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文献名1霊界物語 第42巻 舎身活躍 巳の巻
文献名2第1篇 波瀾重畳よみ(新仮名遣い)はらんちょうじょう
文献名3第4章 下り坂〔1129〕よみ(新仮名遣い)くだりざか
著者出口王仁三郎
概要
備考
タグ データ凡例 データ最終更新日2022-12-20 13:48:34
あらすじレーブは出まかせの歌を歌いながら一行の最後尾について坂を下っていく。テースも滑稽な歌を歌いながら下っていく。一行は峠の麓に下りつき、谷を流れる清水にのどの渇きをいやししばし休憩した。一同は再び馬上の人となり、くつわを並べて鈴の音も勇ましく、木枯らし吹きすさぶ大野原を都をさして駆けていく。
主な人物 舞台 口述日1922(大正11)年11月14日(旧09月26日) 口述場所 筆録者加藤明子 校正日 校正場所 初版発行日1924(大正13)年7月1日 愛善世界社版51頁 八幡書店版第7輯 660頁 修補版 校定版53頁 普及版17頁 初版 ページ備考
OBC rm4204
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本文 レーブ『月日は空に照山の  峠急坂下りゆく
 セーラン王に従ひて  ハイハイハイハイ ドウドウドウ
 どうしても此坂下らねば  イルナの都に行かれない
 右守の司のカールチン  欲の悪魔に憑依され
 悪逆無道の企み事  ここ迄やつて来たけれど
 どうしてこんな企み事  成り遂げさうな事はない
 ハイハイハイハイこん畜生  確りせぬかい気をつけよ
 尖つた石に躓いて  千尋の谷間に落ちたなら
 お前は忽ち死ぬだらう  ハーハーハイハイ何とまあ
 嶮しい嶮しい坂道だ  ヤスダラ姫の神司
 これから暫しの御辛抱  やがて都が見えまする
 カールチン奴がいろいろと  善からぬ事を企まうと
 天地の神のます限り  悪の栄ゆる例ない
 忽ち消ゆる春の雪  ハイハイハイハイ敗亡は
 鏡にかけて見るやうだ  ドツコイ畜生気をつけよ
 豆屁ばつかり垂れよつて  ほんとに誠にハアハアハア
 大馬鹿者奴、畜生奴  何故俺の馬だけは
 これ程ハイハイ頓馬だらう  ガラガラガラガラ アイタツタ
 ヒンヒンヒンヒンこん畜生  おれが転げたがをかしいか
 お前は四つ足レブさまは  生れついての二本足
 二つの足と四つ足と  どうして競争がなるものか
 あゝ惟神々々  バラモン天王ドツコイシヨ
 こいつは云ふのぢやなかつたなア  天地を造りし元つ神
 国治立大神の  お守り偏へに願ひます
 こんな難所でペツタリと  右守の司の手下等に
 出会すならばどうしようぞ  レーブは些とも構はねど
 心にかかるは王様や  ヤスダラ姫の身の上だ
 竜雲さまよ確りせ  お前さまの馬も怪しいぞ
 私が後から眺むれば  屁放り腰の馬のざま
 目玉をあけて見られない  ハーハーハーハー ハイハイハイ
 此畜生奴気をつけよ  俺の頭をなぜ噛ぶる
 すつての事で笠の台  がぶつとやられる所だつた
 賢いやうでも畜生だ  此奴は大きな柄をして
 ヒンヒン吐かして屁を垂れて  小さい男に扱はれ
 背に乗られて鞭打たれ  いと神妙にハアハアハア
 ついて出て来る馬鹿者よ  これこれもうし竜雲さま
 お前ばつかり先へ行て  俺をどうして呉れるのだ
 俺のコンパスあ達者だが  肝腎要の馬の奴
 どうしても思よに歩かない  屁古垂れ馬を曳いて往く
 俺の心になつて見よ  ほんとに誠にぢれつたい
 さはさりながらハイハイハイ  蛞蝓さへも百千里
 歩めばいつか目的地  達する例もありときく
 照山峠は名にし負ふ  イルナで一の難所ぞや
 此処をば無事に馬曳いて  下り終せた暁は
 再び駒を立て直し  勇気を起して堂々と
 一瀉千里の勢ひで  進みイルナの聖城へ
 何の苦も無く月の空  ハーハーハーハー ハイハイハイ
 朝日は照るとも曇るとも  月は盈つとも虧くるとも
 照山峠はさかしとも  いつしか越ゆる此旅路
 前途は中々有望だ  勝利の都も近づいて
 首をのばして待つて居る  黄金世界の神司
 黄金姫や清照姫の  厳のお顔を拝むのも
 次第に近づき北光の  神の教を遵奉し
 イルナの城に蟠まる  曲司等を悉く
 誠の道に言向けて  三五教の神力を
 宇内に普く輝かし  誉も高き宣伝使
 レーブと名乗つて月の国  ハイハイハイハイ フサの国
 羅馬に希臘小亜細亜  筑紫の島の果てまでも
 吾足跡を印しつつ  仕へまつらむ吾思ひ
 叶はせ給へ天津神  国津神等八百万
 馬諸共に真心を  捧げて祈り奉る
 あゝ惟神々々  御霊幸はへましませよ』
と倒徳利のやうにドブドブと出まかせの熱を吐きながら、一行の最後について、足許覚束なく下り行く。テースは馬を曳きながら歌ひはじめた。
『セーラン王やヤスダラの  姫の命の御尾前を
 守りて下る照山の  嶮しき坂はハイハイハイ
 又とあるまい難所ぞや  追々坂はきつくなり
 足許あやしくなつて来た  雨の如くに打出し
 風に木の葉の散る如く  バラバラバツと追ひ散らし
 ハイハイハイハイドウドウドウ  畜生気をつけ危険ぞ
 何だえ泡を吹きやがつて  ハーハーハツハイこれしきの
 坂がそれ程苦しいか  とは云ふものの俺だとて
 矢張り苦しうなつて来た  苦しい時の神頼み
 三五教の神様よ  何卒宜敷願ひます
 人馬諸共恙なく  此坂道をハイハイハイ
 下らせ給へ惟神  誠の道を進み往く
 此テースも神の御子  神の守りのある上は
 仮令曲津が襲来し  前後左右を取り巻いて
 猛虎の勢凄じく  槍のきつ先ハイハイハイ
 並べて進み来るとも  如何で恐れむ益良雄の
 吾等が腕には骨がある  日本魂の生粋と
 選りによつたる神司  天下は如何に広くとも
 吾等に敵するものあろか  坂を登る時重宝な
 名馬も困る下り坂  足手纏ひと知りながら
 曳いて往かねばハイハイハイ  大野ケ原を渡れない
 右守の司の手下等は  神出鬼没ドツコイシヨ
 木の葉の下に隠れ居て  吾等一行を散々に
 艱ませくれむとハイハイハイ  固唾をのんで待つぢやらう
 仮令数万の敵軍が  押し寄せ来る事あるとても
 三五教にて学びたる  善言美詞の言霊を
 ハイハイハイハイブウブウブウ  エヽこん畜生臭いわい
 後から風の吹く時に  さうやられては耐らない
 些は行儀を知るがよい  セーラン王のお供だぞ
 無礼極まる畜生だな  ハーハーハーハイ アイタツタ
 高い岩根に躓いた  皆さま用心なされませ
 其処らあたりに転倒て居る  石の車に乗つたなら
 馬諸共に千仭の  谷間に忽ち顛落し
 再び此世の明りをば  見られぬやうになりますぞ
 ハーハーハーハイ ドウドウドウ  お蔭で難関踏み越えた
 馬の畜生喜べよ  これから先は歩きよい
 俺も面白なつて来た  人の一生と云ふものは
 恰度此山渡るよな  ハイハイハイハイものだらう
 一寸目放ししたときは  ハイハイ忽ち失脚し
 世の落人となり果てて  世界の奴に卑げしまれ
 ハーハーハイハイ牛馬に  踏まれにやならぬやうになる
 さはさりながら人間が  何程あせつて見たとこで
 其力には限りある  無限の神力備へたる
 ハイハイハイハイドウドウドウ  尊き清き神様の
 摂理のもとに任すより  仕様模様も無いものぞ
 あゝ惟神々々  御霊幸はへましまして
 神に従ふ吾々を  厚く守りてハイハイハイ
 イルナの都へ恙なく  進ませ給へと願ぎまつる
 ドツコイドツコイ ドツコイシヨ  道も段々広くなり
 小石も少うなつて来た  七転八起の苦しみも
 漸く越えた下り坂  右守の司の醜霊を
 直日の霊に言向けて  勝鬨挙ぐるも目のあたり
 あゝ勇ましし勇ましし』
と歌ひつつ漸くにして一行は峠の麓に下りついた。
 谷を流るる清水に喉の乾きをいやし、暫し休憩の上再び馬上の人となり、一同轡をならべて鈴の音も勇ましく、木枯荒ぶ大野原、暴虎馮河の勢にて、都をさして駆けりゆく。
(大正一一・一一・一四 旧九・二六 加藤明子録)
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