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文献名1霊界物語 第76巻 天祥地瑞 卯
文献名2第1篇 春風駘蕩よみ(新仮名遣い)しゅんぷうたいとう
文献名3第1章 高宮参拝〔1918〕よみ(新仮名遣い)たかみやさんぱい
著者出口王仁三郎
概要
備考
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あらすじ太元顕津男神が、国生み御子生み御神業ために、高地秀(たかちほ)宮(東宮)をただ一人出立したそあと(八年後)、残された八柱御樋代神たちは、天津高宮に詣でて宮司となる神降臨を願い出た。主大神はそれに応えて、鋭敏鳴出(うなりづ)神、天津女雄(あまつめを)神、二柱を降して宮仕えを命じた。顕津男妻神・高野比女は天津高宮大前に、感謝歌をささげた。それに対して、鋭敏鳴出神、天津女雄二神は、顕津男後任として高地秀宮司として仕える抱負を歌った。高野比女に仕える侍女神たちは、宮司降臨に、祝い神楽を催すように進言する。高野比女は喜んで、鋭敏鳴出・天津女雄二神に、白幣(しろにぎて)・青幣(あおにぎて)、そして二振り五百鳴(いほなり)鈴を授けた。二柱宮司神は大地を踏み鳴らし、五百鳴鈴をさやさやと響かせて、右手に持った白幣・青幣を打ち振りながら舞い踊った。それを見た天津高宮に仕える百神たちは、天地が一度に開けたような心地がして、喜び勇んだ。鳥たちは微妙声で御神楽拍子に合わせて歌い、天と人が和楽する境界を現した。主大神も、天津高宮扉を内側から押し開け、こ光景をご覧になった。侍女神たちはこ様を喜び、御神楽をたたえ、主神へ感謝と喜びを歌った。神々はそれぞれ歌を歌い、大御前に祝詞を奏上すると、天津高宮に仕える神々に別れを告げて、高地秀宮に帰っていった。
主な人物 舞台 口述日1933(昭和8)年12月05日(旧10月18日) 口述場所水明閣 筆録者森良仁 校正日 校正場所 初版発行日1934(昭和9)年3月23日 愛善世界社版 八幡書店版第13輯 491頁 修補版 校定版135頁 普及版 初版 ページ備考
OBC rm7601
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本文  紫微天界に於ける神政樹立根元地なる高地秀山麓に、宮柱太敷立て高天原に千木高知りて、四方に輝きたまふ高地秀宮一名東宮を後にして、思し召すことありとて、太元顕津男神は、八柱御樋代神を後に残し、一柱供神をも連れ給はず立出で給ひければ、茲に八柱御樋代神は天津高宮に詣で給ひて、主大神神宣を乞ひ給ひ、宮司たるべき神を降し給へと祈らせ給へば、主大神は、そ願事を諾ひ給ひて、茲に鋭敏鳴出神、天津女雄二柱を降し給ひて、朝な夕な宮仕へを言依さし給ひしこそ畏けれ。
 高野比女神は天津高宮大前に願事白し給ふ、そ御言葉。

『久方天津高宮に詣で来て
  われはいりぬ禊をさめて

 禊してはろばろ此処に八柱
  女神は真心ささげて祈るも

 久方高地秀宮司
  顕津男神を守らせたまへ

 朝夕に高地秀宮居に仕へつつ
  なほ真心足らぬを悔ゆるも

 国土を生み国魂神を生まさむと
  出でます岐美に恙あらすな

 天地中に一人岐美ゆゑに
  われは一入恋ふしみおもふ

 わが岐美は何れ果にましますか
  こころ許なく朝夕いるも

 主恵かしこし二柱
  宮居司をくだしたまひぬ

 鋭敏鳴出神はかしこき宮司
  高地秀宮居は今より栄えむ

 天津女雄面ざし眺むれば
  瑞御霊に似ましつるかも』

 鋭敏鳴出神は答御歌詠ませ給ふ。

『高野比女神神言御歌聞きて
  足らはぬ吾を恥かしみおもふ

 わが力及ばざれども村肝
  心をつくして仕へまつらむ

 東宮居に今より仕へむと
  思へばうれしこころ栄ゆも

 顕津男力に比ぶれば
  天と地と差別ありけり

 力なき吾にはあれど真心
  あらむ限りを仕へむと思ふ

 八柱御樋代神を守りつつ
  東宮居を守りまつらむ

 八柱御樋代神を主とし
  仕へむとおもふ朝な夕なを

 天地あらむ限りは主
  御樋代なりと思へばかしこし

 国土未だ稚かる紫微天界に
  為すべき神業は限りなく多し

 大宮居を守りまつりて主
  神業に仕ふとおもへば楽し

 今日よりは吾をいたはり給ひつつ
  仕はせたまへ御樋代女神よ』

 天津女雄神は御歌詠ませ給ふ。

『鋭敏鳴出添柱と
  選まれし吾今日うれしさ

 幾万里東国土高地秀
  宮居に仕ふと思へばいさまし

 御樋代御供に仕へつつ
  いざやすすまむ東宮居に

 国土稚き紫微天界大宮居に
  仕ふるわが身魂は栄えつ

 永久栄えと喜び満たせつつ
  進みて行かむ高地秀宮居に

 八柱御樋代神ははろばろと
  これ聖所に来ませる尊さ

 優しくて雄々しくいます八柱
  御樋代神は御魂ひかれり

 顕津男神は光明と現はれて
  四方雲霧別け明したまふ

 顕津男仕へし貴宮居に
  仕ふるわれを愧づかしみおもふ

 光明なき吾身ながらも主
  神言なりせばかしこみ仕へむ

 鋭敏鳴出神を補けて八柱
  御樋代神に仕へむとおもふ

 八柱御樋代比女神今日よりは
  わが足らはぬを補ひ給はれ』

 梅咲比女神は御歌詠ませ給ふ。

『白梅花咲きにほふ天界に
  生れしわれは御樋代神ぞや

 非時に梅咲比女神なれば
  宮居庭を清め仕へむ

 主恵み畏し二柱
  東宮居司たまひぬ

 果しなき稚国原を旅立たす
  わが岐美上に災あらすな

 吾岐美は光明神にましませば
  醜曲津もさやらざるべし

 岐美立ちし日より八年を経につれど
  雁便りだにも聞かなく

 吾岐美よ何処果にお在すらむ
  こころ許なく朝夕をおもふ

 久方天津高宮清庭に
  宣る言霊は澄みきらひたり

 言霊に森羅万象は生るなり
  唯ままならぬは岐美水火なり

 凡神誹りあざけり思ひはかり
  つれなく岐美は出でましにけり

 国魂神を生まむと朝夕に
  祈れど甲斐なし水火合はねば

 徒に若き月日を経ぬるかと
  おもひて朝夕われは泣くなり

 いざさらば此宮居に感謝言
  白して東宮居に帰らむ』

 香具比女神は御歌詠ませ給ふ。

『八柱御樋代神はいたづらに
  東宮居に年を経にけり

 主御前に復命白すべき
  功績なき吾をかなしみ思ふも

 雄心大和心を奮り起し
  想像妊娠む岐美御水火を

 天高く地また広く定まりて
  こ天界は栄え初めたり

 非時香具実より生れしてふ
  御樋代われ世に生きて淋しも

 水火限り高地秀山神霊に
  仕へて天界を照らさむと思ふ

 吾岐美光明を御魂に充たしつつ
  紫微天界を明し行くべし

 神に仕へ岐美を偲びて朝夕を
  高地秀峰に年経りにけり

 掛巻も畏き天津高宮に
  別れて言葉慎み宣らむ

 宮司二柱神を得し今日は
  天地開けし心地するかも

 東宮居に帰らむ御樋代神よ
  これ清庭に神楽をかなでよ』

 茲に高野比女神は、各比女神神言提言を甚く悦び諾ひたまひ、鋭敏鳴出神、天津女雄神二柱神に、白幣青幣及び二振五百鳴鈴を授け給へば、二神は天津高宮聖所に地踏み鳴らし、白衣長袖しとやかに踊らせ給へば、八柱御樋代比女神を始め、天津高宮に仕へ奉る百神達も異口同音に祝ひ御歌詠ませ給ふ。
 そ御歌。
『天晴れ天晴れ目出度き言かぎりかも
 タータータラリ タラリーラー アガリララーリトー チリーヤ タラリ ララリトー』
 茲に二柱宮司神は大地を踏みならし、五百鳴鈴をさやさやに響かせ、右手に白幣青幣を打振り給ひつつ舞ひ踊り給へば、百神等は天地一度に開けし心地して、歓ぎ喜び勇み給ふ。百鳥は微妙声を放ちて、御神楽拍子に和して、弥々茲に天人和楽境を現出せり。主大神は天津高宮扉を内より押し開け給ひ、此光景を御覧はすこそ畏けれ。
 茲に寿々子比女神は御歌詠ませ給ふ。

『主光明に吾は照らされて
  まなこくらみぬこ清庭に

 次々に吾眼界は光りつつ
  今日祝ひ神楽見しはや

 二柱神仕ふる神楽
  清しき姿にとけ入りにける

 主神も諾ひ給ふか御扉を
  細目に開きて覗かせ給へり

 今日よりは東宮居も賑しく
  かがやきわたらむ宮司を得て

 わが岐美いまさぬ宮居淋しさも
  わすれて御苑神楽見しかや

 御樋代神と依さし給ひし八柱
  女神もいまだ神業つかへず

 朝夕を高地秀清庭に
  立ちて御空月を仰ぎつ

 天渡る月鏡を仰ぎつつ
  岐美安否を思ひわづらふ

 曇りたる月をし見れば一入に
  思ふは岐美上なりにけり

 瑞々しき月鏡を仰ぐ夜は
  岐美御幸を思ひて楽しむ

 我岐美は遠く行きませども仰ぎ見る
  月姿に心なぐさむ』

 宇都子比女神は御歌詠ませ給ふ。

『はろばろと東宮居を立ち出でて
  主神います宮居に詣でつ

 西東皇大神永久に
  鎮まりいます宮居は明らけし

 八柱御樋代比女神ははろばろと
  今日吉日を西宮に詣でつ

 久方天之道立神司
  今日神姿荘厳なるも

 道立神永久に仕へます
  天津高宮荘厳なるも

 四方八方に雲霧立ちし稚国土を
  固めむとして岐美は出でませり

 吾も亦高地秀宮居に朝夕を
  仕へて神を勇めむとおもふ

 天界は愛と信と神国なれば
  真言と祈りを要と思へり

 天界に住みて尊き神業は
  厳言霊と禊なりけり

 朝夕を玉泉に禊して
  百神等幸を祈らむ

 百鳥声も爽かに響くなり
  天津高宮百樹に

 昼月光ほと見えながら
  御空にさやる雲影もなし

 主御水火に生れし天津日
  光はますます冴えわたりつつ

 天津日は光限りを光りつつ
  われ等暗き魂を照すも

 月も日も並びてかがよふ天界に
  仕へてわれは何を歎かむ

 或は盈ち或ひは虧くる大空
  月に悟りぬ世ありさまを

 日を重ねうつろひて行く月影
  定まらぬ世を吾悟りけるかも

 いざさらば二柱神を伴ひて
  共に帰らむ高地秀宮居へ』

 狭別比女神は御歌詠ませ給ふ。

『有難し天津高宮清庭に
  吾は清しき神楽見しはや

 天地も一度に開く心地して
  こ清庭に神楽見しはや

 鈴音もいとさやさやに響かひつ
  紫微天界はいよよあかるし

 白梅は非時香り鶯は
  弥生春をすがしくうたふ

 常磐樹梢に巣ぐひたる
  鶴は十二卵を産めり

 真鶴千歳をうたふ声
  すがしく響きて栄ゆる天界よ

 我岐美行衛は今に知らねども
  御空月を仰ぎてなぐさむ

 御空行く月清き夜は
  岐美栄えを思ひて楽しむ

 いざさらば高日宮居を拝みて
  いそぎ帰らむ東宮居に

 久方天之道立神司
  厳教はたふとかりけり

 厳御霊瑞御霊御教は
  世界を十字に踏みならす太元かも

 火と水と土力に天界は
  今あきらけく固まりにける』

 花子比女神は御歌詠ませ給ふ。

『白梅粧ひ眺むれば
  瑞御霊岐美ここちす

 非時に匂ふ神苑百千花も
  手折りささげむ神御前に

 白梅一枝を手折りて黒髪
  簪となさばや花子比女われは

 花香り松響も清しけれ
  主神います宮居庭は

 東宮居司を伴ひて
  歓ぎ帰らむ日とはなりけり

 いざさらば神御前に感謝言
  うまらにつばらに宣りて帰らむ

 高地秀峰ははろけしさりながら
  駒ためらひもなし』

 小夜子比女神は御歌詠ませ給ふ。

『瑞御霊高地秀宮居を出でしより
  御樋代われは淋しく年を経し

 神をあがめ岐美を恋ひつつ鶏
  長き月日を暮れにけるかな

 高地秀松風朝夕に
  響けど岐美音信はなし

 高地秀上に見る月も
  変らず思へばたふとかりける

 小夜更けて仰ぐ月光冴え渡り
  も言はすげに思はするかな

 月見れば岐美霊よと思ひつつ
  ながき別れをなぐさめしはや

 久々にこ高宮に詣で来て
  わが魂線はよみがへりつつ

 八柱御樋代神は朝夕を
  睦み和みて宮居に仕へつ

 怨み妬みなき真心に仕へ行く
  宮居聖所に雲霧もなし

 いざさらば主大神に拝礼して
  はろばろ東宮居に帰らな』

 朝香比女神は御歌詠ませ給ふ。

『主宮居に始めて詣でけり
  高地秀宮居にあるここちして

 真心を筑紫宮居清庭に
  国土始め神楽見しはや

 西宮居筑紫宮居は主
  光明も一入つよかりにける

 御樋代神と選まれし吾はためらはず
  岐美みあとをまぎて行くべし

 いたづらに待ちて月日を送るよりも
  すすみて行かむ御子生み旅に

 主御前に誓ひ白すべし
  われは進みて神業に仕へむ

 いざさらば筑紫宮居を後にして
  ともに帰らむ東宮居へ』

 各神々は御歌詠ませ給ひつつ、大御前に御声も爽けく祝詞を奏上し、天津高宮に仕へます百神等に別れを告げ、各自天斑駒背に跨り、高地秀宮居をさして急がせ給ふぞ畏けれ。
(昭和八・一二・五 旧一〇・一八 於水明閣 森良仁謹録)
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