あるとを対照して見ると、さうも考へられる様だ。
 正神界に変性男子経役と女子緯役とがあるからには、邪神界にも亦有るに違ひない。即ち此社長が経役、独帝ウイルソン等が緯役をやらせられて居るではあるまいか。
 然らば、此演説稿本はそ憑依せる邪神頭が社長肉体を使つて書いたも、即ち邪神界神論と見做すことが出来るである。
 是稿本を霊的方面より観察で無しに、単に人為結社長目論見として見ても実に驚死すべき者で、世界人類殊に我々日本人は正に反覆熟読三省すべきもであるが、之を彼悪神筆先として見たならば、更に更に驚くべき深意義が発見されるである。 否私をして言はしむれば、然う解するに非ずんば、到底其真意義を極むることは出来ない。即大本神諭を国祖神懸と考へずに、教祖が肉体で書かれたもとして解釈するも、少しも其真意を捕ふること出来ないと趣を同じくして居ると思ふである。故にこ両者比較は実に正邪両神界神諭対照である。
 吾人はこれによつて神界御経綸深遠広大なると、時期大切迫と、大本神諭絶対的権威とを、悟らざるを得ぬである。
 只憾むらくは、私読み様浅薄ながために此抄録を甚だ不完全杜撰な者としたことで、こ点は深く謝する次第であります。
大本神諭とマツソン結社社長演述稿本と対照
(一)自由平等権利
(マツソン)吾人が自由・平等・四海兄弟なる標語を民間に放つたは、既に古代事である。夫以来、此等語は幾度といふ事なく鸚鵡返しに復習されてゐる。其鸚鵡は此好餌に飛び集り、之を咥えて去ると同時に、世界幸福を破壊し、真正なる個人自由を破壊した。所謂智識階級猪口才な人は、此等抽象であることを知らぬ。其意味矛盾と調和とを知らぬ。又自然界には平等なく自由有り得べからざることや、自然に於る智識才能不平等が自然大法則であることを知らぬ。
 自由・平等・同仁といふ言葉は、吾人牒者が之を世界隅々に宣伝した。幾千万民衆は吾人陣営に投じ来り、此旗を担ぎ廻つて居る。然るに、実際は此標語は到る処に平和と安寧とを破壊し、国家基礎を顛覆して、欧米人幸福を侵害する獅子身中虫である。是が吾人勝利を助長したと言ふことを、諸君は後日首肯せらるゝあらう。
 権利を愛する者を刺撃〔戟〕して権力を濫用せしむる為には、吾人は独立解放といふ我儘な主張を鼓吹して、あらゆる勢力を樹立せしめた。
 自由といふ抽象的な標語は、何者を民衆に与へたか。政府といふ者は、国家持主たる人民手代に過ぎないから、破れた靴如く之を委棄交代せしめる事が出来るもだと云ふ観念を与へた。人民が代表者-政府-を交代し得るといふ事が即ち吾人に其代表者を左右すること機会を与ふるもである。
 若し人間に自由を与へて或年月之に自治を許すならば、放縦に流れるに極つてゐる。其から内乱が起る、団体的戦争も起る。次第に国家は紛乱して、国家が無くなる。自由主義によつて、色々権利が主張せられ、要求せらる。随つて国家と法律と力が段々減殺せられる。吾人はかゝる国家に新権利を獲得し、之を支配する。斯くして彼等は自由と我儘とによつて、実権を我等に明渡すことになり、我等は之を受取つて彼等を圧制してやるだ。
 吾人は各国民に対しては極力自由主義を鼓吹するけれども、吾党内では絶対的無言服従である。
 吾人天下になつた時、国民学校で教へねばならぬことは、唯一学問、学問中学問である。其は何か。人生組織と分業とを有する社会組織である。換言すれば、人間を階級に分たねばならぬと云ふことである。平等は有り得べからざる者であることを各自が記憶せねばならぬ。何となれば各自行動価値が異つて居るからである。
 真自由は「自由は放縦な我儘をする権利ではなく、又人間力と真価とは良心自由平等など如き破壊を主張する権利にあるではない。又個人自由とは烏合集会場で駄弁を弄し、自他を混乱させる権利ではない。真自由は公共生活諸規則を守る人不可侵権であり、又人真価は自分権利と同時に無権利を自覚するにあるもで、自己といふ問題にみ没頭して空想を描いてはならぬ。」
(大本神諭)自由平等とか申すことは一寸と聞けば誠に結構な行り方様であるが、日本神国御先祖様道を外れて、外には自由も平和も来るもではないぞよ。日本には、天照皇大神様万古不易動かぬ神教があるから、此教を忘れて向ふ悪神行り方いたしたら、到底世界は安心して暮すことは出来ぬから、日本神国人民は一人も残らず天照大神様御血統を立て、麻柱誠を貫いて行かねばならぬ、大きい天から責任が有るであるから、国権力や神稜威を無視するやうな悪神計略にかゝらぬ様にして下されよ。(大正八年八月十一日)
 露国悪神霊魂が日本へ渡りて来て、他人苦労で此世を盗みて、好き寸法持方致して、日本魂胤を無茶にいたして自己さへよけらよいと申して、栄耀栄華仕放題持方に……(明治三十三年二月十一日)
 世を立替へて了はんと上が下に覆りて居るで、斯世が思ふ様に行かんであるぞよ。上は上位、下は下に住みて物事に順序を立てねば誠修りはつかんぞよ。(明治三十三年八月十三日)
 上は上、下は下相応行を致して、区別を立てゝ何彼規則を決めるぞよ。規則通りに致さねば向後世は厳しくなるぞよ。これ迄とは天地違に変るぞよ。(大正元年旧十月五日)
 今や、世は挙つて、自由平等に権利主張に狂奔し、苟も之に反対的口吻を洩らす者は、二、三世紀もおくれた者として早速に社会から葬り去られさうな勢である。而も、曷ぞ知らん此語は、A結社即邪神が既に古代より世界各国民に注射し、之を麻酔狂惑せしめ以て各国を紛乱倒壊せしめんとして居る麻酔薬であらうとは、誠にあきれるより外はないではないか。げにも自由平等にあこがるゝ者は、大本神諭「放縦な好寸法な我良し行方」に相違ない。此自由平等標語は彼等にとつて最も大切な武器であるが、之が如何なる方面に如何にして使用せられ、如何なる効果を齎したかは、章を重ぬるに随つて判明する。
 又世学者輩は、大本信者を以つて「所謂智識階級」と笑つてゐる。
 一方社長は彼等博学士を指して、亦「所謂智識階級猪口才な人」と嘲つてゐる。吾人は茲に非常なる滑稽と皮肉を見出すではないか。
(二)無神論物質文明科学発達と金力崇拝
(マツソン)自由が若し敬神を根拠として四海同胞主義に根拠を有する時は、国民幸福を阻碍することなく、国家組織は維持して行くことが出来る。斯る宗教と信仰とを持つて居る時は、人民は地上に於る神摂理に従ひ、教会に統御せられ、甘じて温柔に精神父なる牧師命に従ふもである、夫故吾人は宗教根底を覆し、世界人類裡から神観念を抜き取り、之に代ふるに打算と数理的要求とを以てせねばならぬ……。
 かくすれば社会を指導するもは唯打算、即ち金力みになり、金力が与ふる物質的快楽為に金力みを崇拝することになるだらう。
 そうなると、各国下層民は至善に勤むる為でもなく、又富為でもなく、唯上流社会に対する憎悪から吾人に服従して、吾人競争者たる上流社会権力を奪はんとすることになるだ。
 吾人は文明進歩と云ふ一語を以て各国民を惑はせて大いに成功したではないか、各国民内には物質文明外進歩と称すべきも無しと思ひ、進歩なる語が却て真理から彼等を遠ざける好餌たることを知るもはない。
 神様は、真理保護者たる吾人外誰にも真理が見えないやうに、巧に蔽ひ隠して了ふである。
 吾人世界統御策は歴史的経験や、時々刻々注意深い観察から来るである。欧米一般人々は公平なる史的実験を基礎としないで、唯理論的迷路を辿つて、其結果に対して少しも批判的態度をとらない。是彼等恐るゝに足らざる所以である。
 彼等は当分歓楽に耽るがよい。新歓楽を空想するがよい。過去追想に耽るがよい。又吾人が与へた科学命令を金科玉条として遵奉するがよい。吾人は出版物力を仮りて絶えず科学に対する絶対服従を鼓吹せねばならぬ。彼等智識階級は其智識に誇るがよい、吾人牒者が組立てた学問をば彼等に応用させるだ。
 分り切つて居る虚偽な学説を吹聴して、吾人は各国青年を惑乱させた。
 吾人は最も斬新に最も進歩的に見える学説製造に人心を向はしめねばならぬ。
 昔宗教が国家を統べた時代もあつたが、現今は金力が支配者となつて居る。吾人動力は金力である。
(大本神諭)今世界人民は此世に神は要らんもに致して、神を下に見降して、人民より豪い者はなきやうに思うて居るが、見て御座れよ。
立替真最中になりて来ると、智慧でも学でも金銀を何程積みて居りても、今度は神に縋りて誠神力でないと、大峠が越せんぞよ。(大正五年旧十一月八日)
 日本人民欲に呆けて、学斗りに凝りて、利己主義行方で理窟斗り申して、学力で弁解致して、我悪を隠さうと企みて、一生懸命に学を勉強致して、人を下に見降して、我が上へ昇りて楽に暮すことを考へて居るが、之が外国行り方であるぞよ。日本国は神力で、何事も行ける結構な国であるに、外国カラ教に従うて、日本教を寸毫も用ひずに薩張誑されて居りて、外国にどんな仕組を致して居るといふことも解らずに居る、曰本上下人民は、今に天地先祖様へ申訳なきことが出来いたすぞよ。(明治三十六年四月一日)
 是迄は学力がありたなら、上へ登れたなれど、学力は九分九厘で霊利かん様に仕組みてあるから、時節には勝たれんから、いろはから勉強いたさな、今学では誠ことが分らんで、世が渡れんぞよ。物質と学と終りとなりたぞよ。(大正六年十月十六日)
 変性男子と変性女子と身魂が、誰もよう為ぬ辛抱を致して、此世には神は無きもと、学で神をないやうにして居りたを、此世に神があるかないかと云ふことを、三千世界天晴と天地神をあらはして見せて、此先は日本国は神力なり、外国は学力でどんな事でもいたすなれど、世根本生神神力には敵はんから、今中に海外悪神エライ陰謀を砕いて了ふから、一日も早く往生致すが得であるぞよ。(大正元年旧八月十九日)
 今人民は一も金銀二も金銀と申して、金でなければ世が治まらんやうに取違したり…学さへ有りたら、世界は自由になる様に思うて、畜生学へ深はまり致したり……
是も皆露国へ上りて居る悪神所行であるぞよ。(明治三十一年旧五月五日)
 これに見らるゝ如く、物質文明隆盛及び其原因たる科学発達は、皆世界統一為めに、マツソン結社によつてなされたである。其企画深遠高大なる、真に驚くにたへたりと云ふべきではないか。
 併し、こは一見甚だ奇矯如く、世人はなかなか信じないに違ひない。彼等は「科学者総てがマツソン結社員でない以上、かゝることは有り得べからざることである」など云つて反対するだらう。
然らば、「吾人は文明進歩を云々」「吾人与へた科学命令」「吾人牒者組立てた学問」等は全然虚構ことであらうか。否々国祖御筆先が毛筋横幅嘘もないと同様に悪神筆先にも偽は書いてない筈である。
 此説明は、現界(物質界)みを見た皮相的観察では得られないで、どうしても一歩を進めて神界奥を洞見しなければならないである。
 抑も、此露国悪神と呼ばるゝ神、即ち八岐遠呂知は元は偉大なる肉体をもつてゐて、天然造化現象をも自由になし得る、絶大な神力を発揮してゐたであるが、其巨躯は、古事記「簸川上」に於て、素盞嗚尊にょつて滅されて了つたである。既に幽体みとなつては、さすが彼ももうそんな絶倫な神力を発揮することは出来ない。そこで彼は、其失へる神力に代ふるに学力を以つてし主として人間を機関とし正神界活神(竜神)神力に対抗しやうと試みたである。
 かくて彼は部下神々をして、後世科学者と呼ばるるに至つた人々に憑依せしめ、以つて科学を興しただ。性質こそ邪悪なれ、驚くべき頴敏な智能を有する「悪賢い性来」彼等努力は決して空しからず、やがて科学は長足発達をなし、今日物質文明隆盛を見るに至つたである。
 即ち科学者殆どすべては、皆此結社後に控へて居る邪神使徒となつてゐたで、取りも直さずマツソン結社忠実なる社員である訳だ。
 是が「吾人与へた科学」「吾人牒者組立てた学問」とある所以で、決して虚構説でも誇張せられた言でもないである。又国祖が科学万能主義を極力攻撃せられ、現代文明を外観的な似而非文明と罵倒せらるゝ所以や、神諭中到る所に繰り返されてある。
「神力と学力と大戦」意義も、かくて初めて闡明になるである。
 それから茲にもあるが、此演説中には神様は吾人を保護する云々語句が厦々繰り返されて居る。是も神界消息に盲目な現代人には、一種修飾語位にしか見えないだらうが、こは言ふまでもなく、彼蛇神以下邪神を指すである。是によつてもA結社が邪神界「大本」なる所以が、首肯せられるだらう。
 以上自由平等標語、無神論、唯物的科学、物質文明謳歌と、金力崇拝、之が彼等外国邪悪神人最有力な武器であるである。飜つて世界現状は如何?
 嗚呼人類咽喉は、将に此等兇器によつて突き貫かれんとして居るではないか、今や実に世界人類覚醒す可き時である。日本神民奮起す可き秋である。
(三)善仕組と悪仕組
(其源深し、何れも九分九厘)
(マツソン)今日諸君に報告したいと思ふは、吾人目的が早や完成に近づいた事である。剰す所は僅少だ。神秘的蛇論を完成せんとして居る。此輪が結び付いたならば、欧洲諸国は最も強靱な「たが」で締めつけられた様になるだ。
 世界列国同盟が一時は我等に対して対抗し得るかも知れぬ。が、是も敢へて恐るゝに足らぬ、何となれば吾人は、二千年もかゝつて、各国民間に抜くこと出来ない分離根を張らせて置いただ。
 世人が事真相を知らば、事未だ成らざる内に、兵力に訴へて吾人を攻撃するだらうと言ふかも知れぬが、其れに対しても準備がしてある。
 如何なる勇士をも戦慄させる恐ろしい計画がある。是は地下鉄道だ、地下鉄道は遠からず各国首都に通ずる。国家政治機関と書類とは一時に爆発されて了ふだらう。
 吾人牒者は上流、下流、呑気な行政官階級、著述家、出版業者、本屋番頭、職工、馬車屋、家僕、其他共である。
 吾人は世界各国に調査、感化機関たるA座を設ける。各座には革命主義や自由主義分子を悉く糾合する。座員は各階級から集める。彼等は政治的陰謀を起すもである。吾人手中には現代一大威力たるも、即ち金力がある。二日間でもつて、吾人は如何なる大金でも秘密金庫から取出すことが出来る。
 各国重なる言論機関は既に吾人掌中にある。吾人は之を丈夫な手綱で操縦する。
 今や、吾人権力外に二、三権力が残つてゐる斗りだ。他は悉く掃除して了つた、現に吾人道路には何障害もない。吾人超越政府は正に超帝権資格を具備して居る。目下吾人は世立法家と云つて差支ない。裁判と警察権とを行つて、活殺自在である。
(大本神諭)天地先祖をなくして悪行方で世界頭となりて、此先を悪をモウ一つ強く致して、まぜこぜでやりて行かうと、初発目的通りに、此処までは、トントン拍子に、面白い程上りて来たなれど、此日本には、神深い経綸が世元から致してありて、日本仕組通りに九分九厘まで来たぞよ。
 悪神仕組も九分九厘までは来たなれど、モウ輪止りとなりて前へ行くことも出来ず、後へ戻ることも出来んが、現今ことであるぞよ。仕放題利己主義行方で、末代此世を悪で立てゝ行くこと目的が、今迄は面白い程昇れたなれど。(大正四年旧十二月二日)
 外国悪神企みは、神界にては三千年余り前から、仕組を悪神が致して居りたなり、外国人民を使うて斯世を乱しにかゝりてからでも、二千年になる永い経綸であるから、世界隅々までも、山谷々までも、水も漏らさぬ仕組を致して居るぞよ。(大正八年八月十一日)
 初発世界泥海折から、末代企を為て居りた極悪神身上は、日本大神が詳く知りて居られるから、日本にも、初発から深い仕組が為てありて、今度神と神と大戦であるぞよ。外国頭は、何うなりと日本へ上る企をして居るなれど、日本国へは上げられんから、露国先祖としてありたなれど、悪強い奸賢い性来であるから、何様にしてでも、目的を立てねば、途中で邪魔をいたすと云ふ邪神であるから、天地根本大神は、茲まで悔しい残念を堪り詰めて、悪神仕組九分九厘と成るまで、永い間堪忍をいたして、悪神目的を立てさして置いたが、モウ一ツ目的を立て居るを、日本大神がよく知りて居るから、日本神国には、外国御魂能うせん事が仕組であるから、九分九厘まではトントン拍子に出て来たなれど、モウ悪仕組輪止りが来たから、フクロ鳥宵企みとなりて、此先では夜食に外れて難しき顔を致さなならん様に、時節が参りたぞよ。明治廿五年から知らしてあることが、皆其通りに出て来るぞよ、斯世が出来てから未だない、末代に一度外為られん二度目立替であるに、何も判らぬ悪神仕組は、我良し弱肉強食行方であるから、我血統と親族と眷属とさへよかりたら、何時までかゝりて居りても、奪れた折に奪りたら良いと云ふ悪神仕組は、楽な行方であるぞよ。そんな仕組をして居る方云ふやうに相手になりて居りたら、此世が泥海となることが見透いて居るから、昔元から日本国には、悪神方からは見えも判りも致さず、学力でも智慧でも外身魂では出来ん経綸がしてあるから。……(大正六年旧十一月廿三日)
 日本国は二度目岩戸開を致して、日本は日本御血統で、元天照大御神様神政に捻ぢ直して、世大本から御血統で、万古末代世を建てゝ行く世が参りたから、体主霊従身魂末であるから、好い加減に往生いたすが徳であるぞよ。ここまで日本国を四ツ足自由にしられて、実地大本を無いも同様にいたして置いて、末代世を、未だ此儘で行りて行かうと悪智慧を搾り出して、前後構はず一生懸命に気張りて居るが、到底成就は九分九厘所で致さん、気毒なもであるぞよ。(大正七年旧一月廿三日)
 公論記者は次やうに云つてゐる。「露国は倒れた。独墺は倒れた。英国や伊太利は労働問題に、無政府主義に、苦しみつゝある。嗚呼A結社所謂神秘的蛇論首と尾とが結ばれる時が来るだらうか。斯う考へると欧州諸国は随分危い。此際に当つて断然として立つて国家を維持し、如何なる陰謀にも毒計にも更に動かないもは、我日本帝国でなければならぬ。神秘的蛇論は現代八岐大蛇だ。其首を刎ねるは大和民族任務である。」こ八岐大蛇と断じた所は偶然か、記者霊覚か、大本神諭と一致して居る。素盞嗚尊働を言霊解すれば、雄しき益良夫団体働となる、之は教主補御話である。
 八岐大蛇は八人之姫内七人まで併呑んで了つた。彼は只一人残された櫛稲田姫をも呑まうとして居る。それが現今であるだ。
 大和益良夫蹶起時は来た。酒甕智謀と、十拳神劔武勇とによつて、大蛇を寸断する秋は来た。吾人責は重且大である。嗚呼思ふだに吾人血は湧き吾人肉は躍るではないか。
(四)立憲政治共和政体不可と君主神権政優越
(マツソン)吾人は自由主義なる毒を吾人敵なる諸国に注射した、諸国は不治病にかゝつて今煩悶して居る最中だ、リベラリズムから憲法政治が生れた。此政体も運用方法を巧みにしないと、唯紛擾し争論する無益学校となつて了ふ。議会辯論は刊行物以上に王者行動と勢力とを殺ぐもだ。
 浜真砂様な饒舌家は国会と政府とを舌戦場と化して了つた。大胆な新聞記者、無遠慮な政論客は毎日行政官を攻撃する。五里霧中な群集為結局万事は顛倒するだらう。吾人は民衆為、名みで実ない権利を憲法に入れた。吾人が食卓上から投げ与へるパン切れと、吾人命令と外に下層人民は憲法政治から何者を得ることが出来たか?民衆と云ふもは、つまらない意地や、迷信や、或は小供に等しい理窟に囚はれて、動もすると党争を惹き起して、分り切つた事にでもなかく一致しないもである。彼等は政治上秘密を知らないから、何でも多数決といつたやうな愚にもつかない事で決議をして、無政府種を蒔くもである。
 欧洲諸国にも漸く共和時代が現出した。政治上畸形児たる大統領が出来る。大統領は吾人手足たる民衆に選挙させるから、結局彼も吾人命を奉じて働かねばならぬやうになるだ。吾人は大統領に新憲法を制定させ、吾人掌中に立法能力を収めて了う。
 共和制は貧乏人にとつては痛々しい皮肉ではないか。何となれば、日々衣食に追はれるから自分権利を利用することが出来ないで、雇主或は仲間罷工に左右せられて、確実な常収入を失ふことになるから。
 唯独裁君主みが諸般計画を統一し国家機関上に按配し、秩序をたてゝ処理すること出来るもである。故に国家利益になる政治は、責任ある独裁主権者掌裡に帰しなければならない。吾人主君は神意によつて定められたもであり、理智ではなく、寧ろ性情によつて統治する。
 将来政権が吾人手に帰る時、一切憲法を除去する階段として諸制度を一つ一つ取り除いて置くである。そして憲法政治変更を提議する。尤も吾人独裁政治は立憲制破壊以前に承認されるかも知れぬ。
(大本神諭)日本為政者流が外国之施政方針模擬を敢行心酔て、全然皇国天立神権君主を偶像視して、自己栄達主義之暴政であるから、日本現今下民嘗塗炭之状態であるぞよ。
 日本天立君主神権政治を立憲君主政体に変更して、至尊様天権を束縛して了うた故に、人民偽善高官までが、神皇を蔑視して居るぞよ。共和政体立憲君主政体は、日本には絶対的不適当ぞよ。(大正元年旧七月四日教主義訓)
 外国真似斗り致して、是が開けた世行り方と申して居るが、何処が開けたか。肝心開くべき処は二重三重に塞いで了うて、開いてはならぬ神国宝を破乱して、二進も三進も行かんやうになりて、途中鼻高が毎年一処へ国々から集つて来て、豪い結構な御相談や言論を致して御座るが、下何も知らん人民はよい面皮じやぞよ。(大正六年旧十一月廿三日)
 世界中を桝掛を引いて、世界を、大本を創造へた天と地と先祖王で、万古末代善一つ神国王で、世を治めて、口舌ない様に致すぞよ。天は至仁至愛真神天照大神様王也。地世界は根本大国常立尊守護で、日本神国万古末代動かぬ神王で治めるぞよ。
 此世界は一つ王で治めんことには、人民王では治まりは致さんぞよ。日本王は神王であるぞよ。(大正五年旧十一月八日)
 憲法政治は国家を破壊するに効果最も顕著な否欠くべからざる唯一有力な武器自由主義から生れただ、即ち出発点よりしてマンマとマツソン戦略にかかつて居るである。其不可なるは言ふまでもない。 読者諸君はくだらぬ理論ー社長所謂「子供に等しい理窟」を棄てゝ、過去決算報告帳たる歴史に徴して判断せられよ。
 ナポレオン皇帝下に統べられたフランス帝国は、国威隆々としてよく全欧州に号令し得た。而して彼帝政が倒れて、自由民権を標榜して居る現今フランス共和国となつてからは如何?外には忽ちプロシヤに粉砕せられ、内政も亦思はしからず、其国力消長隆替甚しきは殆ど同日談ではないだ。之を上古に求めんとするならば、君主専制権化たるスパルタと自由民主標本たるアテネとを比較せられよ。近くに求めんとするならば、征旅数千里、燎原如き勢を以て遠く欧洲野まで躁躍し去つた元帝国と、現今中華民国とを対照せられよ。更に万世不易我帝国と興亡定りなき世界各国とを比較して見られよ。
 又理窟家は専制政治は為政者に勝手な暴戻を許し、下民は甚だ不幸であるなど云ふかも知れぬが、現今レイニン、トロツキー等が口に民主、共産を唱へ乍らなしつゝある暴虐は、之を何れ帝王何れ君主に見出されるだらうか。
 桀紂は酒池肉林淫楽に耽りし故に、ネロは美姫を焼き基督教徒を犬に喰はせた故に、暴君模範とせられたが、斯く如きは、今日数千人罪なき老者小児を虐殺し毒殺し餓死せしめ、活として顧みない、彼ら暴戻に比しては殆ど物数にもならないだ。
「先見明ある王者と盲従的な国民とが合する時は、吾人にとつて最も恐しい敵である」と云ふ社長言に、是等活事実を照らして見たなら一切は明々白々である。
 之を更に具体的に説明すれば、マツソンは先づ自由平等なる標語を以て、行政権を少数帝王より多数民衆手にわたし、次に此麻薬を益々つよくし盲目な山羊(民衆)を駆つて帝王を倒させ、世界が紛々擾々回収すべからざるに至るを待つて、暗中に磨いて居つた毒爪を顕はし、之を一網打尽的に征服し統一目的を達成せんとするが、其最初から計画であるだ。此第一段が即ち憲法政治となり、第二段が民主共和政とあらはれ、第三段でマツソン大帝国出現なる最後結果に到達するだ、であるから、憲政を採用するはやがてマツソンに隷属するに至る行程に立つたもであつて、民主、共和国如きに至つては事実上既に其属国と云つてもよいである。
 故に国家滅亡を防ぐべく吾国民取るべき道はどうしても万世一系御天職を翼賛し奉り、皇室中心主義下に国民は只管勅令をかしこみ、上下一致して忠君愛国至誠を披瀝し、以てこ大敵に当らねばならぬだ。
 かくして初めて正神界神々大加護は来り、其絶大なる神力は第二神風となつて一挙にして外国悪神経綸を粉砕して了はれるだ。
 今日学者如く少しも其由つて来る所を窮めずして、徒に自由民主を鼓吹するが如き学説を流布して得々たるは、自ら亡国種子を蒔き、マツソン世界統一を助成するもで、所謂盗に糧を資し冠に兵を仮す愚に等しいだ、余は我国学者輩猛省を切に希望してやまない。
 普選問題如きもこゝより見れば、我国にとつて如何に危険なもであるかは明白である。是も勿論マツソン仕組んだもで、社長は次如く堂々と言明して居る。
「吾人が希望革命を完成した暁には、次やうなことを云はう。
『君達困苦原因、即ち民族、国境、貨幣差を研究しよう。是に対して諸君は、否定的宣告を為されるかも知れぬが、其れは自由である。然し吾人が諸君に与へんとするもを試みないで否定するは食はず嫌譏を免れることは出来ない』と。斯く言ふなら、彼等は心中から喜んで、異口同音に吾人を讃美するに相違ない。
 吾人が天下掌握武器と恃む普通選挙は、人類同士をして団体集合や協定など習慣を作らしめ、遂に吾人提議を否決する前に、其れを研究しようといふことに一致させる。之が為には階級区別なしに何人にも発言権を与へて絶対多数を得なければならぬ。」
 嗚呼惑はされたる国氏よ!須く直ちに迷夢より醒めて警戒せよ!然らずして猶軽挙を敢へてし盲動を続くれば、次に来るもは只亡国あるみ、マツソン専制ヘ隷属あるみ!
(五)労働問題と食糧問題
(マツソン)今日一般人民は自分暗黒と吾人が故意に助長する迷論に動かされ、自分より上階級に対して敵意を抱いて居る。此敵意は経済上恐慌によつて一層高められる。吾人は自己掌中にある金力と陰謀とによつて、経済的恐慌を起してやることに準備して居る。即ち時を期して一時に労働者が注むに家なき有様を来らしめる。さうすると彼等は日頃から憎んで居る富豪血を吸はうと思つて馳せ集り、富豪財産を掠奪することになるだ。
 吾人は各国工業を破壊する方法を予め設けてをる。吾人が鼓吹した所贅沢的要求を益々ひろげる。又益々労銀を騰貴せしめる。こ労銀は労働者にとつては何利益も与へないもである。何となれば農業畜産衰微を名として日常品価格を引き上げるから、吾人謀計を中途で以て悟られないやうに、表面上労働階級を助け、吾党経済学者主張して居る経済原則を擁護するか如く装うて、吾人本心を蔽ひかくさねばならぬ。
今日食物欠乏は、各国民をして何んでも斯でも吾人奴隷たることを甘んじさせねばならなくなる。
(大本神諭)悪神先祖企みで、薩張り世持方を誤されて了ふて、上下運不運激しき世になりて、上下守護神人民が、内輪喧嘩斗りで日を暮し、ストライキなど起さなならんやうに、国と人民心とを乱されて居りて、チツトも気附かん厄介な人民斗りであるから。(大正八年八月十一日)
 食物は段々と欠乏になる也、菜葉一枚でも大事なことに、今になりて来るぞよ、何程金を貯めて歓んで居りても、正勝時には金銀では命が継げんぞよ。百万円金よりも一握御米方が大切な世が廻りて来て。……(大正六年旧十一月廿三日)
結構な田地に木苗を植ゑたり、色々苗を造つたり、大切な土地を要らぬことに使うたり致して。人民肝腎米、麦、豆、粟を何とも思はず、米や豆や麦は何程でも外国から買へると申して居るが、何処までもさうは行かんことがあるから、猫居る所にも五穀を植ゑ付けねばならぬ様になりて来るぞよ。(明治卅六年旧十一月九日)
 嘗て大本時報紙に神諭さへ読めば労働問題如きは、勿ち解決されると、あつたを、或新聞が巣鴨式だとか云つて笑つてゐたが、労働問題如きはマツソンが多数下層民を利用して己が強敵なる各国帝王、資本家、地主権力を失墜せしめんが為に起したもで大本神諭によつて容易に解決せられるである。
「こ大本には、三千世界大気違やら大化物が現れて、世立替立直御用を致して居るから、普通人民目からは見当は一寸、とれ難いなれど、世界大本に現はれた大気違申したことは一分一厘違ない、チト実ある気違であるぞよ。神から見れば今日本人民は真正狂人斗りで、言ふことも為ることも皆間違だらけであるぞよ」。(大正七年十二月二十二日)
 A結社が世界統一武器とたんでゐる普通選挙を一生懸命に後援し、時勢に順応せぬばならぬと叫び、ヤレ階級制度廃止、ソレ自由民権と、マツソン思ふ笑壷に、忠義立をしてゐる新聞記者こそ、大神御目には真巣鴨式に見えるだらう。
(六)贅沢禁止
(マツソン)吾人が世界を統一した暁には、吾人は贅沢品製造を制限する。
(大本神諭)上人民が贅沢なから、下までが見習うて又贅沢をいたすが、何時までもこんな行方では続かんぞよ。
 天地先祖が構ふ世になれば、今までやうな贅沢な行方を根本から変へねば、此儘で行り放題にさして置いたら、上も下も総潰となりて、こ世が立たんことになるぞよ。(大正六年旧九月三十日)
 巌に松動かぬ固い神世になるから、今迄やうな人民行方なり贅沢三昧は如何しても出来ぬ様に厳しく変るぞよ。(大正七年旧二月廿六日)
斯く両神世界改造後施政方針に一致点が甚だ多く見出される。
 (後章参照)こは蓋し両神非常なる達見が最善方法を取るに一致したもと思はれる。
(七)原始的政治
(マツソン)吾人政治は原始的で、為政者は親権を以て人民に臨み後見するである。国民は為政者を見ること父如くであらう。さうなると臣民は平和安寧生活を送るには、為政者親切と指導とに便る外はないと観念する。斯くすれば殆ど神を敬するに近い尊敬を以て、吾が為政者を仰ぐことになる。
(大本神諭)元昔に世を返すぞよ。(明治二十五年正月)昔神世に立替る時節が来たぞよ。(明治三十三年…月…日)
 猶此項につきては(四)(六)(十二)を参照せられたし。
(八)戦乱飢餓悪疫猖獗
(マツソン)吾人は各国に於て政府と国民と関係を紛糾せしめ、内訂、怨恨、争闘、困苦、飢餓、病毒伝播、生活難等武器を以て絶えず民衆を攻め抜かねばならぬ。さうなると彼等はどうしても、吾人全力と独裁権とに服従して来る他に、道は無くなるである。(大本神諭)露国へ昔から上りて居りた悪神頭が、露国を無茶苦茶に致して、モ一ツ向ふ国ヘ渡りて、外国隅々までもワヤに致して、金費るは底知れず、人命をとるも底知れず、行きも戻りも出来んやうにいたして、食物も無い所まで致して、終には日本神国へ攻めて来て、世界を我儘に致す、ドエライ好計を致して居るが。……(大正六年旧十一月廿三日)
 行き放題行りカンボウでは、トンと行き詰りた折には、人民が皆飢餓に及ぶことが出来て来るぞよ。
 畜生国やうに、終には人民を餌食に為んならん様なことが出来やうも知れんが、何程窮りて来ても日本国は友食と云ふ如うなことは出来んぞよ。(大正七年旧正月廿三日)
 病神が其辺一面に覇を利かして、人民を残らず苦しめ様と企みて、人民油断を狙ひ詰て居りても、神に縋りて助かる事も知らずに、外国から渡りて来た、悪神教へた、毒になつても薬にはならぬヤクザもに、沢山金を出して、長命出来る身体をワヤに為られて居りても、夢にも悟らん馬鹿な人民斗りで-…(明冶三十一年旧五月五日)
餓鬼が段々殖えるぞよ。思はね国替を致す人民も沢山あるぞよ。医者と坊主と葬式屋豊年は続くぞよ。(大正七年十二月二十五日)
 一昨年末来、獰猛を極め全世界至る所死体山を築かめした、西班牙風邪手品種も是によつて明かされた。皆此結社世界覆滅所業である、誠に驚くべき哉ではないか。併し、かう云つても彼等手に企まれた唯物科学に惑乱されて、大本神諭「盲と聾者」になり切つて居る現代人には、容易に了解されないかも知れぬ。何となれば、直接此「病毒伝播」衝に当つてゐるは、人ではなくて神であるからである。私は総論に於て此結社後に邪神界あることを説いた。そ眷族共がやつてゐるである。
 即ち狐狸等四ツ足霊、及び悪亡霊が黴菌を携ヘて人体に憑依し、其黴菌を植ゑつけて保護蕃殖せしめ、協力して肉体を忽ちに死に至らしめるである。今度流感が全世界隈なく猖獗を極め、如何なる寒村僻地をも見逃さなかつた所以は、一は実に茲にあるである。
 勿論之とても、私が独決め妄説臆想でもなんでもなく、上に掲げた大神明示と鎮魂帰神神法結果得た千百実験ー是等悪霊自白等ーによつて確証せられたことである。
 這事が解れば、此度感冒が、壮者殊に軍人社会に多く、俗に「今度風邪は老人小供を嫌らう」と云つてゐるや、死亡率年一年と高くなる理由も、亦自ら解決されるであらう。即ち「日本を一コロに取る企み」を為て居る邪神界にとつては、国家干城たる壮丁を一人でも少くした方が都合がよいからである。
 一方正神界に於ては、今は之に対して傍観的態度をとつて居られる。
 然し是とても決して袖手して我不関焉で居られるではない。
 改心せる人又は見込ある人、換言すれば神縁有る身魂には、厚い冥護を与へられて居るで従つて、是等人々は、決して斯る悪病に犯されることなく、仮令犯されても、生命には毫も危険はないである。故に今度死する人は悉く一部因縁ない身魂みと云ひ得るである。
 即ち邪悪分子が掃除されるである。詳言すれば、我が大神は彼等邪神共を掃除人足に使はれてゐるで、所謂毒を以て毒を制す妙策を取られて居られるだ。
 然しこんなことを知らない邪神界では、感冒位で満足せずに、もつヘちちうとトコトンまで行り抜かうとするに相違ないやうに思はれる。さうすると、世界前途は此点みよりしても、弥々益々暗澹となる訳である。今こ毒手より免れ得る方法は一つある。而して唯一つに限られてゐる。
 其は発根と改心して、原大和魂に立ち復り、以て大本大神大加護を仰ぐ、こ一途みである。是れ無くして、即ち体主霊従四ツ足心を改めずに置いて、何程神前で頓首叩頭しても、何程御百度詣りや千度詣りをしても、そんな病直し身欲信心は所詮駄目である。又現代医学無効なるは云ふまでもない。
 何となれば黴菌持参者後援者たる、本尊悪霊を処理することを知らずに、其れが肉体を死滅せしめんとする方法、行為が肉体に顕はれた状況みに捉はれ、全然本末を顛倒して居るからである。
 論より証拠、今回感冒でざへも、現代医学は其無能を遺憾なく曝露して居るではないか。
 世界に亘る飢饉状態についても明細に予言警告してある。
 吾人が、小説によつてやつと想像し得た、人肉販売は既に露懊に於て行はれて、新喰人蛮族は、所謂文明中心地たる欧洲所在に簇生した。大本神諭現実化的確にして、分厘誤差なきに敬服して居る吾人は、我国前途につき深憂に堪へぬもがあるである。
(九)無気力と軽佻浮薄
(マツソン)吾人にとつて最も危険なもは、独断専行である。各国民をば如何しても、無気力に教育させなければならない。秘密結社に喜んで加入するもは、大抵饒舌家射倖者、即ち概ね軽佻浮薄人間である。
 彼等を利用するは少しも六ケ敷ない、彼等を利用して吾人計画機関を運転するだ。
(大本神諭)此方も我で失策りた神であるから、我は出されん世であるぞよ。
今度事は我が些つとも無くては不可んぞよ我も無くては、斯んな御用致すには柔順斗りでも間に合はんぞよ。我はなるたけ膳下丹田に鎮めて置いて、従来心を全然棄てゝ、元大和魂になりて下されよ。(大正三年旧九月十九日)
 大本御用致さうと思ふ人は、陽気浮気では勤め上らんぞよ。
(大正元年旧七月四日)
 これから天地ビツクリ箱が開くから、是丈知らしてあるに、未だ陽気浮気で居る守護神は、モウ此行く先では、黙りて居りて神界帳を切りて、霊利かんやうにして了ふぞよ。(大正三年旧九月十七日)
(十)煽動
(マツソン)吾人煽動に乗る国民は屹度政権争奪闘争を惹起し自滅する……。
 吾人は彼等を自由に頤使することが出来る。
(大本神論)人口車に乗るとスコタンに転覆ぞよ。(明治二十三年旧八月十一日)
(十一)商工政策と投機。世界統一後に於けるマツソン課税制度ー金貨本位不幸と金融逼迫
(マツソン)富と云ふもを大仕掛に独占するは吾人目的である。列席経済家諸君希くばこ仕掛意味を実行せられよ。吾人は地租を高めて貴族を破産せしむると同時に、商工業、殊に投機買占を保護奨励しなければならぬ。
 工業によつて吾人は土地から人と資本とを奪ひ、投機世界を経て満天下黄金を悉く吾人手中に収める、各国民は下層に沈倫して、吾人足下に拝伏するより外に方法がなくなつて了ふ、世界統一暁には吾人は工業家私有資本を覆す為に家族的工業を復活させる。是は極めて必要なことだ。何となれば工業家はよし無意識にせよ、群集心理を政府と反対に左右することが出来るから。人民即ち家族工業家は無仕事と云ふことを知らぬ。是が即ち主権に服従する所以である。
 吾人天下になつた時は自衛原則に基き、民衆を抑ふるに課税を以てする、但し吾人は父であり保護者であることを忘れない。
 税金償却を税金累課から始めるが最良方法である。斯くすれば税金は何等苦痛なしに又破産恐れなしに、財産率に応ずることになる。
 貧乏人へ課税することは、革命種子であつて、国家にとつては損失である。如何となれば小物を追ふて大物を逸するから。之に反して資本家課税は、吾人に各国民に対抗する 為に、個人手に集中して置いた富を、個人的に増加させないことになる。
 財産率に随つて増加する税は、目下人頭税などよりは、遙に多く収入を与へるもである。人頭税などは各国民に動揺と不平とを起させる為にみ必要なもだ。
 吾人王者頼みとする力は均衡と平和保証とである。之が為には資産家が国家機関安全運転為め、自分収入一分を割かねばならぬ。国費は苦痛を感じないもから出すべきである。斯くすれば、富者に対する貧者憎悪が無くなり、富者を以て国家財政補助者と見做し、平和安寧整頓者と見るやうになる。
 金貨本位は国家為不幸一因たることは、諸国了解せる所である。
 如何となれば吾人は出来る限り、金を融通界から取上げたから、金貨は紙幣消費を満すに足らないだ。
 財産破綻には金融界から貨幣を取り上げて了ふだ。是は吾人が各国に仕組んだもだ。国家から金を引上げたから巨額資本が渋滞した。
 堂々たる国家が吾人に国債を仰がなければならない破目になつた。此等国債は利子支払で十分国家を苦しめ、残る元金で其国家が自ら奴隷
になる。そして企業家手に経営せられる工業は、国民膏血と国家富とを吸ひ尽した。
(大本神諭)現今世は金銀為本で治まるやうに思うて居るが、金は世滅亡本であるぞよ。根本から立替へるぞよ。お土から上りたもを大切にいたさねば、貨幣では世が治らんぞよ。酒も造れる、煙草も造りて喫める、心安き世にかへるぞよ。(明治二十五年)
 金銀を余り大切に致すと、世は何時までも治らんから、艮金神天晴守護になりたら、天産自給其国々物で活けるやうに致して、天地へ御目にかける仕組が致してあるぞよ。(明治二十六年旧七月十二日)
 此世が来た折には、世界中困難となりて、何方国にも金銀要るは程知れず、金融は段々逼迫になるし、どう為やうも無きやうに、一旦世界中は火消えたやうになるから……。(大正元年旧十月五日)
 金は引上になるぞよ。(明治三十三年閏八月一日)
 商工業方面にもかゝる綿密な仕組がしてあるは、流石はマツソンである。
 が、一方正神界方では、こんな事には殆んど一顧をも与へて居られないやうである。是は、国祖は「地震、雷、火雨ふらし、外国を往生さすぞよ」とある如く、最後審判は、之を元活神たる竜神絶倫なる神力によつてなされるだから、斯る竜体無い邪神界するやうな姑息な、手段を採られる必要は少しも無いからである。
 又国祖御仕組では、立替後は金銀為本経済組織、即ち貨幣制度は全廃されるだから、課税問題如きも自ら消滅するわけである。
 前掲「酒も造れる」云々は之を説明するもで、大本神諭中に課税制度に関することがすこしも書いてないは此為である。是が改造後に於る正邪両神界政策中唯一、そして最も大きい差異である。工業家私有資本を覆すに、家族的工業復活を以てするとよ面白い。
 国祖は「世界を自由にする」てふ、吾人想像にも及ばない偉大な神力を有せられるだからたまらない。
「予言所か確言斗り」と裏神諭にあるが誠に其通である。
 正神界御筆先たる大本神諭は、邪神界それなるA秘密結社陰謀書によつて、何物も動かすこと出来ぬ裏書を与へられた。
 見よ、誰一人知るもゝ無かつたー彼社長自身も「吾人謀計は巧妙出没で誰にも知られる筈はない」と放言せるマツソン結社驚死すべき陰謀は、殆ど目に一丁字もなかつた、丹波一老婆教祖先に細々と描き出されて剰す所はないではないか。
 嗚呼大本神諭権威はかくも絶大である。
 之を古にしては古事記、今にしては大本神諭、此二神鏡明光は柄乎として宇内を照徹して居るである。世軽々大本神諭を笑ふ者よ。君はかくても未だ笑はんとするか。、
 然らば君はマツソン使徒である。八岐大蛇眷属である。君後には君を操る邪神が亦君を笑つてゐるだ。
 猶こ比較抄録よりして、皇道大本が正神界マツソン結社で、マツソン結社は邪神界皇道大本なることを看取せられた諸君は、皇道大本が宗教に非ざる所以も同時に悉知せられたであらう。我大本は宗教如き狭隘な無力なもではなくて、実に世界改造実行中府であるである。マツソン結社も亦同様で、従つて両者間に共通点多くあるは、上に見らるゝ通りである。
 我れ世界を統一せんとすれば、彼も亦同じ目的を有し、彼が施政方針を陳ぶれば、そは亦我に一致する。我は正彼は邪(性質)我は神力彼は学力、(実行手段)こ二差と之に随伴する条件とを除けば、両者は何等差異もない者となつて了ふである。
 今や帝国内外は紛糾纏繆、赤三角黒手によつて企まれた内憂外患は交々至りつゝある。A結社魔手は津々浦々までも延されんとして居る。こまゝで置いたならば、我帝国ば彼等猛太族為に蹂躙せられて了ふより外はないだ。而も其暁には火中栗を拾はされるとも知らずして、理想社会建設愚夢に恋々として居つた民主、社会、虚無、主義者、自由平等を唱へて新人がつてゐた軽薄者流は、最も皮肉な報酬をうけるだ。握飯と柿とを取られた上に背まで潰された蟹舞をするだ。即ち彼等は如何なる人も自由にする権利はないと云つてゐる、生命をとられるか、島流刑に処せられるか、するだ。
 見よ!彼社長は、「今迄存在して居る結社は、すつかり吾人が之を知つて居る。彼等うちに吾人に対して忠義を尽したももあり、又今尽しつつあるももある。其れ等を区分して之を欧洲から遠い大陸に移してしまう。秘密を沢山知つて居るもは、前述如く処理し(死刑也)吾人が特に慈悲を加へて残して置くもは流罪にして了う。つまり吾人秘密結社に加入して居た者共をば、政府中心たる欧州から追放する法律を設けるだ」と云つてゐるではないか。
 帝国危急存亡秋至る。人類危機迫る。最早かく叫ぶだけでも愚かである。
嗚呼今此毒悪神人結社大陰謀を根底より破壊し、其毒頷より累卵帝国を救ひ、世界人類を真正光明世界に導くもは、世界広しと雖も、天照皇大神を皇大御神と仰ぎ奉り、武勇絶倫なる大国常立尊始め元活神大守護下に、敬神尊皇愛国旗幟を翻せる我皇道大本を措いては絶無であるだ。
 這般消息は是非好悪念を去つて、以上比較抄録を熟読せられたみで、蓋し思ひ半ばに過ぐるであらう。
 既に時期は切迫に切迫を告げた、神秘的蛇論が完成するか?素盞嗚尊によつて両断せらるゝか?其最後刹那は将に来らんとしてゐるだ。苟くも此事を知つて猶晏如たる者あらば、そは腰抜と笑はれ、国賊と罵らるゝも又如何にせん。
 醒めよ、我六千万同胞よ!
 若し君血管に一滴大和民族赤き血液燃ゆるあらば、否極言すれば、ヂウ族奴隷たることを欲せずんば、来つて皇道大本大傘下に集れ!
 敬神尊皇愛国神剣を揮つて彼八岐大蛇を寸断せよ!
 是より世界統一権表象たる草薙宝劔を得て、我 現津御神陛下に捧呈せよ!
 以上言辞少しく不遜独断、弱冠言としては、或は生意気謗をうけんも、一片国を憂へ同胞を憐む至情黙し難く、敢へて蕪辞をつらね、以て世人に警告せんとすと云ふ。
(大正九年八月十二日大本教団所蔵)
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