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文献名1霊界物語 第52巻 真善美愛 卯
文献名2第3篇 衡平無死よみ(新仮名遣い)こうへいむし
文献名3第15章 千引岩〔1351〕よみ(新仮名遣い)ちびきいわ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ黄泉平坂(黄泉比良坂) データ凡例 データ最終更新日2023-11-26 18:53:53
あらすじ文助は大石が動くで神言を奏上していた。すると二十歳くらい娘と十八歳くらい男が岩下から現れ、自分たちは文助娘・年子と息子・平吉だと名乗った。文助子・お年と平吉は、それぞれ三つと二つときに死んだが、霊界で成長しただという。そしてそ間、文助にだまされたという人がたくさん霊界にやってきて睨まれるで、十六年間、姉弟で萱野ケ原に逃れて隠れて暮らしていただという。文助は自分子供たち上話を聞いて涙に暮れて考え込んでいる。後ろから肩を叩く者があって驚いて振り向くと、生前知己竜助であった。竜助は、生前に文助が教えてくれた話が霊界へ来てみるとすっかり間違いだらけで、方角がわからなくなって、こ原野にさまよっているだと身上を語り、文助二人子がかわいそうだからときどき様子を見に来て食べる物を渡しているだ、と語った。文助は宣伝使としてどように心を持ったらよいかわからず、嘆いた。竜助は、何事も神様御神徳によって人が助かり、自分も生き、人上に立って教えることができるだ、と文助を諭した。たちまち竜助は大火団となって中空に舞ぼり、東方面を指して行った。竜助と見えたは、文助産土化身であった産土神がお年・平吉身を憐み、神務余暇にここへきて二人を助けていたことを知った文助は、産土御仁慈を悟って地にひれ伏し、啼泣して感謝をささげた。文助は二人子供たちに、自分慢心罪を詫びた。文助は、今まで唱える祝詞力によって天国へ救い導くもと思っていたが、これはたいへんな間違いであり、神様御力によって救われるだということを理解し、懺悔した。こ上は神様に何事も任せて、お指図を受ける外にはないことを悟った文助は、親子三人で荒野が原に端座して、一生懸命に祈願を凝らした。ちなみに、産土神が二人姉弟をかくまうために石を使われたは、石が真を現し、虚偽と罪悪と醜穢を裁断する神力が備わったもであるからである。神真を現す石は、悪魔襲来を防ぐ。石は鉱物であり、玉留魂である。ゆえに石は霊国真相を現すもで、月大神御神徳に相応し、石玉をもって御神体とする。霊国御舎は石を持って造られている。天国は木をもって宮が造られている。木は愛に相応し、太陽熱に和合するからである。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年02月09日(旧12月24日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年1月28日 愛善世界社版194頁 八幡書店版第9輯 448頁 修補版 校定版202頁 普及版84頁 初版 ページ備考
OBC rm5215
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本文  文助は重た相な石が、土鼠が持つ様に、ムクムクと動くで、此奴ア不思議と立止り神言を奏上してゐると、一人は二十歳位な娘、一人は十八歳位な男が岩下から現はれて来た。文助は何者ならむと身構へしてゐると、男女二人は文助側へ馴々しくよつて来て、
『お父さま、能う来て下さいました。私は年子で厶います……私は平吉で厶います』
『私には、成程お年、平吉といふ二人子はあつた。併しながら其子は、姉は三つ年に、弟は二つ年に死んだ筈だ。お前やうな大きな子を持つた筈はない、ソラ大方人違だらう』
年子『私は三つ年に現界を去つて、あなた側を離れ、霊界へ出て来ました。さうすると沢山な、お父さまに騙された人がやつて来て、彼奴は文助娘だと睨みますで、居るにも居られず、行く所へも行けず、今日で十六年間、此萱野ケ原で暮して来ました。そして毎日ここに隠れて、姉弟が住居をして居ります。霊界へ来てから、ここまで成人したです』
『成程、さう聞けばどこともなしに女房に似た所もあり、私記憶に残つてゐるやうだ。そしてお前等二人は永い間此処ばかりに居つたか』
平吉『ハイ、姉さまと二人が木実を取つたり、芋を掘つたり、いろいろとして、今日迄暮して来ました。人に見つけられようもなら、すぐに、お前親は俺をチヨロまかして、こんな所へ落しよつたと云つて責めますから、それが苦しさに、永い間穴住居をして居ました』
と涙を滝如くに流し、其場で姉弟は泣き伏して了つた。文助は手を組み、涙を流しながら思案にくれてゐると、後から文助背を叩いて、
『オイ文助』
といふ者がある。よくよく見れば、生前に見覚ある竜助であつた。文助は驚いて、
『イヤ、お前は竜助か、根つから年がよらぬぢやないか』
『折角お前が生前に於ていろいろと結構な話をしてくれたが、併しながら其話はスツカリ霊界へ来て見ると、間違ひだらけで、サツパリ方角が分らぬやうになり、今日で十年間、此原野に彷徨うてゐるだ、これから先へ行くと、八衢関所があるが、そこから追ひかへされて、かやうな所で面白からぬ生活をやつてゐるだ。お前為にどれだけ苦しんでゐる者があるか分つたもでないワ』
『誰もかれも、会ふ人毎に不足を聞かされ、たまつたもぢやない。ヤツパリ私言ふ事は違うて居つたかなア』
『お前はウラナイ教を俺に教へてくれた先生だが、あ教は皆兇党界言葉だつた。それ故妙な所へ落される所だつたが、産土神様御かげによつて、霊界方へやつて貰うただ。併しながら生前に於て誠神様に反き、兇党界ばかりを拝んだ罪が酬うて来て、智慧は眩み、力はおち、かやうな所に修業を致して居るだ。お前娘、息子だつてヤツパリお前脱線した教を聞いてゐたもだから、俺達と同じやうに、こんな荒野ケ原に惨めな生活をしてゐるだ。そして大勢者にお前子だからと云つて、憎まれてゐるだ、俺はいつも二人が可愛相なで、大勢に隠れて、チヨコ チヨコ喰物を持つて来たり、又淋しからうと思つて訪問してやるだよ』
『あ、困つた事が出来たもだなア、今は改心して三五教に入つてゐるだ。マ、其時は悪気でしたでないから、マ、許して貰はな仕方がない、どうぞ皆さまに会つてお詫をしたいもだ』
『三五教だつて、お前慢心が強いから、肝腎神様教は伝はらず、ヤツパリお前我ばかりで、人を導いて来ただから、地獄道へ堕ちたもあり、ここに迷うて居るも沢山ある。なにほど尊い神教でも、取次が間違つたならば、信者は迷はざるを得ないだよ』
『何と難かしいもだなア。吾々宣伝使は一体何うしたらいいだらうか、訳が分らぬやうになつて了つた』
『何でもない事だよ、何事も皆神様御蔭、神様御神徳に仍つて人が助かり、自分も生き働き、人上に立つて教へる事が出来るだ。自分力は一つも之に加はるでないといふ事が合点が行けば、それでお前は立派な宣伝使だ。余り自分力を頼つて慢心を致すと、助かるべき者も助からぬやうな事が出来するだよ。是から先には沢山お前に導かれた連中が苦しんでゐるから、其積りで行つたがよい。二人娘、息子だつてお前為に可愛相なもだ。筆先に「子に毒をます」と書いてあるは此事だ。合点がいつたか』
と、どこともなしに竜助言葉は荘重になつて来た。文助は思はず神言葉やうに思はれてハツと首を下げ、感謝涙にくれてゐる。忽ちあたりがクワツと明るくなつたと思へば、竜助は大火団となつて中空に舞ひぼり、東方面指して帰つて行く。之は文助産土神であつた。
 産土神はお年、平吉二人を憐れみ、神務余暇に此処へ現はれて、二人を助け給ひつつあつたである。文助は始めて産土御仁慈を悟り、地にひれ伏して涕泣感謝を稍久しうした。
 文助は二人に向い、
『お前たち二人は、子供でもあり、まだ罪も作つてゐないから、ウラナイ教御神徳で天国へ行つて居る者だとみ思つてゐたに、斯様な所で苦労してゐたとは気がつかなかつた。之も全く私罪だ。どうぞ許してくれ、さぞさぞ苦労をしたであらうな』
お年『お父さま、あなた吾々を思うて下さる御志は本当に有難う厶いますが、何と云つても、誠神様道に反き、兇党界神に媚び諂ひ、日々罪を重ねてゐられるもですから、私たち耳にも、現界消息がチヨコ チヨコ聞えて、其度毎に剣を呑むやうな心持で厶いました。今日も亦文助導きで兇党界行があつたが、産土様お蔭で霊界へ救はれたといふ噂を幾ら聞いたか分りませぬ。弟も余り恥かしいと云つて外へ出ず、又外へ出ても大勢者に睨まれるが辛さに狐やうに、穴を掘つて、此岩下に生活を続けて来ました。これだけ広い野原で、石なとなければ印がないで、産土様お蔭で、此石を一つ運んで貰ひ、これを目当に暮してゐます。石といふもは、さやります黄泉大神と云つて、これさへあれば敵は襲来しませぬ。此岩お蔭で、姉弟がやうやうとここまで成人したで厶います。お父さまも、一時も早く御改心を遊ばして、吾々を天国へ行くやうにして下さい』
『今までは、吾々が祝詞力に仍つて天国へ救へるも、又は導けるもと思うてゐたが大変な間違だつた。これは神様御力に仍つて救はれるだつた、今迄は自分力で人を救うと思ひ、又人病を自分力で直すと思うたが慢心だつただ。もう此上は神様に何事も任して、御指図を受ける外はない。ああ惟神霊幸倍坐世』
と親子三人は荒野ケ原に端坐して、一生懸命に祈願を凝らした。
 因に石といふもは、真を現はすもである。そして、所在虚偽と罪悪と醜穢を裁断する所神力備はつたもである。神典古事記にも、黄泉平坂上に千引岩をおかれたは、黄泉国曲を裁断する為であつた。人間屋敷入口に大きな岩を立てて、門に代用するも外来悪魔を防ぐ為である。又家屋周囲に延石を引きまはすも、千引古事にならひ悪魔襲来を防ぐ為である。築山を石を以て飾るも神真を現はす為であり、又悪魔襲来を防ぐ為である。そして所在植物を庭園に栽培するは愛を表徴したである。人間庭園は愛善徳と信真光を惟神的に現はした至聖所である。故に之を坪内とも花園とも称するである。天国諸団体有様は、すべて美はしき石を配置し、所在植物を植ゑつけられた庭園に類似したもである。それから石は砿物であり玉留魂である。故に神様御霊を斎るは所謂霊国真相を現はすもで、月大神御神徳に相応するが故に、石玉を以て御神体とするである。これ故に霊国御舎は皆石を以て造られ、天国は木を以て、其宮を造られてある。木は愛に相応し、太陽熱に和合するが故である。大本御神体が石であつたから、何でも無い神だと嘲笑してゐるそこらあたり新聞記事などは、実に霊界真理に到達せざる癲狂痴呆であつて、新聞記者自ら不明を表白してゐるもである。
 ああ惟神霊幸倍坐世。
(大正一二・二・九 旧一一・一二・二四 松村真澄録)
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