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文献名1大本史料集成 2 >第2部 昭和期運動
文献名2第1章 運動概要 >第6節 皇道維新と経綸よみ(新仮名遣い)
文献名3世界経綸よみ(新仮名遣い)
著者
概要オニペディア「皇道維新と経綸」を参照。
備考
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ページ425 目次メモ
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本文    第一章 天津日嗣天皇

 天地開闢以来依然として高天原に成り坐せる皇大御親神、天之御中主大御神より伊邪那岐大御神御経営終りに於て、御皇祖天照大御神御神勅に因りて、御子正勝吾勝勝速日天忍穂耳命に天下を治むる御天職を授け給ひ、御皇孫天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命に五伴緒命、三種神器と三神を副へ賜ひて世界を経綸し天下を治むる政事制詔を授け給ふ。
 茲に皇孫命は筑紫日向高千穂に坐しまして天運循環神則に因りて人文開発し、天津日嗣天皇御天職を顕彰し給ふ時運到来を待ち給ふ。
 こ御子天津日高日子穂々出見命、こ御子天津日高日子波限建鵜茅葺不合命、こ御子若御毛沼命、亦名豊御毛沼命、亦名神倭伊波礼毘古命と称す。後世こ命に神武天皇御諡称を奉る。
 これより万世一系御歴代天皇は和光同塵神策を垂れ給ひ、明治御代に到り天運茲に循環して世界人文は以て皇道を宣揚教化せしむる智域に達し、交通機関発達は弥々益々天津日嗣天皇御天職を顕彰し以て世界を総攬統一する機運を促進せり。嗚呼盛大なるかな昭和聖代鴻業曙光、大日本は神国なりと称する所以実に斯に存するなり矣。

   第二章 皇国御経綸基礎

 天津日嗣天皇御経綸憲制は皇祖天照大御神瞭かに神勅を以て示し賜ふ。
 三種神器は天津日嗣天皇御経綸根本基礎なり。
 其一は遠岐斯八尺勾璁・鏡なり。こ名称は畏くも天津日嗣天皇国体と皇祖言依し賜ひし神聖なる御遺訓と、一体不離御性質なることを示させ給ふ御意義なり。上古は皇室に語局と謂ふ司ありて、御遺訓を言嗣ぎ来りしもなり。掛巻も畏き御鏡とは、皇祖言依し賜ひし御遺訓なり、即ち皇宗天武天皇が御後葉に流へ賜ひし帝皇口嗣及先代旧辞を撰録せる邦家之経緯、王化之鴻基焉皇典古事記御事なり。
 其二は草那芸劔なり。亦名を都牟刈之大刀と謂ふ。こ草那芸劔御本体は大日本神国なり。即ち御名義はくさぐさ(種々)天賦本性本能を発揮して天津日嗣御経綸を顕彰し以て天下を治むる大機関に在ります事なり。都牟刈之大刀意義は、日本国は国別に、水陸、気候、人類、動植産物が世界を経綸する基礎的本能を具備し居ると謂ふ事たるなり。

  皇道顕彰

 皇祖御遺訓に明瞭に示し給へり、こ国は丹波国なり。神聖なる皇道を闡顕し奉り、天津日嗣天皇御天職を行ひ給ふ御国体精華を発揮し奉るべき本能を具備せる事が丹波国一大天賦的使命たるべきなり。
 其他国々にも皆天賦特質と本能を具備し、其国に生れ出でたる人々は、必ず其国特質本能を発揮すべき性質を先天的に具有し居るもなり。

   第三章 神聖なる皇霊御親政

  三神神政経綸

 皇祖御遺訓に、
『其遠岐斯八尺勾璁・鏡及草那芸劔、亦常世思金神、手力男神、天石門別神を副へ賜ひ而詔者
此之鏡者、専我御魂と為而、吾前を拝くが如伊都岐奉れ、次に思金神は前事を取持為政』
 即ち此御神勅政を行ひ奉る神聖なる御神政がありて人が神機を顕し奉る行事なり。また常世思金神御活用に因りて、手力男神と天石門別神が御活動あらせらるる神聖なる御神事なり。要は神聖なる神霊に奉斎する最高行政機関なり。神聖なる神祇官神政なり。中古無能的形式如きもにあらず。三神不離御活勤なり。こ神聖なる神政は佐久久斯侶伊須受能宮に於て奉行すべき御事なり。

   第四章 国家経綸根本機関

  五伴緒命行政

 国家経綸を運用する五大機関が五伴緒神職掌なり。
(一)天児屋命(中臣連祖)世界経綸を統轄主宰する職掌にして現代所謂外務なり。
(二)布刀玉命(忌部首祖)人天賦性能に適せる職を定め統轄する職掌にして現代所謂農工商務なり。
(三)天宇受売命(猿女君祖)女子天職を行ふ修養教育を司る職掌にして現代所謂女子教育なり。
(四)伊斯許理度売命(鏡作連祖)国家経綸を批正し公平に監査討究し以て神聖なる天津日嗣政を正しく行はしむる職掌にして現代所謂司法なり。
(五)玉祖命(玉祖連等祖)教育文芸等人生目的たる文明開発を扶掖教導する職司にして現代所謂学務なり。
 皇国経綸行政機関としては以上五大別に区分して経営すベき事は神聖なる皇祖御遺訓皇典古事記に明瞭に示させ給へり。

   第五章 国家経済

 皇国経済根本義は国家家族主義にあり。こ行政機関は、
(一)県主(あがたぬし)と謂ひ、
(二)直(あたへ)と謂ふ。
 こ職掌は専ら衣食住国民経済を司るなり。由来天津日嗣天皇食知給ふ大日本神皇国国民経済根本義は、
 食糧は日本国内に於て生産するもを以て、国民を養ふべきもたり。
 衣服は気候風土に適し、人格に応じ、職業に応じ、礼節に応じ、待遇に応じたる服制を統一して数量を定め、節制以て過不足なからしむべきもたるなり。
 住宅は職に応じ、家族多寡に応じたる家屋を制定すべきもなり。
 これ皆「あがたぬし」「あたへ」等職掌なり。
 要するに大日本神皇国経済根本義は国民全般に衣食住後顧憂ひなからしむる事にあり。中古及び現代財政経済は根本に於て我が国体本義に矛盾し居れるなり。租税制度は本来外国模倣制度にして他国を奪略征服して建国せる猟獲的国体悪制なり。貨幣制度即ち黄金万能主義は全然御国体本義と根本的矛盾して居るもなり。此件につき神聖なる皇祖御遺訓に顕然として天照大御神皇宗に言教へ給へる御神勅あり。次に其御神勅本文を発表し奉り、皇国財政根本義及び外国経綸大方針を披瀝し奉るベし。

  皇国経綸矛盾

 抑々神聖なる皇祖御遺訓天津日嗣天皇御統治洪範は皇典古事記に燎々として明示し給へり。然るに古来こ神聖なる皇祖御遺訓に矛盾せる国家経綸が行はれつつある事を日本歴史は的確明白に証明し居れり。
 由来御皇室には神聖なる皇祖御遺訓即ち神聖なる天津日嗣天皇御統治洪範炳乎として存在し給ふにも拘らず、二千年来其精神を発揚し能はざりしに就ては、実に深甚宏遠なる皇祖御神策が其基因を為したる事は神訓によりて明々白々たり。

  崇神天皇遠慮神策

 畏れ多くも万世一系御皇統を保ち給ふ天津日嗣天皇御天職は治国平天下が其御本能にあらせらるる御事は皇祖御遺訓に瞭かなる処なり。畏れ多くも天津日嗣御代々天皇より今上現人神陛下に至らせ給ふ皆こ天下を治むる御事を以て、万世一系天津日嗣天皇御天職と為させ給ふなり。然るに皇祖御真木入日子印恵命(崇神天皇)は天地開闢以来世界状勢を洞察し給ひ天津日嗣天皇天職を発揮し給ふ時運前途尚ほ遼遠なることを慮り給ひ其天運循環して御天職を顕彰し給ふ時運到着まで時代は専ら和光同塵、以て世界文物制度を摂取して、一は世界各国招引方便と為し給ひ、交通機関発達して世界経綸利便と皇道教化本義を理解すべき人智開発時運を待ち給へる宏遠深大なる御神策を建立し給ひたるに因るなり。
 こ空前絶後遠大なる御神策を行ひ給ふ為に国本二大根本義変革を実行し給へり。
(一)神器を別殿に祭り給ひ御皇女豊鉏入日売命に専ら其拝察を掌らしめ給ひし御事、
 及び、
(二)租税徴収端を啓き給ひし御事なり。
 第一畏れ多くも神器を別殿に祭り給ふ御事は皇祖御神勅に、
 此之鏡者。専為我魂而。如拝吾前。伊都岐奉。
 伊都岐奉れと詔り給ふ如く朝夕に天津日嗣天皇が御自ら奉斎し給ふべき御鏡やあたかかみを別宮に敬遠し給ひし御事は誠に御神勅に悖り給ふ如き御事柄なるも、これは御国体精華を隠し給ひて和光同塵摂取、専ら世界統一時運到来に到るまで一時的方便御処置にあらせられたるなり。又た調貢を初めて徴収する端を啓き給ひたる事は世界摂取統一御方策としては最も必要なる準備的御政策にして是れ皆世界大勢を御洞察結果に在すなり。崇神天皇が此御遠慮神策を建て給ひし以来、現代に至る二千有余年間一貫せるこ御方針は御歴代天皇御蹈襲あらせられたるなり。こ故に崇神天皇即ち御真木入日子印恵命御世を称して、
『謂所知初国之御真木天皇』
と神聖なる皇祖御遺訓皇典古事記に記させ給へり。こ初国云々意義は世界摂取機会を始め給ひし天皇と申し奉るなり。こ天皇段は大日本言霊学解釈によりて其御真義を説明する時は実に偉大なる驚くべき御国体精華を発揚し奉る主要なる事実顕現されあるなり。(此真義は後日機を見て発表せむとす)
 要するに二千有余年以前御皇宗崇神天皇が御計画あらせられし和光同塵摂取御神策目的は明治天皇御一代鴻業に於て全く其御計画本旨を達し給へるなり。故に中古以来日本歴史に顕れ居れる事柄多くは神聖なる御国体範示的行為に非ざるを知るべし。

  国光発揚時代

 国光発揚、国運発展時期は現代今上陛下昭代なり。こ故に明治天皇は戊申詔書を降し給ひて、
『神聖ナル祖宗御遺訓ハ炳日如シ、是ヲ恪守シ深礦至誠ヲ輸サハ、国運発展本近ク斯ニ在リ、朕ハ方今世局ニ処シ(中略)維新皇猷ヲ恢弘シ祖宗威徳ヲ対揚セムコトヲ庶幾フ』
と教へ覚し給へる所以なり。此神聖なる天津日嗣明治天皇御遺詔は実に昭和聖代に於ける国運発展基礎を示し給ひし御教訓なり。

  世界平和基礎

 抑も神聖なる皇祖御遺訓を闡顕し奉り御国体精華を発揚する事は世界平和根本基礎なり。而して世界平和第一着たるべき事業は財政経済根本変革を以て第一要件と為すに在り。由来金銀を貴重視する慣習は古今世界分野を通じ人間社会常理如く信仰せられつつありて、就中貨幣として金銀価値は流通経済上に於る利便なるにありて大は国家、小は個人階級的標準ともなりつつあり。それが為には、一は全然逸居坐食以て巨額財を収め尚ほ終始之を増殖し、一は勤労するも猶ほ衣食資に窮乏して遂に惨死するももあるに至れり。而して又た国際競争、産業競争、国家興亡、戦争動機、人心腐敗、諸多犯罪は殆ど悉く黄金獲得欲望に基因するなり。こ金銀本位財政経済結果は限りある財貨を限り無き欲望に満足せしめむとするが故に無限罪禍を醸成するに至るなり。是れ人生本義、天地化育玄理を知らざる野生的文明結果なり。蓋し昭和現代はこ矛盾を根本的に消滅せしむべき庶政改革時代に到着せること歴然として蔽ふべからざるもなり。

  皇国財政根本義と神勅に因る日本使命

 神聖なる皇祖御遺訓は天津日嗣天皇皇道経綸を示させ給ふもにして就中財政経済弊害禍根を救治すべき皇祖御神勅あり、茲に謹みて其要旨を記し奉り以て大日本神国責任を自覚し、一は以て御国体財政経済矛盾せる事証と為すべし。
 古事記中巻 帯中日子天皇(仲哀天皇)
(前略)其大后息長帯日売命者。当時帰神。故天皇坐筑紫之訶志比宮。将撃熊曾国之時。天皇控御琴而。建内宿禰大臣。居於沙庭、請神之命。於是大后帰神。言教覚詔者。西方有国。金銀為本。目之炎燿種々珍宝。多在其国。吾今帰賜其国。(中略)今如此言教之大神者。欲知其御名。即答詔。是天照大神之御心者也。亦底筒男。中筒男、上筒男。三柱大神者也。
 こ本段に於ける御事柄は天津日嗣天皇が御親政を司り給ひて御皇祖天照大御神に皇運発展要道を奉伺し給へる事なり。畏れ多くも神聖なる皇道経綸最根本義なる祭政一致御神政を天津日嗣天皇が御躬ら掌り給ふ御模様を奉拝し得るなり。
(一)西方有国。
 茲に西方と示し給ふは極東日本国位置より西方と称し給ふもにして即ち世界各国国家を指し給へるなり。
(二)金銀為本。
 金銀を本と為すと示し給ふは即ち国家経綸根本経済が金銀本位を基礎と為し居る国柄事なり。此御神勅御言葉は現代日本人が最も心魂に徹底して拝聴し奉るべき一大事にして此御教覚御一声によりて古今二千年間迷夢を醒破せざるベからざるもなり。現代我国租税制度、金本主義は日本国体本義と絶対に矛盾して居る事に注意せざるべからざるなり。
(三)目之炎燿。
 こ意義は虚栄逸楽を好み、是を人生畢生目的と為し、土木工芸悉く其欲望を満足せしむる事を主旨とし、人生天職本義を知らざる国柄事を示し給へるなり。
(四)種々珍宝。
 これは世界各国が天賦気候、風土、人性に適応したる産物ありて、多種多様なる天賦的衣食住特色を具備し居るを示させ給ふ。
(五)多在其国。
 これは金銀本位を国家経綸本義と為し、人生目的を知らずして専ら虚栄虚偽、生存競争を以て人生目的となしつつある国柄国家が多く存在することを示し給ふ。
(六)吾今帰賜其国。
 こ御言葉は最も注意せざるべからず。『吾今』とは神聖なる皇祖御遺訓たる皇典古事記真義闡顕せられたる時代を以て『吾今』と詔り給ふ時と拝聴すべきもなることを確信し奉るなり。
 『其国を帰賜ふ』と詔り給ふは昭和現代に帰せ賜ふ御事なり。
 天下を治むる御天職を保ち給ふ天津日継天皇が御天職を発揚し給ふ時運到来して、世界人智は以て皇道教化に浴する程度に達し、世界航運発達を以て天津誠教義を宣伝流布し、皇道を宣揚して世界を経綸し以て御国体本義を顕彰する時代に達したり。故に其世界各国を総攬せむが為に古来国華光輝を隠し給へる神聖なる皇祖御遺訓を茲に顕彰し給ふみならず、昭和皇運発展機会に帰着せしめ給ふ御神慮なる事は一点遅疑念を挾むべき余地なきもなり。これ皆御皇祖皇宗神々御稜威然らしめ給ふ御事なり。こ由来は皇典古事記及び神訓真義を拝聴する時は自然に明知瞭悟さるべし。
 皇典古事記及び神訓には此御本文と共に引続き御皇祖天照大御神御神勅として朝鮮、満洲処分より支那、印度、東西欧並に米大陸等に対する御経綸方針を示させ給ふ御事歴然として記されありと雖も、今日場合として海外経綸に関する最も重大なる事柄を本誌に記述し奉ることは、国交上或は面白からぬ事態を生ぜむ事を慮りて暫時差控へる事とすべし。
 但し大日本天津日嗣天皇世界統一は侵略に非ず、征伐に非ず、植民政策に非ず、唯一済世安民至誠に出づるもにして、言向和平也、世界人類享生天職を教導発揮せしめ給ふに外ならざるなり。

   第六章 八千矛神歌

 八千矛神歌と申すは、皇祖天照大神より皇孫に言依せ給ひたる神聖なる大日本天津日嗣天皇天下を治め給ふ統治御洪範によりて、皇祖建速須佐之男命御天職なる世界各国経綸を実現すべき国家経綸本義を抽象的に示教し給へる御歌なり。八千矛神と申すは建速須佐之男命御子八島士奴美神、こ御子布波能母遅久奴須奴神、こ御子深淵之水夜礼花神、こ御子淤美豆奴神、こ御子天之冬衣神、こ御子名を、
(一)大国主神(国家経綸本則)
(二)大穴牟遅神(人文開発智育)
(三)葦原色許男神(人類天賦天職)
(四)八千矛神(天賦的政治本能)
(五)宇都志国玉神(顕幽的精神教育)
 大国主神には右五つ御名を有し給へり。
 八島士奴美神以下四神抽象的御意義は、世界各国天賦気候、風土、人種、言語根本異別階級的本義を示し給へるなり。八千矛神歌御本領は、即ち古今世界各国君主英傑が理想とせる富国強兵、弱肉強食主義(マキアベリズム)に対する根本批正、根本教訓を啓示し給ヘるもにして、神聖不可犯天地大公道たる也。こ神歌一言一声に対する言霊学詳細なる解説を発表せむことは容易に非ざれば後日に譲り、茲には単に其大要を記述せむとす。

  第一 八千矛神歌
(一)やちほこ かみみことは やしまくに
(二)つままぎ かねて とほとほし こしくにに さかしめを
(三)ありときかして くはしめを ありときこして さよばひに
(四)ありたたし よばひに ありかよはせ
(五)たちがをも いまだとかずて をすひをも いまだとかねば
(六)をとめ なすやいたとを おそぶらひ
(七)わがたたせれば ひこづらひ わがたたせれば あをやまに
(八)ぬえはなき さぬつとり きぎしはとよむ にはつとり
(九)かけはなく うれたくも なくなるとりか
(十)ことりも うちやめこせね いしたふや あまはせづかひ
(十一)こと かたりごとも こをば。
(八千矛神、高志国沼河比売を婚むとして行幸時、そ沼河比売家に到りて歌ひ給へるなり)こしくにと謂ふは完全なる国家意義にして沼河比売と謂ふは天賦徳性を保つ人意義なり、婚むらとして行幸して沼河比売家に到り歌ひ給ふ意義は、世界各国が天賦的完成経綸組織せらるる、所謂尽忠淳化平天下を実現する天則を示し給ヘるなり。

  第一 神歌御真義

(一)やちほこ かみみことは やしまくに
 世界各国天賦的特性に適したる経綸を顕し定め、治国安民政を統轄する基本が、大日本皇国に具備せられ居る御事なり。
(二)つままぎかねて とほとほし こしくにに さかしめを
 世界各国には異別的天賦特質本能が備り居るが故に、そ本能を発揮して、国家経綸を司るベきなり。こ世界各国本能特質及び経綸共通的典型が、大日本神国に包容せられて、各国人種的特質より水陸動植物部類に至るまで具備せられ居ると云ふ御意義なり。
(三)ありときかして くはしめを ありときこして さよばひに
 大日本皇国は天地創成時代より、已に世界を統攬すべき其位置と要素が備はり、其区画的国土(四国、九州、本土、北海道、台湾、樺太諸島)に生ずる人民に、世界的経綸に適応すベき徳器備はり居るといふ意義なり。
(四)ありたたし よばひに ありかよはせ
 大日本皇国は、世界平和を主宰すべき天賦国体なるが故に、其国々に生ずる人民は、万世一系を以て其天職を発揮すべき智能を天賦的に具備し居るといふ御意義なり。
(五)たちがをも いまだとかずて をすひをも いまだとかねば
 畏れ多くも、天津日嗣天皇は、世界平和本源的御本能を備ヘさせられ、其世界平和本能的経綸を発揮すベき枢機を御天稟に具備し給ひて万世一系御皇統を保たせ給ひ、世界を統攬すべき徳器具体せる日本国に鎮座ましますといふ御意義なり。
(六)をとめ なすやいたとを おそぶらひ
 日本国には天地造化経綸機関が具備せられ居る故に、人生本義大道を解説すべき顕幽三世往来精義を能く教訓し得べき御意義なり。
(七)わがたたせれば ひこづらひ わがたたせれば あをやまに
 万世一系子孫長久繁栄基は、天、火、地、水本末一貫的むすび作用にて出生し、経綸機関的人体と智能徳器を具体して活動すベき天職を人類が帯び居るといふ御意義なり。
(八)ぬえはなき さぬつとり きぎしはとよむ にはつとり
 世界的親主大権を天稟し給ふ天津日嗣天皇は、驕暴侵略的自我発展罪悪を根本排斥し、恭謙誠実扶益誘導、済世安民的経綸を遵奉せる世界国主に神聖なる皇祖御遺訓に示させ給ふ。国家経綸要道を教示し給ひ、以て世界経綸万機と国華を発揮し、天皇御天職を顕彰し給ふ御意義なり。
(九)かけはなく うれたくも なくなるとりか
 人生根本義を闡明して、人心根本精神教憲〔日本国教〕を宣明し、人心統一、治国安民基礎を確立せしむる御意義なり。
(十)ことりも うちやめこせね いしたふや あまはせづかひ
 世界各国は、気候風土による天恵的根本区別あり、こ天賦本質による其国体本領を開発して治国安民経綸を定め、以て世界平和基礎となる其根本経綸は、大日本天津日嗣天皇が、神聖なる皇神なる皇祖御遺訓によりて、教訓し給ふ御意義なり。
(十一)こと かたりごとも こをば
 世界を総攬して天下を治むる天職を保ち給ふ天津日嗣天皇在します日本国は、世界を統轄すべき位置と国体とを賦せられ居ることを示し給ふ御意義なり。

  第二 八千矛神歌

 爾其沼河比売。未開戸。自内歌曰
 こ真義は、大日本皇国と世界各国関係、天津日嗣天皇と世界各国君主と経綸関係を示し給ひて、教導扶益すベき根本的内省開発方法を示し給ふ神歌御意義なり。
(一)やちほこ かみみこと ぬえくさ めにしあれば
(二)わがこころ うらすとりぞ いまこそは
(三)ちどりにあらめ ちは などりにあらむを
(四)いちは なしせたまひそ いしたふや
(五)あまはせづかひ ことかたりごとも こをば
(六)あをやまに ひがかくらば ぬばたま よはいでなむ
(七)あさひ ゑみさかえきて たくづぬ
(八)しろきただむき あわゆき わかやるむねを そだたき
(九)たたきまながり またまで たまでさしまき
(十)ももながに いはなさむを あやに なこひきこし
(十一)やちほこ かみみこと ことかたりごとも こをば。

  第二 神歌真意義

(一)やちほこ かみみこと ぬえくさ めにしあれば
 日本国天皇は世界各国天賦的本能経綸を闡明して、其本末を統一し給ふ御事なり。
(二)わがこころ うらすとりぞ いまこそは
 万世一系御皇統を保ち給ひ、天下を治むる御天職を帯び給ふ天津日嗣天皇は神聖なる人生的精神教育教主に在します御事なり。
(三)ちどりにあらめ ちは などりにあらむを
 神聖なる皇祖御遺訓に示し給ふ天地造化大経綸なる天理を闡明し、是によりて天下経綸を整調し給ふ御事なり。
(四)いちは なしせたまひそ いしたふや
 天津日嗣天皇は、天地経綸中心主宰たる天職を発揮し給ひ、神聖なる天理人道を顕彰して大日本皇国天賦本能を発揮せしめ給ふ。
(五)あまはせづかひ ことかたりごとも こをば
 天津日嗣天皇在します日本国には、皇大御親神御神霊と、世界神機が集中せられ居るが故に、神聖なる皇祖御遺訓を奉体して世界を経綸するに臨みては、如何なる大小事件も、一切目的を解決し得る威力が備はり居る御意義なり。
(六)あをやまに ひがかくらば ぬばたま よはいでなむ
 大日本皇国各国には、分担的に世界を経綸する本能を具有するが故に、其本能を発揮して、御国体精華を顕彰し奉り、以て天下和平枢軸となるべき御意義なり。
(七)あさひ ゑみさかえきて たくづぬ
 天津日嗣天皇御稜威を輝かし奉り、御国体精華を発揚し奉ることは、日本国民一般が其天賦的に出生せる本国に於て、そ天賦的身心に稟有する徳性を発揮すべき事を示し給ふ御意義なり。
(八)しろきただむき あわゆき わかやるむねを そだたき
 日本全国風土、人質、産物等、苟くも国家経綸に必要なる一切事項を各地方に適応して闡究すべき御意義なり。
(九)たたきまながり またまで たまでさしまき
 日本全国には天下を平かに治め、天災地妖無く、安民治国経綸を定むるに必要なる水陸産物及び其他経綸的基礎が分布的に享有せられ居る御意義なり。
(十)ももながに いはなさむを あやに なこひきこし
 皇国には人生経綸に最も必要なる宇宙空間に充実せる諸原素を利用して人生利福を計り崇大なる済世的経綸を闡顕して世界的徳性を発揮すべき要素を具備する事を示し給ふ御意義なり。
(十一)やちほこ かみみこと ことかたりごとも こをば。
 世界平和基礎となる済世安民経綸を定め、天下を平かに治むる一切枢機を大日本皇国が司る御意義なり。

  第三 八千矛神歌

(一)ぬばたま くろきみけしを まつぶさに とりよそひ
(二)おきつとり むなみるときは たたぎも これはふさはず
(三)へつなみ そにぬぎうて そにどり あをきみけしを
(四)まつぶさに とりよそひ おきつとり むなみるとき
(五)はたたぎも こもふさはず へつなみ そにぬぎうて
(六)やまがたに まぎしあたねつき そめきがしるに
(七)しめころもを まつぶさに とりよそひ
(八)おきつとり むなみるとき はたたぎも こしよろし
(九)いとこや いもみこと むらとり わがむれいなば
(十)ひけとり わがひけいなば なかじとは なはいふとも
(十一)やまと ひともとすすき うなかぶし
(十二)ながなかさまく あさあめ さぎりにたたむぞ
(十三)わかくさ つまみこと ことかたりごとも こをば

  第三 神歌真意義

(一)ぬばたま くろきみけしを まつぶさに とりよそひ
 世界を通じて、国家を経綸すベき天賦邦土には、其国土に生ずる人類生活するに適当なる衣食資料が、天恵的無窮に備はり居る御意義なり。
(二)おきつとり むなみるときは たたぎも これはふさはず
 本来人類がこ世界に生れ出でたるは、天地経綸機を補助経綸すベく、其天賦的本能を発揮すべき国土に自然に生れ出でたるもなり。こ故に其所生本国を離れずして、人生本来天職を発揮すべき事を示し給ふ御意義なり。
(三)へつなみ そにぬぎうて そにどり あをきみけしを
 人類は天賦出生国土に於て、各人天賦的本能を発揮して、そ人生本分を尽し、死すれば循環往来する造化機関によりて、また同一系統後嗣に再生するもなる事を示し給ふ御意義なり。
(四)まつぶさに とりよそひ おきつとり むなみるとき
 世界各国経綸を司るべき人類発生土地には、其衣食資料は必ず天賦的無窮に発生すべきもなるが故に、各国民子孫は其天賦的職業を継承して、天恵を開発し、所生地を離散すべからざる事を示し給ふ御意義なり。
(五)はたたぎも こもふさはず へつなみ そにぬぎうて
 所生地を離れ所々を漂浪するもも、遂には転々して祖先天賦発生地に帰還するもなる事を示し給ふ。
(六)やまがたに まぎしあたねつき そめきがしるに
 世界を経綸統一する要素を具備せる大日本皇国に、天津日嗣天皇が万世一系御皇統を保ち給ひて鎮座まします所以は、これ天下主師親三徳御具備天皇におはしまして、其天職なる天下を治むる一切経綸を定め、世界平和を司り給ふが為なる事を示し給ふ。
(七)しめころもを まつぶさに とりよそひ
 大日本神国地勢は、世界一切本性を闡明すべき機能と万象を包括し、そ国々には分科的に世界各国経営を闡顕すベき本能を具備し居る事を示し給ふ。
(八)おきつとり むなみるとき はたたぎも こしよろし
 天賦国土を離れずして人生天職を司らしむることは、世界君主等しく遵守すべきもなる事を示し給ふ。
(九)いとこや いもみこと むらとり わがむれいなば
 大日本皇国国土が分割され居る所以は世界的天地大経綸本末を統一すべき天職存在するが故なり。而して神聖なる皇祖御遺訓を奉体して世界経綸要素を闡明すベき事を示し給ふ。
(十)ひけとり わがひけいなば なかじとは なはいふとも
 神聖なる天津日嗣天皇経綸を以て天職を司り給ふ御時は、皇祖御神勅を奉体して皇国経綸枢機を定め給ふ御事を示し給ふ。
(十一)やまと ひともとすすき うなかぶし
 神聖なる天津日嗣天皇天職を発揮して、世界本末を統べ定め給ふ御時は、皇祖天照大神御教訓を仰ぎ給ふ御事を示し給ふ。
(十二)ながなかさまく あさあめ さぎりにたたむぞ
 忠誠なる天津誠精神を保ち、経綸枢機に参与する人に神意感通して皇祖御神勅を宣伝せしめ給ふ御事なり。
(十三)わかくさ つまみこと ことかたりごとも こをば
 万世一系天津日嗣天皇御天職は、神聖なる皇祖言依さし賜ふ御経綸要旨によりて、そ御稜威光輝を照し給ふ御事を示し給ふ。

  第四 神歌大要と意義

 皇典古事記本文に、
  爾其后。取大御酒杯。立依指挙而歌曰
 こ御神歌根本精神は、神聖なる天津日嗣天皇光輝を発揚し給ふ国家経綸基を示し給ふ御事なり。

  第四 八千矛神歌

(一)やちほこ かみみことや あがおほくにぬし
(二)なこそは をにいませば うちみる しまさきざき
(三)かきみる いそさきおちず わかくさ つまもたせらめ
(四)あはもよ めにしあれば なをきて をはなし なをきて つまはなし
(五)あやかき ふはやがしたに むしぶすま
(六)にこやがしたに たくぶすま さやぐがしたに あわゆき
(七)わかやるむねを たくづぬ しろきただむき そだたき
(八)たたきまながり またまで たまでさしまき
(九)ももながに いをしなせ とよみき たてまつらせ こごとくうたひ うきゆひして いまにいたりて しづまり ますなり ここれかみがたりといふなり

  第四 神歌御真義説明

(一)やちほこ かみみことや あがおほくにぬし
 世界各国其天賦的国体本性を顕彰して其君民徳器を成就せしむる事を教導する御意義なり。
(二)なこそは をにいませば うちみる しまさきざき
 神聖なる皇祖御遺訓示し給ふ所に因りて、世界各国天賦的経綸基礎を定め、其天職を司らしむる御意義なり。
(三)かきみる いそさきおちず わかくさ つまもたせらめ
 世界各国が其天賦的本性機能を発揮して、天地造化経綸本能に伴ふ経綸を司り、以て人生本来精神教育を宣伝すべき事を示し給ふ御意義なり。
(四)あはもよ めにしあれば なおきて をはなし なおきて つまはなし
 人類動植物を始め天下一切世に形を有するもは、男女性如く陰陽両性相結びて結実して以て子孫相続するが如く、新陳代謝するが天地経綸神則なる事を示し給ふ御意義なり。
(五)あやかき ふはやがしたに むしぶすま
 世界一切有形物は悉く世経綸的活用名実に相当する名称を天賦的に保ち居り、而して人類は是等結論を司るべき機関的形質を具備して天賦人類を通貫せる智機を保ち居る事を示し給ふ御意義なり。
(六)にこやがしたに たくぶすま さやぐがしたに あわゆき
 天賦土地に発生せる人種は其国土経営に適当せる智能と機能を先天的に併有して生死循環往来し居るもなる事を示し給ふ御意義なり。
(七)わかやるむねを たくづぬ しろきただむき そだたき
 人は世を経綸するがために子孫永世無窮に顕はれ出で、能く人生天職を勤め、各其国体的本則たる国家経綸範囲に於ける天賦富源、本能的智機啓発に務め、以て其本然天職を経綸すべき事を示し給ふ御意義なり。
(八)たたきまながり またまで たまでさしまき
 世界各国は各天賦経綸を司り、各其天職なる人生本能を発揮すれば、天恵無尽衣食に満足するもなる事を示し給ふ御意義なり。
(九)ももながに いをしなせ とよみき たてまつらせ
 世界各国君主は大日本皇国に鎮まります天津日嗣天皇を主師親と仰ぎ奉るが神聖なる根本天則たるなり。
 而して世界各国親和輔導大猷は神聖なる皇祖御遺訓に示し給ふ天津日嗣天皇経綸に因りて、世界各国本然位次と人位階級を定め給ひ、人本的階級を定め給ふ天理人道本義を遵奉し、以て治国安民経綸を司るべきもなる事を示し給ふ御意義なり。
 こごとくうたひ うきゆひして いまにいたりて しづまりますなり ここれかみがたりといふなり
 天理人道を明かにして世界平和枢要を司り、以て天津日嗣天皇天職を発揮し玉ふ基は神聖なる皇祖天照大御神御神意御旨を奉体して天下経綸枢機を定め給ふ御事が、神聖なる天津日嗣天皇皇道経綸基本にして、万代不易、天壌無窮なる祭政一致惟神〔維新誤りか〕精華たる事を示し給ふ御意義なり。

   第七章 皇道経綸根本要義

 現代地上人類は、悉く我が大日本国天津日嗣天皇赤子にして又天祖神裔なり。世界異性同胞真親を知らず、人生天職を知らず、東西道徳倫理異同宗教異説は惹いて百千弊害を胚胎し、又一面よりは黄金中毒病を醸成し、人生意義をして五里霧中に彷徨せしむるに至る。これ畢竟政教無道現象なり。こ根本治療は大御親神大手術を要す。而して其皇親御稜威を発揮し給ひて根本的大革正を断行し給ふ時は愈々到来せり。わが昭和聖代大神業は即ち是なり。
 昭和聖代──これ一躍回天時機。
 昭和聖代──これ一陽来復時機。
 昭和聖代──これ大人虎変時機。
 昭和聖代──これ乾霊御稜威発揮時機。
 昭和維新──大日本国教皇道発光。
 昭和維新──空前絶後大神業。

  神聖なる三種神器

(一)八尺勾璁御実体は畏くも万世一系御皇統を保ち給ふ天津日嗣天皇御国体なり。
(二)八咫鏡御本質は天照大御神言依させ給ふ神聖なる皇祖御遺訓なり、即ち天津日嗣天皇御経綸を示し給ふ皇典古事記なり。
(三)草那芸劔御本体は大日本国土也。皇祖須佐之男命こ神劔を獲給ふ。八俣遠呂智は地球上全世界各国総称なり。
 古書に(八咫鏡は神書なり、神代こと懇にして鏡に向つて物を見る如くに明かなれば鏡といふ也……又八咫といふは八方こと明かに知る故に八咫といふ、以上秘説なり云々)とあり。真に哲学本義を能く洞見したるもと謂ふべし。抑も哲学とは何ぞや、そ文学的意義解釈より見るも、人間として総て問題を明瞭公平円満に解決を与ふべきが其本領たるなり。こ故に宇宙観、人生観、宗教観、心理、物理、天地文其他一切科学に至るまで哲学根本原理を基礎として研究すべきもなり。本来哲学根本義は幾多種類あるべき筈に非ず、世に哲学と称するも実に僣上沙汰なり。自称哲学也。故に事物解決に当つて矛盾衝突を来せるは当然理たる可きなり。神聖なる哲学は天地万有真理を厳密適切に徹底して説明し尽して、これに基いて如何なる事柄を実行するも些か矛盾なく、八方に透徹して一塵障害を見ざるもならざる可からず。斯くいへば、其様なる普遍的完全なる哲学は恐らくあるべからずと速断するが所謂現代盲目学者なり。現代日本学者は御国体神聖なる根本大義を知らず、国学者は天佑的御稜威と万世一系宏遠なることと、皇室尊厳を称揚し奉る事を以て能事終れりとなし、敢て神聖なる皇祖言依させ給ひし皇国経綸大道を闡顕し、以て皇運を扶翼し奉るべき至重至大要義を知らざる輩なり。又欧米崇拝盲目学者は、物質的にも精神的にも欧米万能如くに盲信して、自ら神聖なる御国体を軽蔑して無能野蛮となし、日本神国をして全然欧米化せしむるを以て本領となす。性根堕落、気骨頽廃、まことに慨嘆至りなり。
 さて茲に皇祖御遺訓に示させ給ふ日本神国世界経綸に対する哲理的本能を謹録して、聊か学道人に示す処あらむとす。

皇典古事記 上巻
於是。八百万神共議而。於速須佐之男命。負千位置戸。亦切鬚及手足爪令祓而。神夜良比夜良比岐。又食物乞大宜津比売神爾大宜津比売。自鼻口及尻。種々味物取出而。種々作具而進時。速須佐之男命。立伺其態。以為穢汚而奉進。乃殺其大宜津比売神。故所殺神於身生物者。於頭生蚕。於二目生稲種。於耳生粟。於鼻生小豆。於陰生麦。於尻生大豆。故是神産巣日御祖命。令取茲成種。

 以上御本文真義は、世界的国家経綸根本基礎と為すベき大道を明示し給ふ也。即ち、
(一)人生天賦徳を顕はす根本義
(二)人天賦性能を発揮せしむる根本義
(三)人類及び動物食料が天賦的に給与せられ居る生産的経綸根本義
(四)天賦的給与食料及び物質により、人生天賦経綸を司るベき根本義
(五)世界各国が頭、目、鼻、陰、尻作用を為すベき国家的天職ある根本義を示し給ふ。

故所避追而。降出雲国之肥河上在鳥髪地。此時箸従其河流下。於是須佐之男命。以為人有其河上而。尋覓上往者。老夫与老女二人在而。童女置中而泣。爾問賜之汝等者誰。故其老夫。答言僕者国神。大山津見神之子焉。僕名謂足名椎。妻名謂手名椎。女名謂櫛名田比売。亦問汝哭由者何。答白言。我之女者自本在八稚女。是高志之八俣遠呂智。(此三字以音)毎年来喫。今其可来時故泣。

 以上真義は、全世界陸地には人類棲息し居りて、其性質及び能力は各其気候、風土異別あるが如く根本的に区別あり。蓋し其土地を経営すべき適当なる性質を先天的に賦与せられ居る故に、そ風土、気候等異別によりて異り居るもなり。亦其天賦的自然に発生せる人類及び人類国家経綸努力を補助すベき機関働きをなすベく発生せる動物生活すべき糧食は、そ土地に相応して生産す。こ故に天賦発生土地を離散せずして子孫繁栄し相続して、そ天命的国土を経綸すべき事を示し給ふ。

爾問其形如何。答白。彼自如赤加賀智而。身一有八頭八尾。亦其身生蘿及檜椙。其長度谿八谷八峡八尾而。見其腹者。悉常血爛也(此謂赤加賀智者。今酸醤也)

 以上御本文真義は、所謂哲学的天地文及び物理根本基律と成るベき森羅万象原理を示させ給ふ。こ説明は実は容易に尽すべきに非ざれども、大体見地を解せしむる為めに、一、二目標を左に示すべし。但し志ある者は進みて深く研究するを要す。軽忽に批評し去らむとせば、寧ろ始めより眼を塞ぎて着手せざるに如かじ。
 高天原は……(宇宙)
 高見産日神は……(圧力)
 神御産日神は……(引力)
 天之常立神は……(天体)
 宇麻志阿斯訶備比古遅神……(瓦斯体、電気等)

爾速須佐之男命詔其老父。是汝之女者。奉於吾哉。答白恐亦不覚御名。爾答詔。吾者天照大御神之伊呂勢者也。(自伊下三字以音)故今自天降坐也。爾足名椎。手名椎神。白然坐者恐立奉。

 以上真義は、天命的国土を経綸せしむるが為に、天賦地に生れ出でたる人類動植物は恒に一定範囲に生死往来して生れ出て、以て国土経綸天職を尽すベき人生本義を示し給ふ。

爾速須佐之男命。乃於湯津爪櫛取成其童女。而刺御美豆良。告足名椎。手名椎神。汝等醸塩折之酒。且作廻垣。於其垣作八門。毎門結八佐受岐。(此三字以音)毎其佐受岐。置酒船而。毎船盛其八塩折酒而待。

 以上本文真義は、天地造化大活動的根本機関たる、高御産巣日神、神産巣日神霊機が、天地往来し給ふそ機能天賦的経綸顕現なり。即ち天賦気象及び並に人類動植物先天的性能を基礎として、そ天地自然法則に応じたる経綸を遵守すベき事を示し給ふなり。

故随告而。如此設備待之時。其八俣遠呂智。信如言来。乃毎船垂入己頭飲其酒。於是飲酔。留伏寝。爾速須佐之男命。抜其所御佩之十拳剣。切散其蛇者。肥河変血而流。故切其中尾時。御刀之刃毀。爾思怪。以御刀之前。刺割而見者。在都牟刈大刀。故取此大刀思異物而。白上於天照大御神也。是者草那芸之大刀也。

 こ御本義は、世界各国経綸根本方針を定むる規範的基礎は、万世一系天津日嗣天皇鎮まりいます大日本皇国天賦的経綸によりて組織統轄せらるべきもにして、惟神天理人道御教憲は大日本国神皇宣布し玉ふ処なるを明かにし給ふ。
 以上は神聖なる皇祖御遺訓に示させ給ふ世界的経綸根本哲理を教ヘ給へる大日本皇道経綸根本要義なり。
 昭和維新皇猷は明治天皇既に教覚し給へり。則ち神聖なる祖宗御遺訓皇典古事記精神を宣告し給へる也。然りと雖も、古往今来こ神聖なる大日本皇国経綸宣顕せられたる事なかりしも、時なる哉、天運循環神則は皇運発展に伴ひて、神聖なる皇国独特霊能を享有せる大日本国言霊学活用によりて、皇典古事記精義則ち畏くも皇祖天照大御神皇孫に授け給ひし大日本国経綸大道を拝知し奉ることを得たるなり。
 由来こ大日本皇国経綸を宣揚し給ふは、畏れ多くも天津日嗣天皇御天職に坐ますが故に猥に発表し奉るは僣越懼あり。且つは時機少しく尚早感無きを得ざれば、姑らく筆硯を謹み、茲にはそ経綸二、三に就いて、先づ発表しても可なるベしと思惟さるる程度にそ大概を一言して已まむと欲す。経綸大要を一括して言はば、世界大家族制度実施なり。これ皇国経綸根本義にして、そ世界大家族制度家長たるは万世一系皇運を保ち給ふ、大日本天津日嗣天皇に坐ますなり。これ実に皇道に於ける世界統治基礎たる可きもなり。
 人生和平基本となる国家家族制度を実施せむとするに当りては、現代弊政を根本的に変革して、神聖なる大日本皇道を公布すべきもなるが故に、国家家族制度内容を発表するに先だちて、皇国二千年来弊政弊習を根本革正し、現代秕政を変革すべき次第を簡直に説明すべし。

   第八章 財政経済根本変革

 古来金銀為本財政運用を以て国家経綸基礎となし来れり。殊に近代経済学なるも起りて財政経済方法を討究し、或ひは政治的に或は社会的に其調和に努力すと雖も、未だ以て国家社会平和幸福に貢献するに至らず。財政不安と生活困難は年を逐うて迫り、遂に人生は戦場なりとして自他共に経済的競争を是認するに至り、そ究極する処、国家存亡を賭し、幾千万生霊を犠牲となし、弱肉強食、優勝劣敗淘汰を以て人間社会自然条理なりとなすに至れり。要するに是れ財政経済伸縮結果にして、人生惨害これより大なるはなし。而して財政経綸は租税によりて衣食する寄生虫的人物を生ずる不経済を招来し、こ種類人物は所謂富国強兵充実を期せむがため、租税増加を追求するに汲々として、遂に国民をして財力窮乏を訴へしむるに至り、国家存立上危機に到達せしむるに至る也。又一面に於ては金銀為本財政経済ために人心不安、不平、腐敗を来し、そ結果は病素醸因を生ずるにさへ至り、人生各般禍根多く之れより発する也。

   第九章 天産自給

 人生本義たるや其天賦所生国家を経綸するを以て根本原則となす。されば其人類生活に適当する衣食住物は必ず其土地に産出するも也。故に天賦所生人間は其智能を啓発し、以て天恵福利を開拓して文明利用を研究し、そ国土を経営するは人生根本天則たる也。
 由来世界各国経済は天造草昧なる野蛮遺風也。抑も人文未開遊牧時代は、天産自給天則を知らず、腕力を以て他民族を征服し、巡遊侵略以て国家を組織し、茲に租税徴貢制を定むるに至れる也。こ強食弱肉蛮風は、世界を風靡して遂に自称文明強国を現出せるも也。彼等曰く、優勝劣敗は天理自然なりと、咄々何等囈語ぞ、こ天理破壊魔道は今や根本より廃滅さるべき時代到着せる也。

   第一○章 教育制度根本革正

 畏れ多くも教育勅語は明治天皇燎かに国民教育根本義を示させ給ふ処なりと雖も、国風頽廃、民心腐敗は日に月に甚だしく、教育者数十万精励努力も殆ど水泡に帰せむとする所以は抑も何ぞや。これ全く現代教育制度なるも、御国体本義に矛盾せると、国家経綸方策が天理人道(天津誠)に矛盾せると二大原因に帰するも也。現代制度たる、昨是今非、以て確固不動国民教育根本方針なく、支離滅裂なる弊風は惹いて下級教育者をして其帰向を誤らしめ、そ波及する処、国民教育根本を破壊せしむるに至れるは実に現代教育大欠陥たり。茲に大日本国国民教育根本方針を一言し置かむとす。
(一)小国民教育根本義
 十三歳以下児童教育は御国体精華を発揮し奉る智能啓発準備時代なり。こ教育制度は全国統一的たるべきもなり。而して大日本神皇国本義と国民天職及び精神教育を根本基礎とす。
 此時代に於ける第一要義は、児童心理的天賦個性を正確に査定すべきこと也。これ将来国体精華を発揮すべき科学的専門智能を啓発せしむる方針的基礎を定むる唯一必要条件なり。こ小国民教育任に当るは特に女子を以て天賦的職責とす。
(二)中国民教育根本義
 二十歳以下中国民教育は国華発揮に要する専門的学芸を教授すべき時代なり。天賦特色を享有する国別的素質を発揮開拓せしむべく、内は工、理、化、芸、農、経済等、外は語学、国教其他世界を経理救済するに必要なる学科を専門的に教授すべきもなり。
(三)大国民教育根本義
 二十歳以上大国民とは国民全体総称なり。こ時代は既に教育せられたる処によりて、各天賦智能を啓発し国家経綸天職を掌り、以て国家に貢献し得べき徳器を成就せしむべきもなり。

  祭政一致国家経綸

 茲に御国体精華と称すベき大国民教育根本義なる祭政一致経綸は、そ細目は種々なれども、其一を示せば、毎年十月に一回其所在産土神社に於て神聖なる国民教育表彰的儀式を厳粛に挙行すべき事なり。而して国家経綸に或は学術に其他国民的模範たるベき善行を表彰し、氏子全部を列席せしめて以て神聖なる儀式によりて、奉斎せる神霊に奉奏する也。

  宗教的国教制度

 現行諸宗教国民精神に及ぼす処結果は議論は如何様にもあれ、事実として大体に有害無益なり。神道と称するもも其内容は甚だ不完極まるも也。由来世界宗教は人智未開なる天造草昧なる時代姑息なる慰安的産物にして、神聖なる天津日嗣天皇が大日本皇道を宣揚し給ふ聖代に在りては全く無用長物たるなり。故に如斯亡国的宗教は根本より一掃して而して後、従来諸宗教布教に従事せる所謂宗教家を選抜して、之に神聖なる皇祖御遺訓及び開祖神示を教授して、大日本皇道を奉体せしめ、統一的に其従来信徒に惟神大道を普及せしめ、以て大日本国教を世界に宣揚せしむるは天祖大本大神神慮なり。

  大国民教育統一機関

 大国民教育及び国政運用統一機関を制定するは昭和維新皇猷たる弊政根本変革を完成する上に於て最も重要なる事業なり。
 即ち現在発行せる全国新聞を統一して之を社会教育的一大機関とするは最も簡便なる方策なりとす。(中略)
 世界現状は済世主出現を絶叫希望せり。時なる哉、茲に皇祖神慮を奉体して、遍照男神聖霊降下され、国家経綸要道は明示されたり。日本臣民が長夜眠りより覚め出づべき時は今なり。
 天津日嗣天皇は世界主師親天権を帯び給ふ。今や神聖なる天権を発揮し給ひ、済世済民大業を肇め給ふべき時機は迫れり。現時皇国状態は危機一髪間にあり、外は世界空前大撹乱あり、内は生活難と危険思想、嗚呼二十五年、一日如く思君思国、思民至誠、窮極発光は大日本皇道御稜威み矣。(完)
(『皇道維新と経綸』昭和九年十月二十八日)
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