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文献名1霊界物語 第19巻 如意宝珠 午
文献名2第3篇 至誠通神よみ(新仮名遣い)しせいつうしん
文献名3第10章 馬鹿正直〔655〕よみ(新仮名遣い)ばかしょうじき
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2021-04-04 18:21:59
あらすじ松姫館門では、門番竜若、熊彦、虎彦三人が、四方山話中で、ウラナイ教凋落を嘆きあっていた。三人は、三五教隆盛や、黒姫が出し抜かれて玉照姫を奪われた経緯から、松姫館にお節が入り込んで松姫信任を得ていることを警戒し、嘆いている。そこへ馬公と鹿公がやってきた。熊彦と虎彦は、三五教輩を入れるわけにはいかない、と言って六尺棒や拳で殴りかかった。馬公と鹿公は、大神教えを思って怒りをこらえている。虎彦と熊彦は二人をさらに虐待すると、門を閉めてしまった。馬公と鹿公は、お互いに試練に耐えたことを讃えあい、忍び泣きに泣いた。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年05月08日(旧04月12日) 口述場所 筆録者藤津久子 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年2月28日 愛善世界社版162頁 八幡書店版第4輯 89頁 修補版 校定版165頁 普及版74頁 初版 ページ備考
OBC rm1910
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本文  雲を抜き出てそそり立つ  高城山峰伝ひ
 松樹茂れる神山  木間に閃く十曜神紋
 国治立大神や  埴安神や木
 姫御教を  四方に伝ふるウラナイ
 神出社と  鳴り響きたる神館
 五六七御世を松姫が  朝な夕なに真心を
 こめて祈り言霊に  百神たち寄り集ひ
 醜教と云ひ乍ら  御国を思ひ世を思ふ
 其御心を諾なひて  守らせ給ふぞ尊けれ。
 松姫館表門には、受付兼門番溜り所が設けられてある。竜若、熊彦、虎彦三人は、あどけなき話に冬短き日を潰して居る。
竜若『此春頃は陽気も良し、日々木芽を萌く様に、求道者が踵を接し、随分吾々も受付や門開閉に繁忙を極めたもだが、春逝き、夏過ぎ、秋去り、冬来る今日此頃、雪は散らつく、凩は吹く、梢は真裸となり白い白い花が咲く様になつた様に、ウラナイ教此館も、一葉落ちて天下秋を知る処か、全葉落ちて寂寥極まる天下冬となつて来たぢやないか。如何に栄枯盛衰は世習ひだと云つても、ウラナイ教凋落と云つたら、実に哀れ儚なき有様だ。我々は斯うチヨコナンとして用も無いに、借つて来た狆様にして居るも、何だか気が利かない。松姫様に対しても気毒な様な気がしてならないワ。嗚呼ウラナイ教にも、冷酷無残冬が来たかなア』
熊彦『それが身魂恩頼だ。冬が有りやこそ春が来るだ。神様は引懸け戻し仕組ぢやと仰有るぢやないか。海波だつて風だつて其通りだ。七五三と風が吹き、波は立つ、ウラナイ教も此春頃は七風が吹き、七波が立つて居た。夏になると五風や五波、秋末から冬かかりにかけて、三風が吹き、三波が打つて居る様なもだ。又世歴史は繰返すもだから、花咲く春は屹度ウラナイ教に見舞うて来るよ。天下春にウラナイ教計り何時迄も、冬冷酷を眺めて居る様な事はあるまい、さう悲観したもぢやないよ』
虎彦『熊公、随分お前は楽観者だなア。蜘蛛が巣をかけて、虫が引つかかるを待ち受ける様なやり方では何時迄経つても、ウラナイ教に春は見舞うて呉れない。矢張能ふ限り最善努力を費やさねば駄目だ。運と云ふもは手を束ねて待つて居たつて、来るもではない。矢張こちらから、活動を開始せねばならないぢやないか。それに此頃は館松姫様も、宣伝使布教をお止めなさつたぢやないか。一体吾々は諒解に苦まざるを得ないだ』
竜若『吾々一同宣伝使が御神慮に叶つて居ないだから、十分に此静かな間に、身魂を研き上げ、御神慮を悟り、本当神様大御心を体得して、神様から是れなら宣伝をしにやつても差支へ無いと御認めになる迄、吾々は修行をさされて居るだ。月日駒は再び帰り来らず、一日再び晨成り難し、此機会に、吾々は充分魂磨きをやつて置くだ。今迄様な脱線だらけ宣伝をしたつて、世中を益々混乱誑惑させるだけだ。一かど立派な神様御用を勉めた積りで、お邪魔許りして居ただから、神様が戒め為に、此頃様に宣伝もお止めなさつたり、求道者もお寄せにならないだらうよ。吾々一同者が、本当神心が解つたならば、宣伝にもやつて下さらうし、因縁身魂も寄せて下さるだらう。神様は何処から何処迄抜け目が無いからなア』
熊彦『それに就いても三五教は比較的隆盛ぢやないか。高姫さまや、黒姫さま大頭株が得意神算鬼智を発輝して、玉照姫様をウラナイ教に奉迎せむとなさつたが、薩張三五教紫姫や、青彦奴に裏をかかれて馬鹿を見たと云ふだから、油断も隙もあつたもぢやない。それに又合点ゆかぬは松姫さまぢや。青彦裏返り者女房お節が、此間から猫撫で声を出しよつて、旨く松姫さまに取り入り、今では奥御用を務めて居るぢやないか。又黒姫舞を演じてアフンとなさる様な事はあるまいかなア。何程、清濁併せ呑む大海様な松姫さま御心でも、お節様な危険人物を奥に住み込ませて置くは、爆裂弾を抱へて寝る様なもだ。此位な分り切つた道理がどうして松姫さまは気が付かぬだらうか』
虎彦『何は兎もあれ、権謀術数至らざるなき、素盞嗚尊悪神一派だから千変万化に身を窶し、大胆不敵にも、女分際としてこんな所へ、恐れ気もなくやつて来居つた危険性を帯びた化物だから、一つでもお節欠点を発見したら、それを機会に松姫大将が何と仰有つても、吾々は職を賭してお諫め申し、お節をおつ放り出さねばなるまいぞ』
竜若『それもそうだ。女でさへも三五教へ這入つた奴は、あれだけ胆力が据わつて居るだから、男は尚更手に合はぬ奴計りだ。又何時三五教奴がやつて来居つて、魔窟ケ原岩窟舞ひをやらうと掛るかも知れないから良く気を付けて、三五教連中だつたら、此門内へ一足でも入れさす事は出来ないぞ。箒で掃出すか、それも聞かねば六尺棒で袋叩きにしても懲らしめてやらねば、ウラナイ教は何時根底から顛覆さされるやら分つたもぢやない。松姫さまは狼であらうが、虎であらうが、老若男女区別なく、物食ひがよいから困つて了ふ。腹中へ毒薬を呑み込んで平気で居るだから実に剣呑千万だ。もうこれからは、一々出て来る奴を誰何して、身魂を調べた上でなければ、通行させる事は出来ないぞ。此門出入を許否するは吾々一同権限でもあり大責任だから、今後吾々は三角同盟を形造り、結束を固うして、毛色変つた怪しき人物は、断乎として通過させない事にして締盟仕様ぢやないか、日出神生宮でも竜宮乙姫さま生宮でも、月夜に釜を抜かれた様な馬鹿らしい、悲惨な目に遭はされ給ふだから、余程警戒を厳重にせなくては国家一大事だ。此門一つが危急存亡分るる所だからなア』
 斯かる処へ馬、鹿両人、潜り戸をガラガラと開けて這入り来たり。
熊彦『ヤア、門番吾々に何応答もなく、潜り戸を開けて這入つて来るとは、怪しからぬぢやないか、サア出て下さい』
馬公『ヤアこれは誠に失礼を致しました。余り森閑として居たもですから、貴方等が厳しい御装束をして門を守つて御座るとは露知らず、心急く儘ついお応答もせず御無礼致しました。何卒此不都合は、神直日大直日に見直し聞直し下さいまして通過させて下さいませ』
熊彦『成らぬと云つたら絶対にならぬだ。事と品によつたら通してやらぬ事もないが、貴様に限つて通す事出来ぬ哩。其理由とする処は今貴様が、神直日大直日に見直し聞き直して呉れと云つたぢやないか。そんな文句を称へる者は、此広い世界にウラナイ教と三五教二派あるみだ。併し乍ら貴様はウラナイ教人間ぢやない。てつきり三五教瓦落多だらう。貴様様な奴を此館へ侵入させ様もなら、それこそ館中は忽ちぢや、さうならば、我々も何々に何々しられては矢張忽ちぢや。忽ち変る秋空、冬来るにブルブルと、面皮剥ぎオツポリ出されて、七尺男子も矢張忽ちぢや』
馬公『ヤアヤアそれは誠に御親切有難う。我々三五教馬、鹿二人が此処へ参る事を、流石明智松姫様が御存じ遊ばして、門番に命じ吾々を歓迎為め立待ちさせて置かしやつただな。たちまち開く心門、是れから愈日守護になるであらう、サア鹿公、御免を蒙つて奥へ参りませうかい』
熊彦『何だ、怪つ体な、馬だとか鹿だとか、道理で馬鹿な面付をして居やがる哩。コラコラ此門は善一筋、誠一つ神様や人間通行門だ。四足通るべき処ぢやない。トツトと帰らぬか』
馬公『如何にも吾々名は馬、鹿、四足に間違ひありませぬが、此御門を御覧なさい、これも矢張四足ぢやないか。それにお前名も、竜とか熊とか、虎とか云うぢやないか。矢張四足だらう。四足門を、四足が守るとは、余程よいコントラストだ、アハヽヽヽ』
虎彦『トラ何を吐しやがるだ。それ程コントラストが望みなら、貴様薬鑵を此棍棒でコントラストと叩き付けてやらうか』
と云ふより早く傍六尺棒を以て、馬、鹿前頭部を二つ三つ撲り付けた。
鹿公『随分ウラナイ教は、手荒い事をなされますなア』
虎彦『何、ウラナイ教が手荒い事をするだ無い、貴様悪心が此虎彦をして、貴様を打たしめるだ。心虎が身を責めると云ふは此事だ。名詮自性、馬鹿な事を云つて通過を懇望するもだからそれで御註文通り、棍棒を頂かしてやつただ。今後は謹んで、斯様な乱暴な事を致すでないぞよ。馬、鹿守護神、勿体なくも、虎彦さん肉体を使つて馬鹿にしてけつかる、アハヽヽヽ』
馬公『重々私が悪う御座いました。何卒御勘弁下さいませ』
熊彦『悪いと云ふ事が分つたか。悪かつたら勘弁せい、と云つて、それで勘弁が出来ると思ふか。結構な御神門を、四足門だ、吾々三人を四足だと失敬千万な、劫託を吐きやがつて、何だ、三五教はそんな無茶な身勝手な理屈は通るか知らぬが、誠一途ウラナイ教ではそんな屁理屈は通らぬぞ』
鹿公『イヤもう、通つても通らひでも結構です、吾々目的は此門を通りさへすれば宜いだ。黙つて門を開けたは誠に済まないけれど、諺にも「桃李物云はず」と云ふ事がある。それだから、物静かに敬虔態度を以て通行したです』
虎彦『エヽツベコベと、よう囀る奴だ。愚図々々吐すと、鬼蕨がお見舞ひ申すぞ』
と骨だらけ握拳を固めて、鹿顔を二つ三つガツンとやつた。
鹿公『アイタヽヽ、随分気張り応があります哩』
虎彦『定つた事だ、斯う見えても、朝から晩迄、剣術に柔術で鍛え上げた百段免状取りだ。全身鉄を以て固めた、虎彦さま鉄身、鉄腸、槍でも鉄砲でも持つて来て、撃つなと、突くなとやつて見よ。鋼鉄艦にブトが襲撃する様なもだ、アハヽヽヽ』
と得意鼻を蠢かし、四角な肩を不恰好に腰迄揺つて嘲笑する。馬公、鹿公は堪忍袋緒が今やプツリと切かけた。エヽ残念だ、もう此上は善も悪もあつたもかい、三人奴を片ツ端から打めし、三五教腕力を見せてやらうか。イヤイヤ、なる勘忍は誰もする、ならぬ堪忍するが堪忍だ。訳分らぬ下劣な奴を相手にして争ひは自ら好んで人格を失墜するみならず、延いては、大神様御心に背き、三五教名誉を毀損する生死境だ。仮令叩き殺されても柔和と誠を以て、彼等悪人を心底より、改心させるが吾々信者第一務めだ。国治立大神様や素盞嗚大神様御事を思へば、これ位口惜残念は宵口だ。怒りに乗じ手向ひすれば、一時胸は治まるだらうが、叩かれた者は、安楽に夜分も寝られる、叩いた者は夜分に寝られぬといふ事だ。嗚呼、何事も大慈大悲大神様深遠なる恵鞭だ。吾々は大神様試錬を受けて居るだ。紫姫様お身上に関する様な失敗を演じては済まない。と、馬、鹿両人は一度に、心中光明に照されて、嬉し涙をタラタラと流し大地にカヂリ付いて神恩を感謝して居る。
虎彦『オイ馬、鹿、どうだ、往生致したか。初め高言に似ずメソメソと泣面掻きやがつてチヨロ臭い。女郎腐つた様な奴だなア。貴様は何時間にか、睾丸を落して来やがつただらう。オイ熊彦、貴様は馬睾丸を検査するだ。俺は鹿睾丸を実地検分してやらう』
と目と目を見合せ両人尻を引捲り、三つ四つ臀部を叩き、
虎彦『ヤア腰抜けだと思つたら、矢張此奴体は女に出来て居やがる。骨盤が非常に大いぞ。ヤア長い睾丸を垂らして居やがる』
とギユツと握り、無理無体に後向けに引張つた。
 馬、鹿両人は睾丸を引張られ痛さに堪らず、後向けにタと這ひ乍ら、門外へ引摺り出された。
 熊彦、虎彦両人は、手早く門内に駆入り、潜り戸錠前を下ろし、
熊、虎『アハヽヽヽ、態ア見やがれ、ソとやつて来ると又こんなもだぞ。早く帰つて三五教奴に、酷い目に遭はされましたと報告しやがれ』
馬公『モシモシ、それは余りで御座います。開けて下さいと無理に申しませぬ、何卒、馬、鹿両人が、門外迄参りました、と松姫さまに報告して下さいませ』
虎彦『報告すると、せぬとは、吾々自由権利だ。犬遠吠様に、見つともない、門外で、ワンワン吐すな』
鹿公『左様で御座いませうが、どうぞ、何かお話序に、一言でも宜しいから、仰有つて下さいませ』
虎彦(大きな声で)『喧しう云ふない。貴様が言つて呉れなと云つたつて、此手柄話を黙つて居る馬鹿が何処にあるかい。ウラナイ教邪魔計り致す、三五教馬、鹿両人睾丸を掴んで、門外におつ放り出してやつたと云ふ、古今独歩、珍無類功名手柄を包み隠す必要があるか、縁舞は、我々取らざる所だ、一時も早く帰らぬか、愚図々々致して居ると、薬鑵に熱湯を浴びせてやらうか。シーツ、シー、こん畜生ツ、アハヽヽヽ。是れで俺も日頃鬱憤が晴れ、溜飲が下つた。サアこれから、松姫様に申上げて喜んで頂かう、さうすれば又、御褒美に御神酒一升もお下げ下さるかも知れぬぞ、オホヽヽヽ』
馬公『オイ鹿公、随分結構な神様試錬に遭つたぢやないか。ようお前も辛抱して呉れた。俺は、お前が短気を起しはせぬかと思つて、どれだけ胸を怯々さして心配したか知れなかつたよ。それでこそ俺親友だ、有難い、此通りだ、手を合して拝むワ』
と涙を滝如くに流し男泣きに泣き沈む。
鹿公『そうだな、本当に結構な御神徳を頂いた。これで俺達も、余程、身魂に力が出来て胴が据わつた。身魂に千人力御神徳を与へて下さつた。アヽ神様、あなた深き広き御恵み、身に浸み渡つて有難う感謝致します』
と嬉し涙に掻きくれる。
馬公『オー鹿公、よう云うて呉れた。嬉しい』
と、しがみ付く。鹿公も亦、馬公体にしがみ付き、互に抱き合ひ、忍び泣きに泣いて居る。
 秋名残り実、只二つ、冬枯れ梢に淋しげにブラ下つて居る。
 凩に煽られて、烏雌雄連れは忽ち此柿木に羽を休め、悲しさうに可愛い可愛いと啼き立てる。
 嗚呼此結果は、如何なるならむか。
(大正一一・五・八 旧四・一二 藤津久子録)
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