王仁DBβ版 出口王仁三郎と霊界物語の総合検索サイト 文献検索 画像検索 単語検索 メニュー開く
サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)

文献名1霊界物語 第52巻 真善美愛 卯
文献名2第3篇 衡平無死よみ(新仮名遣い)こうへいむし
文献名3第12章 盲縞〔1348〕よみ(新仮名遣い)めくらじま
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-11-23 15:51:29
あらすじ灰色暮色に包まれた野も山も静かでさびしい。文助精霊は、山と山とにはさまれた枯草ぼうぼうと生え茂る細い谷道を、杖を力にとぼとぼと登って行った。文助はほろ酔い機嫌で鼻歌を歌いながら、ボンヤリとした目光をたよりに、当てもなく歩いていた。すると傍ら草むらから、盲を狙う強盗という若い男が現れて、文助を止めて持ち物を渡すように迫った。文助は少しも恐れることなく、男心は脅威を感じ、戦慄していると見抜いた。男は文助に、にわかに強盗がいやになったから、自分を連れて行ってくれるように頼んだ。文助が断ると、男は文助が世間人間を誤った信仰に導いて地獄に落としていたことを責めはじめた。男は、実は自分は地獄から文助を迎えに来た者だと答えた。文助はそんなはずはない、自分は天国に籍があることを前回幽界旅行で確かめてあるだ、と先に進んで行く。男は大声に笑って文助地獄行きを叫んでいる。文助が振り返ると、若い男は赤らが顔に耳まで裂けた大きな口を開けている。文助は惟神霊幸倍坐世を幾回も繰り返しながら、山と山谷道を一目散に進んで行った。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年02月09日(旧12月24日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年1月28日 愛善世界社版171頁 八幡書店版第9輯 439頁 修補版 校定版179頁 普及版72頁 初版 ページ備考
OBC rm5212
本文のヒット件数全 97 件/ノ=97
本文の文字数2230
これ以外の情報は霊界物語ネットの「インフォメーション」欄を見て下さい 霊界物語ネット
本文  灰白暮色に包まれた野も山も凡ては静かで淋しい。山と山とに挟まれた枯草ぼうぼうと生え茂る細い谷路を、杖を力にトボトボと爪先上がりに登り行く一人盲者がある。これは小北山受付にゐた文助精霊であることはいふまでもない。文助は微酔ひ機嫌で鼻歌を唄ひながら、ボンヤリとした目光を頼りに、どこを当ともなく歩いてゐたである。傍叢にガサガサと音がしたで、ハテ何者が飛出すかと立止まつて考へてゐた。疎い目からよくよくすかして見れば、労働服を着けた十七八歳黒い青年であつた。
文助『コレお若い衆、どうやら日も暮れかかつたさうだが、お前さま一人こんな処で何をして厶るだい』
青年『俺は泥棒をやつてゐるだ。此街道は目悪い奴ばかりが通過する処だから、俺様な甲斐性ない泥棒は、盲でないと性に合はぬから、待つてゐただ』
『ハハハハ、私やうなスカンピン盲に相手になつた所で、何があるもか。それよりも巨万金を有て居る盲は世界に何程あるか知れぬぢやないか。総理大臣でも、博士でも、富豪でも、大寺和尚でも皆盲だ。お前は黒い着物を着て居ると思へば、盲縞被衣を着たりパツチをはいてるぢやないか、さうすると矢張りお前も盲だな』
『盲にも色々あつて、其盲が又盲を騙す力ある奴だから、俺たち盲には手に合はぬぢや。お前も随分世界人間を盲にして来た男だが、世間盲に比べて見ると余程くみし易いとみたから、ここに待ち構へてゐただ。サ、持物一切を渡して貰はうかい』
『ハハハハ、盲滅法界な事を言ふ奴だなア。斯うみえても、此文助は心眼が光つてゐるぞ。世間盲は肉眼は開いて居つても心眼は咫尺暗澹だが、此文助は貴様底まで鏡に照らした如く分つてゐるだ。無理無体に虚勢を張つて恐喝しようとしても、お前心は既に非常なる脅威を感じ、戦慄してるぢやないか、そんなことで盲を脅かさうなんて、チツと過分ぢやないか』
『何だか、お前に会うてから、俺も泥棒が厭になつた。何卒、何処へ行くか知らぬが連れて行て貰へまいかな』
『貴様様な奴を道連れにしようもなら、チツとも安心するこたア出来やしない。送り狼と道連れやうなもだ、何時スキがあつたら咬み殺すか分つたもぢやない、マア御免蒙つとこうかい。ああ惟神霊幸倍坐世』
『オイ盲爺さま、お前は世間人間を盲にして、毎日日日地獄界へ案内してゐた癖に、俺一人盲を捨てると云ふ事があるか』
『馬鹿を申せ、俺は皆人間霊を高天原へ導いてゐただ。それだから此間も一寸気絶した時に天国を覗いて来ただ。俺導いた連中は皆高天原に安住してゐるだぞ』
『お前、高天原へ行つた時に其弟子に、一人でも出会つたか、滅多に出会はせまい、何奴も此奴も地獄へ墜ちてるだからな。神取次皆盲ばかり、そ又盲が暗雲で、世界手を引いて、インフエル(地獄界)底へと連れまゐる……といふはお前事だよ』
『エ、そんなこたア聞く耳持たぬワイ。何なと勝手にほざいておけ、ゴマ蠅奴が』
『ヨーシ俺も天下青年だ。青年重ねて来らず、一日再晨なり難しといふ事を知つてゐるか、俺は斯う労働服を着てゐるやうに見えても赤裸だぞ。それだから青年重ねて着足らずといふだ。貴様上着を一枚所望するから、キツパリと俺に渡せ、裸で道中はならぬからう』
『丸で三途脱衣婆やうな事をぬかす奴だな。エエ仕方がない、そんなら一枚恵んでやろ。どうせ此先で婆アに取られるだから……』
『オイ爺、お前は今幽界旅行をしてゐるといふ事を知つてゐるか』
『きまつた事だ。一度経験がある。何時間にやら体がこんな所へ来てるだから、夢でなければ幽界旅行だ。夢であらうが、幽界旅行であらうが、どちらもユーメ旅行だ。貴様は此処を現界と思つてるか、オイ黒助』
『コリヤ黒助とは何だ。これでも中には赤い血が通つてるぞ』
『エー、邪魔臭い、羽織を一枚やつたら、エエカゲンに帰つたらどうだ。これから長旅をせにやならぬに、貴様様な奴がついてゐるとザマが悪いワ』
『ハハア、ヤツパリ貴様は偽善者だな。餓鬼虫ケラまで助けるが神道だと、小北山で吐いて居つたが、とうと、正体を現はしよつたな。気毒ながら、何うしてもインフエル行き代物だ、エツヘヘヘヘ、実は地獄界から貴様を迎へに来ただぞ』
『ヘン、何を吐しよるだ、そんな事に驚く俺かい。俺は前回に於て、正に天国に籍ある事をチヤンとつきとめておいただ。そんな事を云つて強迫しても、ゴマ如き者慣用手段に乗るやうなチヤーチヤーぢやないぞ。勿体なくも大国治立尊様教を伝達するグレーテスト(最も偉大な)プロバガンディストだ。燕雀何ぞ大鵬志を知らむや、そこけツ』
と杖を以て四辺芝草をメツタ矢鱈にしばき倒しながら、トントンと登り行く。青年は後姿を見送つて、
『アハハハハハ阿呆阿呆、イヒヒヒヒヒインフエル行き文助爺、ウフフフフフうろたへ者盲爺、エヘヘヘヘヘエクスタシーを知らぬ盲爺、オホホホホホお気毒さま、今度は地獄定紋付だ。お前背中を見い、オツホホホホホ』
と大声に笑ふ。文助は後振返つて其青年を見ると、赤ら顔に耳までさけた大きな口をあけ、舌を五寸ばかりはみ出して、厭らしい面して腮をしやくつてゐる。文助は惟神霊幸倍坐世と幾回となく繰返しながら、山と山と谷道を一目散に進んで行く。
(大正一二・二・九 旧一一・一二・二四 松村真澄録)
霊界物語ネットで読む 霊界物語ネット
オニド関係の更新情報は「オニド関係全サイトの更新情報」を見れば全て分かります!
王仁DB (王仁三郎データベース)は飯塚弘明が運営しています。 /出口王仁三郎の著作物を始め、当サイト内にあるデータは基本的にすべて、著作権保護期間が過ぎていますので、どうぞご自由にお使いください。また保護期間内にあるものは、著作権法に触れない範囲で使用しています。それに関しては自己責任でお使いください。/出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別用語と見なされる言葉もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。/ 本サイトのデータは「霊界物語ネット」掲載のデータと同じものです。著作権凡例 /データに誤り等を発見したら教えてくれると嬉しいです。
連絡先:【メールアドレス(飯塚弘明)
プライバシーポリシー
(C) 2016-2024 Iizuka Hiroaki