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文献名1霊界物語 第74巻 天祥地瑞 丑
文献名2第1篇 渺茫千里よみ(新仮名遣い)びょうぼうせんり
文献名3第1章 科戸風〔1869〕よみ(新仮名遣い)しなどかぜ
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ玉手姫(玉手姫命) データ凡例 データ最終更新日2022-09-20 21:49:50
あらすじ顕津男神は、現世比女と間に玉手姫を授かったあと、三笠山を後にして、近見男神ら共とともに、再び国土生み神生み旅に出た。顕津男神は夕暮れ原野真中に駒を止め、三笠山を振り返って偲び歌を歌う。近見男神、圓屋比古神、多々久美神らは、三笠山をしびつつも、神業へ思いを歌って心を奮い立たせる。多々久美声音に、曇っていた空はたちまち晴れ渡り、満点星が輝いた。
主な人物 舞台 口述日1933(昭和8)年10月20日(旧09月2日) 口述場所水明閣 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1934(昭和9)年1月5日 愛善世界社版 八幡書店版第13輯 165頁 修補版 校定版15頁 普及版 初版 ページ備考
OBC rm7401
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本文  天晴れ天晴れア声言霊鳴り鳴りて、八百万神生りまし、中に勝れて厳高き、厳御霊天之道立神、瑞御霊太元顕津男二柱、西と東大宮に、主大神神言もて、各も各もに神業をもち分け仕へ給ひける。天之道立神は厳御霊にましませば、至厳至直、寸毫も道為には仮借し給はず、百神を率ゐ給ひて、神々心ををさむる厳御教天御柱を見立て給ひ、紫微大宮を初めとし、神々敬しみ帰順ひて、天津神国礎、万世不易となりにけり。
 次に太元顕津男神は瑞御霊に在しませば、至仁至愛御心もて、普く神々を守りつつ、神依さし大神業、国土造り国魂神を生ますべく、遠き近き隔てなく、紫微天界あらむ限りを馳け巡り、八十比女神等御樋代に御魂を満たし水火凝らし、貴御子をば生まむとて清き赤き正しき心駒早み、彷徨ひ給ふぞ畏けれ。
 太元顕津男神は、高地秀峰、栄城山、高照山聖場に仕へ給ひ、つぎつぎに御子を生まむと日向川を漸く渡り、東雲国真秀良場、玉泉郷に進ませ給ひ、茲に神業を終へ給ひ、又もや大原野を駒に鞭うち進ませ給へば、行く手に横はる横河難所も漸く打ち越えて、近見男神、圓屋比古神々等に御尾前を守らせつつ、漂渺万里大野原、西南さして立ち出で給ひ、三笠山麓に広く宮柱太しく立たし、高天原に千木高知りて鎮まりいます現世比女神に、ウとア水火を合せまし、玉手姫を生み給ひ、再び国土生み神生まむと、百神等を従へ、西南さして進み給ふ。
 顕津男率ゐます近見男神、圓屋比古神、其他九柱御供御名は多々久美神、国中比古神、宇礼志穂神、美波志比古神、産玉神、魂機張神、結比合神、美味素神、真言厳神と申す。顕津男神は十あまり一柱神等と共に、国土造りせむと立ち出で給ひ、漸く夕近くなりければ、原野真中に駒を止め、後ふりかへり遥空なる三笠山方を打ち仰ぎまして、御歌うたひ給ふ。

顕津男神『天原ふりさけ見れば立つ雲
  脚せはしさ我遠く来ぬ

 現世比女神心を思ひやり
  遥に我は涙しにけり

 男神我涙見せじとふり切りて
  立ち出でし時心苦しさ

 道遠く我は離りて居ながらも
  雲往来に比女偲ばゆ

 忍ばれぬ事を忍びて別れたる
  今日旅路何か淋しも

 わが目路にさやるもなき広野原に
  たそがれむとす虫音淋しく

 わが駒も疲れにけりな今宵ここに
  露宿りをなさばやと思ふ

 高光る天津日光もかくろひて
  今日は月さへ見えぬ淋しさ

 国土造り御子生まむ業苦しさを
  我はいつまで繰り返すらむ』

 近見男神は、御歌うたひ給ふ。

『黄昏幕は下りたりいざさらば
  草まくらに息やすませよ

 駿馬脚もなづみて見えにけり
  駒やすませて岐美寝ねませよ

 茅草をいやさや敷きて夜野に
  やすませたまふと思へば尊き

 雲ひくう大野末にたれこめて
  たそがれ迫る淋しき野辺なり

 虫音に夕近みて自ら
  旅疲れを覚えけるかな

 国土生み御供に仕へまつりつつ
  草葉露に宿を借るなり

 月もなく星光もなき天下に
  淋しく結ばむ一夜夢を

 久方御空曇りは現世比女
  神心よ吾も淋しき』

 圓屋比古神は、御歌うたひ給ふ。

『澄みきらふ紫微天界今日空は
  現世比女心か

 大空をふりさけ眺め思ふかな
  現世比女清きこころを

 三笠山尾上にわき立つ白雲は
  わが行く野辺を包むなるらむ

 久方くもりは現世比女
  なやめる息か北より湧きたつ

 草枕旅なやみを悟りけり
  大野はてに吾たそがれて

 行きもならず退きもあへぬ夕暮
  野辺に淋しく虫啼き渡る』

 多々久美神は、御歌うたひ給ふ。

『大空を包める雲や多々久美
  神ははらはむ生言霊に

 黒雲は如何に御空を包むとも
  吹き払ひませ科戸辺

 科戸辺伊吹に天地を
  塞ぐ雲霧あとなく晴れむ

 吾は今瑞御霊に従がひて
  雲払はむと現れにけり

 雲よ散れ霞よ靄よ消え失せよ
  わが多々久美言霊息に

 ハホフヘヒバボブベビパポプペピ
  風よふけふけ科戸風よ。

 天津御空雲霧を
 遠く遥けく散らせかし
 荒野に巣くふ曲神も
 伊吹払ひて瑞御霊
 出でます道を清めませ
 吾は多々久美
 主大神神言もて
 荒ぶる神に交こりつ
 近見男神に廻りあひ
 瑞御霊神業を
 たすけまつると勇み立ち
 茲にはろばろ来りけり
 ハホフヘヒ
 バボブベビ
 パポプペピ
 生言霊に雲も散れ
 四方曲津も
 散れ散れ失せよ
 吾は神なり神御子
 生言霊に生り出でし
 総て物は言霊
 真言にさやらむ手段なし
 ああ惟神々々
 神言葉をりまつる』
 斯く声音朗かに歌ひ給へば、今迄満天を包みたる叢雲は、次第々々に薄らぎ行きて、満天星光輝き初め、清涼気草野を吹き、風芳ばしく香り初めたるぞ畏けれ。
(昭和八・一〇・二〇 旧九・二 於水明閣 加藤明子謹録)
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