文献名1三鏡
文献名2水鏡よみ(新仮名遣い)
文献名3賭場の番人よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ
データ凡例
データ最終更新日----
神の国掲載号1926(大正15)年12月号
八幡書店版299頁
愛善世界社版49頁
著作集
第五版64頁
第三版64頁
全集361頁
初版51頁
OBC kg044
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本文の文字数352
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本文
私は若い時、種粉を車に積んでそれを京都伏見あたり迄毎日売りに行つた。幾何朝早く起きて出ても帰りは夜になる、七本杉(大枝山老の坂を越す京都街道にあり)の辺まで帰つて来ると、恐ろしい顔をした屈強な男達が、車座になつて焚火をしながらわいわい云うて居る。気味が悪いので、財布を懐中から出し蓆にくるくると巻いて無雑作に車の上に縛りつけ、鼻歌を唄ひ懐手して其前を通りながら、「ヤ、一寸煙草の火を貸して下さい」と傍によつて行くと、探るやうな目つきで皆がキヨロキヨロ見廻して居るが、どうせ金なんか無いと見て取つてか「まあ、あたつて行きな」と云ふて賭博を始める、おしまひには「些しの間其所で張番をして居つてくんな」と云ふて見張をさせられた事も度々ある。今自動車で其あたりを往復して見ると、しかすがに昔の事が思ひ出される。