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文献名1霊界物語 第57巻 真善美愛 申
文献名2第3篇 天上天下よみ(新仮名遣い)てんじょうてんか
文献名3第25章 天声〔1475〕よみ(新仮名遣い)てんせい
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじニコラスが広場に来てみると、警護させておいた兵士たちはいずれも立ったまま眠っており、繋いでおいた四人姿はなかった。またいつ間にか、縛って連れてきた小国姫とヘル姿もなかった。にわかにハゲワシが兵士たち頭をこつきまわり、兵士たちは狂乱して無性やたらに斬り込んできた。ニコラスは従者たちに指図して応戦した。たちまち怪我人が十数人出てしまった。ことき空中に音楽が響き、宣伝歌が聞こえてきた。隆光彦神がニコラス無礼な振る舞いに歌で戒めを与えた。そして一同に改心を促す説示を宣伝歌に込めて説き諭した。兵士たちはたちまち傷は癒え、眠気は去って精神爽快を覚えた。ニコラスは合点行かず、士官を引き連れてふたたび館奥に進み入れば、小国姫、三千彦をはじめ縛り上げた人々は、嬉しげに手を打って酒宴最中であった。ニコラスは翻然として悟り、神徳広大なるに感じて涙を流して三千彦に無礼罪を謝した。ことき館外には、ワイワイと山岳も揺るぐばかり喊声が聞こえてきた。一同は何事かと耳をそばだてて様子をうかがっている。スマート声は耳をつんざくようにあたり木霊を響かせている。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年03月26日(旧02月10日) 口述場所皆生温泉 浜屋 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年5月24日 愛善世界社版290頁 八幡書店版第10輯 365頁 修補版 校定版301頁 普及版137頁 初版 ページ備考
OBC rm5725
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本文  ニコラスキャプテンはハンナ、マリス外四人と共に小国姫、ヘル二人を高手小手に縛め、門前馬場に来て見れば警固させ置いた兵士は何れも一蓮托生、立つた儘白河夜船を漕いで居る。大杭に縛りつけて置いた三千彦以下四人姿は影もなく、又今縛つてきた二人も何時間にか縄ばかりになつて居る。ニコラスは不審に堪へず双手を組んで首を垂れ思案に暮れて居る。俄に禿鷲がパツと空から飛つて来て軍帽上から頭をカンカンとコツいた。アツと叫んでニコラスは芝原に蹲み頭を抱へて慄うて居る。禿鷲は五十人兵士居眠つて居る頭上から一、二、三、四と万遍なく、コツき廻つた。さうして最後一人をグツと掴んで中空に翼を拡げ、誇り顔に舞うて居る。兵士は一時に兇霊襲来を受け各刀を引き抜き、ニコラス外六人士官に向つて、無性矢鱈に斬り込んで来た。ニコラスも頭痛さをこらへハンナ、マリス以下四人を指図し、兵士にむかつて応戦した。忽ち十数人重軽傷者を出し、草を紅に染めてしまつた。此時空中に音楽ひびき、淑かな宣伝歌が聞えて来た。
 其歌、
隆光彦『天津御神御言もて  バラモン教神館
 テルモン山霊場を  救はむ為に三五
 珍三千彦を  バラモン神乞を容れ
 神素盞嗚大神は  此処に遣はし玉ひけり
 そ御心も露知らず  バラモン軍キャプテンが
 数十兵士を引率れて  これ館に出陣し
 神御前に拝礼も  なさず忽ち奥間に
 闖入なして神館  主人妻を初めとし
 誠神柱  一人も残らずフン縛り
 無慙仕打をなせしより  仁慈無限天地
 神は怒らせ玉ひつつ  旭、高倉二柱
 神使を遣はして  勝ち誇りたるニコラス
 軍を悉目を覚し  尊き神御教に
 言向和す御仕組  ニコラス如何に勇あるも
 神力に及ばむや  悔い改めよ省みよ
 三五教やバラモン  教と御名は変れども
 そ源を尋ぬれば  大国治立大神
 珍御裔と知らざるか  アア惟神々々
 神教にいと暗き  色盲患者武士よ
 一日も早く真心に  かへりて天地大道を
 弁へ悟れ惟神  神は汝と倶にあり
 人は神子神宮  心清ければ
 如何なる曲襲ふとも  如何で恐るる事あらむ
 汝が力に相任せ  縛り上げたる宣伝使
 其外五人真人は  誠一つ勇士ぞや
 悔い改めて大神  御旨に叶ひ奉りたる
 尊き神太柱  如何でか汝等曲神
 縄に縛られ怯むべき  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  仮令天地は覆るとも
 誠一つを尽しなば  現幽神三界は
 思ふがままになるもぞ  眼を覚ませ早覚ませ
 吾は隆光彦神  天津御空天国
 神使命を蒙りて  汝等一同曲神を
 誠道に救はむと  天八重雲掻き分けて
 降り来れるもなるぞ  此世を造りし神直日
 心も広き大直日  只何事も人世は
 直日に見直し宣り直し  吾身罪を悔い覚り
 人過ち悉く  直日に見直せ聞直せ
 それが誠神心  神心に曇りなし
 誠道にさやりなし  誠は天地宝ぞや
 そもそもこれ神館  バラモン教大神を
 斎き奉りしもなれど  天津国より降りたる
 如意宝珠ある限り  瑞御霊霊場ぞ
 大黒主は霊宝  威徳に恐れて逃げ出し
 千里山野を打渡り  今は漸く月
 ハルナ都に居を定め  大雲山岩窟に
 弥永遠に棲まひたる  八岐大蛇に操られ
 偽り事を真とし  悪をば善と信じつつ
 脱線だらけ宣伝を  始めたるこそ嘆てけれ
 汝ニコラス、キャプテンよ  吾エンゼル葉を
 只一言も洩らさずに  胸奥にと畳み込み
 深く省みよく悟り  尊き神御心を
 麻柱奉れ惟神  神まにまに諭し置く
 吾はこれより久方  高天原霊国に
 大宮柱太知りて  鎮まり居ます月
 貴館に舞ひ上り  此有様を詳細に
 いとこまごまと復命し  汝等一同神
 罪をば許し玉ふべく  願ひ奉らむいざさらば
 心底より改めて  神御為世為に
 真心捧げて尽せかし  アア惟神々々
 神まにまに宣り伝ふ』
と歌ひ終り、淡き煙となつて何処ともなく中空に消え玉うた。今まで居眠つて居て禿鷲に片身怨みなく額をコツかれ、苦痛に悩んで居た兵士傷は忽ち癒え、眠気も頓に覚め、精神爽快を覚え、何んとなく顔色まで生々して来た。ニコラスは合点行かず、ハンナ、マリス外四人士官を引率れ、再び館間に進み入り見れば豈図らむや、小国姫、三千彦を初め縛り上げた人々は嬉しげに手を拍つて酒宴最中であつた。ニコラスは翻然として悟り、神徳広大なるに感じ、涙を流して三千彦に無礼罪を謝した。此時館外にはワイワイと山岳も揺ぐばかり喊声が聞えて来た。一同は何事ならむと耳を欹て暫し様子を窺つて居る。スマート声は耳を劈く様に『ウワッウワッ』と四辺木霊を響かして居る。
(大正一二・三・二六 旧二・一〇 於皆生温泉浜屋 北村隆光録)
(昭和一〇・六・一五 王仁校正)
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