文献名1神霊界
文献名2大正8年8月1日号(第91号)よみ(新仮名遣い)
文献名3随筆よみ(新仮名遣い)
著者王仁
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データ最終更新日2021-06-02 13:12:52
掲載号
ページ11
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本文
アヤベのアの言霊は天なり、海なり、自然也、丸めるなり。ヤの言霊は文なり、和なり、家なり、水火の両面を主るなり。以上の言霊より見るも、アの霊は天の天照大神の直教を天下に宣伝し、海の内外を問はず、天地自然に帰へらしめ、億兆の蒼生を平和円満に治め玉ふ国土を、常永に立て行くべき言霊であります。ヤの言霊は文明の文である。即ち日月を文なすと云ふ意義であり、世界を言向和し、和ぎ睦び、世界に精神的大家族制度を確立し、水火の両面を主る大本大神、火系厳の御魂大神、水系瑞之御魂神の顕現さるべき言霊であります。ベの言霊は経、緯との意義で、棚機姫命(三大歴)が世界経綸の神機を織らせ玉ふ霊地である。又た何処までも限り無く澎張する言霊であるから、此地に発祥したる事は悉く成就する言霊である。是を見てもアヤベを世の大本と、神界より神定め玉ふた御主旨が判然するのであります。是は言霊学の体たる大本言霊に由るのでありますが、次に言霊学の用即ち活用を説く日本言霊学(仮に曰ふ)に由つて、アヤベの使命を説いて見ようと思ひます。
△活用言霊学の上よりアヤベを解釈すれば、アの霊は総じて顕れ出る言霊であり、宇宙の大父音の総領であり、言霊七十五声の総轄である。又た世界の中心はアの言霊である。此霊地に丑寅の金神と坤の金神の顕現された事は、実に天地自然の不可動の法則である。アの言霊の丑に当る時は、悉皆帰之の意義がある。寅に配する時は陽熱完備の意義である。未に配する時は御中主である、大地である。申に配する時は大本初頭である。其他、大母公也普而慈善也。全体成就也の言霊がある。故に艮の金神の活用は三千世界一切之に帰一し、活機陽熱全備して、霊主体従の神国を建設し、坤の金神の活動は、天の御中主、地上一切を安息せしめ、進歩せしめ、生成化育する大母公にして、世の大本の初頭を主り、神政成就して五六七の神代を開拓し、世界万民を救ひ助くる神霊の活用である事が明白に成ります。又ヤの言霊は矢であり、また大体に於ては外面を覆ふ所の霊である。併しヤの言霊は余り重きをおかぬ。何故なればアヤの霊反しはアの一言に帰するからである。之を子の方面に配すれば、内を貫く言霊となる。丑に配すれば宿るとなり、寅に配すれば遣るとなる。是を未に配すればイアの結となり、重り騰るとなる。申に配すれば走り飛ぶとなり、其他、先天の真気となり、固有の大父となり、親となり。透明体なる天中固有の紋理となり、三ツ重るとなり、八ツとなり、蒼洞となるのである。約言すればヤの霊は、世界の父母となる経緯の二神が現はれて、水晶の世を開き、真誠の神国を建設し、三体の大神を奉斎し、五男三女八柱の神を現はし、皇道大本、人生の本義を明に教え導く神人の集合地点であるといふ事になるのであります。ベの言霊は平均に付く霊であり、委任成也、父母両神の精魂凝り固るとなり、智量の宿なり、其他種々の活用あり、要するに経緯の両神顕現して三千世界の立替立直しの神業を遂行さるる神霊界の中府であり、且つ現世界に於ける最勝最清の霊地、地上の高天原で、陸の竜宮館の所在地たる事は、地名を宰する言霊の現はす所であります。亜細亜の霊反しアとなり、亜米利加の霊反しアとなり、阿弗利加の霊反しアとなり、欧羅巴の霊反しアとなり、澳太利亜の霊反しアとなり、五大州皆アの大父音に帰すと雖も、此アの活用に付ては、語尾の言霊の相違に由つて、各自天賦の使命が又た相違して居りますが、今是を一々説明せむとすれば頗る長篇を要し到底限有る紙面にては言尽す事が出来ぬのみならず、神務多忙中精密な発表をする暇がありませぬから、惟神の時を以て委しく説明する時機がありませう。
五大刕皆、アヤの霊反しのアに帰するは実に神界経綸の不可思議にして、且つ神界の中央政府が綾部の霊地に築かれた事の推測が付くのであります。