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文献名1霊界物語 第79巻 天祥地瑞 午
文献名2第1篇 竜島根よみ(新仮名遣い)たつしまね
文献名3第5章 湖畔遊び〔1986〕よみ(新仮名遣い)こはんあそび
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ大竜身彦命は、四柱重臣(春木彦、夏川彦、秋水彦、冬風彦)を従え、伊吹山に花見遊覧を試みた。山中腹ほとりに莚を敷き、酒を酌み交わしながら歌を歌った。大竜身彦命が長寿を祈る祝歌を歌うと、数多従者たちは音楽をかなでつつ踊り舞った。続いて重臣たちが、弟姫神降臨と婚姻を祝い、竜神族将来を希望する歌を歌った。弟姫神となった麗子(うららか)は、竜神族に栄えをもたらす決意を歌に読み込むと、白雲はさっと開け、日月は一度に並び輝いて、たちまち第一天国光景を現出した。
主な人物 舞台 口述日1934(昭和9)年07月16日(旧06月5日) 口述場所関東別院南風閣 筆録者谷前清子 校正日 校正場所 初版発行日1934(昭和9)年10月25日 愛善世界社版 八幡書店版第14輯 189頁 修補版 校定版92頁 普及版 初版 ページ備考
OBC rm7905
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本文  四季共に花咲き匂ふ竜宮は
  天津御国姿なるかも

 草も木も春光をあびながら
  こ島国に永久に栄ゆる

 常夏竜宮島は木実さへ
  ゆたかなりけり到るところに

 山も川も清く清しく竜神
  心は見かけによらずやさしき

 もろもろ魚族等はこ島に
  いより集ひて生命栄ゆる

 八千尋底までうつる竜宮
  大竜殿かげは清しき

 大竜身彦に昔ゆ仕へたる
  春夏秋冬四柱神あり

 一人は春木彦と言ひ一人は
  夏川彦と称へ来にけり

 又一人秋水彦に冬風彦
  以上四人は御供神なり。

 大竜身彦命は弟姫神を伴ひ、四柱重臣を従へ、伊吹山に花真盛りを見むと、弁当をこしらへ、数多竜神等に前後左右を守らせ、一日遊覧を試みた。
 伊吹山中腹には稍大いなる湖水あり。日月星辰をうつして永久に鏡如く光りゐる、こ湖水を鏡湖と称ふ。
 大竜身彦命は湖辺に狭筵を敷き、果酒等を汲み交しながら、
『伊吹山峯よりおつる谷水
  清く流れて鏡湖となりぬ

 こ湖は弟姫神御心か
  清くさやけく永久に濁らず

 山水をここに集めて湖となし
  数多やまめを生かし育てつ

 手を拍てば競ひより来る山
  やさしき姿君に見せばや』

 弟姫神は微笑みながら、
『こ国に吾渡り来て眼にふるる
  もことごとめづらしきかも

 手を拍てばより来る魚やさしさを
  吾竜宮姿とぞ見る

 湖水に二人かげをうつしつつ
  誓ひ奉らむ永久縁を

 今は世になき吾と思ひきや
  かかる目出度き山に遊ぶも

 女郎花風にゆられて咲き匂ふ
  花姿やさしきろかも

 紫に匂ふ桔梗芳しさ
  千代にしをるな吾飽くまでも

 藤花所狭きまで咲き匂ふ
  こかげ清しさ

 水底に咲けるが如くうつろへる
  藤波花は殊にめでたし』

 大竜身彦命は歌ふ。
『遠き神代昔より
 主大神御鼻と
 つたはり来る伊吹山
 生ふる草木はことごとに
 人病をいやすてふ
 薬ばかりと聞くからは
 これ上ゆ落ちたぎつ
 谷清水を集めたる
 鏡水底まで
 そ一滴も薬とや
 薬水を掌に掬び
 千代も八千代も玉
 生命保ちて不老不死
 常世春を楽しまむ
 こ水変じて酒となり
 薬となりて神人
 心を照しなぐさめつ
 げにも名におふ竜宮
 貴聖地とひびくらむ
 国津御神御種を
 降し給ひし主
 深き恵は八千尋
 鏡湖底も曇るべきや
 高き恵は大空
 雲井外もしかざらめ
 あな面白やあなさやけ
 天岩戸開け口
 竜宮島は今日よりは
 地上天国そままに
 人生命も延ぶるらむ
 祝へよ祝へ百神よ
 踊れよ踊れいさましく
 大地ぬけるまで』
 こ歌に警護竜神等は鏡湖を取り巻きて、種々楽を奏でつつ右往左往に舞ひ狂ふ。そ状態は、百千万胡蝶一時に狂ふが如く、爛漫たる桜花春風に吹き散る如き有様なりける。
 春木彦は汀辺に立ち、湖面を眺めて声高らかに歌ふ。
『有難し弟姫神現れまして
  吾等が生命守り給はむ

 春光りをあびて竜神は
  永久に花咲く御代に生きなむ

 伊吹山春葉は芽ぐみたり
  神一片として

 爛漫と咲き乱れたる山桜
  吾眼新しくよみがへらすも

 春夏けぢめも知らに咲き匂ふ
  百花香匂ひめでたし

 春花秋花香も一時に
  御代を祝ひて咲くはめでたき』

 夏川彦は歌ふ。
『吾も亦汀辺に立ちても申す
  竜宮島幸を祝ひて

 葭原国土より天降る姫神
  姿は世にも類なきかな

 細女に見合ひましたる吾君
  幸とこしへにあれと祈るも

 麗子姫は竜宮城弟姫と
  あらためまして吾等を恵ます

 弟姫天降りしなかりせば
  吾等が子孫は永久に浮ばじ

 あさましき姿を持てる竜神
  眼にめづらしき弟姫神よ

 夏川も水瀬涸れずに滔々と
  鏡湖に注ぐうれしさ

 水清き鏡御姿は
  弟姫神姿なるかも

 月も日も波間に浮ぶ鏡湖
  昼夜眺めは世にもまれなる

 魚族は君出でまし歓ぎつつ
  水面にあぎとふ百千かげ』

 秋水彦は歌ふ。
『打寄する鏡小波は
  吾竜体を清く洗へり

 鱗身間に棲める水虫
  かげはひそみて快き今日

 今日よりは吾等が一族ことごとく
  三寒三熱苦をがるべし

 三千年なやみにたへて人となり
  こ世に生くると思へば尊し

 三千年月日をちぢめて人身を
  保つ吾等は弟姫

 時を経て吾竜体はなめらかに
  人心地すも楽もし世や

 弟姫神宣らす祝詞言霊に
  吾身体は新まりゆくも

 にごりなき秋水さへ魚族は
  あまた虫になやまされたり

 鱗肌間にひそむ蛆虫
  かげはつぎつぎ消え失せにけり

 万里中に浮べる葭原
  国土にもかかるなやみありしか

 玉耶湖広きが中に竜宮
  島は愛しき島なりにけり

 罪深きにごれる玉集まりを
  竜島根と名づけ来にけむ

 何故かこ島ケ根に住む人は
  人面竜身はかなかりけり

 天時今や来りて水上山
  麗子姫幸に会ふかな』

 冬風彦は歌ふ。
『伊吹山峯より颪す寒風に
  冬さり来れば塞す湖

 冬されば湖魚族ことごとく
  水底にひそみて世を嘆くなり

 主恵いよいよ現れて
  弟姫神は天降りましける

 弟姫言霊幸はひて
  冬も湖凍らざるべし

 草も木も冬さり来れば萎るるを
  かなしく思ふ吾なりにけり

 今日よりはこ島ケ根に冬もなく
  常春島となりて栄えむ

 吾君御供に仕へ鏡湖
  いそ辺に宴蓆楽しき

 百神は君出でましよろこびて
  右往左往に踊り狂へり

 あなさやけあなおもしろや竜宮
  島根は花にうづもれにけり

 山青く谷水清く湖面は
  月日浮べて天国ただよふ』

 大竜身彦命は歌ふ。
『仰ぎ見れば伊吹尾根に白雲
  風にゆられて安く遊べる

 尾上には白雲遊び中原
  湖ほとりに吾は遊ぶも

 白雲ほころびすかして日神は
  清き光りを照させ給へり

 白雲をよくよく見ればそ中心に
  紫雲かくろへる見ゆ

 紫雲を開きて天津日は
  こ面を照させ給へり

 頂に曲津神棲むとつたへたる
  伊吹山も今日は清しき

 天も地も一度に開けし心地して
  吾弟姫辺に遊ぶ』

 麗子弟姫は声さはやかに歌ふ。
『千早振るとほき神代昔より
 ためしも知らぬ竜宮
 竜都に渡り来て
 怪しき人かげを見つ
 心いぶかる折もあれ
 金銀珠玉をちりばめし
 眼輝く高輿に
 吾はかつがれすくすくと
 鉄門をくぐり又一つ
 高き鉄門をくぐりぬけ
 いや高殿に送られて
 大竜身彦と諸共に
 竜島根を護るべく
 朝夕をつつしみて
 神依さし神言を
 声高らかに宣りつれば
 不思議なるかな島ケ根に
 生ふる草木は色深み
 百花千花一時に
 艶を競ひて咲き乱れ
 四方に芳香薫じつつ
 迦陵頻伽は言ふも更
 百鳥千鳥鳴く声も
 いやさやさやにひびくなり
 吹き来る風もやはらかに
 山上や裳裾まで
 恵うるほひつ
 よみがへりたる目出度さよ
 吾は三年をこ島に
 生き栄えつつ島人に
 永久生命と御栄えを
 神に誓ひて与ふべし
 勇めよ勇め百神よ
 よろこべ踊れ歌へ舞へ
 天岩戸は開けたり
 闇鉄門は開け放れ
 御空月日は明らけく
 こ国原を照すなり
 昼夜区別なきまでに
 月日こもごも照らひまし
 竜神等は言ふも更
 湖魚族山や野
 草木末に至るまで
 恵輝きて
 世はとこしへに栄ゆらむ
 ああ惟神々々
 神依さし生言霊を
 朝夕宣らへ竜神等よ』
と歌ひ給へば、尾上に遊びし白雲はさつと左右に開き、次第々々に影失せて日月一度に並び輝き、忽ち第一天国光景を現出したるこそ尊けれ。
 ああ惟神御霊幸倍坐世。
(昭和九・七・一六 旧六・五 於関東別院南風閣 谷前清子謹録)
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