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文献名1霊界物語 第14巻 如意宝珠 丑
文献名2第3篇 高加索詣よみ(新仮名遣い)こーかすまいり
文献名3第16章 返り咲〔566〕よみ(新仮名遣い)かえりざき
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2020-12-19 02:02:23
あらすじ四人はコーカス山に詣でて、小山村に帰ってきた。そして、六公とお竹婚礼を挙げることになった。勝公が祝い歌を歌った。六公とお竹は、いままで経緯を歌に歌いこんで祝宴歌を歌った。婚礼に参列した一同みな、祝い歌を歌って、無事に式は終わった。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年03月25日(旧02月27日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1922(大正11)年11月15日 愛善世界社版263頁 八幡書店版第3輯 256頁 修補版 校定版273頁 普及版126頁 初版 ページ備考
OBC rm1416
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本文  三五教宣伝使  凡て枉に勝彦は
 三枚羽織に身をかため  異様姿トボトボと
 十八坂を乗り越えて  十九や二十山坂を
 気も若々と登り行く  弥次彦、与太彦両人は
 掴まへ所無い様な  屁理屈放りつつ痩馬
 足もワナワナ ブウブウブウ  屁放り腰怪しくも
 口に法螺吹き尻からは  太き喇叭吹きつづけ
 雷サンも驚いて  跣足で逃げる二十山
 峠に登つて一休息  又も、り出す膝栗毛
 声も烏勘三郎  数多手下引き連れて
 三五教勝公が  四人連れ行く先に
 怪しき姿大声に  ドツコイやらじと手を拡げ
 得物を執つて立ち対ふ  こちらは蛙向ふ見ず
 瑞御霊幸はひに  稜威言霊さやさやと
 天地に向つて詔りつれば  流石に猛き荒び男も
 胆を潰して降参し  これや堪らぬと大道に
 犬つく這ひ可笑しさよ  負けても名だけは勝彦
 負けて堪ろか勝つづけ  一同続けと先に立ち
 峠数も五つ越え  しこけき小家に立寄つて
 盲目婆アサンに邂逅ひ  椽に腰かけ一休息
 爺サン婆サン悲劇幕を  聞いて悟りし六公
 昔に負ふた古傷を  曝け出されて六サンは
 碌々答辞も泣く涙  焼け木杭に又しても
 火が付く様な縁談に  爺サン婆サンは扨措いて
 六公サン喜びは  天岩戸開けたる
 思ひに一同勇み立ち  コーカス山参拝を
 終つて再び元鞘  をさまる縁目出度やと
 ここに暇を告げ乍ら  登つて来たが名にし負ふ
 眺望絶佳二十三番峠上  吹き来る風に煽られて
 息もせきせき進みゆく  二五番峠頂に
 佇む折しも忽ちに  ヘボ鎮魂神憑り
 乱痴気騒ぎ幕を開け  谷間に陥り四人は
 暫時気絶し幽界  一途渡まで
 急いで来て見れやこは如何に  松並樹蒼々と
 茂る根下一軒家  怪しき窓を覗き込み
 生れついたる与太助  与太公と婆押問答
 ブリンと押して中に入り  すつたモンダ諍に
 大口あけて出刄(出歯)を見せ  三五教身魂をば
 抜いてやらうと力み立つ  可笑しい面二人婆
 三途川原鬼婆  俺は妹木常姫
 サア来い勝負と常世姫  此奴も出刄を振り上げて
 四人に対つて切りかかる  茲に四人宣伝使
 飛鳥如く翔け廻り  丁々発止、丁発止
 蝶春野に狂ふ如  汗を流して戦へば
 流石婆も立ち遅れ  アフンとしたと思ひきや
 夢か、現か、幻か  サツと聞ゆる水音に
 眼を覚せば川底  底分らぬ此不思議
 泳ぎ自慢六公が  如何はしけむブルブルと
 溺れて忽ち土左衛門  後に残つた三人は
 兎やせむ斯くや線香  煙手向ける術もなく
 夜帳は下ろされて  黒白も分かぬ真
 是非なく此処に夜を明かし  涙を押へシホシホと
 大野ケ原を打渡り  水音高き川辺に
 辿り着くなり与太彦が  鼻息荒く身慄ひし
 ロヽヽクヽヽと口をきり  六生霊が出て来たと
 吐いて一同胆をとり  寝言を吐く折柄に
 現はれ出でたる大男  能く能く見ればこは如何に
 声も烏勘三郎  六死骸を背に負うて
 送つて来たは不思議なる  縁次々に
 切れぬ証か言霊  力に忽ち息を吹き
 四辺キヨロキヨロ見渡して  勝彦サンか与太サンか
 お前は弥次彦屁放き虫  此処は冥土か現界か
 合点が往かぬと思案顔  初めて気がつきまだ俺は
 生きて居たかと勇み立ち  勝彦サンに従うて
 茲に四人は急坂を  辿り辿りてフサ
 都を無事に打ち過ぎて  名さへ目出度きコーカス
 神お宮に参拝し  喜び勇み小山村
 お竹家に引き返し  勝彦サン媒酌で
 比翼連理蒸し返し  老爺も婆も六サンも
 兄松公夫婦者も  お竹と共に勇み立ち
 ここに愈合衾  式を行ふ物語
 聞くも目出度き次第なり。
 小山村お竹生家は春屋と謂ふ。爺サン名は鶴助、婆サンはお亀、息子名は松公、女房はお梅と謂ふ。鶴亀松竹梅一家族に婿を加へて六人暮し、名も六サン婿入り祝ひ、媒酌役は勝彦宣伝使。弥次彦、与太彦二人は六サン友人としてこ目出度き結婚席に加はつた。三五教誠一つ教を加へて此処に十曜身魂、目出度き酒宴一度に開く白梅、薫り床しきお竹姿、常磐何処やらに、気品も高き松サン夫婦、鶴千歳末永く、亀万代も、五六七世までも変らじと、結び御前に、天津祝詞太祝詞、言挙げ終つて酒杯、数も芽出度き三々九度、此処に九人は勇み立ち、千代を寿ぐ酒宴、真最中に勝彦は、千代を祝する結婚、歌を涼しく歌ひける。
『世は久方末長く  常磐千代八千代
 治まる御代を鶴首  まつ神代廻り来て
 名さへ目出度きお亀サン  九十九坂を幾度も
 上りつ下りつ安々と  今より越えむ老
 春如若やいで  二組揃ふた若夫婦
 常磐色深く  いつも変らぬ松サンや
 花咲き匂ふお梅サン  園なよ竹末長く
 睦みて暮せ六  ついた男六サンを
 一、二、三四五迄も  六び親しみ七草
 千代に八千代に九重  御空色に擬ふ如
 清く涼しく青々と  十つぎ道を何時迄も
 百歳、千歳、万歳  幾億万年末までも
 互に変るな変らじと  親しみ暮せ神
 直く正しくふみしめて  天津御空
 浜真砂如  御子を生め生め餅を搗け
 子餅をタント搗き並べ  夫婦仲良く世帯もち
 清きそ名も大名持  疳癪持ちは止めにして
 婿持ち嫁持ち金を持ち  宝を持ちて望
 月照ら照らと  輝き渡れ若夫婦
 千年万年暮れるとも  今姿で若々と
 神恵を味へよ  恵露に潤へよ
 アヽ惟神々々  霊幸倍坐しませよ
 アヽ惟神々々  霊幸倍坐しませよ』
と歌つて酒杯を六公にさした。六公は恭しく押し頂いてお竹に渡した。茲に親子夫婦杯は無事に済みける。
弥『ヤアお目出度いお目出度い、サア之から六サン番だ、一つ歌つて下さい』
六公『思ひ廻せば三年昔  恋に焦れたお竹サン
 天と地と中に  コンナ綺麗な娘子は
 又とあるまいあるまいと  慕うて通ふ坂道
 数重なりて漸うに  ヤツと願を掛巻くも
 畏き神引合せ  比翼連理楽みを
 寝物語に喜びし  日数もあらし風強く
 心狂ひ出し  魂は荒びてウラル彦
 神道に入り  飲めよ騒げよ一寸先は
 闇世界ぢやクヨクヨするな  太う短う暮してやろと
 悪胴据ゑて夜昼  区別も知らず深酒に
 酔うて可愛いい女房を  打つやら蹴るやら殴るやら
 夜昼喧嘩絶え間なく  お竹顔は生疵
 絶えた間もなき憐れさを  屁とも思はず暮して来たが
 お竹は怒つて知らぬ間に  吾家を出でて親里に
 逃げて帰つて知らぬ顔  ここに私も目が醒めて
 ま一度お竹に添ひ度いと  心焦れど手も口も
 かかる由なく冷やかな  肱鉄砲続け打ち
 男と生れた六公も  女房方から見捨てられ
 何顔あら男  仕様事なさにウラル教
 捕手群に加はつて  三五教宣伝使
 信者と見れば容赦なく  片つ端から引捉へ
 ウラル立て籠る  ウラル山へ連れ行きて
 褒美金に腸も  腐る許りに酒を飲み
 調子につて此処彼処  尋ねて廻る目付役
 小鹿峠に来て見れば  三五教宣伝使
 夢に牡丹餅食た様に  心裡に雀躍し
 当つて見ればこは如何に  神徳強き三五
 神言霊に  ガラリと心を立直し
 前非を悔いて神道  教司に伴はれ
 此処に誠教を知り  二十峠を乗り越えて
 山田屋に  牡丹餅食はうと立寄れば
 思ひ掛けなきお竹奴に  パツと出会はす顔と顔
 お前はお竹と一言葉  聞くより早く驚いて
 お竹は忽ち雲霞  裏口さして逃げて行く
 アヽ残念や残念や  又もお竹に嫌はれて
 如何して男顔が立つ  勝彦サンや弥次与太
 二人手前も恥しく  一目散にトントンと
 峠を指して立ち向ひ  林中に身を潜め
 息をこらして待つ程に  放つ屁問答臭い仲
 また三人に廻り会ひ  鎮魂帰神神術に
 魂洗濯サラサラと  地獄川まで進み出で
 九死一生目に会うて  人情に助けられ
 フサ都を乗り越えて  コーカス山参詣で
 両手を合せて神前に  額き祝詞奏上し
 何卒お竹と末永う  親子夫婦は睦じう
 暮させ給へと願をかけ  目出度此処に立帰り
 千代契を結び昆布  苦労するめや酒杯
 数を重ねて勇み立ち  尉と姥と契をば
 結ぶ今宵ぞ楽しけれ  アヽ惟神々々
 霊幸倍ましませよ  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  仮令大地は沈むとも
 親子夫婦契  千代も八千代も変らざれ
 こ世を救ふ三五  神教を畏みて
 家門長久子孫繁栄  魂生命末永く
 鶴と亀と勇ましく  松、竹、梅何処迄も
 栄えに栄えよ神国  千秋万歳万々歳
 千秋万歳万々歳』
と歌ひ終つて酒杯をとり勝彦に恭しく献した。お竹は起つて歌ひ始めた。
『三五教宣伝使  醜魔神を言向けて
 誠道も勝彦  神恵も三つ栗
 仲とり役に救はれて  今日は芽出度き望月
 虧けては盈つる吾思ひ  思ひきつたる夫婦仲
 枯木に花咲き出でて  又もや交す夢枕
 夢ではないか現では  あるまいかなと思ふ程
 喜び胸に迫り来て  常世闇も晴れ渡り
 天岩戸忽ちに  開けし如き今日首尾
 アヽ嬉しやな嬉しやな  世は垂乳根父母
 名さへ目出度き鶴と亀  松と梅と兄夫婦
 千代睦び六サンと  心丈けを語りつつ
 強き悪魔に勝彦  神恵に助けられ
 会うて嬉しき相生  松木蔭尉と姥
 幾久しくも末長く  愛しき妻よ夫よと
 勇む心玉椿  八千代春に会ふ心地
 花と匂へよ永久に  色は褪せざれ何時迄も
 心色も紅  露唇、月
 花咲き匂ふ花山  月日に擬ふ二つ
 手足もまめに健かに  日々生業励しみて
 家富み栄え三五  神教を四方
 海内外に輝かし  天岩戸神業に
 仕へまつらむ夫婦連れ  神が表に現れまして
 善と悪とを立別ける  こ世を造りし神直日
 心も広き大直日  只何事も今迄
 悪戯事は宣り直し  善きに見直し聞直し
 神教に服従ひて  幾千代までも真心を
 神御前に捧ぐべし  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  仮令大地は沈むとも
 千代に動かぬ夫婦仲  何時も変らぬ常磐木
 松青々と  五六七御代来る迄
 父と母と御生命  男子女子睦み合ひ
 守らせ給へ三五  教を立つる大御神
 百千万神々  御前に頸根突抜きて
 拝み仕へ奉る  アヽ惟神々々
 霊幸倍坐しませよ  アヽ惟神々々
 霊幸倍坐しませよ』
と歌ひ終つた。ここに鶴亀両親を始め、松、梅兄夫婦および弥次彦、与太彦歌節面白く歌ひ終つて目出度く合衾式も相済み、千代も八千代も変らじと神御前にことほぎまつりぬ。
(大正一一・三・二五 旧二・二七 北村隆光録)
(昭和一〇・三・一七 於嘉義ホテル 王仁校正)
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