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文献名1三鏡
文献名2水鏡よみ(新仮名遣い)
文献名3生命よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
神の国掲載号1928(昭和3)年09月号 八幡書店版171頁 愛善世界社版61頁 著作集75頁 第五版145頁 第三版145頁 全集411頁 初版136頁
OBC kg125
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本文の文字数1358
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本文  生命は永久に存続するもで、過去現在未来三世に渉つて生きて居る、吾々生物生命は絶対不変無始無終にして、神分霊分身である。故に永遠に渉つて不老不死である。
 吾人は地上誰人とも約束なく、唯々惟神摂理によつて生るべき所に生るべき時を得て生れたまでだ。それ故に愛着だとか悲惨だとか苦痛だとか快感だとか云ふもは、そ本来には無いだ。只喜怒哀楽、愛悪欲如きは、肉感的一衝動に過ぎぬ。現在は是だ是だと握つて居る事は出来得るが、そうして掴んでる間にそれ自体現在は既に過去に属して了ふ。未来と聞けば遠い様に考へられるが、そ間もそれは現在として展開して来るでは無いか。そう考へて見ると、吾々生命は絶対無限であらねばならぬ。春夏秋冬と宇宙大自然は、規則正しく展開して永遠に変りが無い。吾々生命も愛着悲惨苦痛快感と展廻して、永遠に変りはないだ。
 世中に現実観ほど悲哀多いもは無い。あ仕事をやつて見たい、こ望みも達したい、明日が来たら、明後日が来たら恋人に逢へる、来春は久し振りで帰郷して懐しい慈母に会へると指折り数へてゐる。子にも会へると云つて自分が指を折つて待つて行く。引きつける様に色々な欲求を追つて行く。そ底に一脈喜びが潜んでゐる。併しそれを待つ刻一刻に其人生命は幻滅に近づいて行く。可愛らしかつた子は筋肉逞しき壮漢となり、愛らしかつた恋人は皺苦茶姿となり、曲線美は梅干如く乾からびて行く。小さい現実欲求を遂げんとする為に死に行く大なる犠牲を払ひつつ迷路に進んで行くだ。刻々にそ生命は死関門を指して、一歩一歩近づきつつあるである。若しそれ吾人生命が有限であつたら、さうした欲求行程は死行程であつて、是ほど大なる不幸と不安は無いである。
 無限生命、そこに吾人が絶対不断生命を見出して、永久に生きる事を悟つた時、吾々眼前に展開されるもは総てが試練であり、凡てが教訓である事が覚り得られる。吾々が人間として世に処するそ出来事を見ても、幾多曲折があるで面白い。そ当時は欲求に満たない、云はば一種苦痛として痛ましい事であつたそ試練されたことを、時過ぎてから想ひ出した時に、皆それは追憶となつて美しき過去を見る事が出来る楽しさがある。過去悲惨なりし歴史も、甘かりし恋路も得意も失敗も幻如く現実に浮んで来る毎に一種愉快さを覚ゆる。そして過去から現在未来へと永遠無窮に生命が継続されつつ天国果てなき国へと進んで行く。是が人生永遠生命だ。
 自分は今迄体験から考へると、吾々過去は真に美しかつた。貧乏で食ふや食はず危機に立つたことも、冤罪を被ぶつて獄舎に自由を束縛されて居た事も、世間あらゆる嘲笑讒誣的となつたことも、過去歴史一頁として語る時、それは皆美しい、そして楽しい。仮令貧乏生活でも悲惨境遇でも、それを永続した時は勝利となつて来る。勝利は常に正義である。社会から何程嘲罵され、侮辱され、批難されても、それ自体が永続したら、必ず末には正道として認めらるる事になる。現代人大本に対する総て観念も、今や勝利者として遇するに至つたは、吾人が永遠生命を確信して不断活動を続けて来た活歴史賜であるとも云へる。
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