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文献名1霊界物語 第80巻 天祥地瑞 未
文献名2第3篇 天地変遷よみ(新仮名遣い)てんちへんせん
文献名3第21章 青木ケ原〔2025〕よみ(新仮名遣い)あおきがはら
著者出口王仁三郎
概要
備考
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あらすじ葭原国を東西に画する中央山脈最高峰が、高光山であった。常に紫瑞雲がたなびく霊地であった。こ地点を青木が原といい、八百万神が集まって政に仕えていた。御樋代神朝霧比女神は、神苑を逍遥しながら国土を統べる神業に心を悩ませていた。朝霧比女神は、子心比女神が竜彦をあやしながら養育している様を見て、肌身離さず育んで良く育て、国司となるように、と言葉を掛けた。子心比女神は朝霧比女気遣いに感謝し、また火炎山視察に出た朝空男、国生男神がどうなったかを尋ねた。すると、ちょうど空に天鳥船影が見えてきた。朝空男神、国生男無事帰着に、高光山神々は喜び声を上げた。朝霧比女神が二神労をねぎらう歌を歌った。朝空男神は火炎山爆発を報告し、国生男神は、水上山国津神たち国土開拓進捗を報告した。二神は、火炎山曲津神を焼き滅ぼす力を持った火種が失われてしまったことを懸念し、今後方策を朝霧比女神に諮った。朝霧比女神も今後は御火をどうやって得たらよいかを心配したが、まずは大御照神が、百日禊を終えて帰ってくるを待つようにと歌った。折りしも禊を終えて帰ってきた大御照神が、青木ケ原聖場に来着した。そして、万里海を越えてやってくる朝香比女神が、御火をもたらすであろう、と言葉を賜ったことを明かし、松浦港に朝香比女神を出迎えに行くよう進言した。朝霧比女神は斎戒沐浴し、青木ケ原神前に自ら斎主となり、天鳥船で出迎えに当たって空中安全祈願をなした。祭典無事終了をもって、朝空男神、国生男神、大御照三柱神たちは、鳥船に乗り込んで松浦港へ、朝香比女神一行を出迎えに出発した。
主な人物 舞台 口述日1934(昭和9)年07月31日(旧06月20日) 口述場所関東別院南風閣 筆録者谷前清子 校正日 校正場所 初版発行日1934(昭和9)年12月5日 愛善世界社版 八幡書店版第14輯 401頁 修補版 校定版408頁 普及版 初版 ページ備考
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本文  葭原国土を東西に画したる中央山脈最高峯高光山聖場には、常に紫瑞雲棚引き、風清く、植物も高地に似ず、神徳に浴して繁茂し、四方国形を瞰下し得る最勝最妙霊地なり。こ地点を青木ケ原と称し、八百万神等ここに集りて政に仕ふ。
 朝霧比女神は青木ケ原神苑を逍遥しながら御歌詠ませ給ふ。

『久方高日宮を立ち出でて
  ここに三年を過ぎにけるかな。

 顕津男出でましおそければ
  吾いたづらに年経むとする。

 葭原を統べ守るべき君なくば
  あらぶる神をいかに治めむ。

 予讃中心に立てる火炎山は
  焔と共に消え失せにける。

 見渡せば火炎跡白く
  湖となりしか波かがよへり。

 予讃国に吾遣はせし二柱
  いまだ帰らず心もとなし。

 主深ければ
  功を立ててやがて帰らむ。

 目路限り葭草醜草茂り合ふ
  これ国原如何に開かむ。

 国津神は山々裾に住まひつつ
  平野は葭と醜草茂らふ。

 こ広き醜草生へる野を開き
  五穀など植ゑひろめたき』

 斯く歌ひつつ苑内を逍遥し給ふ折もあれ、庭樹蔭に小児を抱きて子守唄を歌ひながら、子心比女神は此方に向つて静に進み来る。
 子心比女神は歌ふ。
『坊やはよい子ぢやねんねしな
 坊やお守はどこへいた
 山を越えて野を越えて
 川を渡りて旅に出た
 旅行く先やいづこぞや
 水上山聖場へ
 水上山故郷
 里みやげに何もろた
 でんでん太鼓に笙
 ねんねんねんねんねんねしな』
と身体を左右にふり、竜彦養育に余念なかりける。朝霧比女神はこ体を見て、

『子心比女神真心やさしけれ
  竜彦きみを育みますも。

 こ御子は竜御腹ゆ生れませば
  賢しき御子よ美しき御子よ。

 こ御子は育てによりてよくもなり
  悪しくもなるべき性をもつなり。

 朝夕に肌身放さず育みて
  国司と照させ給へ』

 子心比女神は歌ふ。

『ありがたし御樋代神御言葉
  吾謹みて仕へ奉らむ。

 朝空男、国生男神鳥船は
  いかがなりしか聞かまほしけれ。

 西空とほく眼を見渡せば
  くろき一つ浮べる。

 かすかなる雲黒影は二柱
  乗りて帰らす鳥船ならずや』

 朝霧比女神は、遠く西空をふりさけ見ながら、

『かすかなる影は次々近み来ぬ
  正しく天鳥船なるべし。

 予讃国土禍ひ鎮めて二柱
  復命すと勇み来るも』

 斯く歌ふ折しもあれ、急速力を以て二柱乗れる鳥船は、青木ケ原広場に鳩如くに着陸せり。
 こ聖地に仕ふる数多神々は、二神無事帰りしを欣喜雀躍し、ウオーウオーと叫ぶ声、高光山も割るるばかりどよめきなりける。
 朝霧比女神は二神側近く進ませ給ひ、

『久方空を翔りて帰りてし
  汝二柱功績を思ふ』

 朝空男神は、先づ朝霧比女御前に最敬礼をほどこし歌ふ。

『比女神神言畏み漸くに
  今復命白しけるかな。

 あれはてし国形見つつ驚きぬ
  葭草醜草生ふる予讃国。

 火炎山地中に深く陥没し
  火湖は生り出でにけり。

 醜神数多集ひし予讃
  天変地異に新まり初めぬ。

 さりながら叢に棲む鬼大蛇
  水奔鬼等曲津はさかしも。

 葭原国土光り火炎山
  湖となりしゆ火種なき国。

 如何にしてこ国原に火種を
  求め得むかも悟らせ給へ』

 朝霧比女神は御歌詠ませ給ふ。

『今暫し時を待つべし火種は
  天津御神ゆ授け給はむ』

 国生男神は歌ふ。

『吾公仰せ畏み鳥船に
  乗りて国形調査べ来しはや。

 百千里雲を渡りて予讃
  忍ケ丘に安く降れり。

 精霊生命とられし水上山
  巌根が伜と語らひにけり。

 巌ケ根伜冬男や秋男等と
  語りて悪魔猛び悟りぬ。

 葭原国土あちこち忍び居る
  曲津焼かずば治まらじと思ふ。

 曲津神を焼き滅すは主
  御火力にしくもあらじ。

 火種を奪はれむことを恐れみて
  猛獣毒蛇は護り居しとふ。

 火種は火炎陥没に
  消えて影さへ見えずなりけり』

 朝霧比女神は歌はせ給ふ。

『雲枕御空旅を重ねつつ
  功を立てし公を讃へむ。

 国土稚く未だ地やはく葭原
  国土かためはただ事ならじ。

 葭草や水奔草を焼き払ふ
  力は御火に勝るもなし。

 如何にして御火力を得むも
  百日百夜を吾は祈りつ。

 百日日禊を依せる御照
  神もやがてはここに帰らむ。

 百日日満ちぬる今日を勇ましく
  凱旋したるは目出度かりけり。

 大御照神もやがては帰るべし
  百日禊ぎ今日満ちぬれば』

 斯く歌ひ給ふ折もあれ、禊神事を了へ給ひ、神力を全身に満して、大御照神は溪間雲を分けて青木ケ原聖場に漸く帰りつき給ひ、四柱御前に慕しく現れ、大御照神は歌ふ。

『御樋代神言をかうむりて
  百日禊終り帰りぬ。

 溪川清き清水に禊して
  うつりゆく世を悟らひにけり。

 水と火力によりて葭原
  地を清めむ御心なりけり。

 今暫し吾に暇をたまへかし
  御樋代神を迎へ来らむ。

 万里海に浮ばせ給ふ朝香比女は
  御火をたまふとはつかに悟りぬ。

 松浦港に公を迎へつつ
  御火力を借らむと思ふ』

 朝霧比女神は御歌詠ませ給ふ。

『八人乙女御樋代神朝香比女が
  出でましあると聞けば嬉しき。

 然あらば大御照神先に立ち
  朝空男、国生男神従ひ出でませ』

 大御照神は歌ふ。

『朝霧比女神神言に従ひて
  朝香比女を迎へ来らむ。

 大前に畏み厳言霊を
  たたへ終りて直に進まむ。

 百日日禊によりて吾魂は
  鏡如く透きとほらへり。

 朝空男、国生男神二柱
  吾に添へさせ給ふ嬉しさ』

 朝空男神は歌ふ。

『朝香比女迎ふる為に鳥船を
  遣はせ給へ御樋代神。

 松浦港は遥か遠けれど
  吾鳥船にりて進まむ』

 国生男神は歌ふ。

『二柱神に従ひ松浦
  港に下ると思へば勇まし。

 久方御空翔けゆくいさましさ
  地上神と思へざりけり。

 予讃空を渡りし覚えあり
  松浦港へは安く降らむ』

 朝霧比女神は御歌詠ませ給ふ。

『斯くならば三柱急ぎ鳥船に
  乗りて進めよ神を迎ふと』

 朝香比女神を迎へ首途として、朝霧比女神は四柱司神を始め、数多神々を率ゐて、青木ケ原中心に、宮柱太しく立てて斎き奉れる主大神御前に、沐浴斎戒して種々供物を献じ、自ら斎主となり、空中安全祈願を始め給ふ。
 朝霧比女神は四拍手しながら、

『掛巻も畏き此高光山下津岩根に宮柱太しく立てて、千木高知らし鎮り給ふ主大神大前に、斎主朝霧比女神、謹しみ敬ひ願ぎ奉らく、大神神言被り、御樋代神と任けられ、天津御空八重雲を伊頭千別に千別て高光山に降りてゆ、早も三年は過ぎにけり。御樋代神吾はも、著き功績も立てずして、月日を送る苦しさに、天に跼り地に蹐して国土安かれと祈りけり。さはあれど未だ国土稚く地やはく、曲津見ども跳梁にまかせ切りたる葭原国土を開かむ術もなし。主御水火に生れる御火種、大御照真寸鏡に写ろふ見れば、朝香比女神は珍火種を持たせつつ此国土に渡らすとはつかに聞きし嬉しさに、大御照神始めとし、朝空男神、国生男神を朝香比女許に遣はし迎へ奉ると思ふが故に、天鳥船を堅らかに造り終へて、三柱を乗せ遣はす今日吾願ぎ事を聞し召し、怪しき雲空行くも、禍ちあらず安々と、長き年月松浦港に光らす朝香比女一行を、無事に高光聖所に導かせ給へと、鹿児自物膝折伏せ宇自物頸根突貫きて恐み恐みも願ぎ奉る。ああ惟神々々、生言霊に光あれ、吾言霊に力あれ』

 斯くて祭典は無事終了し、三柱神はここに身を清め鳥船に乗じて、伊頭八重雲をかき分けて松浦港に向ひ航空することとなりぬ。
 御樋代神は御歌詠ませ給ふ。

『待ちわびし今日生日目出度さよ
  朝香比女を迎ふと思へば。

 八柱御樋代神中に
  殊に雄々しき朝香比女かも。

 朝香比女神神言出でまさば
  こ葭原国土は安けむ。

 主神に朝夕を祈りたる
  験かがよふ今日は目出度き。

 いざさらば雲路安けく出でませよ
  吾は御前に祈りつづけむ』

 大御照神は歌ふ。

『朝霧比女神言畏み出でゆかむ
  生言霊に雲路安けむ。

 雲谷雲川をば横ぎりて
  港に進まむ守らせ給へ。

 大空峰をば打ち渡り
  天河原渡らひ行かむ。

 鷲も鷹も百鳥千鳥も目下に
  ながめて渡る空雄々しさ』

 朝空男神は歌ふ。

『天津日輝き渡る朝空を
  進む吾等は鳳凰なるよ。

 鳥船翼堅らに造りあれば
  心安けく進まむと思ふ。

 主御火より湧ける雲なれば
  空旅路も安けかるべし』

 国生男神は歌ふ。

『吾も亦二柱神に従ひて
  天津御空をかき分け進まむ。

 ポケツトは数多ありともこ船は
  いや堅ければ安く進まむ。

 はてしなき大野上を限りなき
  御空雲を見つつ行くなり。

 いざさらば高光山聖場を
  伏し拝みつつ渡りゆくべし』

 朝霧比女神は御歌詠ませ給ふ。

『三柱雲路旅行きを
  今や送らむこ清庭に。

 三柱神よ安けく渡りませ
  神依さし神業と思ひて』

 大御照神は歌ふ。

『いざさらば青木ケ原聖場を
  立ちて進まむ松浦港へ』

 斯く歌ひ終り、三柱は天鳥船に身を托して空中高く昇らせ給ふや、これ神苑に仕へ侍る百神等は、ウオーウオー鯨波を造りて、勇ましきこ首途を送りける。
(昭和九・七・三一 旧六・二〇 於関東別院南風閣 谷前清子謹録)
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