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文献名1霊界物語 第52巻 真善美愛 卯
文献名2第2篇 文明盲者よみ(新仮名遣い)ぶんめいもうじゃ
文献名3第10章 霊界土産〔1346〕よみ(新仮名遣い)れいかいみやげ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-11-21 20:48:00
あらすじ小北山神殿では、文助蘇生を祝って盛大な祭典を行い、直会宴を張った。役員信者一同は、歓喜神酒に酔った。文助はそろそろ歌いだした。自分が仮死間に霊界にて見聞したことを交えて将来自分信仰方針について略述し、かつ親切な介抱に預かったことを感謝した。松姫は文助信仰向上を讃える道歌を歌った。一方イクは、改めて初稚姫を追ってハルナ都までも行く覚悟を歌に歌い、小北山役員信者一同に感謝と別れ辞を述べた。松姫は言葉を尽くして出立を思い止めようとしたが、彼らはやる心を翻すことはできなかった。イクとサールは小北山を拝礼し、怪し森を抜けて浮木ケ原を目指す道を進んで行く。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年01月30日(旧12月14日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年1月28日 愛善世界社版144頁 八幡書店版第9輯 431頁 修補版 校定版150頁 普及版64頁 初版 ページ備考
OBC rm5210
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本文  小北山神殿にては、文助が蘇生したる其祝意を表する為に、盛大なる祭典を行ひ、且直会宴を張つた。松姫を始め其他一般役員信者は大広前に集まつて、文助が神より与へられたる広大無辺神徳にあやからむと参籠せる信者は各宿舎より来つて歓喜神酒に酔うた。文助はソロソロ歌ひ出した。
『無限絶対無始無終  生死上に超越し
 此世を造り給ひたる  皇大神神徳に
 生れ出でたる人草は  何れも神子神
 永遠無窮生命を  保ちて顕幽両界に
 生き通し行く尊さよ  われは一度大神
 恵綱にあやつられ  ふとした事より霊界に
 知らず知らずに突入し  山河草木悉く
 現実界に変りなく  大地上を歩みつつ
 吾身嘗て死去したる  事は一つも知らざりき
 之を思へば人身は  神教にある如く
 不老不死にて永遠に  神御国に栄え行く
 霊物ぞと知られける  ああ惟神々々
 一度神御国へ  旅立したる愉快さは
 醒めて此世にありとても  容易に忘るることを得ず
 実にも楽しき霊界  光は今に現然し
 宛然高天神界に  身をおく如き心地なり
 松姫司や其他  百介抱に
 再び現世に立帰り  四方有様伺へば
 実にも此世は娑婆世界  罪に汚れし状態に
 彷徨ふも感深し  神霊界に至りては
 目かひ見えぬ吾々も  すべて物をありありと
 残る隈なく目撃し  殊更気分も麗しく
 身も軽々と道を行く  地上世界を行く如き
 苦痛は少しも知らざりき  現界人は気を急ぎ
 足を早めて道行けば  必ず呼吸切迫し
 心臓鼓動忽ちに  烈しくなりて息塞り
 喉は渇き汗は出で  足は疲れて苦しさを
 覚ゆるなれど神界  旅行は之に相反し
 何苦もなく易々と  思ひ儘に進みけり
 実にも此世は苦世界  厭離穢土ぞと言ふことは
 只聖人方便と  思ひそめしは誤謬と
 深くも感得したりけり  抑も神坐す国は
 恨み嫉みも醜業も  塵ほどもなきパラダイス
 愛と善と徳に充ち  信と真と光明に
 輝き渡り日限も  土地さへ知らぬ長閑なる
 常世如くなり  之を思へば大神
 仁慈無限御経綸  ゆめゆめ疑ふ余地もなし
 此大前に参集ふ  信徒等よ司等
 人此世にある時は  時世時節に従ひて
 国掟をよく守り  五倫五常大道を
 明め悟り実行し  最第一
 開き給ひし大神  其神格を理解して
 善と真と徳を積み  神より来る美はしき
 智慧証覚に充たされて  仮浮世生涯を
 完全無欠に相送り  凡て罪を大神
 御前にひれ伏し悉く  悔い改めて天国
 門戸を開く準備をば  此文助は云ふも更
 皆さま心を一つにし  身行ひを慎みて
 神御国御為に  吾三五大道を
 尽しまつらむ神力を  具備させ給へと大前に
 祈れよ祈れ百人  これ文助が霊界に
 至りて親しく見聞し  実験したる物語
 黄泉路帰り礼祭に  集ひ給ひし人々に
 土産話と述べておく  ああ惟神々々
 御霊幸はひましませよ  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  仮令大地は沈むとも
 少しも動かぬ神国  常住不断信楽に
 身をおくならば何事も  恐るることやあらざらむ
 省み給へ百人  われ人ともに慎みて
 此神国に生れたる  恵に報いまつるべく
 心限り身きはみ  誠を捧げまつるべし
 ああ惟神々々  神御前に文助が
 見聞したる一端を  此処に謹み述べ終る
 ああ有難し有難し  限りも知らぬ神
 果てしも知らぬ御稜威』
と歌ひ了り、一同に向つて自分が仮死中種々親切な介抱に預かつたことを感謝し、且将来自分神に仕ふる方針に就いて略叙し自席に着いた。次に松姫は歌ふ。
『高姫司開きたる  ウラナイ教によく仕へ
 支離滅裂教義をば  至善至美なる大道と
 渇仰したる受付  文助さまも漸くに
 三五教御光に  照らされ給ひ大神
 誠心を理解して  朝な夕なに神殿に
 いと忠実に仕へたる  誠信者となり給ふ
 かかる尊き真人を  惜しみ給ひて神々は
 再び此世に追ひ返し  現実界に残したる
 其神業を完成し  神御前に復命
 申させ給はむ御心  仰ぐも畏き次第なり
 此世を造りし神直日  心も広き大直日
 只何事も人世は  直日に見直せ聞直せ
 身過ちは宣りかへと  善言美詞
 深遠微妙真理をば  含ませ給ふ有難さ
 初公、徳公両人は  妖幻坊や高姫
 醜曲津に欺かれ  朝な夕なに大神に
 いと忠実に仕へたる  此真人を打擲し
 仮死状態に至るまで  悩めしかども翻り
 其真相を思惟すれば  之も全く神界
 不可知的なる御経綸  文助さまは其為に
 願うてもなき霊界  真相までも探険し
 再び此世に帰り来て  世人を導き給ふべく
 計らひ給ひし事ならむ  ああ惟神々々
 只何事も神様に  任しておけば怪我はない
 何程人が利口でも  物質界に住む上は
 幽玄微妙神界  深き真理は分らない
 卑しき弱き人身で  何程真理を究めむと
 焦慮するとも無益なり  文助さま物語
 聞くにつけてもヒシヒシと  胸にこたえて吾魂は
 俄に向上せし如く  神御国有様を
 いと明かに悟り得し  歓喜心に充たされぬ
 いざ之よりは松姫は  文助さまを師父となし
 すべて執着排除して  いと忠実に仕ふべし
 許させ給へ真人よ  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  少しも動かぬ神
 現実界人々  計り知らるる事ならず
 ああ惟神々々  神まにまに進むより
 吾等は手段なきもぞ  初稚姫神司
 天国浄土や地獄道  中有界状態を
 いと懇に説き給ひ  帰りましたる其後へ
 文助さま甦り  右と左に真人が
 現はれまして霊界  其真相を詳細に
 教へ給ひし有難さ  ああ諸人よ諸人よ
 此世に命ある限り  神に親しみ神を愛し
 善と真と徳を積み  生きて此世範となり
 死しては神御使と  仕へまつらふ其為に
 三五教御教を  心ひそめて拝聴し
 処世を誤ること勿れ  ああ惟神々々
 神御前に此度  恵を感謝し奉る』
 イクは立上つて歌ひ出した。
『ああ有難し有難し  思ひ掛なき神界
 深遠微妙経綸を  今目あたり明かに
 説き示されし吾々は  此世人として
 いと幸福者ぞかし  文助さま物語
 松姫さま御教訓  聞くにつけても何となく
 心は勇み腕は鳴り  只一刻もグヅグヅと
 して居れないよな心持  俄に湧き出し全身
 血は漲りて歓楽  涙は胸に溢れけり
 さはさりながら命とも  柱杖とも頼みてし
 初稚姫神司  夜前騒ぎを他所にして
 出で行きますとは何事ぞ  かかる優しき神人も
 文助さま危難をば  他所に見すてて帰るとは
 合点行かぬ節がある  とは言ふも吾々は
 向ふ見えぬ愚か者  智慧証覚に秀れたる
 愛と信と善徳を  身に帯び給ひし姫君
 心は如何で吾々  小才浅智知悉する
 限りにあらずと諦めて  此上何にも言ひませぬ
 さは言へ吾はどこ迄も  初心を貫徹せにやならぬ
 初稚姫に相反き  仮令地獄に堕つるとも
 神御為世為に  尽す誠益良夫を
 神は必ず救ふべし  松姫様よお菊さま
 其外百司たち  いかいお世話になりました
 之より私は小北山  神御前に拝礼し
 膝栗毛に鞭うつて  特急列車に身を任せ
 矢を射る如く御後を  つけて行かねばおきませぬ
 我慢強い男だと  必ず笑うて下さるな
 バラモン軍猪突武者  首もまはらぬ男だと
 今迄言はれて来たけれど  夜光玉を保護しつつ
 常世暗を踏み分けて  浮き瀬に悩む人々を
 神光に照らしつつ  舎身活動継続し
 首尾よくハルナに立向ひ  大神業に参加して
 斎苑館に復命  申さむ折は小北山
 大神殿に参詣で  山と積れる御話を
 皆々さま御前に  申上ぐべき時こそは
 今より楽しみ待たれける  ああ惟神々々
 御霊幸はひましませよ』
と歌ひ了り、サールを促して早くも此場を立出で、初稚姫後を追はむとした。松姫は百方言葉を尽して、イク、サール出立を止むべく、初稚姫意を体して説き諭した。されどはやり男猪武者、いかでか其言葉に耳を傾くべき。サールと共に小北山を拝礼し、善一筋心を渡す一本橋、二人身なりも怪シ森、運ぶ歩みも浮木ケ原を指して進み行く。
(大正一二・一・三〇 旧一一・一二・一四 松村真澄録)
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