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文献名1座談会
文献名2よみ(新仮名遣い)
文献名3出口王仁三郎氏を囲む神霊座談会(二)よみ(新仮名遣い)
著者
概要
備考
タグスエーデンボルグ(スエデンボルグ、スウェーデンボルグ) データ凡例 データ最終更新日2017-06-14 15:37:40
ページ 目次メモ
OBC B108500c20
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本文

【出口氏】 『蛇の霊というのは良い霊じゃない。人が死んで大蛇になったという古事はいくらでもあるが、人の想念が凝り固まって、つまり霊魂が凝結したら蛇になる』
【速志】 『そんな一心さは、すごいもんだなア』
【出口氏】 『それくらい一生懸命になったら病気でも何でも癒ってしまう。ワシは歯が痛うてもう三十日ほども癒らんが、精神作用一つで必ず癒るものと思って、痛い歯で物を食べている』
【小竹】 『戦争に行って同じ所へ行って、一方当たらん人と、そのそばで戦死する人もあるし、そんなのは霊的に何かあるのですか』
【出口氏】 『それは霊的関係もあるし都合よく繰り合わして貰うのもあるけれども、弾は横へ曲んで来んから、ジッとしておった方がよい。蒙古でワシの乗っていた驕車は金々ピカピカで誠に良い標的であった。それで当たったらいかんと言って盧占魁が外から判らんように覆いをしたので、暑いから外に出て馬に乗った所が弾丸がいくらでも飛んで来る。しかし隠れたりする奴にみな当たる。
 松村とワシとがジッとしていたが、ジッとしておったら、そこだけしか来んだろう。飛び回ると一瞬間に当たる場所が広くなるわけだ。金的と尺の的では金的の方が当たらん。ワシは弾が来るとジッとしていた。あわてるとやられる。走ると余計受けるようなものだから』
【小竹】 『一つは先ず霊でやられて、それから肉体がやられるらしいという事を聞いたことがありますが』
【出口氏】 『霊でやられているから挙措度を失ってしまうのだ』
【神本】 『私の兄貴が日露戦争で実見したのですが、非常に勇敢な連隊長で胸から上をのし上がって指揮をしておったくらいだそうで、ある朝「僕は帽子に入れとった天照皇大神宮様のお札がなくなった」と悄気ておったので「いや品物ですからなくなる事もあるよ」と口を極めて慰めたが、ちょうどその日戦死したそうです。その日は特に頭だけしか出さないでおったそうですが、頭へ弾丸が当たって戦死したそうです。それから自分が足をやられた時も何だが気抜けがしたと思うと、その時やられたそうです』
【出口氏】 『神様という事を離れたら落胆する。……信念の力は強い』
【小竹】 『神様にお願いしておいて、素盞嗚尊様なら素盞嗚尊様、瑞霊様なら瑞霊様と念じて石笛を吹いていると、いかにも神様がお出でになったような気がしますが、本当にお出でになるのでしょうか』
【出口氏】 『それは相対の原理じゃないか。こっちが神様と思うた時には神様の霊もこっちへ来るのだ。死人の事でもこっちから思ってやると向こうで会っている。死者の霊が或いは夢になって現れる事もあるが、思わなかったら会えやしない。相対的で相応の理だからね』
【速志】 『霊の正しい霊であるか正しくない霊であるかという事の見分け方というようなものはないでしょうか』
【出口氏】 『感じた時に、正しい霊なら額が熱い。前額から暖かくなって来る。それは正しい霊で、悪い霊はぞーっと尻から来たり首筋から来たりする。鎮魂すると、「体が熱うなりました」というだろう。霊魂というものは善を思い善を為せば「みたまのふゆ」といって無限大に増えるものだ。悪い事をすると減る。人殺しでもしていると、何でもない事に巡査が来ても、すぐ捕まえに来たのじゃないかと思ってビクビクする。良い事をしていて「警察からでも褒めに来てくれんかなア」と思っているくらいの時は巡査が来ても、ああ来てくれたか、というようなもので平気なものだ。それと同じことだ。神は愛善、神は愛だから、神を愛し人を愛するという事、これほど強いものはない。だから神を信仰する者はいくらでも魂が肥える。信仰のないものは直ぐ落胆するから魂はやせる一方という事になる』
【速志】 『進取的なものはいいという事にはならないでしょうか』
【出口氏】 『進取的でも信仰のない者は、扇の要のないようなものでダだ。でないと得意の時は良いけれども逆境に立つと見られんように気の毒な姿になる。ワシは随分逆境に立ったが、立つほど面白くなる。これだけ一つの経験を得た、と思っている。蒙古の時に信仰というものは、こんなに阿呆になるものかと思ったが、あの時は妻子の事も思わなかった。ただ神様の事と世界の事とは思っていたが──それは一生懸命だったから──その他の事はちっとも思わなかった。銃を向けられた時も「これから天界へ上るのだ。しかし天界へ行っても地上の人を守護してやろう」と思っていたくらいだ。別に怖いともかなわんとも、何とも思わない。自分の辞世を詠んで他人のも詠んで、まだ滑稽な歌まで詠んで笑っておったくらいだった。
  我を待つ天津みくにのわかひめを
    いざしに行かん敵のなかうどに
 信仰があると、こんな時にでも滑稽な事が云えて来るものだ』
【神本】 『霊界に於ける士農工商と言ったような組織をお話し願いたいのですが』
【出口氏】 『霊界物語に書いてあるじゃないか』
【神本】 『天界においても士農工商があるとか、私利私欲を主にせずに、公共の幸福のために業をいそしむというような事はお示しをいただいておりますが、もっと詳しく具体的な方面をお示し願いたいと思いまして』
【出口氏】 『ワシのは二度言われん事になっているのだ。神様は一旦言われたら二度と言われんのだ。神の言葉は二言はない。それで先に言ってしまうと本が出来ないから、霊界の事はあんまり言うのはいやなのじゃ。その時一遍しゃべったら二度と言われんからな。大祥殿で講師が同じことを何遍も言うているのは、あれは取次だから良いが、ワシのは二度と同じ事を言われん役なんだから。もし大祥殿でもワシが言うたら今までに言わなかった事を言わねばならんから、なかなか難しいのじゃけれども、死後の生活や何かは、あれ(霊界物語)を見たら大抵わかるはずだ。芦田はんの書いたのに詳しく書いてあるが、スエーデンボルグだったかな、霊界は現界の移写であると、これだけ考えておったらええ。正しい人の現界と天界とは同じことだ……この世は形の世、型の世で、お筆先にも「十里四方は宮の内、福知舞鶴外囲い」とあるが、お宮さんのこんな小さい形が一つあったら、無限大に想念で延びる。富士山の写真を撮ると、小さな写真でもそれで富士山で通るじゃないか。現界は何千何百哩とか言うているが、霊界で見たらどのくらいになるかわからん。人間も五尺の躯殻だけれども、想念によっては太陽に頭を打つようなところまで拡張するかも知れない。霊魂上の世界と肉体上の世界とは違うのだから』
【神本】 『たとえば……農業等でもやっぱり種を蒔いたり草を除ったりするのですか』
【出口氏】 『それは天国で蒔いておらなければ地上に蒔かれん』
【神本】 『みな同じような手続きを踏むのですか』
【出口氏】 『このものは青人草の食いて生くべきものなり、天の狭田長田に植えしめたまい……とあるように、天の狭田長田に植えられるから現界にも田植が出来るのじゃ。天国というけれども、雲の上にあるのじゃない。こうしているのもみな天人がかかって働いているのだ。稲を植える時には妙な心を持って植えるものはない。他人の悪いことを思ったりなんかしやしない。邪念も何もない天国的想念でやっているものだ』
【神本】 『食事も現界の人が食べるような同じ方式でやるのでしょうか』
【出口氏】 『霊身だから霊気を食うのだ。現界の人間が食べて糞をたれるようなものじゃない。白い米を食べても黄色い糞をたれて赤い血を出す。黄色くなるのもそれは霊がしているのだ。で、これは人が食うとっても天人が食うとるのだ』
【神本】 『煙草はあるのですか』
【出口氏】 『こっちにやっている事はみなある』
【速志】 『酒はいかがでしょう』
【出口氏】 『酒もあるとも。町もあれば士農工商みなある』
【神本】 『地獄の方はそんな職業はないのでしょうか』
【出口氏】 『それはない。生産的の事はない。争議団を興して他人の物を分配して食おうというような事を考えてばかりいるのだ』
【神本】 『商売なんかは──呉服屋もあり米屋もあり八百屋もあり、というようにあるのでしょうか』
【出口氏】 『あるとも。現界は移写だから。売買はこっちとはちょっと違うが。つまり言うたら、一村なら一村は誰の物でもない。村長がみな神様から預かっているのだから』
【神本】 『その分配の便宜を計るというような者が商売人でしょうか』
【出口氏】 『そうだ、そうだ』
【神本】 『工業や何かでも……大工とか機械工業など』
【出口氏】 『大工はこっちで大工しておった人が大工するので……機械工業も発達している。霊界から現界へ写る。現界が進むから霊界が進み、また霊界が進むと現界が進む。霊肉一致だ』
【神本】 『それにも地獄的のものもあり、天国的のものもあるのでしょうか』
【出口氏】 『地獄的のものは天国には居れはせん』
 (以下次号)

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