王仁DBβ版 出口王仁三郎と霊界物語の総合検索サイト 文献検索 画像検索 単語検索 メニュー開く
サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)

文献名1霊界物語 第80巻 天祥地瑞 未
文献名2第1篇 忍ケ丘よみ(新仮名遣い)ぶがおか
文献名3第6章 秋野旅〔2010〕よみ(新仮名遣い)あきたび
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじ
主な人物 舞台 口述日1934(昭和9)年07月27日(旧06月16日) 口述場所関東別院南風閣 筆録者谷前清子 校正日 校正場所 初版発行日1934(昭和9)年12月5日 愛善世界社版 八幡書店版第14輯 319頁 修補版 校定版105頁 普及版 初版 ページ備考
OBC rm8006
本文のヒット件数全 132 件/ノ=132
本文の文字数2672
これ以外の情報は霊界物語ネットの「インフォメーション」欄を見て下さい 霊界物語ネット
本文  高光山以西国形を視察すべく遣はしたる冬男は、冬去り春夏も過ぎ秋初めとなりけれども、何消息もなきままに、巌ケ根は稍不安空気に満され、重臣水音、瀬音を招き、且つ春男、夏男、秋男三人と共に、執政所に集り鳩首謀議を凝らした。
 巌ケ根は歌もて語る。

『高光山以西国形調査ぶべく
  出でにし冬男は今に帰らず。

 もしやもし水奔草中毒に
  冬男は身亡せたるにあらずや。

 夜な夜なにあやしき夢を吾見たり
  心にかかる冬男上。

 斯くならば再び人を遣はして
  冬男所在を探させむと思ふ』

 水音は答へて、

『執政宣り言宜よ吾も亦
  朝夕心にかかりけらしな。

 音に聞く忍ケ丘に水奔鬼
  旅行く人を損ふと聞く。

 水奔鬼笑ひ婆アは道辺に
  立ちて旅人を誘ひ殺すと』

 瀬音は歌ふ。

『葭原や水奔草根にひそむ
  湿虫害は恐ろしと聞く。

 案ずるに湿虫そ毒虫に
  冬男君は損はれけむ。

 兎も角も高光山に人を派し
  冬男安否を探るにしかず』

 ここに三人協議により、巌ケ根は第三男秋男を首領とし、四人従者を従へて、高光山に至る大原野を探させしむべく、水上山館を出立せしむる事となりぬ。
 秋男は松、竹、梅、桜四人従者を従へ、水上山を立出で、弟冬男とりし道を避け、南方に向ひ、高光山方面に進まむと決心臍を固め、神殿に出立祈願をこめ、父巌ケ根に向つて言葉静に歌もて宣る。

『ちち御言を被りて
  吾は高光山に進まむ。

 いかならむ悩みありとも国為と
  吾は恐れじたとへ死すとも。

 弟所在を探ねあくまでも
  父母心を安んじ奉らむ。

 葭原国土を閉せる葭草や
  水奔草を刈りて放らむ。

 悪神は水奔草野辺に潜み
  行手人に災すといふ。

 さりながら吾には神守りあり
  如何なる曲津も恐れず進まむ。

 父上も母も心を安んじませ
  吾は一人旅にあらねば』

 巌ケ根は涙をふるひながら、表面は元気さうに歌ふ。

『弟冬男行方わかるまで
  汝は帰らず国見して来よ。

 弟消息判ればすみやかに
  知らせ来れよ桜に仰せて』

 秋男は又歌ふ。

『父上御言葉謹みて
  吾はあくまで力つくさむ』

 水音は歌ふ。

『勇ましき秋男出で立ちを
  送る水音心はかなしも。

 水音風響も気遣はる
  君旅路安くあれよと。

 野路を越え川を渡りて出でてゆく
  君雄々しき姿を送らむ』

 瀬音は歌ふ。

『吾も亦父御言に従ひて
  神国守れば安く出でませ。

 御館に心残さずとくとくと
  神国為に出でませ君よ。

 君行かばこ御館は淋しけれど
  神国為と思へば詮なし。

 曲津神伊猛り狂ふ大野原
  進ませ給へ神力に』

 秋男は歌ふ。

『ありがたし君誠はどこまでも
  忘れず力と進み行くべし。

 いざさらば吾は進まむ四柱
  友と力を組合せつつ。

 秋さりて野辺に百草咲き匂ひ
  旅ゆく吾を迎へ送りす。

 花香に包まれてゆく秋
  吾旅立ちは清しかるべし。

 弟所在探れば直様に
  桜を帰して知らせ奉らむ。

 新しき国土拓かむと出でてゆく
  吾に力を添へさせ給へ。

 住みなれし水上山聖場を
  去らむと思へば涙ぐまるる。

 吾涙歎き涙にあらずして
  旅ゆく嬉し涙なるぞや。

 女郎花桔梗刈萱匂ふ野を
  松、竹、梅、桜伴ひてゆく』

 斯く歌ひ終り、秋男は勇ましく四人供人と共に、巌ケ根館を立ち出でにける。
『水上山を立ち出でて
 国形見むと進み行く
 吾旅立ちいさましさ
 大川小川乗り越えて
 進めば床し百草桔梗
 艶を競ひて咲き匂ふ
 吾等が行手を賑はせり
 弟冬男は今いづこ
 処せきまで茂りたる
 水奔草災に
 生命捨てしにあらざるか
 何とはなしに気にかかる
 約一年
 何便りも夏
 漸く秋も来向ひて
 野辺千花はプンプンと
 あたりに芳香放つなり
 忍ケ丘に笑ひ婆
 ありとほかに聞きつれど
 吾は道をば南して
 忍ケ丘東面に
 巡りて弟消息を
 探り査べむそ上に
 吾方針を定むべし
 進めよ進めよ、いざ進め
 悪竜毒蛇は繁くとも
 神賜ひし言霊に
 言向けやはし打ちきため
 道隈手も恙なく
 いと安々と進むべし
 ああ惟神々々
 神依さし旅出
 さやらむもは世にあらじ
 松、竹、梅を始めとし
 桜と名告る供人よ
 必ず恐るること勿れ
 吾等は神子神
 神にまかせし上からは
 いかなる曲津も恐れむや
 進めよ進め、いざ進め』
 従神松は歌ふ。
『ああ勇ましや勇ましや
 秋男武者振りに
 吾等は心も勇み立ち
 無人野辺をゆく如く
 障らむ曲津は悉く
 斬り伏せ薙ぎ伏せ驀地
 高光山聖場に
 神力をいただきて
 進みゆくこそ楽しけれ
 秋男君に従ひて
 百花千花咲き匂ふ
 山辺野中縫ひてゆく
 今日出で立ち勇ましし
 ああ惟神々々
 吾等が旅に御幸あれ』
 従神竹は歌ふ。
『水上山を立ち出でて
 花咲き匂ふ秋野を
 秋男君に従ひて
 進みゆくこそ楽しけれ
 吾等も神子神
 いかなる曲津さやるとも
 何か恐れむ大丈夫
 堅き心は巌ケ根
 君が仰せを守りつつ
 悪魔征途に上るなり
 水奔草は茂くとも
 悪魔力は強くとも
 勇猛心を発揮して
 撓まず恐れず進みゆく
 吾等が一行に幸あれや
 火炎山もほ見えぬ
 いざや進まむ大野原
 百草匂ふ山辺を
 渉りて行けば秋
 吾等が面を吹きつけて
 涼しさ添ふる夕まぐれ
 仰ぎ御空を眺むれば
 白々かかる昼月
 御顔かすかに笑ませたり
 吾一行に幸ありと
 知らせ給ふかありがたし
 ああ惟神々々
 生言霊に力あれ
 吾一行に幸あれよ』
 従神梅は歌ふ。
『ああ楽もしや楽もしや
 秋男君に従ひて
 進むも嬉し大野原
 火炎山も近づきて
 何か心勇むなり
 草葉蔭に鳴く虫も
 梢に囀る百鳥
 声も清しくなりぬれど
 陽は早や西に黄昏れて
 行く手も見えずなりにけり
 さはさりながら君命は
 尊く重く背かれず
 火炎麓まで
 兎にも角にも進むべし
 ああ惟神々々
 吾一行に幸あれや』
 従神桜は歌ふ。
『虫音清しき秋
 陽は西山にかたむきて
 いよいよ冴ゆる月
 星満天にきらめきて
 わが足下は明くなりぬ
 悪鬼毒獣せめるとも
 吾は恐れじ言霊
 剣を高くかざしつつ
 御樋代神現れませる
 高光山を目あてとし
 真心もちて進むべし
 ああ惟神々々
 恩頼を賜へかし』
 斯く歌ひつつ前進する事一時ばかり、ふと突き当りたる小さき丘あり。一行五人はこ丘に攀ぢ登り、木月を眺めながら、しばらく旅疲労を休め居る。
(昭和九・七・二七 旧六・一六 於関東別院南風閣 谷前清子謹録)
霊界物語ネットで読む 霊界物語ネット
オニド関係の更新情報は「オニド関係全サイトの更新情報」を見れば全て分かります!
王仁DB (王仁三郎データベース)は飯塚弘明が運営しています。 /出口王仁三郎の著作物を始め、当サイト内にあるデータは基本的にすべて、著作権保護期間が過ぎていますので、どうぞご自由にお使いください。また保護期間内にあるものは、著作権法に触れない範囲で使用しています。それに関しては自己責任でお使いください。/出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別用語と見なされる言葉もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。/ 本サイトのデータは「霊界物語ネット」掲載のデータと同じものです。著作権凡例 /データに誤り等を発見したら教えてくれると嬉しいです。
連絡先:【メールアドレス(飯塚弘明)
プライバシーポリシー
(C) 2016-2024 Iizuka Hiroaki