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文献名1霊界物語 第58巻 真善美愛 酉
文献名2第4篇 猩々潔白よみ(新仮名遣い)しょうじょうけっぱく
文献名3第24章 礼祭〔1499〕よみ(新仮名遣い)れいさい
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2017-04-17 16:25:04
あらすじ祭典準備間、三千彦は神饌物調理をしながらバーチルと改宗話をした。バーチルは三五教神様を第一に祀り、先祖霊も三五教式で祭りたいで、玉国別に伺ってもらいたいと三千彦にたんだ。三千彦は玉国別に尋ねる中で、玉国別は祭礼について教示を垂れた。祖霊祭については、子孫真心よりする供物や祭典は、霊界にあるもを歓喜せしめ、子孫幸福を守るという。中有界にある精霊は、なにほど遅くても三十年以上はいないが、そ精霊が現世に人間として再生して霊界にいなくなっても、祭祀を厚くされた人霊は現界でもそ供物歓喜を受けるもであるという。地獄に堕ちていれば子孫祭祀善徳によって中有界に進んで天国に昇ることを得る。また天国にあっても、祖霊祭によって極めて安逸な生涯を得られ、そ歓喜が子孫に伝わって繁栄を守るという。改宗したとしても、人精霊や天人は、霊界に在って絶えず智慧・正覚・善真を得て向上しようと望んでいるで、現界子孫が最も善と真とに透徹した宗教を信じて、そ教えに準拠して祭祀を行ってくれることを非常に歓喜するもであるという。また祠聖場でさえも大自在天様を祀ってあるだから、三五教に改宗しても、引き続き大自在天様を祀り続けるようにするが良いと教示した。アヅモス山には大自在天お宮が立っているが、そこも祠ように合祀するかどうかについては、建造が必要になるで、玉国別はバーチルと直々に相談したいと三千彦に伝えた。やってきたバーチルは、アヅモス山は先祖代々お祀りしてきたなり、猩々眷属たちが守ってきた聖地であるで、にわかに三五教に祀り変えることはどうかと思うと答えた。玉国別は、大自在天お宮はそまま残し、新たに三五教大神を祀るお宮を建造することにしたらどうかと提案した。そして猩々ヶ島子猿たちを迎えに行ってアヅモス山に返し、また島に置いてきたバラモン三人を助けに船を出すようにと勧めた。アヅモス山お宮建築は準備に取り掛かることとして、当面はこ家に三五教大神とバラモン大神を並べて祭り、家者たちを参拝に与らせることになった。祭典準備は整い、玉国別は祭主となって天津祝詞を奏上し、感謝歌を奉った。感謝祭は無事に終了し、玉国別一行は閑静な離れ座敷を与えられ、海上長旅疲労を癒すべく休養した。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年03月30日(旧02月14日) 口述場所皆生温泉 浜屋 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1925(大正14)年6月15日 愛善世界社版290頁 八幡書店版第10輯 472頁 修補版 校定版308頁 普及版117頁 初版 ページ備考
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本文  愈祭典準備にとりかかるべく三千彦、デビス姫、バーチル、サーベル二夫婦は下男にも下女にも構はさず、せつせと神饌物調理に熱中して居る。
三千『もし、バーチルさま、私はお察し通り三五教ヘボ宣伝使ですが、バラモン大神様神饌を拵へるは今が初めてで厶いますよ。何だか奥歯に物が、こまつた様な気分が致しますわ。ハハハハハ』
バーチル『うつかりして居ましたが如何にも吾々は三五教宣伝使に助けられ、又三五教大神様御神徳を感謝してる者で厶いますから、どうしても三五神様祭典を第一に致さねばなりませぬ。如何でせうか』
三千『さうですな。神様はもとは一株ですから、どちらにしても同じ様なも神代から歴史を考へて見ますと、三五教は国治立大神様、其外諸々神様から押籠められた方神様で、大自在天様とは、人間同士なら敵同志様な者ですが、然し神様お心は人間心と違つて寛大なもで、少しも左様な事に御頓着なく、大自在天様をお助け遊ばさうと思つて、バラモン教を言向和す為に吾々をお遣はしになるですからね。然し私では到底決断がつきませぬから、一寸之からお師匠様に伺つて参ります』
バーチル『はい、それは有難う厶います。序に先祖様霊も三五教で祭つて頂き度う厶いますが、之も差支がないか伺つて来て下さいませぬか』
 三千彦は『承知致しました』と此場を立つて玉国別居間に打通り、バーチルがバラモン教を脱退し、三五教に入信し、三五大神を祭つて貰ひ度い事、並に祖霊祭を三五教にて営み度い事等願を告げ、玉国別に対し先づ第一に祖霊祭に就いて教示を乞ふた。
三千『先生、人間は現世を去つて霊界へ行つた時は、極善者霊身は直ちに天国に上りて天人と相伍し天国生活を営み、現界と連絡が切れるとすれば、現界にある子孫は父祖霊祭などをする必要は無いも様に思はれますが、それでも祖霊祭を為なくてはならないでせうか。吾々考へでは真に無益な無意義なこと様に感じられますがなア』
玉国『何程天国へ往つて地上現人と連絡が断たれたと言つても、愛善と信真とは天地に貫通して少しも遅滞せないもである。子孫が孝ためにする愛善と信真籠もつた正しき清き祭典が届かないと云ふ道理は決して無い。天国にあつても矢張り衣食住必要がある。子孫真心よりする供物や祭典は、霊界にあるもをして歓喜せしめ、且つそ子孫幸福を守らしむるもである』
三千『中有界にある精霊は何程遅くても三十年以上居ないといふ教を聞きましたが、そ精霊が現世に再生して人間と生れた以上は、祖霊祭必要は無いやうですが、斯ういふ場合でも矢張り祖霊祭必要があるですか』
玉国『顕幽一致神律に由つて、例へそ精霊が現界に再生して人間となり霊界に居らなくても、矢張り祭典は立派に執行するが祖先に対する子孫勤めである。祭祀を厚くされた人霊は霊界現界区別なく、そ供物を歓喜して受けるもである。現世に生れて居ながら猶且つ依然として霊祭を厳重に行ふて貰ふて居る現人は日々生活上においても、大変な幸福を味はふことになるである。故に祖霊祭祀は三十年どころか、相成るべくは千年も万年祖霊も、子孫たるもは厳粛に勤むべきもである。地獄に落ちた祖霊などは子孫祭祀善徳に由つて、忽ち中有界に昇り進んで天国に上ることを得るもである。又子孫が祭祀を厚くして呉れる天人は、天国に於ても極めて安逸な生涯を送り得られ、そ天人が歓喜余波は必ず子孫に自然に伝はり子孫繁栄を守るもである。何んとなれば愛善と信真は天人神格と現人(子孫)人格とに内流して何処迄も断絶せないからである』
三千『ウラル教や波羅門教儀式に由つて祖霊を祭つたもは、各自そ所主天国へ行つて居るでせう。夫れを三五教に改式した時はそ祖霊は何うなるもでせうか』
玉国『人精霊や又は天人なるもは、霊界に在つて絶えず智慧と証覚と善真を了得して向上せむことをみ望んで居るもです。故に現界に在る子孫が最も善と真とに透徹した宗教を信じて、そ教に準拠して祭祀を行つて呉れることを非常に歓喜するもである。天人と雖も元は人間から向上したもだから人間祖先たる以上は、仮令天国に安住するとも愛と真と情動は内流的に連絡して居るもだから、子孫が証覚最も優れた宗教に入り、そ儀式に由つて、自分等霊を祭り慰めて呉れることは、天人及び精霊又は地獄に落ちた霊身に取つても、最善救ひと成り、歓喜となるもである。天国天人にも善と真と向上を望んで居るだから、現在地上人が最善と思惟する宗教を信じ、且つ又祖先奉じて居た宗教を止めて三五教に入信した所で、別に祖霊に対して迷惑をかけるもでない。又祖霊が光明に向つて進むだから決して迷ふやうな事は無いだ。否却て祖霊は之を歓喜し、天国に在つて其地位を高め得るもである。故に吾々現身人は祖先に対して孝養ために最善と認めた宗教に信仰を進め、そ教に由つて祖先霊に満足を与へ、子孫たる勤めを大切に遵守せなくてはならぬである。アア惟神霊幸倍坐世』
三千『はい、有難う厶いました。当家主人も、それで安心致しませう。それから、も一つお尋ねが厶いますが、バラモン神様を如何いたしたら宜しいでせう』
玉国『祠聖場でさへも御三体大神様を初め大自在天様を祀つてあるだから、別に排斥するに及ばぬぢやないか。今迄此家もバラモン神神徳を享けて来ただから、そんな薄情な事も出来まい』
三千『アヅモス山聖地にはバラモン大自在天様お宮が建つて居るさうですが、此際主人に吩咐けて祠様にお宮を建てさせ、あ式に大自在天様を脇に祀つたら如何で厶いませうか』
玉国『一度主人を呼んで来て呉れ。宮を建てるとなると、さう軽々しくは行かぬから一応意見を聞いて見る積りだ』
三千『はい、承知致しました。直様呼んで参ります』
と、もと神饌調理室に引返し、祖霊祭に関する玉国別教示を伝へ、且……神霊奉斎に就いて師匠様がお尋ねし度いと仰有るから一寸来て下さい……とバーチルを誘ひ、玉国別等居間に帰つて来た。
玉国『あ、バーチルさま、貴方はアヅモス天王様お宮を、如何なさるお考へで厶いますか』
バーチル『はい、先祖代々お祀りして来たお宮様なり、又私精霊が眷族として仕へて居つたですから、今俄に三五教に這入つたと云つて直に祀り変へる事は如何かと考へます。これに就いては貴方様にゆるゆるお尋ね致し度いと思つてゐました。先生お考へは如何で厶いませうか』
玉国『私考へとしてはアヅモス山森林に新にお宮を二棟建造し、一方は三五大神様、一方は今天王様を奉斎し、さうして猩々ケ島に残つて居る小猿を、数十艘船を用意して迎へ来り、序にバラモン組三人も助けて帰る様にし度いもで厶います。それが神様に対しても、貴方守護神に対しても最善方法だと考へます』
バーチル『有難う厶います。実所は最前から何卒さう願ひ度いもだと、家内とひそびそ話をして居りました。あ小猿共は皆猩々姫子で厶いますから、如何しても自分手近に引寄せ度いは当然で厶います。私も何だか猩々親になつた様な、妙な気分が致します。何卒さうして下さらば、これに越したる喜びは厶いませぬ』
玉国『貴方決心が定れば直様、そ準備にかかる事に致しませう。併し乍ら今日は只大神様へ感謝祭典をする許りですから、三五大神とバラモン大神を並べて祭り、下男下女端に至る迄参拝させておやりなさるが宜しう厶いませう』
バーチル『はい、何から何迄御親切なお気付け、有難う厶います。

 人親は猿より出でしと聞きつるに
  猿親とぞなりにけるかな。

 さる昔遠き神代古より
  きれぬ縁につながれし吾』

玉国別『天王森に長らく仕へたる
  そ神徳で人宿かる。

 肉体はよし猩々と生るとも
  霊魂は清し神御使』

バーチル『有難し宣り直したる師
  言葉に妻も嘸勇むらむ。

 人猿と仮令世人は笑ふとも
  罪をとりさる神となりなむ』

 かく歌ひ慌ただしく神饌所に引返し、用意万端整へて茲に芽出度く感謝祭を執行する事となつた。玉国別は主人乞に依つて祭主となり、天津祝詞を奏上し、終つて感謝歌を奉つた。

玉国別『朝日刺す夕日照らすアヅモス、 常磐堅磐辺に、 弥永久に鎮まり玉ふ、 大国彦大神、 珍使と仕へたる、 猩々彦精霊、 懸り玉へる館主人、 バーチル司に代り玉国別神司、 三五教大御神、 バラモン教大神、 珍御前に慎みて、 吾々一行は云ふも更、 バーチル初めアンチーが、 三年憂きを凌ぎつつ、 漸くここに帰りけるは、 皇大神お計らひと、 喜び敬ひ大御恵み、 千重一重にも報い奉らむとして、 山海河野種々珍味を、 八足机代に、 所狭き迄置き並べ、 神酒は甕瓶甕腹充て並べて、 御水堅塩大御饌奉る事由を、 完全に委曲に聞召し、 これ人々を初め、 三五教神司、 スマ人々を、 厚く守らせ玉へかしと、 大御前に摺伏して、 畏み畏み仕へ奉る  惟神霊幸倍坐世』
と歌ひ終り、感謝祭も無事に終了した。玉国別一行は美はしき閑静な離れ座敷を与へられ、海上疲労を癒やすべく、師弟五人は足を伸ばして休養する事となつた。
(大正一二・三・三〇 旧二・一四 於皆生温泉浜屋 北村隆光録)
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