王仁DBβ版 出口王仁三郎と霊界物語の総合検索サイト 文献検索 画像検索 単語検索 メニュー開く
サイトの全面改修に伴いサブスク化します。詳しくはこちらをどうぞ。(2023/12/19)

文献名1霊界物語 第81巻 天祥地瑞 申
文献名2第4篇 猛獣思想よみ(新仮名遣い)もうじゅうしそう
文献名3第18章 蠑螈精〔2045〕よみ(新仮名遣い)いもりせい
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日----
あらすじチンリウ姫になりすましたセンリウは、母アララギとともに並ぶも無き権勢を木田山城に奮っていた。あるときセンリウは、木田山城内森林を逍遥しつつ咲き乱れる花を愛でていた。すると、後ろから突然容姿端麗な美男子が現れ、自分はエームス王子従兄弟・セームスであると名乗った。こ美男子セームスを一目見たセンリウはすっかり心を奪われてしまった。セームスがセンリウを誘惑すると、センリウは気ある心をほめかす歌を返した。すると不思議にも、セームス姿は煙ように消えてしまった。あくる日、センリウは提言して城内菖蒲池に舟を浮かべ、半日清遊を試みた。舟にはエームス王子、センリウ、アララギほかは二人侍女が乗っているみであった。一同が歌を歌いつつ日を過ごしていると、突然池水が煮えくり返り、水柱がいくつも立ち昇った。舟は転倒し、エームス王子は水中に落ちたままついに姿を現すことはなかった。先日、センリウ前に姿を現したセームスという美男子は、実はこ巨大な蠑螈精であった。蠑螈精はエームスを亡き者にして、センリウ夫となって城を乗っ取ろうとしていたである。こ騒ぎ中、一同はエームス王子が水死したことに気づかず、蠑螈精セームスはまんまとエームス王子になりすましてしまった。センリウはこ事件以来、エームス王子様子が何とはなしにおかしなことに気づき、そことを問い詰めた。蠑螈精は、自分は先日会った従兄弟セームスであり、エームスを亡き者にして王子になりすましたは自分計略だと明かした。そして、センリウがチンリウ姫になりすましていることに気づいているが、お互いに偽者として夫婦となり、国を乗っ取ろうとセンリウに持ちかけた。センリウはエームスに同意し、二人は木田山城奥深くに身を置いて、快楽にふけることとなった。国政は日に日に乱れ、ついには収集できないほどに混乱が深まって行くことになる。
主な人物 舞台 口述日1934(昭和9)年08月15日(旧07月6日) 口述場所水明閣 筆録者白石恵子 校正日 校正場所 初版発行日1934(昭和9)年12月30日 愛善世界社版 八幡書店版第14輯 527頁 修補版 校定版387頁 普及版 初版 ページ備考
OBC rm8118
本文のヒット件数全 164 件/ノ=164
本文の文字数3722
これ以外の情報は霊界物語ネットの「インフォメーション」欄を見て下さい 霊界物語ネット
本文  主人チンリウ姫を計略を以て退け、自らチンリウ姫と名告りてエームス王妃となり、母アララギと共に権勢並ぶもなく、数多群臣上に君臨して、意気揚々たりしチンリウ姫は、木田山城内森林を徒然まま、彼方此方に咲き匂ふ花を賞めつつ逍遥して居る。
『前や後右も左も芳しき
  花に包まれ吾は遊ぶも

 回天望みを遂げて吾は今
  木田山城花と匂ふも

 百千花咲けど匂へど如何にして
  わが花香に及ぶべきかは

 燕子花花紫水面に
  写るを見れば夏さりにけり

 木田山城は広けし山水
  景色あつめて清き真秀良場

 此花と世人に讃へられ
  吾は楽しく世に生くるかも

 天地は残らず吾手に入りしかと
  思へば楽しき吾身なるかも

 エールス王はイドム国にあり
  われ若王妃となりぬ

 何も制縛もなく此城に
  時じくかをると思へば楽し

 国津神あらむ限りを統べ治め
  王に仕へて御代を照らさむ

 わが母は賢しくませばチンリウ姫を
  わが身となして退ひましけり

 心地よやチンリウ姫は魔島に
  漂ひながら亡び失せけむ

 かくならば世に恐るべきもはなし
  エームス王を力とためば

 エームス王われに恋ふるを幸ひに
  如何なる事も遂げざるはなし

 朝風にゆらるる百合花見れば
  清しきわれ姿なるかな

 赤に白に匂へる花も世人は
  あふひ花と称へ来にけり

 チンリウ姫贋にはあれど吾もまた
  あふひに匂ふ花にあらずや

 雪といふ字も黒々と墨で書く
  例ある世ぞ何を恐れむ

 贋物と看破りたりし朝月は
  王威勢に退はれにけり

 朝月は千里島ケ根に
  流され生命亡せにけむかも

 妨ぐる何ももなき吾なれば
  心ままに世にふれまはむ

 水濁る木田山城司等は
  吾言霊に苦もなくまつろふ

 吾威勢日に日に高まりゆく見れば
  智慧現はれなるべし

 イドム城に長く仕へしわが王
  行方はいづく最早影なし

 わが王滅びによりて今ここに
  木田山城花と匂ふも

 よき事に曲事いつき曲事に
  よき事いつくは吾身にしる

 かくならば世に恐るべきもはなし
  エームス王を操りゆきなば』

 斯く歌ひながら、人もなげに逍遥して居る。後方より容姿端麗なる美男子、すつくと現はれ、
『姫様みあと慕ひて来りけり
  エームス王吾は従弟よ

 御姿気高さ美々しさに見惚れつつ
  心駒に引かれ来しはや

 汝が姿ふと見初めてゆ朝夕を
  うつつともなく過ぎにけらしな

 傍に人影なければわが思ひ
  君御前に匂はせ奉らむ』

 此声に贋チンリウ姫は驚き振り返れば、エームス王に幾倍とも知れぬ美男子、チンリウ姫は恋悪魔にとらはれ、恍惚として男側に進み寄り、右手をしつかと握りながら、頬を赤らめて歌ふ。
『思ひきやかく麗はしき艶人
  此国原におはしますとは

 エームス王に仕へし吾なれば
  汝に答ふる言葉もなし

 さりながら汝が愛しき心根を
  われ忝なみて胸にしるさむ

 かかる世に此うるはしき大丈夫
  いますとは夢にも知らざりにけり

 ままならば君と千歳を契りつつ
  木田山城に住みたく思ふ』

 美男は歌ふ。
『吾こそはエームス王従弟にて
  セームスといふ軽きもなり

 御心に叶ひ奉らば今日よりは
  人目を忍びて千代を語らむ

 われは今エームス王目を忍び
  姫を恋ひつつ此処に来りし

 名も位も生命も吾は惜しからじ
  君と会ふ夜ありと思へば』

 チンリウ姫は歌ふ。
『懐かし君に会ひてゆわが胸は
  高鳴り止まず面ほてりけり

 明日さればこ森林に君と吾と
  千代契りを語らはむかも』

 セームスは歌ふ。
『ありがたき情言葉聞くにつけ
  心雄猛びやまずも』

 斯く歌ひつつ、何処へか煙如く消え失せにける。
 チンリウ姫は茫然として佇みながら歌ふ。
『いぶかしき事限りよ麗しき
  恋セームス煙と消えたり

 エームス王にいやまし麗しき
  セームスこそはわが生命かも』

 斯く歌ひながら、しづしづと殿内に帰り来る。
 アララギは玄関に迎へながら、
『汝は今いづらにありし供人も
  つれずひとり身危ふからずや

 汝が姿見えぬに吾は驚きて
  千々に心を砕きたりしよ

 明日よりは御供をつれて出でませよ
  一人歩みは危ふかるらむ』

 チンリウ姫は歌ふ。
『百花清きかをりに誘はれて
  知らず知らずに一人遊びぬ

 水をもてめぐれる木田山城内に
  恐るべきも如何であるべき

 此城は吾等が心ままなれば
  心安んじ遊ぶともよし』

 斯く歌へる折しも、エームス王は姫姿なきに稍待ちかまへ気味なりしが、そ場に現はれ来りて、
『汝は今帰り来るか吾心
  いたくさやぎてありけるも

 明日よりは侍女を伴ひ遊ぶべし
  一人歩みは吾意に叶はじ』

 チンリウ姫は微笑みながら歌ふ。
『吾王幸を祈ると裏庭に
  佇み神言白し居たりき』

 斯くて其日は黄昏闇に包まれ、夫婦睦まじく寝に就きけるが、そ翌日はチンリウ姫提言として、城内菖蒲池に舟を浮べ、半日清遊を試むる事となりぬ。
 菖蒲池に舟遊び準備は整ふた。然しながら舟と言つても大木幹を石鑿を以てゑぐりたるもなりければ、余り多く乗るべき余地なく、エームス王はじめ、チンリウ姫、アララギ其他二人侍女みなりける。
 王は菖蒲池汀に匂へる紫花を打ち見やりつつ愉快げに歌ふ。
『菖蒲咲く此池水に棹さして
  もいふ花と遊ぶ楽しさ

 水底にうつろふ花紫を
  見つつ床しき舟遊びかな

 八千尋深き池底にひそむなる
  真鯉、緋鯉も驚きにけむ

 此池に初めて舟を浮べつつ
  遊ぶは昔ゆ例なきかな

 此池に魔神棲むと昔より
  伝へ来れど今日安けさ

 アララギ雄々しき女と諸共に
  遊ぶ御舟は楽しかりけり』

 アララギは歌ふ。
『吾王言葉巧みさあきれたり
  アララギならでチンリウならずや

 年老いし此アララギは花香も
  はや失せぬればかをらひもなし』

 エームス王は歌ふ。
『春匂ふ花もよけれどまた秋
  花かをりも捨て難く思ふ

 五月雨空晴れにつつ燕子花
  菖蒲匂へる清しき今日なり

 チンリウ装ひ清ければ
  菖蒲もかきつも恥らひ顔なる』

 チンリウ姫は歌ふ。
『わが王言葉嬉しやたもしや
  われは生命を捧げて仕へむ

 わが王手活花と匂ひつつ
  木田山城要と仕へむ』

 斯く歌ふ折しも、不思議や池水は俄に煮えくり返り、水柱各所に立ち狂乱怒濤ために独木舟は忽ち顛覆し、エームス王は真逆様に水中に落ちたるまま遂に姿を現はさざりける。
 茲に生命からがら、アララギ、チンリウ其侍女は汀辺に這い上り、玉生命をつなぎける。
 先日チンリウ姫前に現はれし、セームスといふ美男は此主にして、巨大なる蠑螈精なりけるが、俄に池水を躍らせて舟を顛覆せしめ、王生命を奪ひとり、チンリウ姫夫となりて此城にはばらむとする計略なりける。
 これより不思議やアララギ及び二人侍女は、生命は助かりたれども、眼眩み喉塞がりて何一つ見る事を得ず、また語らふ事も得ずなりにける。それ故王水中に陥りて溺死したる事も知らずに居たりしなり。
 茲に蠑螈精は、エームス王となりて奥殿に端然と控へ、チンリウ姫を側近く侍らせ不義快楽に耽りつつ国政日に月に乱れゆくこそ浅ましかりける。
 チンリウ姫は、どこともなくエームス王に似たれども、稍様子異なれるに不審眉をひそめながら歌ふ。
『エームス王は池中に陥りて
  生命死せしと思ひたりしを

 エームス王と思へどどこやらに
  わが腑に落ちぬ節あるかも

 先日に吾と語りし艶人に
  若しあらずやと疑はれぬる』

 蠑螈精は歌ふ。
『愚なりチンリウ姫よ吾こそは
  先日会ひしセームスなるぞや

 幸ひにエームス王は滅びたり
  いざやこれより汝と住みなむ

 歎くとも逝きたる人は帰らまじ
  吾にいそひて暮させ給へ』

 チンリウ姫は歌ふ。
『思ひきや汝はセームス優男
  わがたましひを蘇らせり

 われもまたエームス王にあき居たり
  汝が姿を見初めてしより

 汝こそは常世夫よ恋夫よ
  生命捧げて吾は仕へむ』

 蠑螈精は歌ふ。
『汝とても誠チンリウ姫ならず
  センリウ姫贋玉なりけむ

 吾もまた誠エームス王ならず
  従弟セームス優男なり

 贋物と贋物二人が此城に
  二世を契るも面白からずや

 アララギは眼失ひ唖となり
  わがたくらみを悟らであるらし

 今日よりは汝に免じてアララギ
  病は癒し永久に救はむ』

 チンリウ姫は歌ふ。
『吾母を救ひ給ふかありがたし
  さすがは吾背君なりにけり

 よき事いやつぎつぎに重なりて
  恋しき汝にいそひ居るかも

 どこまでもエームス王となりすまし
  木田山城に臨ませ給へよ』

 蠑螈精は歌ふ。
『汝が言葉宜なり吾はどこまでも
  エームス王となりて臨まむ

 面白き吾世なるかも木田山
  城主となれる思へば』

 斯くして贋チンリウ姫と、蠑螈化身なる贋エームス王は、木田山城内奥深く住み込みて、国政は日に月に乱れ衰へ、遂には収拾すべからざるに至りたるこそ是非なけれ。
(昭和九・八・一五 旧七・六 於水明閣 白石恵子謹録)
霊界物語ネットで読む 霊界物語ネット
オニド関係の更新情報は「オニド関係全サイトの更新情報」を見れば全て分かります!
王仁DB (王仁三郎データベース)は飯塚弘明が運営しています。 /出口王仁三郎の著作物を始め、当サイト内にあるデータは基本的にすべて、著作権保護期間が過ぎていますので、どうぞご自由にお使いください。また保護期間内にあるものは、著作権法に触れない範囲で使用しています。それに関しては自己責任でお使いください。/出口王仁三郎の著作物は明治~昭和初期に書かれたものです。現代においては差別用語と見なされる言葉もありますが、当時の時代背景を鑑みてそのままにしてあります。/ 本サイトのデータは「霊界物語ネット」掲載のデータと同じものです。著作権凡例 /データに誤り等を発見したら教えてくれると嬉しいです。
連絡先:【メールアドレス(飯塚弘明)
プライバシーポリシー
(C) 2016-2024 Iizuka Hiroaki