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文献名1霊界物語 第63巻 山河草木 寅の巻
文献名2第3篇 幽迷怪道よみ(新仮名遣い)ゆうめいかいどう
文献名3第12章 五託宣〔1619〕よみ(新仮名遣い)ごたくせん
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2017-06-06 18:17:50
あらすじカークスとベースは不審の念を抱いて、近づいてくる宣伝歌に耳をすませた。歌の主は伊太彦であった。伊太彦はアスマガルダ、ブラヷーダを連れて、竜王の岩窟の向こうにこれほど広い原野があることを不思議に思いながら歌を歌いながらやってきた。カークスとベースは伊太彦に出会えたことを喜び、先ほどの怪しい婆の話をした。伊太彦は岩窟だから妖怪が出たのだろうと答え、ウバナンダ竜王に会うために先に進もうと一同を促した。一同が進んでいくと、はげ山の麓に草ぶき屋根の小屋が一軒建っていた。小屋から出てきたのは高姫であった。高姫は一行を呼び止め、けっこうなウラナイ教の話を聞かせてやろうと引き留めた。しかしカークスとベースは、高姫の居丈高な物言いに不快の念をあらわにし、無視して先に進もうと伊太彦にもちかけた。高姫は怒り、二人は身魂が悪いから自分の館に入ることはならないと言い渡した。高姫は伊太彦、アスマガルダ、ブラヷーダの三人を引き入れようとするが、ブラヷーダはここまで生死を共にしてきたのだから、カークスとベースが入れない家にやっかいになるのは止めようと言い出した。伊太彦とアスマガルダも同調したので、高姫は仕方なく五人とも招き入れようとするが、その物言いがまた居丈高なので、カークスとベースは家に入るのを拒否した。高姫は門口でウラナイ教の説法をすることにした。
主な人物 舞台 口述日1923(大正12)年05月24日(旧04月9日) 口述場所 筆録者北村隆光 校正日 校正場所 初版発行日1926(大正15)年2月3日 愛善世界社版164頁 八幡書店版第11輯 321頁 修補版 校定版168頁 普及版64頁 初版 ページ備考
OBC rm6312
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本文  カークス、ベース両人は不審の胸を抱き乍ら、路傍に直立せる立岩の側に佇んで、宣伝歌の声の近寄るのを耳をすませて聞いて居る。
伊太彦『三五教の宣伝使  吾は伊太彦司なり
 玉国別に従ひて  スダルマ山の麓迄
 進み来れる折もあれ  木蔭に休む両人に
 不図出会してスーラヤの  山に夜光の玉ありと
 聞くより心勇み立ち  吾師の君に許されて
 カークス、ベース両人を  従へ間道潜り抜け
 スーラヤ湖辺のテルの里  ルーブヤ館に立寄りて
 神の仕組のブラヷーダ  姫の命と赤縄をば
 結び終りて兄とます  アスマガルダの舟に乗り
 波に漂ひ漸くに  スーラヤ山に漕ぎつけて
 一夜を明かす折もあれ  得体の知れぬ怪物が
 忽ちここに現はれて  いろはにほへとちりぬるを
 わかよたれそつねならむ  うゐのおくやまけふこえて
 あさきゆめみしゑひもせす  京味の深い問答を
 敗けず劣らず開始して  火花を散らせば怪物は
 煙となりて消え失せぬ  夜も漸くに明け放れ
 一行五人はスーラヤの  危き死線を突破して
 足を痛めつ頂上に  登り終せてウバナンダ
 ナーガラシャーの潜みたる  醜の岩窟に立向ひ
 山の尾の上に茂り生ふ  藤蔓切りて縄梯子
 やつと拵へ吊り下ろし  五人一度にスルスルと
 下りて見れば思ひきや  果てしも知らぬ広い穴
 際限もなく展開し  山河草木立並ぶ
 広き原野となりにけり  あゝ惟神々々
 神の仕組の玉糸に  索かれて来る吾々は
 何処をあてと白雲の  行ける所迄進まむと
 ここ迄来り息休め  後振り返り眺むれば
 如何になしけむカークスや  ベースの二人は落伍して
 姿も見えずなりにけり  あゝ惟神々々
 御霊幸はひましまして  一時も早く両人が
 吾等の後を追かけて  互に無事を祝し合ふ
 喜び与へ玉へかし  醜の岩窟の入口は
 いとも狭けく覚ゆれど  此岩窟の広々と
 展開したる不思議さよ  空は岩窟に包まれて
 月日の影は見えねども  何とはなしに心地よし
 あゝ惟神々々  神のまにまに進み行く』
と云ひつつ両人の傍に近寄つて来た。カークスは三人の姿を見るより飛び立つやうに喜んで、
カークス『あゝ先生で厶りましたか。ブラヷーダさまに、アスマガルダさま、どれだけ尋ねて居つた事か知れませぬよ。どうして居られましたか』
伊太『いや有難う。実の所はお前等二人の姿が見えぬので又足を痛めて遅れて居るのではあるまいかと、幾度も幾度も路傍に佇み見合せ見合せやつて来たものだから、斯う遅れて了つたのだ。随分待たしただらうな』
カークス『随分待ちましたよ。然しここは妙な所ですな。只今濁流漲る大川が横はり、汚い婆が現はれて色々雑多と嚇し文句を並べやがるものだから、ベースと二人一生懸命に掛合つてゐましたが其婆は岩と化けて了ひ、川は薄原となりました。一体ここは冥途ぢやありますまいかな』
伊太『死んだ覚えもないのに、どうして冥途へ来るものか。ここはスーラヤ山の岩窟から此通り展開してゐる大きな広場だ。あまり広い穴だから此通り目の届かぬ程草原が展開してゐるのだ。何と不思議な事ぢやないか』
カークス『いや、それ聞いて安心しました。私は又ベースと両人冥途の旅ぢやないかと、どれだけ気を揉んだか知れませぬよ。なア、ベース、随分いやらしかつたな』
ベース『婆の出た時は本当に肝潰しましたよ。そして婆が貴方等三人が此川を渡つて向ふへ行つたと嘘ばかり吐きやがるものだから、早く追付かうと思つて、どれ丈け気をもんだか知れませぬわ』
伊太『ア、さうだつたか、ここは岩窟内の事だから四辺の光景も違ふて居るなり、何れ妖怪も出るだらうよ。さア之から奥に行かう。屹度ウバナンダ竜王が玉を翳して待つて居るだらう』
カークス『そんならお伴を致しませう。おいベース、どうやら此方のものらしいぞ。まア喜んだり喜んだり。一つ宣伝歌でも謡つて潔う行きませう』
カークス『不思議な事があるものだ  スーラヤ山の岩窟に
 藤で造つた縄梯子  垂らしてスルスルスルと下り
 見れば四辺は思うたより  広き山川草木が
 縦横無尽に展開し  岩窟の中とは思へない
 心の迷ひか知らねども  三途の川の渡し場で
 お岩幽霊の醜婆が  萱の中から現はれて
 凄い文句を並べ立て  二人の肝玉とり挫ぎ
 忽ち岩と化けよつた  いざ之よりは伊太彦の
 司と共にある限り  如何なる曲の来るとも
 如何で恐れむ惟神  神の光に照らされて
 曲津の潜む岩窟も  何の苦もなく進み行く
 吾身の上ぞ楽しけれ  朝日は照ず月はなく
 風さへ碌に吹かねども  皇大神の御為に
 進む吾身は有難や  八大竜王の其一つ
 歓喜竜王と聞えたる  ナーガラシャーの宝をば
 伊太彦さまが手に入れて  珍の都のエルサレム
 黄金山に献り  五六七神政の完成を
 計らせ玉ふ神業の  その一端に仕ふるは
 神代も聞かぬ功績ぞ  あゝ勇ましや勇ましや
 如何なる枉のさやるとも  神に任せし吾身魂
 何か恐れむ敷島の  神国魂を振り起し
 地獄の底迄進み行く  あゝ面白や勇ましや
 神は吾等と共にあり  神に守られ進む身は
 如何なる嶮しき山阪も  濁流漲る大川も
 いと安々と進むべし  来れよ来れいざ来れ
 勝利の都は近づきぬ  朝日は照るとも曇るとも
 月は盈つとも虧くるとも  仮令大地は沈むとも
 吾身の命は亡ぶとも  此神業を果さねば
 決して後には引きはせぬ  守らせ玉へ大御神
 御霊の恩頼を願ぎ奉る』
 斯く謡ひつつ進んで行くと禿山の麓に草葺の屋根が一軒建つてゐる。そして屋根は所々洩り幾条も幾条も谷が出来て青い草が生え、下地の竹が骨を出して居る。「ハテ不思議な家があるものだな」と一同は佇んで首を傾けて考へて居る。
 そこへ一人の婆が破れ戸を、ガタつかせ乍らニユツと現はれ来り、アトラスのやうな斑な顔をして、
婆『これこれ旅のお方、一寸寄つて下さい。渋茶でも進ぜ度いから……随分お前さまも草臥ただらう。お前の草鞋には泥埃の寄生虫が湧いてるやうだ。さぞ足が重たい事だらう』
伊太『ハイ、有難う。然し乍ら御親切を無にするは誠に済みませぬが、少し急く旅ですから又帰りがけにお世話に預りませう』
婆『これこれ、お前は心得が悪いぞや。此婆が親切に茶を与へようと云ふのに、何辞退をなさるのか。急く旅ぢやと云つても一日歩く訳にも行くまい。此処で休んで行かつしやい。結構な結構な三五教の話を聞かして上げませうぞや』
伊太『貴女は三五教のお方ですか。実は私も三五教の宣伝使で厶います』
婆『お前も何と目の悪い事だな。俺の相貌を見ても神司であるか、神司でないか分らなならぬ筈だ。実の所は三五教の高姫と云ふ変性男子の系統、日出神の生宮だが、言依別や東助の没分暁漢に愛憎をつかし、又旧のウラナイ教を開いて此処でお道を説いて居るのだ。まアまア聞いて行かつしやい。決して悪いことは云はぬぞや』
伊太『あゝ貴女が噂に高き高姫さまで厶いましたか。いや初めてお目にかかります。さうして又三五教を捨てウラナイ教へお這入りになるとは、どう云ふお考へですか、如何に言依別や東助さまと御意見が合はぬと云つても神様に二つはありますまい。貴女は人間を信用なさるから、そんな間違が出来るのでせう』
高姫『まアまア道端に立つて話しても仕方がない。一厘の仕組を教へて上げますから、とつととお這入りなさい。まア綺麗なお姫様だこと、三五教は夫婦ありては御用が出来ないと神様が仰有るのだが、今は言依別のド灰殻や東助が幹部を占めて居るものだから、何もかも規律が乱れて……アタ阿呆らしい。宣伝使が女房を連れて……何の事ぢやいな。それだから三五教は駄目だと云ふのだよ』
伊太『まア兎も角一服さして貰はう。なア ブラヷーダさま、アスマガルダさま』
ブラヷーダ『はい、そんならお世話になりませうかな』
高姫『サアサアお世話になりなさい。何と云ふても日出神の生宮だから、三千世界の事は此生宮に聞かねば分りはせぬぞや』
カークス『もし先生、こんな我の強い婆アさまの所へ休むのは胸が悪いぢやありませぬか。なア、ベース、一つ先生に歎願してここへ這入るのは止めて貰はうぢやないか』
ベース『ウン、あまり偉さうに云ふぢやないか。渋茶を飲ますと云つて馬の小便でも飲ますか知れないぞ。こりやうつかり這入れまい』
高姫『こりや瓢六玉、何と云ふ事を云ふのだい。嫌なら這入らいでも宜いわい。何だ、泥坊の様な面して、側から何を横槍を入れるのだ。さアさア三人のお方、貴方はどうも利口さうなお方だ。屹度身魂が宜いのでせう。サア遠慮は要らぬ、早うお這入り下さい』
伊太『さアさア、カークス、ベースの両人さま、お前もそんな理窟云はずに這入つたらどうだ』
高姫『これ伊太彦さま、あんな瓢六玉は日出神の館に入る資格はありませぬわい。又這入つて貰ふと家が穢れるから、山門の仁王の様に門番をさして置けば、それで結構だ』
ブラヷーダ『もし伊太彦さま、妾は斯うして五人生死を共にして御用に来たので厶いますから、カークス、ベースさまが這入れぬ宅へはお世話になる事はやめませうか』
伊太『ウン、それもさうだ』
高姫『扨も扨も分らぬ姫様だな。お前は身魂の善悪正邪を知らないから、そんな小理窟を云ふのだよ。此高姫の眼で一寸睨んだら金輪奈落、違ひはせぬぞや。オツホヽヽヽ何分立派な男の中に混つて宣伝に歩くと云ふやうな新しい女の事だから、どうで此婆の言ふ事は気に合ひますまい。然し、そこは一つ胸に手を当てて考へたが宜しからうぞや』
ブラヷーダ『お言葉で厶いますが、妾はカークス、ベースさまに同情して一緒に立番を致しませう。伊太彦様、お兄様、どうぞ中に入つて高姫さまのお話を聞いて下さい』
伊太『いやお前が外へ居るのに私が中に入る事は出来ない。そんなら私も断らうかな』
アスマガルダ『そんなら私も断らう。高姫さまとやら、大きに有難う、又御縁があつたらお目にかかりませう』
高姫『オホヽヽヽ流石の伊太彦宣伝使も女に掛けたら弱いものだな。涎をくつたり眥を下げたり……そんな事でお道が、どうして開けますか』
伊太『高姫さま、そんなら貴女もドツと譲歩して五人ともお世話になる訳には行きませぬか』
高姫『エー、仕方が無い。そんならお前さまに免じて入れて上げませう。決して座敷なぞへ上つてはなりませぬぞ。庭の隅になつと蹲踞つて居なさいや』
カークス『それ程むつかしいお屋敷へは這入りませぬわい。なア、ベース、馬鹿にしてるわ』
ベース『ウン、さうだ。絶対俺も這入らぬ積りだ。それより高姫に外に出て貰つて、茶はどうでもいいから結構なお話を聞かして貰はうかい』
高姫『オホヽヽヽ、それはよい思案だ。さうすれば俺の宅も穢さんで都合が好い。俺は此処で坐つてお話するから五人は外に蹲踞つて聞きなさい。それが身魂相応だらう。どれ 平易い処から話して上げようから、よく耳をすまして聞きなさいや』
伊太『アツハヽヽヽ』
アスマガルダ『ウツフヽヽヽ』
ブラヷーダ『オツホヽヽヽ』
カークス『エツヘヽヽヽ』
ベース『イツヽヽヽ』
(大正一二・五・二四 旧四・九 北村隆光録)
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