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文献名1霊界物語 第4巻 霊主体従 卯
文献名2第1篇 八洲川浪よみ(新仮名遣い)やすかわなみ
文献名3第2章 聖地会議〔152〕よみ(新仮名遣い)せいちかいぎ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ一方、地高天原も八王大神より会議招集使者を受けて、広宗彦命らは協議を行った。広宗彦命は、地高天原が荒れ果てて機能しなくなっており、世界再統一に心を砕いていた折から、常世会議に賛成意を表した。広宗彦は常世会議出席にあたり、神々を大々的に集めて神前会議を開いた。広宗彦母・事足姫は、常世彦がこれまで聖地に対して犯してきた罪悪を考慮し、常世会議に反対意を表明した。広宗彦は板ばさみになりつつも、弟・行成彦をどうしても会議に出席させようと決心したが、常世国から「大道別使者」として現れた霊鷹信書を見て、一時議席を退出してしまった。
主な人物 舞台 口述日1921(大正10)年12月15日(旧11月17日) 口述場所 筆録者出口瑞月 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年3月30日 愛善世界社版16頁 八幡書店版第1輯 377頁 修補版 校定版18頁 普及版8頁 初版 ページ備考
OBC rm0402
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本文  地高天原神政は沢田彦命還天以来、ますます混乱紛糾して収拾すべからざる惨状を呈するにいたりぬ。されど広宗彦は、母事足姫、猿田姫、出雲姫らとともに鋭意神政完成に努力したまひしかば、一たん混乱状態におちいりたる地高天原も、こ四柱奮闘的至誠力によりてやうやく瓦解を免れゐたりける。
 然るにここに突然として常世国より地上神界一般国魂神人大集会を開催するにつき、地高天原より使者を派遣すべきことを通告しきたりぬ。重ねて常世彦は、竜山別を使者として天鳥舟に乗り数多従者とともに地高天原へ遣はしたりける。そ信書主意によれば、
『今や地上世界は八王神、八頭神、たがひに嫉視反目してそ権力を争ひ優勝劣敗、弱肉強食惨状目もあてられぬ次第にして、国治立命御聖旨に背反すること最もはなはだし。天地は現在ままに放任せむか、つひには地上はたちまち修羅道となり、餓鬼地獄暗黒界と化すべきは火をみるよりも明白なる事実なれば、八王大神常世彦はここに大いに覚るところありて、大国彦と相謀り、八王八頭そ他諸山国魂を常世城に集合せしめ神界平和ため一大会議を開催せむとす。ついては第一着手として地高天原主宰者国治立命天使長広宗彦以下御出席を懇請す』
といふにありける。
 広宗彦は、弟行成彦ならびに猿田姫、出雲姫そ諸神司を集めて会議を開き、出席賛否を慎重に審議したり。広宗彦はほとんど土崩瓦解有様を呈したる地高天原を修理固成し、地上世界を平和に統一せむと日夜焦慮しつつありし際なれば、常世彦信書をみて大いによろこび、欣喜雀躍体なりき。地高天原にては即刻大広前に諸神司を集めて大祭典を執行し、つぎに各神司は設け座に着き神前会議を開きける。こ会議に参ずる神司は八百八柱大多数に達し、地高天原神政開始以来大集会なりけり。
 ここに事足姫は議席にあらはれ、今回大会議に出席不可なることを極力主張したりける。そ説によれば、
『極悪無道常世彦ならびに常世姫以下邪神は、あらゆる奸策を弄して天使長大八洲彦命を退隠せしめ、つぎに国直姫命をして還天余儀なきにいたらしめ、なほも高照姫命以下天使長および天使を失脚せしめて、そ聖職を奪はむと千計万略日も足らざる彼れ邪神悪行邪心、たうてい改心すべき筈にあらず、かならず深き計略もとに行はるるペテン会議に相違なからむ。加ふるに常世姫は美山彦、国照姫、魔我彦、田依彦らをたくみに籠絡頤使して不断に地高天原をはじめ竜宮城に仮面を被りて出入せしめ、機会いたるを待ちつつあるを知らざるか。万々一広宗彦そ神司にして、かれ常世彦奸策におちいり、遠く衆を率ゐて出席せば、混乱極に達したる地高天原はこれを統轄する神人数を減じ、ますます無勢力となるべし。そ虚に乗じて彼ら一派たる美山彦以下邪神は一時に反旗をあげ、聖地聖場を蹂躙するは目前にあり、断じて油断あるべからず。万々一常世彦にして地上世界を統一し、国祖国治立命聖旨に奉答せむとする真実誠意あらば、彼らはまづ国祖大神鎮まりたまふこヱルサレム聖地に参ゐぼりて国祖許可をうけたる上、天神地祇神集ひに集ひて神議りすべき神定聖地、地高天原において大会議を開かざるべからず。苟くも地上一般国魂神を集めて世界大事を決定するに、常世国をもつて中心たるもごとく、聖地ごとく振れ舞はむとするは、はじめより天地神定に背反せる破律的悪行為にして、却つて天地を混乱せしむるもなり。よろしく今回大会議はヱルサレムにおいて開催すべく常世彦に勧告せよ』
と宣示したまひける。ことき常世国より第二使者として広若なる者諸々従者を率ゐて来り、一日も早く広宗彦以下重職出席を促しやまず。聖地会議は事足姫大反対ため連日連夜会議を重ねて、未だそ解決にまでいたらざりし時なりき。第一使者たる竜山別、第二使者広若はしきりにそ回答を迫つて止まざりける。ここに広宗彦は衆議如何にかかはらず、行成彦をして常世会議に列せしめむと決心色を面にあらはし、すみやかに決定すべきことを主張したり。母事足姫は前述不賛成説を固持して少しも譲る色なく、広宗彦以下神人は進退これ谷まり、青息吐息体なりける。
 かかる時しも常世彦間者にして美山彦幕下なる清熊は進み出で、さも横柄に諸神人を見廻し梟ごとき眼を開きながら、
『諸神人は如何に思はるるか知らざれども、現今聖地、ヱルサレム勢力は極めて微弱にして、そ運命また風前燈火に等し。いかに神定聖地なればとて、かかる微力なる神人集団をもつて、か強大なる常世国勢力に対抗せむとするは実に無謀極にあらずや。万々一常世彦怒りに触れむか、巌石をもつて卵を打ち砕くよりも脆きは、現今聖地真相ならずや。諺にも長きもには巻かれよ、といふことあり。立寄れば大樹蔭とかや。しかるに神定とか、聖地とか、ほとんど有名無実旧習や、形式にとらはれて時代趨勢を弁へず、天下同情を失墜し、つひには自滅を招くよりも、今日ごとき千載一遇好機をとらへ、すみやかに出席を諾し、おほいに神政基礎を固め、もつて災禍を未萠に防ぐこそ、策上々たるもなるべし』
と、言辞を尽して述べたてにけり。
 広宗彦は板挟み姿となり、兎やせむ角や決せむと焦慮さるる折しも、大道別密使として鷹依別は霊鷹と変じ、常世国より飛びきたりて密書を口にくはへ、これを広宗彦に渡し、ただちに天空さして姿をかくしたりける。広宗彦はこ信書を見るや顔色俄に変じ、急病と称してこ議席を退出したり。アヽこ結末はいかに展開するならむか。
(大正一〇・一二・一五 旧一一・一七 出口瑞月)
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