文献名1王仁文献考証
文献名2霊界物語よみ(新仮名遣い)
文献名3第6巻第28章「身変定」内の「言霊学釈歌」よみ(新仮名遣い)
著者飯塚弘明
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データ凡例
データ最終更新日2021-04-20 13:45:39
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目次メモ
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第6巻第28章「身変定」に収録されている「言霊学釈歌」には誤字と考えた方が合理的に解釈できる箇所が多数ある。
もともとは『神霊界』大正7年7月1日号(第65号)に掲載されたものであり、その後、大正9年5月21日号(第115号 龍門号)に再掲されている。
次の5つの本を対象に正しい文字は何なのかを考証してみた。
1.『神霊界』大正7年7月1日号、p7~10(神七と書す)
2.『神霊界』大正9年5月21日号、p27~30(神九と書す)
3.聖師御校正本、p182~198(校正本と書す)
4.天声社・校定版、p161~170(校定版と書す)
5.愛善世界社版、p160~173(愛世版と書す)
校正本が一番「正しい」のは言うまでもないが、その校正本ですら誤字と思われるのである。
それは主として次の2種類である。
1.ア行ウエイと、ヤ行エイ、ワ行ウエイが混乱している。
2.清音、濁音、半濁音が混乱している。
神七と神九を見ると、その冒頭でア行のエに「ゑ」が使われている。これがそもそもの混乱の原因ではないかと思われる。「ゑ」はワ行のエに使われる文字だが、当時はあまり厳密に使われていなかったみたいだ。また「こえ」(声)の「え」の字が「江」の崩し字が使われている。「こえ」は旧仮名遣いでは「こゑ」と書くべきだが、「江」の崩し字はア行のエに対して使われるのが本当だろう。
このように「え(江)」と「ゑ」の使い方が逆になっているのが混乱の第一の原因ではないかと思われる。ア行ウエイ、ヤ行エイ、ワ行ウエイは混乱しやすいので、王仁三郎は言霊の表記を片仮名にし、アオウエイに関しては画が離れた活字を特別に作らせたわけだが、それは天祥地瑞(昭和8~9年)のことであって、大正11年に刊行された第6巻ではまだそうなっていない。戦後刊行された校定版では、片仮名に直され、なおかつ画が離れた活字が使われているのだが、よく考証されていないようで、清音、濁音、半濁音が混乱したままである。愛世版は校正本通り平仮名が使われているが、やはり考証はされていない。
本稿では、言霊学釈歌の「正しい」と思われるテキストを示し、そこに注記する形で考証の内容を書いて行く。
★結論 霊界物語ネット/王仁DBは御校正本の通りとして、正しいと思われるテキストはここに書く。
[凡例]
○言霊が平仮名で書かれているが、校定版のようにすべて片仮名に直す。アオウエイは画の離れた特殊なフォントが必要になるため、㋐㋔㋒㋓㋑(丸囲みのアオウエイ)で代用する。
○言霊には圏点が付いているが、これは平仮名を目立たすために付けているようなので、片仮名にすれば必要ないので、外す。(校定版では外してある)
○漢字「声」の一部が平仮名「こゑ」になっているが、これは漢字に置き換える。
言霊学釈歌
○
久方の天之御中主の神は五十鈴川の⦅ス⦆声なりけり
○
㋐の声は我言霊の上よりは宇比地邇神、須比地邇神
○
㋔の声は我言霊の上よりは角杙神、活杙神
○
㋒の声は我言霊に照らし見て大戸之道神、大戸之辺神
○
㋓の声の其言霊を調ぶれば面足神、惶根神
○
㋑の声は言霊学の助けより伊邪那岐神、伊邪那美神
○
㋐の声の活動なすは須比地邇の神の保てる本能なりけり
○
㋔の声の活動するは活杙の神の表はす本能なりけり
○
㋒の声の活動保つは大戸之辺神の表はす本能なりけり
○
㋓の声に万の物の開くるは阿夜訶志古泥の神の御本能
○
㋑の声の活動なすは伊邪那美の神の御言の本能なりけり
○
喉頭、気管、肺臓なぞの活用は国常立の神言守れる
○
口腔口唇、口蓋等の発音の根本機関は豊雲野神
○
日の本の国の語の源は只五声の竪端の父音
○
多陀用幣流国といふ意義は㋐㋔㋒㋓㋑五声父音の発作なりけり
○
久方の天の沼矛と云ふ意義は言語の節を調ふ舌なり
○
立花の小戸のあはぎが原に鳴る㋔声を天の浮橋といふ
○
塩許袁呂、許袁呂邇画鳴す其意義は㋔とヲの声の活用を云ふ
○
数音を総称ふるを島といふ淤能碁呂島はヲ声なりけり
○
㋐㋔㋒㋓㋑素の五つの父声を天之御柱神と総称す
○
宇宙に気体の揃ひ在る意義を我言霊に八尋殿といふ
○
鳴々而鳴合はざるは㋐の声ぞ鳴余れるは㋒声なりけり
○
㋒㋐の声正しく揃ひて結び合ひ変転するは美斗能麻具波比
○
㋒㋐の声結びてワ声に変化くは阿那邇夜志愛上袁登古袁といふ
○
㋓㋐の声結びてヤ声に変化くは阿那邇夜志愛上袁登売袁といふ
○
女人先言不良と言へる神文を調ぶれば以前の方法形式で
言霊発達せざるてふ意義の大要含むなり
○
久美度邇興而子蛭子生むはワ声を母音とし
㋐行㋒㋓㋑を父音としワ㋒の二声を結び付け
ワ行のウ声に変化為しワ㋓の二声を結び付け
ワ行のヱ声に変化為しワ㋑の二声を結び付け
ワ行のヰ声に変化為し次にヤ声を母音とし
㋐行㋔㋒㋓㋑父音とし結声変化す意義ぞかし
ヤ㋔の二声を結び付けヤ行のヨ声に変化為し
ヤ㋒の二声を結び付けヤ行のユ声に変化なし
ヤ㋓の二声を結び付けヤ行のエ声に変化為し
ヤ㋑の二声を結び付けヤ行のイ声の変化為す
この言霊の活用を久美度邇興而と称ふなり
○
子蛭子生むとふ神文は鳴出る声音の等しき意義にして
㋐行㋔声とワ行のヲ声㋐ワの行なる㋒声とウの神声
㋐ワヤの行の㋓ヱエと㋑ヰイの声の異性にて
同声音の意義ぞかし是ぞ蛭子を産むといふ
○
布斗麻邇爾卜相而詔といふ意義は㋐行㋒声の活用ぞかし
○
淡道之穂之狭別島といふは㋒ウユ⦅ム声⦆と結ぶ言霊
伊予之国二名島といふ意義は母音ム声に㋑を結び
ミ声に変化しム㋓結びメ声に変化しム㋔を結び
モ声に変化しム㋐を結びマ声に変化す此故に
ム声の父音ミメモマの四声に変化を身一而
面四有と称ふなり
○
ミの声の其言霊の活用を伊予国愛比売と謂すなり
○
メの声の其言霊の幸ひを讃岐飯依比古と謂ふ
○
モの声の其言霊の助けをば阿波国大宜津比売と謂ふ
○
マの声の其言霊の照る時ぞ土佐国健依別と謂ふ
○
惟神其名の如く性能の等しく易るを国と謂ふなり
○
ムの声に㋒ユを結びてブの声に変化を隠岐之三子嶋と謂ふ
○
ブの声に天之御柱結び付けバボベビ四声に変化をば
天之忍許呂別と謂ふ
○
筑紫島生むと言ふ意義はバの行のブ声㋒声と結声し
プ声に変化言霊也是のプ声に㋑㋓㋔㋐の
四声を漸次に結声しピペポパ四声に変化なす
○
ピの声の意義の言霊調ぶれば筑紫の国の白日別と謂ふ
ペの声の意義の言霊調ぶれば豊国豊日別と謂ふなり
○
建日向、日豊久士、比泥別と謂ふはポ声の言霊の意義なりけり
○
パの声の意義の言霊調ぶれば熊曽の国の建日別なり
○
伊岐嶋、比登都柱と謂ふ意義はプ声に㋒声を結び成し
フ声に変化しフの声に天の御柱㋐㋔㋒㋓㋑
是の素音を結声しハホヘヒ四声の言霊に変化せしむる意義なり
○
津嶋天之狭手依比売と謂ふはフ声に㋒声を結び付け
ス声に変化し㋐㋔㋒㋓㋑是の素音を結声し
サソスセ四声に変化る意義
○
佐渡島を生むてふ意義を調ぶればス声に㋒声を結声し
ズ声に変化なさしめて之に素音を結声し
サ行をザ行に変化する言霊上の意義なり
○
大倭秋津嶋生むといふはニリチの母音の言霊を
生み出したる意義にしてナ行ニ声はジ㋑二声
結声変化しリの声はシ㋑が結声変化為し
タ行チ声はヒ㋑二声が結声変化を為す意義ぞ
○
天御虚空豊秋津根別といふ意義はチリニの母音に久方の
天之御柱㋐㋔㋒㋓㋑素音を結声変化して
タラナ三行を結声し変化せしむる意義ぞかし
○
意義深きワ行ヤ行の言霊は先所生大八島国
○
吉備児島建日方別と謂ふ意義はチジの二声を結声し
ヂ声に変化し久方の天の御柱㋐㋔㋒㋓㋑
素音を結ぶ言霊ぞかし
○
小豆島大野手上比売と謂ふ意義はヂ㋑の二声を結声し
ギ声に変化し久方の天の御柱㋐㋔㋒㋓㋑
素音を結ぶ言霊ぞかし
○
大嶋や大多上麻流別と謂ふ意義はギ㋑の二声を結び成し
キ声に変化し久方の天の御柱㋐㋔㋒㋓㋑
素音を結ぶ言霊ぞかし
○
女嶋天一根と謂ふ意義はカ行の音韻カコクケキ
天地貫通の言霊ぞかし
○
知訶嶋天之忍男と謂ふ意義はガ行の音韻ガゴグゲギ
天機活動を起す言霊
○
両児嶋天両屋の言霊はダ行の音韻ダドヅデヂ
造化発作を起す意義なり
○
ワ行ヲ声の言霊の精神的の活用を大事忍男之神と謂ふ
○
ワ行ヰ声の言霊の精神的の活用を石土毘古の神と謂ふ
○
ヤ行イ声の言霊の精神的の活用を石巣の比売の神といふ
○
ワ行の言霊ワヲウヱヰ精神的の活用を大戸日別之神といふ
○
ワ行ウ声の言霊の精神的の活用を天之吹男神といふ
○
ヤ行の言霊ヤヨユエイ精神的の活用を大屋毘古之神といふ
○
ヤ行ヨ声の言霊の精神的の活用は風木津別之忍男神なり
○
ヤ行ユ声の言霊の精神的の活用を大綿津見の神と言ふ
○
ワ行ヱ声の言霊の精神的の活用を速秋津彦の神と謂ふなり
ヤ行エ声の言霊の精神的の活用を速秋津姫の神といふ
(以上六十五首)
大事忍男神より以下速秋津姫神まで、十神十声の精神的作用は所謂大八嶋国の活用、即ち世界的経綸の活機を顕はす本能を享有する言霊なり。