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文献名1霊界物語 第35巻 海洋万里 戌
文献名2第2篇 ナイル水源よみ(新仮名遣い)ないるすいげん
文献名3第10章 夢誡〔974〕よみ(新仮名遣い)ゆめいましめ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-09-26 09:36:14
あらすじ虎公、お愛、三公、孫公四人は、スッポン大蛇を言向け和すため途上、白山峠で野宿することになった。虎公、お愛、三公三人はいびきをかいて寝てしまったが、孫公は一人起きて座していたところ、草を揺らしてかきわけ、一人女が現れた。女は、助けてほしいことがあるからと孫公を誘う。孫公が断りを入れると、女は孫公を馬鹿にし始めた。女は孫公が、黒姫従者として自転倒島からやってきた経緯を知っているようだった。女は孫公を金縛りにしてしまい、自分は孫公が最前、お愛寝顔を見て起こした恋執着心が生んだ化けもだと明かした。孫公が困惑していると、そこへ恋執着心を戒める玉治別宣伝使宣伝歌が聞こえてきた。すると女は煙ように消えてしまった。そうかと思えば、気が付くと孫公は三人仲間から四五間離れて寝入ってしまっており、さいぜん女は夢であったことに気が付いた。孫公は、夢は神様が玉治別宣伝使を通して気を付かせてくださったもだと悟り、柏手を打って天津祝詞を奏上した。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年09月16日(旧07月25日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1923(大正12)年12月25日 愛善世界社版107頁 八幡書店版第6輯 511頁 修補版 校定版115頁 普及版42頁 初版 ページ備考
OBC rm3510
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本文  屋方三公と  綽名をとつた男達
 蚊竜天に登るよな  其勢荒男
 武野男達  誉を四方に虎公が
 お愛方と諸共に  孫公伴ひ鼈
 湖水に潜む曲神を  神言霊に
 言向和し世  百禍除かむと
 侠客気性両人が  足もいそいそ山道を
 右に左に辿りつつ  カンカン照り込む夏陽を
 頭にうけて進み行く  あゝ惟神々々
 御霊幸ひましませよ。
 一行四人は漸く白山峠山麓にさしかかつた。登りが三里、下りが三里と云ふ可なり大きい峠である。早くも夏陽は西天に没し、生暑い風が一行顔を撫でて四辺木々梢を揺りながら、おとなしく通つて行く。
孫公『随分コンパスが疲労したやうです。幸に日が暮れたですから、此辺で一つ一宿を願つて行く事に致しませうか』
虎公『どうでこんな急坂だから夜途は危ない。此坂下で今夜は野宿をする事にしようぢやないか、なア三公……』
 三公は「好からう」と唯一言、嬉しさうに諾いて居る。四人は木葉を沢山にむしつて敷き、俄作り青葉上に、長途疲れと他愛もなく寝込んで仕舞つた。
 孫公は三人如き鼾が耳に入り、どうしても寝られないで、四五間許り隔てた草中に胡坐をかき、空を仰いでオリオン星座を見つめ、何事か口中にて祈願して居る。
 其処へザワザワと茅を揺つて現はれて来た一つ白い影がある。孫公は此影をまんぢりともせず怪しき者出現かなと見詰めて居た。怪し影は孫公前に恐る恐る現はれ来り、優しき女声にて、
『もしもし旅お方様、お願ひが御座います』
『ヤアお前は女ではないか。こんな草原に唯一人やつて来るとは肝玉太い者だなア。俺に頼み度いと云ふはどんな事か、云つてみさつしやい。事によればお前力にならない事もないから……』
『ハイ有難う御座います。詳い事は後で申上げます。何卒私に跟いて来て下さいませ』
『近い所ならいいが、余り遠くは御免蒙り度いもだ。ソレ、あすこに俺達道連が三人寝て居るだから、どうしても離れる事は出来ない、俺は此処で三人夜警をやつて居るだからなア』
『さうするとお前さまは、あ三人奴さまですか。何と気利かねエ方ですなア。何程大きくても牛尻にはなるな、小さくても鶏頭になれと云ふぢや御座いませぬか、それにお前さまはそんな大きな図体をして、あんな侠客や、ハイカラ女お尻に従いて行くとは本当に甲斐性ない方ですねエ』
『こりや女、馬鹿にするない。俺や決してあ三人奴ぢやないぞ。押しも押されもしない男男一匹、三五教宣伝使孫公と云つたら俺事だ。あんまり見違ひをして貰ふまいかい。又お前も、こんな俺を腑甲斐ない男と見込んで頼むとは何事だ。余程腑甲斐ない女だなア』
『ホヽヽヽヽ、知らぬかと思うて、三五教宣伝使だなぞと、ようそんな嘘が云へたもだわ。黒姫と云ふ宣伝使お供をして来た自転倒島孫公ぢやないか。まだ宣伝使になるは早い、資格が具備して居ないから、そんな法螺を吹かぬやうにして下さい。こ熊襲国は悪人もあるが、併しどんな悪人だつて嘘だけは云ひませぬよ。自転倒島人間は、嘘が上手だから、夫で他人間が剣呑な人種だと云つて、到る所排日思想を嗾りたてるだよ、チト心得なさい』
『これは又づけづけと怯めず臆せず他悪口を云ふ女だ。ちつと言霊を慎まないか。俺が宣伝使だと云つたをお前は嘘ぢやと云ふが、決して嘘ぢやないよ。未来宣伝使だ、神目から見れば現在も未来も一つだよ』
『ホヽヽヽヽ、本当に偉い未来宣伝使様だこと、高山峠中腹では腰を抜かし、連れ男女にほつときぼりを喰はされ、涙ながらに見つともない、トボトボと淋しさうな顔をして、向日峠山麓に迷ひ込み、大それた嘘を云ひ、今ここへ来て居る三公乾児にとつちめられ雁字搦みにせられ、生きながら穴に葬られた腰抜男ですからなア。イヤもう其御神徳強いには感心しましたよホヽヽヽヽ。私も女と生れた以上は、お前やうな腰抜男とどうかして一度夫婦になつて見たくも何ともありませぬよ。あた汚らはしい、嫌な臭する男だねエ、オヽ臭やう、これこれ孫公ど、一間許り間隔を保つて来て下さい。余り近よると臭い匂ひがするから……』
『勝手にしやがれ。誰が貴様やうな化女尻について行く馬鹿男があるもか。馬鹿にするな、孫公腕には骨があるぞ』
『ホヽヽヽヽ、骨があるといなア。八丁笠やうな骨をして、余り大きな口を叩くもぢや御座いませぬぞエ。些と修業をなさらないと、鼈大蛇退治は駄目ですよ。お前が大蛇に呑まれに往くかと思へば、不憫で耐らないから気をつけてあげるだ。一度あつた事はきつと三度あるもだ。一度は高山峠岩に腰を打ち気絶して命危く、二度目は三公乾児者に生埋めにしられた。災難よくつきまとふ男だから、三度目蛇子と云つて、今度こそ大蛇腹へ呑まれに行くだから、思へば思へば気毒なもだなア。あまア孫公狼狽へ加減、矢張り孫公だと見えてよう魔胡つく男だ。真心が足らぬと何遍でも命を取られるやうなお誡めに遇ひまするぞえホヽヽヽ。あれまア時々刻々に孫公顔が青くなつて来た。まるで八寒地獄にウヨウヨして居る亡者やうだワ』
『ヤイ女、六尺男をつかまへて嬲者にしようと思つても、此孫公は些と種が違ふだ。貴様様な妖怪変化に誑かされるやうな兄イぢやないから、もうよい加減に諦めてすつこんだら何うだ。夜分女と云ふもはあんまり気分よいもぢやない。用があるなら夜が明けてから出て来い。何なりと聞いてやるわ』
『私は夜鷹だから夜出るが商売だよ』
『気利かねえ夜鷹だなア。都中央細い路次に出るが貴様商売だ。それに人家もなければ商売も尠いこんな荒野ケ原へ、仮令百晩千晩立つた所で旨い鳥はかかりやせないぞ。こんな所で鼻長い男をちよろまかさうとするは、恰度山へ魚を捕りに行き、海底へ猪をとりに行くやうな話だ。お前は余程どうかして居るねエ。癲狂院代物ぢやあるまいかなア』
『癲狂院でも、天教山でも放といて下さい。それよりもお前足許に気を付けなくては駄目ですよ。明日はお前冥日だから……』
『エヽ縁起悪い事を云うて呉れない。亡者か何ぞやうに、冥日があつて耐まらうか』
『ホヽヽヽヽ、お前それでも生て居ると思ふかい。お前魂はとつく昔に死んで了ひ、胴体計り残つて居るだよ。云はば娑婆亡者だ。冥日があるはあたりまへだよ』
『エヽ気分悪い夜さだなア。オイ女、俺やもう此処から御免蒙るわ、お前勝手にどこへでも行つたらよい。余り俺悪口計りつきよつて業腹だから止めて置かうかい』
『サア行けるなら何処なと勝手に行つて御覧、お前知らぬ間にちやんと体に綱をつけて縛つてあるから一つ歩いて見なさい』
『何歩かいでか、アイタヽヽこりや本当に縛りよつたな。些つとも動きやしないわ、下らぬ悪戯をする女だなア。サツパリ雁字搦みに知らぬ間に縛つて仕舞ひよつた、こんな無茶な女に出遇つたは今日が初めてだ』
『ホヽヽヽヽ、お前計りか今人間に、一人として女に縛られて居ない人間がありますか。何奴も此奴も、執着だとか恋だとか云ふ怪しい代物に、蜘蛛に蝉がかかつたやうに捲きつけられて、雁字り捲きにされて居る人間計りがウヨウヨとして居る娑婆ぢやないか』
『さうすると女に縛られたもは俺計りぢやないなア。お前はさうすると些と計り俺にラブして居やがるだな。好いた同志は毎日日日、擲つたり、噛りついたり、抓つたりするを此上なき愉快やうに感ずるもだが、俺もお前から雁字搦みに縛られて些とはむかついたが、よく気を落付けて神直日に見直し善意に解して見れば、余り腹も立てられまい。却つて有り難いやうになつて来たワイ』
『エヽまア好かんたらしい男だこと。お前と云ふ男は、お愛寝顔をちよいと覗き込んで恋執着をたつた今起しただらう。其執着心が、此私を生んだだよ。つまり云へば孫公反映だ。何と云つても内裏だから腹を立てないやうにして下さいネ孫公』
『益々訳が分らなくなつて来た。此奴は本当に化物だなア』
『そりやさうとも、化物に違ひありませぬワ。化物腹から生れた私だも。烏は烏を生み獅子は獅子を生むは当然ですよ』
 かかる所へ闇を通して幽に宣伝歌声が聞え来る。
『神が表に現はれて  恋になやみし執着
 心雲霧吹き払ふ  我は玉治別司
 湖魔神を三五  神教に言向けて
 世禍を悉く  払はむとして出でて行く
 三五教孫公は  心曲者に
 とり挫がれて今正に  闇路に迷ふ憐れさよ
 心中に恐ろしい  大蛇を宿す身をもつて
 どうして魔神を速かに  服へ和す道あろか
 あゝ惟神々々  憐れな孫公よ孫公よ
 一日も早く真心に  立ち帰りつつ三五
 誠教を諾ひて  夢をば醒せ目を醒せ
 唯今其処に現はれし  怪し女は何者ぞ
 汝が心に潜みたる  横恋慕と名ついた
 八十曲津化身ぞや  一日も早く宣り直せ
 汝が姿も見直して  虎公三公両侠
 清き御魂に神習ひ  お愛方を思ひ切り
 心にさやる白山  峠を早く踏みしめて
 誠一つに進み行け  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  仮令大地は沈むとも
 大蛇曲は荒ぶとも  三五教
 誠一つは世を救ふ  あゝ惟神々々
 神御言を諾ひて  玉治別神司
 神に代つて説き諭す  進めよ進めいざ進め
 誠道に逸早く  進めや進め湖
 大蛇御魂亡ぶまで  心曲津失する迄
 あゝ惟神々々  御霊幸はひましませよ』
と聞ゆるかと見れば、以前影はいつ間にか煙如く消えて仕舞ひ、夜嵐冷やかに孫公顔を撫でて通る。ふと気がつけば孫公は三人寝て居る四五間許り芝生に横たはつて居た。
『アヽ何だ夢だつたか、しようもない。併しながら夢だとて油断は出来ない。神様が玉治別名をかりて御注意して下さつただらう。俺もこれで大分に悟る事を得た。あゝ惟神々々御霊幸倍ましませよ』
と云ひながら、拍手を打ち、声高らかに天津祝詞を奏上する。
(大正一一・九・一六 旧七・二五 加藤明子録)
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