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文献名1
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3コリゴリした生神様(仮題)よみ(新仮名遣い)
著者出口栄二
概要
備考出口栄二『出口栄二選集 第一巻』(1979年刊)p159から引用。
タグ データ凡例 データ最終更新日2018-03-17 01:32:18
ページ 目次メモ
OBC Z9003
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本文  これも大阪控訴院第二審における審理中ことです。
裁「お前作歌中に『伊都能売神と現れたるひと子を神懸れりと思ふ痴人』、また『我もまた生神名は好まねど天地仕組いたし方なし』という歌もあるようじゃが、お前は教団中で生神になっていただろう」とたずねられると、
王「裁判長、私は生神さまにはコリゴリしていますから、夢にもそんなことを思ったことは御座いません」と言うで、裁判長が、
裁「生神にコリゴリしたというが、どんなことがあったか」
王「ある年、名古屋田舎信者が、私に一度来てくれというで行ってやったことがありました。向こうへ着くと、汽車旅でくたびれただろう風呂を沸かしておいたから早速這入って呉れというで、案内して貰うと、庭ド真ん中にわざわざ風呂桶を持出して、青天井で沸かしている。私はこ地方では珍客待遇には斯様にする風習があるか、と思って野天風呂に這入って身体を洗いかけると、信者婆さんやら、女房やら娘やら二三十人もゾロゾロ出て来て、背中を流して呉れるなら一人か二人で沢山な筈だが、エライ大勢出て来たもだなア、と思っていると、流して呉れるでなくて、みんな拍手を打って高天原祝詞を風呂桶を囲んでやり出したです。私は妙なことをする奴等だと思いながら一人一人顔を見廻していると、どうしたはずみか私前にある塚原ト伝一刀が頭を持ち上げてしまった。私は驚いて早速手拭で一刀頭を押えて、早く静まって呉れないと身体を洗うことも出来わせんと案じていると、そ祝詞がまた馬鹿に長くかかる。風呂下はドンドン燃えているで、お湯が沸いて来て尻が熱くなって来る。尻を持ち上げると突っ立っている一刀が暴露してしまう。尻を下げれば熱くてやり切れん。文字通り上げも下ろしも出来ぬことになって、私は実に九死一生目に遭わされたですが、なかなか生神さまなんぞに成れるもではありません」
王「まだ困ったことがありました」と言う。よせば良いもを裁判長もツイ釣り込まれて
裁「今度はどんな事で困ったか」とたずねられます。
王「ある時、幹部二人連れて岩手県某所へ宣伝に行ったことがあります。晩食事時分になると、そ家で私坐っている前へ、次から次へと、神様にお供えするようになま物を盛ったお三宝を、二三十台も並べるです。私は、ハハア神様お祭りをするつもりで、お供え物下検分を」て呉れ、というところかなと思って、煙草を喫みながら見ていると、今度は私両側に坐っている幹部二人には二膳付御馳走を並べ出したで私は、自分は一番後から特別あつらえ上等な御馳走を出して呉れるかと思って待っていると、そまま何にも出ない。そしてそ主人が『どうぞおあがり下さいませ』と挨拶するから『ワシには飯を食わさんか』というと、主人曰くには『アー、生き神さまでも御飯を召上りますか』という。生神にされると飯も碌々食べさして呉れません。こんなわけで、生神さまには懲りていますから、私は毛頭そんな気にはなれません」と真面目くさって答弁し、裁判長はただもうあきれてしまったといいます。
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