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文献名1出口王仁三郎全集 第2巻 宗教・教育編
文献名2【教育編】第1篇 皇道教育よみ(新仮名遣い)
文献名3第2章 皇道教育の大本よみ(新仮名遣い)
著者出口王仁三郎
概要
備考2023/10/06校正。
タグ データ凡例 データ最終更新日2023-10-06 02:27:35
ページ531 目次メモ
OBC B121802c203
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本文  現代の教育の現状は恰も天魔の如き乱暴極まるものである。神聖なる皇祖皇宗の御遺訓を奉体して御国体の御本義を体得して居る教育家は、我輩の眼には只の一人も映じないのである。教育の大本は明治大帝の下し給ひたる教育大勅語に明瞭なりと言ふかも知れぬが、現代の教育家には然謂ふ可き資格の者が何処に在る乎。奴僕的教育や背理的教育に獣性的教育、亡国的教育を盛に行る、其反響は日日の新聞の上に発表されて、世界の展覧に供すると云ふ教育の結果は、実に思ふても肌に粟を生ずるのである。日退月却せる腐敗堕落の形勢は益々教育勅語の御聖旨と隔離し、遂に亡国に達すべき趨勢では無からうか。日本全国十余万人の教育家が孜々として努力せる結果が、現代の惨状を呈する所以は何の故で在るか、教育の方針に根本的大欠陥が伏在して居るからでは在るまい乎。今日の教育家と云ふ営業人は、第一に神聖なる皇祖皇宗の御遺訓を無視し奉つて居るのでは在るまいか。神聖なる国体の根本義を真に了解して居るで在らうか。国体的大精神を亡失して居るのでは在るまいか。世界の統一治平と云ふ事が皇国の根本義であつて、日本臣民は世界経綸の天職を具備し、其実行に尽さねば成らない事が判つて居るであらうか。我輩は何程贔負眼に見ても現代の教育は盲目的で、亡国の因素と成りつつある事を熟々感ぜざるを得ないのである。
 我輩の放言を読んで現代の教育者は驚倒し、政治家は戦慄し、思想家は妄想と批評するであらうが、信実に的確に世界的国家を統治し、世界の平和を保全する事が、大日本天皇の御天職に在しまし、日本臣民の天職的使命であるのだ。畏くも皇祖天照大神の治国の御神勅にある豊葦原千五百秋之瑞穂国とは、即ち地球の実の名称である。葦原の中国とは即ち地球の頂点にして世界の中心なる日本国であるのだ。宇宙の中心、太陽系天体の中心、地球の中心たる日本神国は、元来世界的優秀の素質を具備して居る事は歴史的事実が証明して居るのである。時代の推移は、先天的資性を享有して、国体的知覚と経綸的可能性を発揮反正する国家的有為の国士を輩出したる徴があるのでは無いか。累惑の旧夢に醒めない輩は徒に外恐、萎縮、利己を墨守して世界列強の風潮のみを伺ひ、事大卑屈、専ら落伍せざらむ事にのみ汲々乎たるの状、是れ所謂国家枢要教育者等の態度である。第一に皇訓を蔑視し奉り国本を無視する事が、皇国教育亡状の根本欠陥であらうと思ふのである。
 明治聖天皇、維新の初に当り五ケ条の御誓文を下し給ふ。曰く
『知識ヲ世界ニ求大ニ皇基ヲ振起スベシ』
  勅意宏遠誠に以て感銘に堪えず。今日の急務、永世の基礎、此他に出べからず、臣等謹而聖旨を奉体し、死を誓ひ黽勉従事、冀くは以て宸襟を安んじ奉らむ
 是れ当時輔弼の奉答せし所である。爾来年を閲する事五十年、世界的の大知識を学得して、以て皇基を振起し奉り得ざるは何故ぞや。皇基を振起し奉り、以て万世不朽の基礎を確立すべき学者の勃興せざる所以は何故ぞや、他無し、私利栄達にのみ奔逸して、学問の捕虜的奴僕と成り了れるが故であらう。曰く法政、曰く文学、曰く科学、哲学、曰く何々学と、各其普及を図り、以て学閥を作り、利己の欲望を満たす事にのみ熱中し、利害適否を判断する脳力を喪失せるが故では在るまいか。教育的元勲者を以て自任し、栄爵以て社会に臨む輩が、其厚顔にして且つ無恥なるに驚かざるを得ないのである。其所謂上流的教育者の腐敗は即ち今日の社会的堕落と、風教頽敗の醸因ではあるまいか。
 伏而惟ふに叡聖文武明治陛下夙に斯の弊根を認識し給ひて、教育の勅語を降下在らせられたのである。然るに外従内反して聖旨更に徹底せざるが故に、十有八年を経て更に畏くも戊申の詔書を煥発し給ひて、最も明瞭に国運発展の本は『神聖ナル祖宗ノ御遺訓ニ存スル』事を重ねて諭し給へるは、実に臣民たるもの誠恐誠惶至極の次第である。之を要するに世界の知識を摂取したる先輩学者が、明治維新聖誓の骨子たる『皇基を振起すべき為に、世界の知識を求め』たる目的の本末を過てるが故である。是ぞ現代教育の天魔的亡状を呈せる根本的欠陥の第二である。然し時代の進運は今迄の教育家の態度をして根本より大革正せしむべき時機に到着したのである。
 今や皇国的教育の勃興すべき時代となつて来た。外学に捕はれたる迷妄学者、教育家を根本的に排斥すべき機運である。神聖無比なる国体の本義を奉体せず、外教に心酔せる教育家を任用す可からざる時機である。皇基を振起するに足るべき至誠至忠の人材を選み、登用し、且つ優遇すべき時機が向いて来て居るのである。第一即ち勅諭を奉戴し、皇基を振起して世界の知識を淘汰すべき時機である。第二に皇訓を奉体し、世界を教育し、以て御遺詔に奉答すべき時代である。
 古今世界の知識なるものが国体の精華を発揚するの基本と為すに足らない事は、現代の教育の無能が之を証明して余蘊なしである。皇国的教育の大眼目は世界の国家を教育し、以て世界永遠の平和を保全すべき、所謂天下の教育家を養成する事である。
 皇国教育なるものの本領は、人生天賦の使命と天職を宣伝し、以て古往今来物質的文明に心酔堕落せる世界の生民を、暗黒界より光明へ導き救済するに在るのである。皇訓垂示の人生本義に則り、泰西の獣性的教育主義を根底より破棄せしめ、悖理的東洋の破倫と奴僕との教育を打破し、人文開発の本義に因り形式的無能の教育を根底より破り、物質的生存競争を本意とせる亡国教育の根本を破棄せしむるのである。所謂宏遠なる祖宗の御神策たる、古来蒙昧なる人智を開発せしむるが為に、啖はすに利養を以て自然的欲望に任せ給ひ、以て人文の自然的発達を期待し給ひたるも、今や其高潮に達し弊害の拡大せる結果は、遂に現今の世界大戦乱を醸成したのである。茲に於てか国租の神霊は天祖と共に中国に降臨せられ、皇訓を発揚せしめ、人生の本義的教育の規範を先づ皇国に厳立し給ひ、以て世界万民の塗炭を救済すべき、世界的模範教育を示し、古往今来の世界的背理教育を破却し、一掃し、根本変革の急先鋒として皇道大本に皇国教育根本学社を創立せしめ給うたのである。
明治天皇 五ケ条の御誓文に曰く
 『旧来ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基ク可シ』
天地の公道とは皇訓垂示の大憲である。教育勅語に
 『斯ノ道ハ実ニ我カ皇祖皇宗ノ遺訓ニシテ子孫臣民ノ倶ニ遵守スヘキ所之ヲ古今ニ通シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス朕爾臣民ト倶ニ拳々服膺シテ咸其徳ヲ一ニセンコトヲ庶幾フ』
と詔り玉へる神聖なる皇祖の御遺訓に基く可きは、天地の公道にして教育淵源の第一要義とする所である。教育の真面目、皇祖御垂示の所謂天地の公道を対揚して、世想教育を淘汰革正し、以て咸其徳を一に為すべき事が智能啓発の根本義である。
先帝五ケ条の御誓文に曰く
 『上下心ヲ一ニシテ盛ニ経綸ヲ行フヘシ』
と、神聖なる皇祖の御遺訓を奉体して君民上下一致、以て皇国本来の大使命を敢行すべく、挙国一致の大努力を要する秋は実に今の時機である。
 世界生民を扶掖教導すべき教育の大主権は、万世一系の皇祚を践ませ給ふ大日本国天皇陛下に存し給ふのである。即ち皇祖の御遺訓を奉体し給ひて、世界生民の咸其徳を一にすべき天職と慈愛とを具備し給ふのである。
 古今学者の称する祭政一致は、国体の精神を誤解する文字的解釈で、有史以来根本的に誤解して居るのである。唯一神聖なる、皇祖御遺訓には其本義を垂示せられ居るのである。即ち祭政一致の根本義は、皇訓御垂示の天理人道と人心行為の一致すべき事である。更に明確に謂はば、日本天皇が天権天職を発揮し給ひて、日本臣民が世界経綸の使命を行ひ、世界的国家の経綸が皇祖御遺訓の如く一致する事である。祭政一致の経綸は日本国の根本国是であつて、即ち天職である。神聖なる万世一系の御天職は、即ち斯の国体的教育制度の根本革正に因つて其目的を達し得るのである。
(大正七、二、一 神霊界誌)
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