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文献名1東京日日新聞
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3昭和10年12月11日 夕刊(12日付)よみ(新仮名遣い)
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ページ 目次メモ
OBC NPTNc19351211Y1
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本文 わが建国創業に不逞極まる批判
僭越な大本教教歌

大本教事件につゐては京都地方裁判所検事局から大審院光行検事総長あてにそ検索状況と取調べ経過が逐次報告されて来てゐるが、大不敬と認める根本は出口王仁三郎等同教幹部が唱へる「世建直し」なるもは、わが国建国創業大理想を批判し、共産主義者いはゆる国体変革思想とそ軌をおなじうするやうなもで最も悪むべき不逞不敬思想であることが立証された、最近はこれを同教行事に、諸制度に具現し、既報如く教主を○○○○○し、行列を○○と称し、しかも同教教歌なるもは国家『君が代』節々にただ『ましまし』四字を加へて公然信者をしてこれを唱和せしめるなど、言語道断事実が続々と現れて来た、吉益大阪控訴院検事長は大検挙着手前日すなわち去る七日長官会同で上京し検挙後状況を詳知してゐないで今明日退京徳永京都地方検事正から詳細な報告を受け来る十六日あらためて上京、大審院におゐて首脳部会議を開き、つぶさに報告し如何なる罪名をもつて処断するかを協議することとなつてゐる

俎上大本教(3)
信者さへ迷はす性格七変化
常人『王仁』が装ふ超常人
奉仕者は謎生活

『皇道大本』字義につゐて大本信者は口を揃へて皇室中心主義シンボルであるといふがこ『皇道大本』文字は大正十年第一次不敬事件にひつかかつて爾来大本では『皇道』文字を冠することを慎んでゐたがそ後各地に皇室中心主義を強調する諸運動が起つたで第一次検挙ことを忘れて再び『皇道大本』ととなへるやうになつた、そしてかれ等は「皇室中心主義によつて大家族的精神運動を行ふだから皇道大本と称へても何等差支へはない」と大それた口を利ゐてゐるが総統王仁三郎、いや幹部連考へ方は怪しい、現にかれ等言動には伝へられるごとく数々不敬事件があり、王仁三郎には僭上行動がある、要するにかれ等が皇道主義と称するはいはゆる口頭禅、鬼念仏でしかない
カンカン信者でさへ「○師さま(王仁三郎こと)は本当に賢いか馬鹿なかわかりません」といふくらゐ超常識的性格持主で、狂人じみたところもあるが今村博士鑑定によると馬鹿でもなければ狂人でもなく、立派に常人として精神をもつてゐる、それどころかたまたま大本に好意を持たぬ人達から「大本は何を教へるところです」と問はれると言下に「大博奕をうつところさ」と平気で放言して相手を呑んでしまふあたり、禅僧風格さへある
王仁三郎は絵筆を持てば南画もどき水墨が立ちどころになり、歌を詠めば一時間に百五十首といふ大量生産振り、エスペラント語辞典を著作したり、七福神に扮して写真を撮つたり、最近映画宣伝部をこしらへてそ第一回作品『大本七福神』には自ら主役を買つて出て、得意七福神に扮してあざやかな一人七役を演じてもゐる
現在、綾部大本総本部と亀岡天恩郷にゐるいはゆる奉仕者は三百五十余名で、奉仕者になれば一ケ月三円手当が支給される、奉仕者は大部分全国各地から集つた大本信者であるが、月に三円でどうして生活してゐるか外部には解けぬ謎である
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