文献名1神霊界
文献名2大正9年2月21日号(第106号)よみ(新仮名遣い)
文献名3征韓大激論に於ける西郷南洲翁の言(三条公に対しての)よみ(新仮名遣い)
著者石井蘇山筆記
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ページ14
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本文
石井蘇山筆記
大政大臣ナ篤と聞いて下ハレ。今の大政大臣ナ往昔の大政大臣でなく王政復古明治維新の大政大臣でゴアス。日本を昔からの小日本で置くも、大神宮の神勅通り大小広狭いの各国を引寄せて、天孫のウシハギ給ふ処とするも皆オハンの双肩に懸つて居り申すでゴアンス。
日本も此儘では何処までも嶋国の、日本の形体を脱出する事は出来申さぬ。今や好機会好都合でゴアスので、欧羅巴の六倍もある亜細亜大陸地に足を踏み入れて置きませんと、後日大なる憂患に逢ひ申すぞ。朝鮮と清国とはコケ威カシで决して恐るるには当り申さん。露西亜は国民の耳目を外国にソラさせる事を終始致し申さんでは自巳の身体が危ないのでゴアス。大兵を出して、日本を征するナンチウ事はトテモ出来まッせん。今オイドンが言ふ事を御聞きヤランと、後日此の倍も其又倍も骨が折れ申す。ソシテどう骨折つてもオイドンが今言ふことセンワナラン。ドーゴワス、どうでもこうでも、日本の神慮天職でゴワスケン、結局朝鮮を外垣ごして、後に朝鮮を策源地とし申して露西亜と手を引き合ふ事にナリ申ス。然し一度は戦争をシマセント、双方の事情も力量もホントーに呑込マツセンカラ、例之仲ヨーなり申しても皮相の同盟で誠意の同盟は出来マツセンカフ、一寸の利害で直に崩れますゾ。此通り成り行く事は此隆盛が判断シタトデハナカ。実に、天祖の御神旨、日本の国命が此通りでゴワスカラ、イヤデモ遅かれ早かれ左様成り行きます。オハンナ、オイドンよりか十二も年下ジヤケン、オイドンよ後へ生き残りマシユーデ、只今申した事はヨー覚エテヨツテ下はれ。
他日後藤象二郎、石井蘇山に告げて曰く
先生の此時は、態々条公に摺寄つて、最も真面目に談じられたが、此時の条公は、彼の鷹揚の態度は少しも見ないで、終始ウツムキ勝ちで「ハ…………」と聞いて居られた、云々。