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文献名1大本七十年史 下巻
文献名2第8編 >第3章 >3 宗教世界会議よみ(新仮名遣い)
文献名3宗教世界会議綾部大会よみ(新仮名遣い)
著者大本七十年史編纂会・編集
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ページ1156 目次メモ
OBC B195402c8333
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本文  亀岡大会をおわって、一行は同七日夕刻綾部に到着した。綾部駅前には「ウエル・カ」としるしたアーチと、万国旗・提灯でかざられ、万余の市民が歓迎した。同夜、郡是製絲株式会社本社で歓迎市民大会がひらかれ、終了後和知川の万灯流しと打あげ花火を観賞した。
 翌八日午前、じゅうたんを敷きつめ、二重の円卓・椅子席が設けられたみろく殿で、宗教世界会議綾部大会が、大国同会事務局長の開会宣言によってひらかれた。世界平和の黙祷ののち、出口伊佐男綾部会議委員長の挨拶があり、ついで下中宗教世界会議委員長代理の小崎道雄や、海外代表レイ・テン・フック(ベトナ)の挨拶があって、東京本会議にまにあわずこの会議に直行したネパールのK・ラトナーが、ネパール国王秘書長N・ダルシャンのメッセージを朗読した。つづいて出口直日大本教主によって、つぎのメッセージがのべられ、会議を祝福する短歌二首がよみあげられた。

宗教世界会議の一環としての綾部会議に、皆様が多数この草深いところまで御参会下さいましたことを、洵に御苦労様に存じますと共に、殊にはるばる海外から御来会の方々に対しては深甚の敬意を捧げます。只今、皆様のお集りになっていられる会場の半丁ばかり南の場所に、六十年前私の祖母が、ささやかな家に敬虔な生活をしておりました。祖母が霊感のままに書き綴りました大本の教典の中に、神様自身のお言葉として次のような警めがあります。「この世はいったん泥海になりてしまうところであれども、ここまでひらけたこの世界をまたもとの一から仕直さねばならぬようなことがありては、神もながらく苦労いたした功能が水の泡になるし、人民は絶えてしまうから、それではならんから、いったんは世の切替えといたして、人民を改心さして世界を助けねばならぬぞよ」。現在の世相と照合して、このみ言葉をひしひしと思い浮べさせられます。まことに今日の世界は、泥海の一歩前と申さねばならぬのではないでしょうか。どうか本日の会議が、神様のご守護の下に、友愛と平和のふんいきの中に、真剣な討議とよき成果を得られ、やがて人類救済のための大きな力となりますことをお祈りして止みません。この会議への心からなる祝福を二首の短歌に託し、謹んで捧げさしていただきます。
〝天のときいたりて宗教世界会議ひらかれむとす平和都市綾部に〟
〝天の極地の果てまでも平和の実となりゆけよ今日の会議に〟

 ついで長岡綾部市長のメッセージがあり、兵庫県知事・広島市議会その他からの祝電が披露されて、議長団の選出にうつった。議長団にはベトナのボー・パンータン、インドのT・チャクラバティ、日本側から大本の出口伊佐男、八坂神社の高原美忠の四人を、名誉議長に出口直日大本教主・小崎道雄日本キリスト教協議会議長をえらんだ。議長団を代表してチャクラバティが挨拶し、志村陸城宗教世界会議事務総長から、「綾部会議は東京会議で討議、決議された問題をより深く討議し、また一般の理解を深める努力をするために開くものである」との説明があった。討議にはいり、出口栄二代表が立って第一議題「現代宗教の反省と革新について」を提案し、討議がかさねられた。午後、第二議題の「宗教理念にもとづく世界秩序の建設について」を桜井重雄代表が提案し、討議したあと、第一・第二議題をまとめた決議案の発表があり、全員起立して、つぎの決議を満場拍手のうちに可決して閉会した。

 宗教世界会議綾部大会は、東京における本会議宣言の主旨にもとづき、次のごとく決議する。
一、国籍、人種、宗教の如何にかかわらず、人類はひとしく同胞兄弟であることを認める。
二、各宗教はだかいにその特殊性を尊重しつつ協力提携して、宗教の共通使命たる人類社会の平和と福祉増進のために努力する。
三、宗教は戦争と暴力を否定する。
四、宗教と科学は一致協力して人類生活の進歩向上をはかるよう努力すべきである。
五、宗教は政治、経済、教育、芸術などの根底となり、地上に正しい文化を打ち樹てるよう努力する。
六、各国家、民族、宗教間の平和をさまたげる有形無形の一切の障壁を撤廃するよう努力する。
七、われらは宗教理念にもとづく人類大家族的超国家機構の実現を期する。

 綾部大会の参加者は三八一人にのぼり、そのうち正式代表は四六人であった。外国代表(うち三人は亀岡大会のみに参加)および日本側代表はつぎのとおりである。

○インド=I・パル・チョウドリー夫人(インド教・インド国会議員・亀岡のみ)、T・チャクラバティ(同・カルカッタ大学教授)、ダーラ・シン(同・視学官)、P・V・N・アチャリア(同・技師)、B・K・チャクラバティ(同・印日協会事務局長)、J・C・シンパ ○アメリカ=H・K・シュミッーツ(キリスト教・カリフォルニア大学助教授)、M・R・シオファー(同・大学助教授、女性)、D・M・アール(バハイ教・大学教授)・同夫人 ○マレー=S・サチャナンダ(インド教・聖者・亀岡のみ)、S・A・マンガラ(社会事業家・女性・亀岡のみ) ○インドネシア=R・M・カフラウイ(宗教省次官)、ウイラトモジョ(同随員)、A・ナンダ(インド教・大学教授)・同夫人 ○ベトナ=レイ・テン・フック(以下カオダイ教・同教主管)、トラン・ヌジェク・サン、トラン・ヴァン・クエ、ニューエン・ヌジェク・ホウ、トラン・ルーエン、ルオン・ヴィン・トート、トラン・ヴァン・サオ(カトリック教)、ホウ・ヴァン・トー(同)、ダン・タン・クォン(以下仏教)、ジョイ・ヒル・カール、ボー・バン・タン(大僧正) ○ネパール・K・ラトナー(仏教会代表) ○日本側代表(大本関係をのぞく)=椎尾弁匡(大正大学学長)、小崎道雄(日本キリスト教協議会議長)、有賀鉄太郎(京都大学教授)、中川与之助(近畿大学教授)、河井常三郎(同)、内海正俊(近畿大学)、高原美忠(八坂神社宮司)、香西大見(北野天満宮宮司)、太田真一(神社本庁)、中川弌郎(恵比須神社)、日下孝二(黒住教教務総長)、森山実太郎(世界救世教)、丸山行遼(日本山妙法寺)、塩竈義清(浄土宗本派)、虎山道五(南禅寺)、深田長治(円応教管長)、松元光三(世界平和教団教主)、国際宗教同志会および世界連邦建設同盟関係者その他。

 大本・人類愛善会関係の代表出席者は、出口直日ほか一九人であったが、オブザーバーとして、全国各地からも多数が参加した。宗教世界会議は八月一三日の日光における総大会をもって、約二週間にわたる全日程を終了した。
 大本と人類愛善会は同会議の成功のために尽力するとともに、その意義をひろく国民に普及する目的で、「人類愛善新聞」に「東京会議」(八月中旬号)と「綾部会議」(八月下旬号)を報告した二回の特集号を、各々三六万部発行して、全国各地で一部売りをおこなった。
 本会議では、大本から提案した世界的宗教連盟の結成が採択された。この件は一三日の決議宣言処理委員会で協議の結果、会議終了後、宣言・決議を実行するための継続団体として宗教世界協力協議会をもうけ、各国にその国内委員会をつくることがきまり、事務総局を東京に設置することになった。
 この決定にもとづいて、一九五七(昭和三二)年六月一四日に日本宗教協力協議会が誕生し、椎尾弁匡芝増上寺貫主が会長、今岡信一郎が事務局長となり、出口伊佐男大本総長は常任理事として参画した。機関誌「日本宗教」を発行し、インド、インドネシア、ベトナ、セイロン、ネパール、マラヤ連邦、アメリカなどでも各国の委員会が設置されるはこびになった。
 日本宗教協力協議会は仏教・キリスト教・神道・新宗教その他と幅広いつながりをたもっていった。例会をかさねるとともに機関誌を発行し、海外宗教事情視察団の派遣に協力したり、外国人の日本宗教視察にも便宜をあたえるなど、内外宗教人の交流や国内各宗教の相互理解につとめた。

〔写真〕
○聖師の遺志をつぎ綾部ではじめて宗教世界会議がひらかれた 綾部 みろく殿 p1156
○メッセージをのべる三代教主出口直日 綾部みろく殿 p1157
○会議の成果をただちに特集し会員の一部売りによってひろく世につたえた p1159
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