文献名1三鏡
文献名2水鏡よみ(新仮名遣い)
文献名3草花より生ずる虫よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考
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データ凡例
データ最終更新日2021-05-11 01:36:23
神の国掲載号1925(大正14)年10月号
八幡書店版417頁
愛善世界社版175頁
著作集
第五版253頁
第三版253頁
全集
初版248頁
OBC kg220
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本文の文字数636
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本文
或時聖師は花園の中に立ち筆者を招かれました、参つてみると虎の尾に似たる、名のしれぬ草花を手にしながらふつておられました。中から無数の羽の生へた小さい虫がとんで出て居ます。
「気候と温度との具合で、種が虫に変化したのである」と仰しやいました。「種が虫になる、種が虫になる」不思議な事もあるものと訝かしみつつ、手に取つて他の花をふつて見るとバラバラと黍の実が殻からおちるやうにどれからもどれからも無数の小虫が飛んで出る。
「麦を収穫れるに際し、湿気を十分取り去らないと麦は皆小蝶に変化してたつて仕舞ふ事は、農民周知の事実である。何の不思議もない、足魂は生魂、玉留魂に変化し得る素質をもつて居る。虫は蒸し生すの意にて、土から蒸し生かされるものもあれば、木から蒸し生かされるものもある。栗の木から栗虫がわくが如きもそれである。人間は身体を初め木から蒸し生かされたのであるが、今は夫婦によつて造らるる事になつたのである。草の実が羽虫に化したのに驚く程、今の人間は誤れる学問に煩はされて痴呆になつて居る。人間が最初に木から蒸し生かされたと云ふ事を立證して行けば直に博士になれるよ」と。
筆者はやがて恋月氏をよんで虎の尾のやうな、名無し草の種から羽虫が出て来る実況を見せました。恋月氏も成程成程と不思議さうに首肯いて、
「学説が根底から覆へる。植物学も、昆虫学も、我等に植物から昆虫が生れて来ると云ふ事を決して教へては呉れなかつた。だが事実は鉄よりも堅く冷たい」
と呟いて居られました。