王仁DBβ版 出口王仁三郎と霊界物語の総合検索サイト 文献検索 画像検索 単語検索 メニュー開く
サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)

文献名1霊界物語 第52巻 真善美愛 卯
文献名2第4篇 怪妖蟠離よみ(新仮名遣い)かいようばんり
文献名3第22章 空走〔1358〕よみ(新仮名遣い)くうそう
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-12-19 22:00:46
あらすじガリヤはサベル姫口に血が付いているを見てとり、耳に喰いつこうとしたときに腕をグッと握った。するとそれは毛だらけ古狸手であった。ガリヤは前身力をぐっと籠めて離さず、懐から取り出した細紐で四足を固くくくって天上裏に吊り下げてしまった。狸泣き叫ぶ声を聞いて、高宮彦と高宮姫が部屋にやってきた。ガリヤから化け狸一件を聞いた高宮彦は、これは自分が手料理すると言ってしばられた狸を持ち去った。これはサベル姫に化けていた部下幻相坊を助けるためであった。高宮姫は、サベル姫が狸であったことを知らず、ガリヤ話に驚いていた。それからガリヤは、ケースと初公を助けようと密談外にやってきて、壁に耳を当てて様子を探った。室内にいる初稚姫、宮野姫、ケース、初公は、たがいに取り合いに火花を散らしているようであった。ケースと初公は、狸に化かされてすっかり現を抜かしている。ガリヤはたまらずドアをこじあけて部屋に押し入った。ケースと初は、狸に耳たぶをむしり取られて血みどろになって倒れている。ガリヤは二匹狸を追いまわし、一匹を抑えたとたんに腕にかぶりつかれた。ガリヤが放したすきに二匹狸は姿を隠してしまった。しばらくすると、宣伝歌声が涼しく聞こえてきた。猛犬声もする。あたりを見れば、ガリヤは草ぼうぼう萱野真ん中に立っていた。ケース、初は血みどろになって呻いている。宣伝歌主は初稚姫であった。妖幻坊、幻魔坊、幻相坊らはスマート勢いにたまらず、曲輪術で高宮姫を雲に乗せて、東南天を指して逃げ帰って行った。竹藪なかでは、ランチと片彦が蜘蛛巣だらけになり青い顔をしてふるえていた。徳公は耳たぶをむしられて野原にびていた。ガリヤは初稚姫に助けてもらった感謝意を述べた。ランチと片彦は、徳公を助けてやってきて、初稚姫に危難を救ってもらったことを涙と共に感謝した。初稚姫は六人によくよく真理を説き諭した。六人は心を取り直し、祠森を指して進んで行くことになった。初稚姫は六人を別れ、スマートを従え、宣伝歌を歌いながら西南指して進んで行った。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年02月10日(旧12月25日) 口述場所 筆録者松村真澄 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年1月28日 愛善世界社版260頁 八幡書店版第9輯 473頁 修補版 校定版269頁 普及版116頁 初版 ページ備考
OBC rm5222
本文のヒット件数全 89 件/ノ=89
本文の文字数2340
これ以外の情報は霊界物語ネットの「インフォメーション」欄を見て下さい 霊界物語ネット
本文  ガリヤはサベル姫口許に赤い生血がついてゐるを見て、いよいよ此奴ア不思議な奴と目を注いだ。サベルはガリヤに睨みつけられ、ビリビリと身慄ひしながら、俄に笑ひ声、
『ホホホホホ、あマア男らしいお顔わい、なぜ其様に私を睨ましやんすですか』
『お前口許に赤い血がついてるで、不思議だと思つて覗いただ』
 サベルは驚いて、小袖袂で唇を拭き、
『これは紅をつけました、余り慌てたもですから、つひ流れまして、無細工な所を、貴方に見付けられたですよ。どうです、貴方はお厭ですか』
『厭でも何でもありませぬが、私は人耳にかぶりついたり、○玉にキツスするやうな化女は嫌ですよ。徳は何うなりましたか、随分満足して居るでせうな』
『ハイ、徳さまは四人お方に一任しておきました。私、本当にガついた人が好きでたまらないですよ。ねえ、貴方、余り憎うはありますまい』
と云ひながら、ガリヤ耳に喰ひつかうとした。ガリヤはサベル腕をグツと握つてみれば、象牙細工やうな光つた腕と見えてゐたは、毛だらけ古狸手であつた。ガリヤは全身力を籠めてグツと握り、チツとも放さぬ。サベルは忽ち正体を現はし、古狸となつてヂタバタ体をもがいてゐる。ガリヤは直に懐より細紐を取出し、四つ足を固く括つて、天井裏に吊り下げて了つた。そしてケース、初両人を此処へ引寄せて、目を醒ましてやらうと考へであつた。狸は一生懸命に悲鳴をあげて泣き叫ぶ。此声に驚いてやつて来たは、妖幻坊と高姫二人であつた。
妖幻『ヤア、ガリヤさま、コリヤ何ですか、えらいもが手に入りましたな』
『ハイ、狸汁でも拵へて一杯やつたら、随分甘いことでせう。サベル姫なんて、うまく化けよつて、吾々耳を咬み取らうと致した曲者ですよ。ここに沢山ゐる美人は皆狸ばかりでせう。ど女もど女も、一斉に耳が動いてるぢやありませぬか。ヤ、お前さまも耳が動きますね』
『アハハハハ、何分空気動揺が烈しい所ですから、身体末端が風に揺られて動くでせう。併しながら此狸は私が手料理致しますから、お任せ下さい』
と云ひながら狸を下げて次間に行かうとする。高宮姫は吃驚して、一言も言はず……あサベル姫が狸であつたか、何とマア油断ならぬもだなア……と秘かに舌を巻いてゐた。高宮彦は無理無体に古狸を引抱へ自分居間に姿を隠した。これは綱を解いてやつて自分家来を助ける為である。サベルに化けてゐたは幻相坊であつた。それからガリヤはケース、初公密談居間へ行つて様子を探らうと、跫蛩音を忍ばせ壁に耳を当てて聞いてゐると、四人男女が金切声を出して、甘つたるい言葉つきで何か意茶ついてゐるやうである。室内四人はガリヤが外に立つて様子を聞いてることは夢にも知らず、現をぬかして、女取合、男取合に火花を散らして正に戦ひ酣なる時であつた。天下分目関ケ原、天王山晴戦は今や瞬間に迫れりといふ調子で、あらゆるベストを尽し、夢中になつてゐる。
『初稚姫あたえは、何と云つてもケースさまが好きです。そして初さまもヤツパリ好きですワ』
『エヘヘヘヘ、オイ初公、どうだ、ヤツパリ、ケースだらう。貴様は宮野姫で辛抱せい』
『馬鹿云ふな、俺は初から初稚姫さまにきめてあるだ。宮野姫さまはお前だよ』
『何と云つてもケース妻は初稚姫さまだよ』
『私は誰が何と云つても、ケースさまが好きですよ。そして初さまも、ヤツパリ好きですワ、宮野は二人を夫に持ちますワ』
『初稚も二人とも夫に持ちますワ』
『何と、色男に生れて来ると苦しいもだなア。何でこんな良い男に、親奴、生みやがつただらう。チツと子迷惑も考へて製造すると可いだけれどなア。有難迷惑だ』
と調子に乗りケースは自惚れてゐる。ガリヤはたまらなくなつて、無理にドアを押しあけ、飛込んで見ると、ケース、初両人は、古狸に耳たぶをスツカリむしり取られ、血みどろになつて倒れてゐる。古狸は逃げ場を失ひ、鼠やうに室隅をクルクルと駆け廻る。ガリヤは漸くにして一匹狸を押へた一刹那、二腕にかぶり付かれ……「アイタタ」と云つて放した途端に、二匹古狸は一生懸命に姿を隠して了つた。暫くすると宣伝歌声が涼しく聞えて来た。
『ウー ワンワン』
と猛犬声。四辺を見れば、ガリヤは草奔々たる萱野真中に立つてゐた。そして、ケース、初両人は顔一面泥まぶれとなり、耳たぶを半分ばかり咬み取られ、血みどろになつて呻いてゐる。宣伝歌主は真初稚姫であつた。そして愛犬スマートは前後左右に駆け廻り、古狸を追ひ駆け、咬み殺す其勢ひに、流石妖幻坊も幻魔坊、幻相坊もゐたたまらず、曲輪術を以て、高宮姫を雲に乗せ、空中に赤茶色太い尾をチラチラ見せながら、東南天を指して帰つて行く。竹藪中には蜘蛛巣だらけになつて、ランチ、片彦将軍は青い面して慄うてゐた。徳公は耳たぶをむしられ、大字になつて、シクシク原にふん伸びて居た。
 初稚姫はガリヤに向ひ、
『貴方は三五教信者ぢやありませぬか』
『ヤ、もう面目次第も厶いませぬ。狸巣窟と知りながら、一つ査べてやらうと思ひ、ここまでやつて参り、反対にしてやられました。貴女は真初稚姫様で厶いますか。貴女御神力に依りまして、吾々一同目が醒めました。有難う厶います』
と感謝してゐる。そこへランチ、片彦両将軍は徳公を助けて入り来り、初稚姫前に危難を救はれしことを涙と共に感謝し、これより心を取直し、祠森を指して進み行くこととなつた。初稚姫は六人者によくよく真理を説き諭し、スマートを従へて、宣伝歌を歌ひながら西南を指して別れ行く。
(大正一二・二・一〇 旧一一・一二・二五 松村真澄録)
霊界物語ネットで読む 霊界物語ネット
オニド関係の更新情報は「オニド関係全サイトの更新情報」を見れば全て分かります!
王仁DB (王仁三郎データベース)は飯塚弘明が運営しています。 /出口王仁三郎の著作物を始め、当サイト内にあるデータは基本的にすべて、著作権保護期間が過ぎていますので、どうぞご自由にお使いください。また保護期間内にあるものは、著作権法に触れない範囲で使用しています。それに関しては自己責任でお使いください。/出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別用語と見なされる言葉もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。/ 本サイトのデータは「霊界物語ネット」掲載のデータと同じものです。著作権凡例 /データに誤り等を発見したら教えてくれると嬉しいです。
連絡先:【メールアドレス(飯塚弘明)
プライバシーポリシー
(C) 2016-2024 Iizuka Hiroaki